まだ敦賀さんが帰ってない時間にいきなり鳴った携帯。  
あんまり掛けてくんな、って言ってもやっぱり掛けてくるんだ、あのバカショーめ。  
 
「おい、キョーコ。こないだお前の出てたドラマさ、  
 お前最終回のDVD持ってる?持ってるよな?」  
 
「いきなりなによ、ショータロー…持ってるけどどうしたの?」  
 
「こないだ録画し忘れちゃったんだよ。  
 あれどうしても見てえ…ってなんだテメッ?!ハナで笑うな!」  
 
「フン。アンタが私のドラマ見たいって言うなんてね〜?」  
 
「勘違いすんな?!主役の逸美っちが可愛いんだ!  
 あのコDMでもそうだし、ほんとに可愛い女のコ役合ってるよな〜  
 …未だに敵役か色物脇役中心の誰かとは比べ物になんねぇぜ」  
 
「あーそー、確かにDVD焼いてるはずだけどアンタに貸す筋合いは…」  
 
「あ、ウソですお願いです未緒お嬢様。貸してくださいおながいします」  
 
「誰が未緒よ?!…いや未緒だけどっ。このバカショーがっっ」  
 
…すったもんだのやりとりの後に、頼まれたドラマの最終話のDVDを持っていった。  
敦賀さんはいつも私のドラマをCD-Rに焼いて、綺麗に整理してくれてる。  
…自分のドラマではめったにそんなことしないのに。  
どうして?って聞いたら、自分の演技を自分で見ても反省にしかならないけど、  
他の人の演技を見ることは自分の演技の幅を広げることでもあるから、って。  
…そんなものなのかなぁ?ま、敦賀さんの分は私が録画してるからいいんだけど。  
 
半ば無理矢理に次の日貸す約束をさせられて。  
確かあいつ、今の時間はこのスタジオで撮りやってるって…  
あ、祥子さん見っけた。じゃコレ預かってもらおう。  
私は念のためドラマのDVDを一式紙袋に詰めて持っていき、祥子さんに預けた。  
 
 
「あ、キョーコもう帰っちまったのかよ。愛想悪ぃな。」  
 
ぶつぶつ言いながら祥子さんからDVDを受け取ると、祥子さんは  
あんまり彼女にかまうとまた彼氏に怒られるわよ?とクスクス笑った。  
別にトクベツかまってるわけじゃねぇよ、彼氏に怒られるようなまねだって何もしてねぇぞ!  
…でも、ちょっとした頼みごとを頼めるやつにしたって。別にいいだろ…  
 
しかし相変わらず律儀だよな、キョーコ。  
最終話を頼んだら、全話のDVD持ってきやがった。  
自分で焼いてるはずなのに、CD-Rの表面にはやたら綺麗に  
タイトルまでプリントされてある。あいつこんなことまでやってんだ?  
ちょっとびっくりしてたら祥子さんが横から更に笑みを深めた。  
「それ、敦賀蓮がやってるんだって。彼女相変わらず愛されてるわよね〜」  
…あっそ。天下の売れっ子がナニやってんだよ…  
げんなりしながら、俺は自宅でDVDの電源を入れた。  
 
せっかくだ。どこから見ようかな…  
…???最終話の入ったヤツの一つ手前のCD-R、  
なんでこれだけ何もラベルが印刷されてないんだ?  
他のヤツはご丁寧にドラマタイトルをHPから落として印刷してるのに…  
まさか…これって…  
 
視界が微妙に定まらない画面にキョーコが潤んだ目でこちらを見ている。  
 
「キョーコ、可愛い…ねぇ、もっと声だして?」  
 
背景は白…多分シーツの上に横たわっていて…  
剥き出しの肩口がズームアウトしていくと、  
真っ白な肌に小ぶりの、つんと上を向いた乳房。  
赤みを深めた果実を長い男の指が嬲っている。  
 
「いやっ、つる、が…さん、こんな…あ、ぅん…っ」  
 
「どうして?ビデオカメラが欲しい、って言ったのは君だろう?  
 めったに一緒に出歩けないから、出かけたときとか一緒にいるときとか…  
 一緒に写ったところを自分で撮ってみたいって…ね?  
 綺麗だよ、キョーコ…」  
 
息の荒くなった男のセリフと下からの突き上げに、キョーコが身を震わせる。  
キョーコは胸を弄る男の手を抑えようとして…  
逆に反対側の胸の先を男に咥えられてしまった。  
ほんの少し角度のずれたフレームがやたら生々しくて…  
小さな赤い先端をわざと舌を突き出して男は嬲る。  
 
「これ、うまく画面に入ってるかな…?」  
 
「や、だめ、こんなの…ひゃぅ…んっ」  
 
「ん?だめなの?…ああ、もっと全身を入れないと記念にならないよね?」  
 
フレームがまた真正面に戻り、所々噛まれたように紅く染まった胸から  
白い滑らかな腹部、そして…大きな男の身体でM字に開かされた足の間へ…  
もうそこは…太い杭に蹂躙されてぐちゃぐちゃになっていた。  
 
浅くじらすとキョーコが懇願し…急に深く抉ってキョーコが悲鳴を上げ…  
ずるずると赤黒い太い杭が真っ赤に染まったヒダを捲り上げ、突き入れ…  
最初は声を抑えていたキョーコがどんどん切羽詰っていく。  
一際高い声をあげて身を震わすと、今度は角度を変えて  
キョーコは男の腹の上に乗り、また下から容赦なく突き上げられて…  
 
 
今日はあまり遅くなかった敦賀さんが食後にPCに向かうと、  
CD−Rのラックがごそっと空いてたのが気になったみたいで。  
しぶしぶ、ショータローに貸したと言うと、敦賀さんの顔が強張った点目になった。  
 
え…ナニ??えー、それって、そんな…  
ナニやってるんですか、敦賀さん?!  
慌ててショータローに電話を掛けると。  
 
『…キョーコってめー、いつからそんな破廉恥な女になった?!』  
 
『破廉恥ってナニよ?!いいから早くそのDVD返しなさいよっ  
 後でちゃんとまた貸してあげるから。っとに恥ずかしいったら…』  
 
『ぬあっ?!やっぱアレはハメ撮りか??ハメ撮りなんだなーーー?!』  
 
ハメ撮り…?ナニそれ???  
なにかハメを外して撮ったらそういう呼び方になるの??(<ある意味当たってます)  
私が不思議がっていると、敦賀さんに携帯を取られてしまった。  
 
『やぁこんばんわ。期待に添えなくて申し訳ないけど…アレはそんないいもんじゃないよ。  
 でもいいアイディアをありがとう…今度試してみるよ。』  
 
…そしてぶっちりと電話を切ってしまった。  
ハメ撮りってなんですか?敦賀さん??  
そう聞くと、彼は困ったように笑って…今度教えてあげるね。  
でも他の人に聞いちゃダメだよ?大事なことだからね?っと微笑んだ。  
…一瞬だけ背筋が引きつったのは…気のせい?かな??…だよね…??  
 
 
ショータローは電話を切られた後も、しばらく顎を外して固まっていた。  
ラベルのないCD-Rをすぐに返して、とキョーコにきつく言われ、  
そのCDからの妄想を敦賀蓮から全否定されて…  
あげくに『今度試してみる』だのとほざかれ…  
 
まさかまさかまさか?!  
 
開いてみた名無しのCD-Rは…  
 
ネットで出回っているキョーコの画像&動画ファイル集だった…  
 
 

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