目の前に大きな猫・いや黒豹になったと思い込んだ男(ひと)がいる。  
敦賀蓮という皮をかぶった獣が、私の頬を鼻をと大きな舌で舐めつける。  
ぐるるるっと唸り声を上げながら、テレビ局の楽屋内を徘徊する。  
ドレッサーの側にある小さな洗面台。その剥き出しの排水管に手錠で繋がれていた松太郎を一瞥すると、  
すぐに私の側に戻ってくる。今度は首筋へ犬歯を軽く立てられ、ぞくりとした。  
言葉が通じず、熱い息、鋭く光る目が恐ろしかった。獣とは違うコロンの匂いが鼻先をかすめる。  
(た、食べられる! このままじゃ喉笛引き裂かれて殺される! 私のついでに松太郎も殺されて、  
敦賀さんが連続殺人犯になるんだわ! こんな馬鹿げたことで!)  
内心悲鳴を上げている私をよそに、床に座り込んで放心していた松太郎が笑い出していた。  
 
 
今日はバラエティ番組で催眠術の特集が組まれ、未緒役で少しは世間に知られるようになった私が光栄にも  
ゲスト出演することになった。術に半分掛かったような掛からないようなふわふわした気分で収録が終了し、  
楽屋に戻る途中で、まず松太郎と出くわした。  
「げ。なんであんたがここに」  
「そいつは俺のセリフだなー。なんでおめーなんかがここにいるんだよ? 売れない女優が?」  
(なんか、ですってぇ! 売れないですってぇ! このバカショー!)  
「俺は当然、怒っていいとものゲストで生で出演てきたばかりだけど。退場する時きゃーきゃー  
言われて大変だったなぁー」  
踏ん反り返る馬鹿男に回し蹴りを入れそうになるが、通りかかったスタッフの姿に自分を押さえ込む。  
「だ、だったら私の目の前からもさっさっと退場しなさいよ……! 目障りだわ!」  
指を突きつけてやると、松太郎は引き攣った笑いを浮かべた。  
「キョーコのくせにこの俺をそうちょくちょく人差し指で指すとは、いい度胸じゃねぇか?   
態度がデカイ割には、胸は相変わらず小せぇのになー?」  
いきなり服の上から、左胸を鷲づかみにされた。しかも揉みやがった。  
私は声も出ない。  
(こ、こんのバカがぁー!! い、一度ならずとも二度までも!!)  
涙が出そうになるが、堪えた。いくら小さな胸とはいえプライドというものはある。  
(でもこんな馬鹿男のために流す涙なんかないのよ!)  
ショックを隠すために駆け込んだというのに、松太郎が無理矢理楽屋に入り込んできた。  
「この馬鹿。何、ついて来てんのよ! 出ていきなさいよ!」  
「ケチケチすんなよ、茶ぁぐれぇ出せよな」  
断りもなくパイプ椅子にどっかり座る松太郎の図々しさに、私はわなわなと震え、息の根を止めようと拳を振り上げた。  
 
コンコン。その時。ドアをノックする音と、温かくて心に染み入る低い声を聞いた。  
「最上さん。入っていいかな。収録終わった?」  
「つ、敦賀さん! は、はい! い、いいえ…どう……ぞじゃなくて、いやー、なにすんのよー! このバカショー!」  
私の悲鳴と共に、敦賀さんが楽屋になだれ込んで来た。  
「最上さん!」  
敦賀さんの目が見開かれる。  
松太郎が、腕を振り上げた私の無防備な胸を二度ならずとも三度までも、両手で掴み上げていたのだ。  
「おめーが、俺を攻撃しようとしたから先制攻撃したんだろうが。ま、右胸も大したことねぇなー」  
目の前がふやける。  
「ふぇ……」  
悔しい。私はいつまでたってもこの男に馬鹿にされ続けるのだろうか。  
復讐のためではなく、自分のために演技をすると決めても、私は一生この男に振り回され続けるのか。  
とうとう堪えきれずに涙をこぼし出すと、松太郎が両手をぶら下げ、呆気にとられたように私を見上げた。  
入り口付近で立ち尽くしていた敦賀さんは何を思ったのか、怖い顔で松太郎に近づくと奴の右腕を掴み取り、  
部屋の奥にある小さな洗面台の前まで軽々と引き摺った。そして背広のポケットから手錠を取り出すと、  
洗面台の排水管と松太郎の手首にその輪を嵌めてしまったのだ。  
「てめー、何すんだよ!」  
「今君がしたことは立派な犯罪だよ? 痴漢だと訴えればかなりのダメージになるね。でも  
その前に俺の手で殺されたいか?」  
感情のない声に、私ばかりか松太郎も青ざめている。  
「お、お、おめーも犯罪だぜ? これは監禁」  
「正当防衛、悪くて過剰防衛だと思うね。最上さんにしたことを思えば軽い」  
根拠があるのかないのかきっぱりと言い切る彼に、自信のない松太郎は口をぱくつかせている。  
「ちくしょーっ!」  
側にあった屑籠を蹴り上げて、向こう脛を打ってもんどり返った。  
 
「あの手錠って……」  
「ああ、今回また刑事役をしてて丁度持ってたんだ。役に立って良かったね」  
まだぴりぴりしているような彼を前に、だるまやから持ってきた重箱を広げる。  
同じテレビ局で仕事があると事前に知っていたので、私は敦賀さんのためにお弁当を作ってきていた。  
「あのう、社さんは? 三人分作ってきたんですけど」  
「誘ったんだけど、何かプロデューサーと話があるからって、君に謝っておいて欲しいって言ってた。  
俺はまだ撮りがあって、共演者が来るまで時間はあるんだけど。最上さんは時間大丈夫?」  
「あ、ええと私も実は今日の特番の翌週分の収録にも、急遽出ないかって言われて。演歌界の大御所の先生を  
お待ちしているんですけど、遅れるらしくて。じゃあ、社さんの分は取り分けておきましょうね」  
「だったら俺に食わせろや。まだ昼飯も食ってねぇんだよ。今なら腐ってても食えるぜ」  
私はぎろりと松太郎を見下ろした。  
「あんたなんかには一口でもやるもんですか」  
「不破君? 君、今日これから予定でもあるのかな」  
マジ怒りの後のキラキラスマイルに私は、一歩後ずさる。  
「ねぇ、よ。何だよそれが」  
「じゃあ解放はまだ先延ばしだね。そこでお腹を空かせて、少しは我慢することを覚えるんだよ?」  
最後の不敵な笑みに、松太郎も何かを感じたようだ。排水管に擦り寄ろうとした。  
 
敦賀さんは重箱の中身を全て平らげてくれた。  
「美味しかったよ。いつもありがとう、最上さん」  
「いつも、だとう? なんだキョーコ。てめー今度は敦賀蓮に入り浸りかあ? ついでにおめーも  
そいつに食われてんじゃねぇだろうなぁ、なんせそいつは」  
「敦賀さんになんて失礼な!! ほら!這いつくばって謝るのよ!」  
対抗しようとする私を敦賀さんは制して、無視しろとでも言うように笑う。  
「それより最上さん。今日は催眠術の特番だって言ってたけど、どうだったの?」  
「え、あ。はい。初めてゲスト出演してドキドキしましたし、催眠術すごかったです。憧れのものに  
なるってことで私妖精になってたらしくて、それでプロデューサーに面白いって言って頂いて。  
何だかあとで放送見るのが恥ずかしいというか怖いというか」  
「妖精か。最上さんって本当にわかりやすいよね」  
敦賀さんの本気の吹き出しに、私はむくれる。  
「敦賀さんだって出演してたら、きっと何かすごいものになり切っていたはずですよ」  
「あいにく俺は暗示に引っかからないタイプだから。本当は俺にも出演依頼が来てて実際に催眠術師の技を見せて  
貰ったけど。面と向かってあまりにも率直に意見を言ってしまったから、その人の機嫌を損ねてしまってね」  
(そつのない敦賀さんが相手に煙たがられるなんて。どんなことを言ったの? よっぽど催眠術が嫌いなのかしら)  
「敦賀さん。本当に催眠術を信じないんですか? 以前にでも引っかかって痛い目にあった経験が  
あるんじゃないんですか? 俳優って一種思い込みで演技するようなものですよね」  
駆け出しの役者の小娘に生意気なことを言われてムカついたのか、敦賀さんは口を噤み、湯飲み茶碗を取り落としかけた。  
「うわ。あんた昔、催眠術にかかってとんでもねぇもんになったことがあるんじゃないのか〜?」  
それまでふて腐れて床に寝そべっていた松太郎が、嬉々として声を上げた。  
「……そんなことは、ないよ」  
半分大魔王顔の敦賀さんに、私は危険な予感を覚えた。  
「だったら催眠術受けてみろよ。キョーコ、おめー、番組出てたんだからやり方くらいわかるだろ?」  
「素人がそんなこと出来ないわよ!」  
「それで敦賀蓮を守っているつもりか? やっぱり今度はそいつに勝手に尽くして、勝手に惚れて、  
最後にはものの見事に捨てられるんだぜ。だったら今頭を下げて俺のところに戻ってきても俺は一向に」  
敦賀さんがテーブルを大きく叩きつけた。  
「やってあげるよ。どうなっても知らないからね」  
 
 
そして、敦賀さんは素人催眠術師によって黒豹に変貌してしまったのだ。  
(なぜ、黒豹?)  
術に掛かってから敦賀さんが黒豹と名乗ったわけでもなく、態度や雰囲気でそう察しているのだが、  
長身の敦賀さんに四足で擦り寄って来られると、違和感がある。  
(豹じゃなくやっぱり大きな猫?)  
はじめ、襲い掛かられると思っていたが、どうも私の膝枕が気に入ったらしい。畳敷きのスペースで  
子供のように丸くなっている。  
「ぶわっはははははははっ。最高だぜ、芸能界一いい男が何て格好してんだよ!」  
確かに、背広を脱いでワイシャツとズボンといった姿で四足歩行では様にならないだろう。  
「敦賀さん、目を覚まして。正気に戻ってください」  
松太郎なんかに敦賀さんを馬鹿にされたくはなかった。  
「おい、キョーコ。楽屋のドア全開にしろよ! こんな面白れぇもん全国放送してもらえよ!」  
「……だったら、あんたの手錠で排水管に繋がれた無様な姿も一緒に流れるわねぇ?   
そりゃあ、お茶の間の皆様を楽しませるでしょうよ。嫌だったら静かにすることね」  
私の殺気が乗り移ったのか、黒豹敦賀さんは床へ飛び降り、軽く丸めた手で松太郎の頭をぽかりとぶった。  
「なんだとー、てめーやるのかー」  
「つ、敦賀さんやめて下さい! 騒ぎがひどくなったら大変です! 敦賀さん!」  
叫ぶようにしかし小声で、敦賀さんを呼び止める。しかし、敦賀さんは尻尾があれば大きく振り振りして  
楽しげにしているのであろう。猫パンチならぬ豹パンチは再び繰り出されようとしている。  
「れ、蓮! やめなさい! 私の言うことを聞きなさい! 蓮!」  
飼い猫を躾けるように、私は命令した。もう破れかぶれだ。  
 
すると、敦賀さんは松太郎に興味を失ったかのようにして、私の方へと引き返してきた。   
「れ、蓮? いい子ね。いい子だから敦賀さんに戻るのよ?」  
黒豹敦賀さんは不満げに、喉を鳴らした。それから遊んでとでも言うように私の顔を舐めまわし始めた。  
はじめは額や頬だったが、それが降りてきて耳朶や唇のわきを柔らかい舌が掠めた。舌は私の上唇に辿り付き、  
れろりと味わうように、唇の間へとねじ込んできた。  
「んぅ?」  
面白い玩具が見つかったかとでもいうように、口内を蹂躙される。ねっとりと舌を絡められて、  
唾液が零れ落ちた。  
「……や、やめて、敦賀さん! 蓮!」  
敦賀さんの耳には何も届いてないらしい。馬乗りにされると、さらに深いキスを求めてこられた。  
「や、だめ、だめです……っ、んぅぁっ」  
「おい、てめ、どっちが痴漢だ」  
怒鳴り散らそうとする松太郎を私は睨みつけた。  
「今、騒いだらあんたも地獄行きよ。とにかく敦賀さんを元に戻すまで、協力するか黙っているか、んっ、  
……どっちかに、はっ、あん、してもら……うからぁ……やぁ」  
 
大きな身体で畳の上に組み敷かれて、私はどうすればいいのか考えた。けれど敦賀さんのキス攻撃に  
朦朧としてきてそれどころじゃなかった。  
「はぁ……っ、んぅ、ふぅっ」  
しつこく唇を貪られる。滑らかな感触が、角度を変えて奥へ奥へと攻めようとしてくる。  
「ん、あぁっ、はぁぁ……ああぁっ……んぅ……ぁあっ……あっ?」  
突然、敦賀さんの唇が私の唇から離れた。呼吸に苦しむ私をじっと見る彼の顔がそこにあり、ほっとした。  
(戻った?)  
しかしそれもつかの間、敦賀さんは身体をずらすと私のスカートの中に顔を突っ込んでいたのだ。  
「な、な、やだっ、……何してんですかっ!」  
一度彼は「どうしたの?」というようなきょとんとした顔を上げたが、構わずスカートの中にもぐり込んできた。  
「や」  
濡れた舌が触れた。  
柔らかいそれがショーツの上から、私の真ん中の盛り上がった部分を何度も往復する。  
「き、汚いから、やめて、……蓮!」  
抵抗は無視されて、ショーツを歯でもってずり下ろされ、彼は私の股の間を直にぴちゃぴちゃと舐めだしていた。  
「いやぁ……っ、やめ、て……はっ、あぁんっ、あっ、ぁあんっ、いやっ、あぁ、やっ、やっ、こんなの、  
だめ、だめ、……やだっ……はぁんっ!」  
まるで喉が渇いていたかのように水を飲むかのように勢い良く、舐め続ける。途中ごくりという嚥下する  
音も聞いた。こんな恥ずかしいことは嫌なのに、私のアソコがどんどんと濡れてきていることがわかる。  
舌が中へ入っていく度に、突起が唇で吸われるようにされ、熱で浮かされたおかしな気分になる。  
「いやぁんっ」  
「お、おい、キョーコ」  
口をあんぐりと開けて、松太郎が声を掛けてきた。地べたに座った奴と畳に寝転がった私と丁度同じ高さの  
目線になった。  
「てめ、これ、ヤバイ、んじゃねぇのか?」  
「はぁ……、いま、誰か呼ん、んぁっ……だら、只じゃ、はんっ、おかない、から……ね……あぁっ」  
反抗するかと思ったのに、眉根を寄せて声を尖らせる私から、松太郎は目を逸らした。  
 
敦賀さんは、一向に黒豹から戻りそうになかった。  
動物が毛づくろいでもするかのように、私を舐めるのをやめない。よほど気に入ったのか、私のアソコを執拗に  
舌で弄りながらも、お臍の上にも、そしてブラを押し上げて乳首にまで舌を這わせる。  
「れ、蓮? もう、やめるの、……あっ、ぃやっ……ぁぁっ、いい子だから、ね?   
ふぁっ、ぁんっ、んぁんっ……蓮っ、蓮っ、蓮っ、ぁあんっ」  
そう言いながらも、私は彼の頭を自分に引き寄せていた。  
敦賀さんは、急に私を押さえつけるのをやめた。  
(正気になった?)  
しかし二度目の期待も裏切られた。  
黒豹敦賀さんは私に起きるようにと喉を鳴らして促す。けれど立ち上がり逃げようとする私に飛びつき、  
今度は背中から押さえ込んできた。強制的に私も四つんばいにならざるを得なかった。  
後ろから抱きつかれ、腰を押し付けられる。  
「……あっ!」  
私のお尻に敦賀さんのモノが当たった。  
ズボンの中で堅く張り詰めているのが布越しでもわかった。それを何度も私に擦り付けてくる。  
「ちょっ、と、待って? 私人間よ? いや、敦賀さんも……あっ、人間ですけど……いぁっ」  
頬をすり寄せられ、耳の中に舌を入れられ、私は身を震わせた。  
(だ、大丈夫よ…大丈夫。敦賀さんは今黒豹だもの、ジッパーは下ろせない。黒豹だもの)  
やがて敦賀さんは、私の背中から苦しそうに啼いた。  
「そ、そんな声、出したって無理ですからねっ……ぁ、ひゃぁっ、んっ」  
「キョーコっ!?」  
ずっと背を向けていた松太郎が、目を剥いた。  
敦賀さんはズボンを穿いたまま、剥き出しの私のアソコを突き上げようと腰を動かし始めたのだ。  
「そんなことしたって、だめ、よっ? はっ、あぁっ、どうしようっ、そんなっ……ぁあっ」  
何もされてはいないのに、敦賀さんの衣服が私の肌を擦り上げ、さざ波のような感覚を身体の  
あちこちに落としていく。太ももやお尻、勿論大事なアソコにももやもやとしたものが残る。  
「やぁあっ、どう、したらっ、ぁあっ……いいのぉ……、だ、めぇ……松……ちゃ…何と、かしてよぉっ」  
松太郎はその視線を私と敦賀さん、自分の足元と繰り返し上下させて、珍しく口ごもっていた。  
「なななななな、何とかするって、俺の手錠外せ! そいつをぶん殴って正気にしてやる!」  
 
「敦賀さんを殴るなんて何考えてんの! この後まだ撮影があるのよっ! 相変わらず……あっんっ、  
ひどいことをっ、考える、わねっ……ぁっ、蓮っ」  
「ひ、ひどいことって、おめーの方が今そいつにひでぇ格好をさせられてんだぞっ?」  
松太郎の頬が引き攣った。  
「殴るとか蹴るとか暴力なしで、……んっ、でき、ない、の?」  
敦賀さんの動きに耐えるように、私は畳の上に這いつくばって松太郎を見上げた。自然と腰が突き出される形になる。  
全身に広がるどうにもできないむず痒さから、視界が意識が霞んでいた。  
苛立ちによるものなのか。松太郎の顔が見る間に赤く染まっていった。  
「人を呼べって言えば、てめー怒りだすんだろうが。……だったら、とりあえず出来ることは」  
もごもごと松太郎がどもった。  
「なに?」  
「……してやれって言ってんだよ。そいつ溜まってんだろ。手でも口でも使ってイカせてやれば  
治まるだろうよっ。ま、そのまま外に放り出せば、勝手に女捕まえて強姦するぜ。俺としては万々歳だけどよ」  
どきりとした。こんな馬鹿げたことで敦賀さんが犯罪者になる。  
(そんなの嫌よ)  
「しょ、松太郎? て、手錠外すから、敦賀さんの……してくれる?」  
ダメもとでお願いをしてみる。当然  
「てんめー、馬鹿か! 俺が男のブツ握って何が楽しいんだっ! とっととそいつを外に追い出せ!」  
と青ざめながら怒りだした。  
私は荒い息をつく敦賀さんを振り返った。  
「つる、がさ……蓮? あの、ね? 今苦しくないようにしてあげるから、どいてくれる?」  
黒豹敦賀さんはあっさり身を引いて、私を不思議そうに見下ろした。  
 
白昼堂々と男の人のモノを間近に見るなんて思ってもいなかった。  
「じっと、しててくださいね?」  
ファスナーに手を掛ける私に、松太郎が声を荒げる。  
「きょ、キョーコ! お前マジにやるつもりかよっ! 本当に馬鹿か!?」  
「て、手でだもんっ。そ、それ以上は……っ」  
涙目になる。松太郎の前で、何でこんなことをしなければならないのか。でも、  
松太郎のけしかけもあったとはいえ、敦賀さんに変な術を掛けたのは私だ。  
ベルトを外してジッパーを下ろすと、ボクサーパンツから大きく盛り上がったモノが出てきた。  
生々しくてそそり立ったモノを直視できずに、手だけを添える。  
手の平の内で脈打つソレが、私の鼓動をも跳ね上がらせた。  
「や、やりますよ?」  
そう声掛けをしないと、この場から逃げ出しそうだった。  
そっと握ってみる。さっき敦賀さんに舐められた感覚を思い出して、少し力を入れて揉みだす。  
敦賀さんが喉を鳴らした。目が眇められる。  
「気持ち、いい、ですか?」  
答えはない。  
私は彼と正面に向き直って、彼自身を両手で持って丹念に上下に扱き出した。  
「んっ、ああ」  
敦賀さんが獣のような啼き声ではなく、初めて吐息をこぼしたことに私は興奮した。  
「コレ、好き?」  
もっともっと彼の声を聞きたい。ありえない欲求が私を突き動かした。  
 
「じゃあ、これはどうですか?」  
私は何の抵抗もなく敦賀さん自身を口に含んでいた。全体をしゃぶるようにして吸い、  
先端をつつくように、舌先で攻める。  
敦賀さんの頬が上気しているのを見ると、側で喚く松太郎の声も遠くに聞こえた。  
「はむっ、とぅるが、さんの、大きいから、だめ……、口、こわれちゃい、まふ……」  
ちゅくっちゅっく、ちゅうちゅう。裏側を舐めたり、わざと唾液を垂らしたり、考えつく限りのことをした。  
「んんっ」  
(敦賀さんが震えている……)  
嬉しさに私は、インサートする動きを早めた。  
「むぅ、ふぁっ、んんっぅ、ふぅっ、あはぁっ」  
「ん」  
敦賀さんがぶるりと身を震わせたかと思うと、私の口の中に勢い良く放っていた。  
敦賀さんがしてくれたように、苦くてすっぱい味に咽ながらも飲み込んだ。  
「気持ち、いい?」  
それで収まり、正気に戻るものだと思っていたのに  
敦賀さんは私を押し倒し、再び二人で重なるようにして四つん這いになった。  
「なっ……! やっ」  
敦賀さんは無言で、私の胸を手で揉みだした。  
そして、片手でアソコの具合を確かめるように指を挿し入れすると、ふっと笑い、腰を押し進めてきた。  
「やぁあっ! あんっ、あんっ、あぁっ、はぁっ……だ、だめ、い、挿れないでぇ……あっ、い、いたっ」  
ぎちぎちとまた一段と大きくなったモノが、私の中へと入ってこようとする。  
「い、あ、……くぅ……だ、め……わ、たし、入ら、ない……初め、て……なのにぃ……っ」  
涙をこぼしながら見上げると、敦賀さんの動きが優しくなった。  
(目が合った?)  
彼は半分繋がったところを、ゆらゆらと揺らす。何かを焦らすかのように待っているかのように、小刻みに  
注挿する。規則的にやってくる痛みにはじめは硬直していた私の中で、今までにない感覚が生まれてきた。  
敦賀さんを受け入れようとしている部分が、彼を飲み込もうとひくついているのがわかった。  
先程唇で受けた愛撫以上のむず痒さに、気が触れそうで、彼の腰のわずかな動きに私も合わせた。  
すると、  
「いや、は、入るぅ……そんな……大きい……っ」  
くぷくぷと敦賀さん自身が、私の中へと難なく攻め入ってきた。  
 
その熱さに眩暈がしそうになる。  
「あぁっ、だ、め、蓮やめてぇ……だって、あなたは、敦賀さんじゃ、ないでしょ、……ん、いやっ」  
身体が敦賀さんであっても、意識が黒豹なのだ。  
この要求は、敦賀さんの意思ではない。  
(こんなの嫌だ。本当の彼が望んだことではないのに)  
それでも敦賀さんはその身を全て、私の中へと沈めた。痛みは相変わらず続いていたけれど、  
跳ね上がる動悸が耳の中で心地良く響いた。  
敦賀さんの動きが急に大きくなる。引き抜こうとして私を不安にさせたかと思うと、一気に打ち付けてくる。  
「ぁあっ、い、たっ……ぁあっ、揺さ、ぶらないでぇ……蓮っ、はぁっ、ぁんっ、い、や、いっ」  
腰を前後に振り続ける彼。痛みが何度も私を襲ってくる。傷口を踏まれるような痛み。  
「蓮っ、やめ、て? ……も、う……」  
私のお願いを黒豹は分かっているのか分かっていないのか、腰をグラインドさせる動きは止まない。  
それどころか、私の左胸の突起を捏ね回し引っ張り始めた。  
「やぁぁっ、ぁあっ、……あぁんっ、それ、やっ、頭が、変になるぅっ、ぁあっ、蓮、……悪い子っ」  
振り仰いで叱りつける私に、敦賀さんは微笑みかけた。  
「え?」  
何かを問おうと口を開きかけた私の顔は大きな両手に挟まれて、正面の鏡台に向かわせられた。  
敦賀さんはワイシャツのボタンを2、3個を外し、ネクタイを大きく緩ませているだけで、  
私の方は衣装のキャミソールは半分脱げ落ち、スカートは背中まで捲り上げられている。  
全裸ではないとだけで、鏡の前にはそれこそ獣が交尾しているような私たちの姿を映し出していた。  
「い、やっ、見たく、ないっ……んぁっ、はぁっ、ぁあっ、あんっ、蓮、だめ、激しくしないでぇっ」  
幾度も幾度も打ち付ける音が響き渡る。私を求めて一心不乱になる蓮の動き。  
「ぁあっ、ソコっ、……変っ、……だ、め……そっちへ行か、ないで……ぁあんっ、あんっ、あぁっ…」  
「キョーコ……お前」  
それまで忘れかけていた松太郎の存在を私は思い出してしまった。  
一瞬思考が固まるが、頭の中から身体へと広がる痺れるようなものに私は支配をされ始めていた。  
放心する松太郎を横目で見て何かを言い訳をしようとしても、全く違う言葉が漏れていた。  
「…ぁあんっ、イイっ……来て……蓮っ……イイのぉ……蓮っ、蓮っ、もっと、もっとぉっ、  
はぁんっ、あんっ……あんっ、ぁあっ、蓮っ、蓮っ」  
敦賀さんが私の求めに応じて、スピードを上げる。床に座っていた松太郎は呆然と私たちを見つめていた。  
 
「なんだ。最上さんって、『動物』とでもセックスできるんだね?」  
畳の上で肩で息をついている私に、敦賀さんが言葉を掛けた。  
「……え、『敦賀さん』?」  
同じ畳の上で腰をつけて座っている彼は、汗で濡れた前髪をかき上げていた。  
「あ、あの……い、いつ、元に、戻ったんですか?」  
「いつ、だと思う?」  
「えっと……さっき? 鏡を見た時、だったり、しますか?」  
今更ながら恥ずかしさに、両手で顔を覆う。  
敦賀さんは嬉しそうに笑った。  
「じゃあ、最上さんは『俺』とセックスしようとしていてくれたわけだ」  
「セックスセックスって何度も言わないでくださいっ」  
そっぽを向くと、松太郎が片目を眇めて敦賀さんを睨みつけていた。  
「て、め……、正気に戻っていたなら、途中でやめろよなっ!」  
敦賀さんはため息をついた。  
「途中でやめられるものならやめたけど、我慢しろっていうのは無理な話だ。こんな彼女を見たらね」  
そう言うなり彼は私の身体を抱き上げ、あぐらを掻いた膝の上に座らせた。  
私の膝の間を割って、血と精液に塗れた股を開かせる。  
「い、……やっ」  
松太郎はすぐに目を逸らした。  
「すごく魅力的だろう?」  
「だだだからってな!」  
「ほら。君だって、彼女に欲情してたんじゃないのか?」  
敦賀さんは私の両胸を持ち上げて揉み、それぞれの人差し指で胸の尖りを捏ね回す。  
「やぁっ、んっ、ぁあっ」  
「最上さん、コレ好きだろう? 不破君のやり方じゃ痛いだけだったろうに」  
「……や、もう……敦賀さんに戻ったのに、どう、して……」  
「一度だけで終わるなんて勿体ないから」  
「そん、なっ、はぁっ、……ぁんっ、いや、ここ、楽屋、……んぅぁっ」  
(そうよ、ここは楽屋よ!? どうしよう、私……あんなに…あ、喘いで……)  
私の心配もよそに、敦賀さんは私の股の間に自身を擦りつけてくる。けれどいつまで経っても挿入をしてこない。  
 
「怖いなら今ここではなくて、俺のマンションへ戻ってからにしてもいいけど……でもね、最上さん?」  
くすくすと笑われて、私は自分の腰が敦賀さん自身に擦り寄っていたことに気がついた。  
「あぁんっ、もうっ、いやぁっ……」  
私の痴態に、敦賀さんは喜んで胸への愛撫を強くし、松太郎があきらかに唸り声を上げた。  
「不破君? 君はよく我慢してるね。彼女が俺を口でしてた時から見ててかなりきつかっだろう?」  
「つ、敦賀、さん? その時からもう気づいていたんですかっ」  
鏡越しに敦賀さんが片眉を上げた。  
「目が覚めたら、君が俺のを握ってて驚いたんだよ。慣れているのかと思って頭に血が昇った」  
「ひどい、……ぁあんっ」  
「ごめん。でも君が初めてだってすぐわかったよ、ココでね」  
敦賀さんは先端だけを入れて、それ以上は進んでこなかった。  
「一緒に住んでまでいて、彼女のどこが不足だったのか君の気持ちがわからないね。でも今は苦しそうだ。  
今日の彼女は可愛いかっただろう? 君にはずっと発情したままの格好でいてもらいたい心境だけど」  
敦賀さんはふいに私を残し、松太郎の前へ立ったかと思うと、そのジーンズのジッパーを片手で下ろした。  
「てめ、なにしやがる、変態かっ!」  
「俺は何もしない。でも苦しんだろう?」  
それから私を振り返って笑う。  
「やってあげてほしいんだけど? 最上さん」  
何をと聞くまでもなかった。口元は笑っていても鋭い瞳。松太郎のモノを私の口で愛撫しろということだ。  
「なん、で。い、や」  
そっと床へと下ろされ、松太郎の前で四つんばいにされる。  
後ろから敦賀さんの長い腕で抱きすくめられ、囁かれる。  
「このまま彼を帰したら、何を吹聴されるかわからない。だから共犯者にする」  
逃げられない。涙がこみ上げてきた。  
敦賀さんは私のアソコに、いきり立ったモノをあてがった。  
「彼を喜ばせてあげたら、君に俺のをあげるよ?」  
「てめ、なめてんのかっ」  
松太郎が、手錠をじゃらつかせた。  
私は唇を噛み締めて、敦賀さんを見上げる。  
やっぱりさっきから擦り付けてくるだけで入れてはくれない。焦らされて私の愛液が太ももを伝い落ちた。  
「欲しくない?」  
入り口のきわだけで注挿を繰り返されて、とうとう私は松太郎のジーンズに手をかけた。  
 
「きょ、キョーコ、ばっ」  
トランクスをずり下ろし、敦賀さんのとは形の違うソレを口に含む。  
ちゅぱちゅぱと松太郎を舐め上げていると、敦賀さんがゆっくりと私の中に入ってきた。  
「はふっ、んっ、……ぁはっ、ぁあっ、はぁっ、……はぅんっ……あっ、あっ、はむぅ……ぁっ、ぁぁっ」  
「さっきより締めつけられるね。興奮してる? 最上さん。ここが人の通る楽屋だから? それとも、  
二つの口を同時に犯されているから? もしかしたら淫乱なのかな、君は」  
「ひぃやんっ、……いぢわるっ……も、こんなのぉ……あはぁっ、あぁんっ、きちゃぅ……あぁっ、  
んぅ……ぁあっ、はぁあんっ……あっ、あっ、あっ……いやぁぁっ、んむぅっ」  
「……くっぅ、キョー、コ」  
「ああ、イイの?……最上さん、イキそう……? すごい、波打ってる、よっ……好きにして、いいんだよ?」  
「……う、ん……イっちゃうのぉ……やぁん……、イっちゃうぅ、イっちゃうよぉ……あっ、あっ、あっ、  
つ、るがさんも、あっ、ん、んっ、んふぅっ…………おね、がい……一緒にぃ、き、てぇ……?」  
「いいよ」  
敦賀さんは私を右から左からと攻め続ける。私は無意識のうちに腰を振り、  
松太郎の跳ね上がるモノに縋るように彼を強く吸い上げていた。  
松太郎が私の胸を掴み上げ、親指でその先端を弾いてきた。  
「や、ぁあっ!!」  
上りつめた私の二つの口には、同時に二人の白い欲望がどくどくと放たれていた。  
 
呆然とする松太郎をそのままに、敦賀さんはタオルで私の全身を拭いてくれていた。  
「そんな色っぽい顔をしないで。またしたくなるだろう?」  
「ただお弁当を食べてもらうはずだったのに……」  
顔をしかめると、彼は少し困った顔をして、すぐに神々スマイルを見せた。  
「そうだね、でもデザートがなかったから」  
「私はデザートなんかじゃありません」  
むぅと膨れると、敦賀さんはさっきまでの態度とは違い両腕で、松太郎から私の姿をすっぽりと隠した。  
「不破君のが良かった?」  
「つ、敦賀さんがさせたんじゃないんですか……わ、私だってしたくなかったけど、あ、あなたのが  
……その、我慢できなくて」  
理性がなくなっていたとはいえ、楽屋で厭らしいことをすることになるなんてと思い返し口ごもる。  
(しかも松太郎の、まで)  
「そう。じゃあ今日仕事が終わったら、俺のマンションへおいで? どうせなら俺の撮影を待ってて  
くれる? ベッドの上でもっと良くしてあげたい。でもその時は俺のこと蓮って呼んでくれるかな」  
「し、し、知らないっ、あなたは、ほ、本当にいぢわるですっ」  
私が厚い胸板を拳で叩くと、敦賀さんは軽く両手首を握ってかわした。  
「とりあえず衣装をどうしようにかしないと」  
「私は、自前なので予備に持ってきてますけど」  
単に今日は暑い日だからと用意していた服が役に立つとは思わず。  
敦賀さんと視線を合わせ、左右の人差し指をつき合わせる。  
「最上さん、わざわざ着替えを用意してきていたの? もしかして」  
「なっ、ち、違いますっ!」  
全身が熱くなる。敦賀さんの大きな勘違いに私は、過剰に反応してしまった。  
 
コンコン。  
再び訪れた淫猥な雰囲気の中で響いた、突然のドアのノックにびくりとする。  
「『京子』さん? 入りますよ?」  
それはスタッフの声だった。  
「す、すいません、わ、私今着替えてて」  
鍵も掛けられてなかった楽屋のドアの隙間から、私は慌てて顔を覗かせる。  
「ああ、いらしたんですね。  
長く待たせてて悪いんですけど、演歌歌手の南島さん。あと40分ほど遅れるんですが、いいですか?」  
「あ、はい。私スケジュールは空いてますので、いくらでも」  
「良かった。チーフに伝えておきます。ええっと、あの。それから、京子さん?」  
男性アシスタントディレクターは私を見下ろして、顔を赤らめる。  
「さっきここを通った時、僕、女性の悲鳴みたいな、すごい声を聞いたんですけど……あれってまさか」  
頭の中が真っ白になった。  
(き、聞かれていた?! 私のあの時の声?!)  
上手く切り抜けようと言い訳を考えようとしているというのに、敦賀さんはドアの陰に隠れて、  
スカートの中へ手を入れてくる。しかもくすくすと笑っている。  
「やっ、あん、あの、その、あ、れ、は、…あぁっん……えっと、んぅ……そ、の、ぁぁっ、ですね」  
ぐっしょりと濡れた下着からねちねちと揉んでくる。じわりじわりと攻められて、時々思い出したかのように  
真ん中の奥まった突起を摘まれ崩れ落ちそうになる。  
「……やっ…………はぁんっ!」  
「きょ、きょ、京子、さん? あ、あの、大丈夫ですかっ」  
ドアノブにしがみ付いた私に近付こうとスタッフがドアを押しのけようとした途端、ようやく敦賀さんが顔を出した。  
「あ。……俳優の、敦賀さん? あれ? なんで」  
「おはようございます。すみません。悲鳴、廊下に漏れてたんですね。待ち時間があるって聞いて  
後輩の京子さんに俺、ドラマのラブシーンの台本読みに付き合って貰ってて、つい熱中して大声上げて。  
……すごく迫力があったでしょう? 彼女。何せ、あの『未緒』ですからね」  
にっこりとした敦賀さんに、一瞬訝しげにしたものの、しかし今までに彼が周囲に与えてきた『敦賀蓮』の印象が  
その苦しい言い訳を納得させたようだ。  
「じゃ、じゃあ、京子さん、40分後にスタジオへ」  
そそくさと出て行くスタッフを尻目に、敦賀さんは私を軽々と抱き上げた。  
 
「40分か……もう一度する?」  
「つ、敦賀さん……そんなっ、はぁぁっ」  
敦賀さんの口づけに震えながら、私は彼の首に手を回していた。彼の艶やかな黒髪をなで上げる。  
松太郎はすさんだ目で、壁を睨みつけていた。  
「くそっ、外面良くても腹ん中はどす黒い卑怯な奴だな。あんたは芸能界一最悪な男だっ」  
「ああ、そうだな」  
松太郎を見もせず、敦賀さんはネクタイを私の口へと巻いていく。  
「残念だけど今は声、抑えてもらうよ。あとでいっぱい乱れてくれていいから」  
「はふぅ、ん、んんぅっ」  
(ほ、本当に、まだする気ですかっ。もうばれるの限界ですよ?! しかもまだ松太郎がいるのにぃっ)  
「知っていた? 俺は君が好きなんだよ。誰よりもね」  
今更ながらの告白に、私はかぶりを振る。ネクタイに手をかけ、叫びたいのを我慢して囁いた。  
「こんな時に、なんでっ」  
「だって、身体だけだなんて虚しいだろう。君は?」  
改めて考える。大人のようでいて、意地悪で、私の心を捉えて離さないひどい人。でも。  
「……今度は優しくしてくださいね? 蓮」  
私は、答えの代わりのキスを捧げた。  
「そんな答えも嬉しいけど、最上さん……ちゃんと、好きって言ってごらん? 好きって言ったらその分」  」  
「その分?」  
敦賀さんが私の両手首をネクタイで縛り上げ、鎖骨に、胸の尖りに小さなキスをする。  
「……はぁ、あぁっ、……ぁあっんっ」  
「好きって言った分、最高のキスをあげるよ?」  
私は唇を尖らせて、いぢわると泣いて告白した。  
「あなたが好きです」  
「うん」  
敦賀さんは恭しく私に唇を寄せた。好きと告げる度に、私の人差し指を、中指を一本ずつ口へ含む。  
指をちゅうちゅうとしゃぶられ、その淫靡な動きに眩暈が始まる。  
「……好き、……んぅ、好き……はぁっ、んふぁっ、………す、き……ぁあんっ、大好き、……  
大好きだからぁ……ぁっ、はぁあっ……欲しい、よ……っ」  
「ああ、俺もだよ。あげるよ?」  
敦賀さんはスカートをたくし上げ、私は松太郎が壁を殴りつける音さえ遠くに聞いて、  
壁に凭れて片脚を上げ、その真ん中で彼のモノを喜んで頬張り出した。  
 

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