玄関から家の中を眺める  
蓮には不思議と今日見える景色は昨日まで見ていたそれと違っているように見えた。  
 
玄関には行儀よく置かれた可愛らしいミュールが一足  
それが昨夜あったことを蓮に実感させてくれる。  
キョーコと思いを通わせて付き合い始めて数ヶ月  
 
それが昨日本当の意味でお互いの気持ちを通わせたはじめての朝に蓮自身、朝から気分が高揚していた。  
キョーコは未だに夢の中を漂っている。朝目覚めた時に愛しい彼女が腕の中にいるということがこんな  
にも幸せな気持ちにしてくれるということをはじめて知った。  
 
玄関にかけている姿見に映った自分の顔が緩んでいる。  
キョーコと付き合うようになってからそんな蓮の様子を社にたしなめられる事が増えた。  
そんなことが多々あるが過去の自分と比べたらそんな自分もいいなと思える。  
 
名残惜しく思う気持ちがあるが仕事に遅れるため向かわなければならない  
せめてキョーコに声をかけたかったが気持ちよく眠っているキョーコを起すことは躊躇われた。  
寝言にも甘く自分の名を呼ぶキョーコが可愛くて愛しくてたまらない。  
 
仕事に向かうためにドアに手をかけた。  
 
が  
 
そのときに後ろでカチャリとドアが開く音が響く  
今この家にいるのは蓮以外には彼女しかいない  
起きたのかと思って後ろを振り向けば案の定キョーコの姿  
キョーコは蓮の顔を見るとほっと安心したように微笑んだ。  
まだ身体が重いのだろう、覚束ない足取りでこちらに向かってくる。  
 
目の前にいるキョーコの姿をまじまじと見つめれば  
蓮のシャツを身に着け頬を心なしか紅潮させたキョーコの姿  
身に着けたシャツはよほど急いで着たのだろうボタンが一個かけ間違えられている  
シャツの裾からはスラリと白い足が伸び首元には昨夜蓮が散らした印が散っていた  
 
朝から刺激が強いなと思いつつもなお愛しさがこみ上げる  
「おはよう」  
「おっっおはようございます」  
「身体大丈夫か?」  
昨夜キョーコは初めてだというのにかなり無理をさせてしまったという自覚が蓮にはあった。  
「はい。大丈夫です」  
恥じらいながらいう姿が可愛い  
 
「・・・・」  
「・・・・」  
 
会話が続かない  
お互いに何を言えばいいのか分らない  
キョーコは照れているのだろう。  
中々蓮と視線を合わせようとしてくれない  
 
「ボタン一個かけちがえてるよ」  
首元のシャツをたどり猫の首を撫でるように撫でれば気持ちいいのだろうか  
「ぅんっ」  
可愛い鳴き声を漏らす  
 
キョーコの顔を覗きこめば瞳が潤んでいるのがわかる  
「泣いたの?」  
「少し・・・起きたとき敦賀さん 隣にいないから」  
瞳を伏せ悲しそうな顔  
過去の悲しい傷を思い出させてしまったのだろうかと切なくなる。  
「不安にさせた?」  
「少しだけ」  
 
「ごめん。」  
俺は君を置いていかないからだから安心して。  
 
キョーコを安心させる為に抱き寄せる  
まだシャワーを浴びていないキョーコからは昨日蓮が抱いたときのままの甘い匂いがする  
それを肺一杯に吸い込んでこの幸せを実感する  
 
「んっ」  
彼女が肯くのを待って軽く唇を合わせる  
置いていかれることを何よりも恐れるキョーコだから  
朝目覚めた時に誰もいないのは不安に襲われたのだろう。  
 
でも安心して俺は君を絶対においていかない  
それに  
「その姿 凄くそそられるよ」  
「もうっ/////敦賀さんのばか」  
 
やっと笑ってくれた  
キョーコの笑顔が蓮をどこまでも幸せにしてくれる  
蓮の帰る場所はいつまでもここでありたい  
 
柔らかいキョーコの身体を抱きしめながら蓮はキョーコにお願いをする。  
「今日、俺の帰るの待っていてくれる?」  
「はい//」  
 
少し身体を離し、キョーコの顔を見ればいつもどおり蓮が焦がれてやまない愛らしい微笑み  
「キッチンに朝食の準備してあるからお腹がすいたら食べなさい」  
「はい」  
 
そして  
「敦賀さん いってらっしゃい」  
「はい、いってきます」  
遠い記憶のコーンがキョーコを守ったようにこれからは蓮自身がキョーコを守ると  
再確認した朝であった。  
 
 

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