嫁いでからしばらくして、キョーコは妊娠した。
蓮との子供だ、キョーコは確信した。一夜だけで授かってしまうなんて…。
結婚してから何日かは、キョーコは体調がすぐれないといい、夫に体を許さなかった。
その頃にはもう、月のものが来ていなかった…。
時期でいえばどちらの子供かはっきりとはしないが、キョーコは確信していた。
愛する人の子供…子供をもちろん愛しているが、お腹の子供が大きくなるにつれ、罪深さに苛まれる。
キョーコは、お腹に赤ちゃんがいますから…といい、以前よりもさらに夫を遠ざけるようになる。
夫は、キョーコをとても愛しているが、愛するあまり、心を開いてくれないキョーコに乱暴なことをしてしまう。
「本当に俺の子供か?」
キョーコは、あなたの子供です、としらを切りとおす。
キョーコは体調を崩す。自分はもう長くないと悟るキョーコ。
この子だけは…でも、そばにいてあげられないかもしれない…。
キョーコは最後に、愛する蓮に手紙を送る。
結局、難産で、キョーコも赤ちゃんも死んでしまう。
蓮は、ずっとキョーコを想い続けていた。ずっとキョーコを愛し続けると誓っていた。
キョーコが死んだと知った蓮は気が狂ったようになり、キョーコの後を追い、死んでしまう。