コトリ。
ソファに深く腰掛けた俺の、目の前に置かれた、ペアのマグカップ。
「敦賀さんは、ブラックですよね?」
ふかり、隣に腰を掛けるのは、恋人のキョーコ。
「ああ、ありがとう。おいしいよ」
ずっ、とキョーコの入れてくれた珈琲を飲みながら、テレビの画面に視線を落とした。
「それは、よかったです」
キョーコは嬉しそうに笑って、自分のカップに口を付けた。
「それ、何?」
「甘めのカフェオレですよ」
お砂糖たっぷりです、と、にこやかに笑って、俺を覗き込むキョーコの唇を、ぺろりと舐めてみた。
「甘い」
呟く俺に、少し照れて赤い顔をしたキョーコが、
「お砂糖たっぷりって言ったじゃないですか」
呆れたように、言う。
「うん」
そうだね、と、答える俺に、不思議そうな顔をして、テレビの画面に視線を向けた。
「敦賀さんは、毎日テレビ出てますねぇ」
ほやーっ、と呟きながら、キョーコはテレビの中の俺を見た。
「キョーコだって、最近、仕事、増えてきたじゃないか」
本当は、俺以外の誰にも、キョーコの姿を見せたくないのに、俺の思いとは裏腹に、最近、キョーコは人気が出てきた。
「そんなことないです。まだまだですよ」
至って真剣に呟くキョーコは、本当に仕事人間で、時々、ちょっと困る。
「敦賀さん」
不意に、テレビの画面から視線を外して、ソファに膝立ちになり、俺の頬にキョーコの柔らかい唇が触れた。
「どうしたの?急に」
「へへっ、キスがしたくなりました」
額に、瞼に、反対の頬に、軽いキスを落としなから、キョーコが言った。
俺の上にまたがって、ちゅ、と唇にキスをして、ぺろり、唇を舐めてきた。
「苦いですね」
くすり、笑って、ちろちろと唇に舌を這わせるキョーコに、胸が高鳴る。
「ブラックだからね、…ん」
答えた俺の唇を、軽く吸って、舌を差し込んできた。
肩と、頭の後ろに手を置いて、俺の舌先を捕らえたキョーコは、ぺろりと舌を這わせ始めた。
甘えて、キスをしてくるキョーコが可愛くて、されるがまま。
好きにされている俺に、気を良くしたのか、更に舌を絡めてきた。
「んっ、ふぅ」
どちらからともなく、吐息が漏れる。
キョーコの舌に応えて、舌を絡めてやると、キョーコも応え返してくれた。
「ちゅっ、……んむっ」
舌と一緒に唾液を絡めて、ぬるぬるとした感触と、生温かい口内を味わう。
「んっ、んっ」
頭の中が、くらくらとして、気持ちがいい。
自分から舌を絡めるキョーコが可愛くて、俺の舌を突き出してやると、
「はっ、んちゅ」
まるで、俺のモノを加える時のように、唇でしごいてきた。
ちろちろと舌先に舌を絡め、奥まで加えて、舌の裏を舐め上げる。
その行動が、なんとも俺を煽って、下半身が熱くなった。
「んっ」
キョーコの服の中と、スカートの中に手を入れて、その滑らかな肌に触れる。
「んふっ、う」
背筋や太ももを触られてくすぐったいのか、キョーコが身をよじった。
「ちゅっ」
キスだけでも、こんなに、気持ち良くなるもんだな、とぼんやり考えながら、キョーコの舌を捕らえて、口内をかき回した。
「ふっ、ぅん」
柔らかい唇の感触に、甘い唾液に、生温かいぬらりとした舌の感覚に、下半身が疼いて、
「んんっ」
キョーコのスカートの中の割れ目に、ズボン越しに、俺のモノを擦り付けた。
「ふぁ、敦賀さん、もぉ、おっきくなってます」
腰を掴んで、ぐりぐりと腰を動かす俺に、口付けながら、キョーコが言った。
「キョーコがあんまり、可愛いから…。」
俺の唇を貪るのに夢中になっているキョーコに、告げる。
「中、入ってもいい?」
唇を離して、額をこつんとつけて、甘えた声でキョーコに言った。
「キス…、止めちゃいやです」
ぷう、と膨れて言うキョーコに、
「キス、止めないから。ね?お願い」
頼み込んで、ショーツを脱がせた。
「まだ、いっぱい、してくれます?」
「うん。まだまだ、沢山」
キスを求めるキョーコにゴムを渡して、
「着けて」
おねだりをしてみる。
受け取ったキョーコは、慣れない手つきで、ゴムを着けて、俺の上に跨り、また、唇を求めてきた。
「濡れてるね。キスだけで、感じた?」
これなら、わざわざ濡らさなくても、すんなり入りそうだ。
「んー」
からかうように言った俺の言葉を遮るように、深く、深く口付けてきた。
「んちゅっ、んっ、んんっ」
キョーコの腰を掴んで、ゆっくりと腰を落とさせると、重なった唇の間から、声が漏れた。
「んっ、ふっ」
繋がったまま、キスを交わす。
俺の髪に指を絡ませながら、舌を絡めるキョーコの中は、きゅ、きゅ、と締まって気持ちがいい。
今すぐ、腰を突き動かしたいのを我慢して、唇の感覚に意識を集中させた。
ぬるぬると舌を絡めて、唾液を啜り、何度となく唇を重ねる。
「んぅっ、んっ」
ちゅっと、軽く舌を吸ってやると、キョーコの中がきゅ、と締まった。
服の中に手を入れて、ブラのホックを外す。
「んんっ、ぅんっ、んっ」
双房を揉みしだいて、胸の先を指で摘んで弄ぶと、
「んっ、んふっ」
甘い吐息を漏らせた、キョーコの中が更に、きゅうきゅうと締め付けてくる。
「ちゅっ、んっ、ふっ」
唇を離すことなく、舌を動かし続けていると、ゆるゆるとキョーコの腰が動き出した。
「んんっ」
キョーコの腰の動きに合わせて、ゆっくりと中をかき回してやると、一瞬、きゅっ、と中が締まった。
「はぁ…」
「イった?」
「ん、ちゅ、ふあふあして、…モチい…ん」
唇は離さずに、そのままゆるりと腰を動かし続ける。
頭がくらくらとして、気持ちがいい。
何も考えられないくらい、お互い、唇を貪りあって、求め合う。
目を瞑ったままで、五感が研ぎ澄まされるのか、いつもよりも、満たされる気分になった。
「んんっ、んっ、…ふぅっ、んんっ」
キョーコもそれは同じようで、俺の髪に指を絡ませ、反対の手でシャツを掴んで、必死で口内を貪ってきた。
こうして、俺達は、繋がったまま果てるまで、何度も何度も、口付けを交わした。
「キモチよかったです」
2人で果てた後、キョーコがぽそり、呟いた。
「たまには、こんなゆったりした、えっちもいいですね」
俺の膝の上に座ったキョーコが、胸に擦りよりながら、言った。
「本当だ」
いつもは、激しすぎる位に、お互い求め合うけど、たまには、こんなゆったりした時間を過ごせるのも、捨てたもんじゃない。
「敦賀さんとなら、ずっとずっと、キスしてられます」
「俺も。キョーコとなら、世界一長いキスだってできるよ」
くすくすと2人、笑いあって、また、唇を重ねた。
愛しいキョーコと、ゆったりした時間。
2人の中にあるのは…。
好き、トキメキと、キス。