「キスだけ、ですよ?」
「わかってるよ、何度も言わなくても」
ここは夜の遊園地。
蓮は夜ならきっとバレないよ、とキョーコを説得し、半ば強引に連れてきた。
さっきまでふたりは隣接している動物園を周った。
キョーコは子供時代にも動物園に行ったことがほとんどないらしく、
夜でほとんどの動物は寝ていたものの、子供のように目をキラキラさせて喜んだ。
「さっきの黒ヒョウ、なんだか敦賀さんに似てました」
「それはどういう意味?喜んでいいのか…」
えへへ、とはにかんで微笑むキョーコは上機嫌で、
こうしてごく普通のデートもこの子と一緒だとやけに新鮮だな、と考えて、蓮は底知れぬ幸福感に浸っていた。
最後に乗ってから帰ろう、と手を繋いで乗り込んだ観覧車。
以前の"約束"―観覧車でしよう、と無理矢理させた約束―が頭にあったのか、キョーコはちょっと固まっていた。
『約束』は、一番上でキスをする、それだけだ、と何度も蓮に確認させる。
実際キスだけのつもりだった蓮だが、そう何回も言われると少し苛めてやりたくなってきた。
「キョーコ、遠いよ。こっちにおいで」
「でも…傾いちゃいます」
「大丈夫だよ、落ちるわけじゃないし」
にっこり微笑むと、キョーコは渋々といったかんじでゆっくり立ち上がる。
手を引いて隣りに座らせて肩を抱き寄せると、頬を赤らめて慌てて押し返す。
「だ…だめです!誰が見てるか…わからないのに」
「照れてるキョーコ、かわいいよ」
囁いて耳に舌を入れる。
くすぐったそうに首をすくませてますます真っ赤になるキョーコ。
「も、もう…ほんとにダメ!ほら、あっちの観覧車から見えますってば!」
「見ちゃいないよ、どうせみんなカップルばかりだし、同じことしてるんだよ」
「そんなことっ…そんな…ことありま、せんっ!とにかく…とにかく見えるからいけません」
「見えなきゃいいんだね」
え?と小さく驚くキョーコの股に強引に掌を入れて、下着の上から軽くツメを立てて擦る。
キョーコはビクっと震え、そんな自分の反応に慌てたかのように動揺しながら手を押し退ける。
しかし構わず中央を指で何度も往復させ、花芯があるであろう場所で指を止める。
軽く突付き、強く押し、くるくると回し弄んでいると、そこは徐々に固く大きくなってきた。
「だ、だめ!いやぁっ…キス…キスだけ、の…約束、でしょう?こんなのっ…」
言葉とは裏腹に顔は火照り、表情も艶っぽさを増していく。
まったく…これが無意識なんだから恐ろしい。
「一番上まで、まだ時間がある」
「だからって…!」
「ここはもっとして欲しい、って言ってるみたいだよ」
「あっ!や、やだっ!」
スカートをしっかりとめくり上げ、ショーツの中に手をねじ込む。
思ったとおり、指を這わせるとぬめった液がまとわりついて絡む。
快感を覚えれば覚えるほど、キョーコの濡れ具合はあがっていくようだ。
「"イヤ"、"ダメ"、って嘘ばかり言って…すごいよ、濡れまくって溢れてる」
「やだ…っ…違う、違うのっ…!も、だめ、なのにぃ…」
「いやらしい顔。明日の俺とのベッドシーン、同じ顔してくれる?」
「…え…でも…どんな顔してるかなんて、わかりません…ぁんっ」
指に絡んだ蜜を膨れた突起に塗り付けると、キョーコは首に強くしがみついて耳元で喘ぐ。
色っぽい声に蓮は自分まで興奮しそうになるのをなんとか抑える。
「できなかったら、こうして本番でも苛めてあげるから」
「そんなのっ!あ、んっ!ダメに…決まって…ん、あぁっ」
「どうせ見えないようにするんだし誰にもわからないよ。こっそり公開セックス、しよっか」
「なに…言って…ん、んっ!」
「そろそろ一番上、だよ」
約束通りキスをする。
舌を絡めとり、どちらのものともわからない唾液を吸い上げ、咥内を味わう。
片手は頭の後ろに置いて逃げられないように…そしてもう片方はいじり続ける。
徐々にキョーコも舌で応え、目もうっとりとし始め、
足も開いていき、指の動きに合わせるかのように小さく腰も動かしている。
充分に濡れている源に中指を入れると、一瞬締め付けただけでみるみる呑み込んでいく。
一本では足りそうにない、と人さし指も加えて入れ込み、親指はクリトリスを強く擦る。
「ん、んんっ、ぁん!きもち、いい、やだ…こんなとこ、で、んっ、あっ!」
「ごめん、下着がびちょびちょだね…こんなに濡れるなんて、思わなかったから」
抜き差しを繰り返し、ゆっくりとかき回していると、
狭い密室でキョーコの喘ぎ声と、くちゅ、ぬちゅ、と淫靡な音が響き渡る。
耳元で段々と大きくなる声を聞きながら、残り時間を考えて指の動きを早めた。
「あああっ!あ、あ、だ、だめですっつるがさんっ!!
そんな、そんなに、激しくしたらぁっ!やだ、私っ…!あ、んーっ!」
キョーコはますます必死に首にすがりついてくる。
もう誰かに見られるなんてことは考える余裕も見えない。
キョーコの淫らな様子に煽られるように、蓮は陰唇の中に入れた指を思い切り早くかき回し躍らせる。
「いいよ、イってごらん。キョーコが気持ちよくなるところ、見せて」
「きゃ、んっ、ゃだ…はぁ…んっ……いいの…?いい?…イっていい…?」
顔を向け、上目遣いで頼む表情がたまらない。
それには応えずにただ指でめちゃくちゃに苛めてやると、キョーコは再びしがみついて叫んだ。
「あ、やぁ、だっ…!つるが…さんっ!…くる、きちゃ…うっ…―――っっ!」
キョーコは蓮の背中にツメを立て、声を押し殺したままビクビクと下半身を痙攣させた。
そのまま黙って震えている背中を片手でさすってやりながら、締め付けて離そうとしない指をそっと抜いた。
「イったね…ちゃんと息、してごらん」
「…ゃあ……」
小さく抗議とも取れる声を上げたが、キョーコはそのまま動かない。
観覧車はちょうど真下に到着して、蓮は動けないキョーコを抱きかかえて観覧車から降りた。
「…だ…だめ…下ろして…くだ、さい…」
「歩けないだろう?そんな状態で」
「歩けますっ…!こんな、もう…恥ずかしい…」
顔を見せないようにと胸に押し付けているつもりらしいが、
傍から見れば首に手を回してしがみついているただのお姫様だっこ。結果的に充分目立っている。
真っ赤になっているキョーコをよそに、
これならマスコミにバレるのも時間の問題かな…となぜか上機嫌の蓮だった。