一度台所へ戻り、氷で割ったウィスキーを手にベッドルームへ戻ってきた。  
両腕を頭上でくくられベッドに繋がれたキョーコは黒いブラジャーから乳房を覗かせ、下半身は何も身に付けていない姿。  
今の状況からなんとか逃れようと身を捩じらせている様子だが、それがますます俺の征服心を煽るということには気付いていないらしい。  
俺はベッドの脇に立ち、酒を口にしながらしばらくキョーコを眺めていた。  
 
「もう敦賀さん、そんな楽しそうに見てないで、これ、外してください」  
「どうして?なかなかいい眺めだよ」  
「や、やだ…冗談はやめて…っ」  
「本気だよ。それに、さっき俺を犯したお礼を返さなくちゃね」  
「犯したって…!結局いつもどおり、犯されたのは私じゃないですか」  
「よく言うよ、器用に腰を振って喘いでたくせに」  
 
真っ赤になっていじけるように膨れるキョーコを見ながら氷を口に含む。  
俺はキョーコの上に跨り、尖った胸の突起のあたりに氷を置いた。  
 
「ひゃぁっ!つめたぃ!」  
 
身体が跳ね上がり氷が胸を伝って落ちる。  
落ちた氷を拾い上げて再び胸を這わせてやると、冷たさに身を捩りながらも熱く火照っていることをその表情は語っていた。  
 
「ここ、コリコリだよ」  
「ああっ!んっ!」  
 
ウィスキー口に含み、そのまま飲み込まずに乳首を咥える。ウィスキーがこぼれてキョーコの身体を伝い落ちる。  
冷たさと快感の相乗効果なのか、キョーコの反応はいつも以上にいい。  
手首のベルトとベッドの柵とを繋いでいる縄をぎゅっと掴み、それを支えにくねくねと身体をひねる。  
嫌がっているというよりも、むしろ俺の動きに合わせて求めているようだ。  
こういう姿を見ると…なぜか焦らしてやりたくなる。  
 
俺はベッドの脇に置いたウィスキーの入ったグラスから氷を手に取り、  
今度はそれをキョーコの白くて柔らかい腹へと伝わせる。  
そのまま茂みのあたりに放置し、太ももを優しくさすってやる。  
 
「ああ…ぅう、ん…ん…」  
「キョーコ、なぜそんなに強く足を閉じてる?」  
「…なぜって…べつに…」  
「もしかして、もう熱くて溢れてるのかな」  
「そんなことない…!そんなこと…っ…」  
「じゃあ見せて」  
「イヤっ…ダメ…ダメです…」  
「嫌がっても無駄だってこと、まだわからないのかな。濡れてないなら見せてごらん」  
「……やっ…」  
 
キョーコの身体から離れ、よく見える位置を陣取ったところで「さあ、どうぞ」と促す。  
俺は今おそらく意地悪く哂っているのだろう。  
が、これもキョーコの被虐的な性向がそうさせているのだから仕方がない。  
グラスのウィスキーを一口飲むと、カラン、と氷の音が部屋に響く。  
顔を赤らめたキョーコは足を震わせ左右に揺らしてはいるが、その足を固く閉じたまま開こうとはしない。  
 
「俺は我慢強いからね。キョーコが我慢できるのならいくらでも待つよ」  
 
キョーコはぎゅっと唇を噛みしめて俺を睨む。  
 
「ああ、その顔もいいね」  
 
俺の言葉に抵抗が無駄だと悟ったのか、涙ぐんで目をそらし、両膝をゆっくりと立てた。  
そしてその膝をおずおずと鈍い動きで開いていき、わずかにその中央が覗いたところで動きを止めた。  
 
「それじゃ見えないな」  
「敦賀さんの意地悪!」  
「意地悪されるの、好きだろう?」  
 
いまさら何を言うんだ、首を傾ける俺をちらりと見て、小さく「好きだけど…」と呟く。  
 
「だったらさあ、続きを見せてごらん」  
 
ようやく観念したのかキョーコは膝を大きく広げる。  
美しい光景が眼前に現れ、俺は歓喜を抑えるのに必死になった。  
中央は薄暗い照明に当たってキラキラと光り、溢れた蜜がしたたり落ちてシーツを濡らしている。  
 
「綺麗だよキョーコ…でも嘘はいけないな、びちゃびちゃに濡れまくってるじゃないか。  
 縛られて興奮するなんて、キョーコは変態だね…シーツに大きな染みができてる。ほんとに悪い子だ」  
「だって!…だって…ご、ごめんな、さい…っ…」  
「もう一度、謝って」  
「ごめんなさい…」  
「もう一度」  
「ごめんなさいッ、ごめん、なさい、敦賀さん…私…悪い子なの…許してっ」  
 
必死に許しを請うキョーコが愛しくなり、グラスを置いて唇を塞ぐ。  
貪るように舌に吸い付くと、口の脇からウィスキーがこぼれる。  
口移しで飲まされた少しのアルコールをごくん、と飲み込む様子もまたたまらない。  
 
「どうして欲しい?正直に言ったら許してあげるよ」  
「あ…ん…入れて…入れて、ほしい」  
「もう?」  
「ん、ん…お願いっ」  
「ダメだよ。ここもまだ、味見してないし」  
 
何度も頷いて挿入を請うキョーコの膝を割り、顔をうずめようとしたが――  
 
トュルルルルル  
 
家の電話が鳴り、ベッドの脇の子機が光って鳴った。  
 
「誰だろうね…俺たちのいい時間を邪魔するなんて…」  
「あ、んんっ、はや、早くぅ!」  
 
内ももに吸い付いて焦らし続けるあいだも電話は鳴り止まない。  
 
「ったく…しょうがないな、キョーコの声、聞かせてあげようか」  
「だ、ダメっ!出ないで、ああっ…!…絶対…出ちゃ、ダメぇ!」  
 
そう嫌がられると出ないわけにはいかないな。  
子機に手を伸ばし、置いたままボタンを押しオンフック状態にした。  
驚くキョーコを見て思わず笑みがこぼれたが、シッ、と指で示して「もしもし」と応える。  
電話の相手は監督の新開だった。  
 
『蓮、電話出るの遅いぞ、風呂にでも入ってたか?』  
「いえ、ちょっと取り込み中で」  
『なんだ?今話せるのか?』  
 
キョーコはぶるぶると首を振る。  
 
「――ええ、構いませんよ」  
『そうか、いや、今日撮ったシーンを今編集してるんだが――』  
 
そのまま監督は話を続ける。俺も相槌を打ちながら愛撫を再開する。  
何度も首を振って拒否するキョーコを無視し、腹、茂み、太もも、内腿とさすりながら、相槌の合間に胸の尖りをチロチロと舐める。  
キョーコは唇を噛みしめ声が漏れそうになるのを必死にこらえているが、時折吐息が小さくこぼれる。  
大きく上下し始めた胸に煽られて、足を割って蜜の溢れる源を視姦する。  
 
「いえ…そのシーンはカットしても構いませんよ」  
 
顔を近づけて話すと、吹きかかる息だけで感じるのかキョーコのそこはひくひくと震えてさらに愛液が溢れる。  
俺はつい悦ばせてやりたくなってしまい、  
監督の話を聞きながら我慢できずにクリトリスをペロリと舐め上げてしまった。  
 
「ゃああぁっ!!」  
 
キョーコの啼き声は明らかに快感の喘ぎで、しまった、と思った時にはすでに遅かった。  
 
『…オイ、蓮…お前なぁ……』  
「あー…すみません。ちゃんと話は聞いてたんですが」  
『そうみたいだな…。しかしな、いやー…またかけ直すか』  
「俺は続けても構いませんけど」  
 
笑いながら応えると監督も思わず笑い出した。  
 
『ハハハ、そりゃー俺だって仕事の話ができるうえにそんな喘ぎ声まで聞けりゃ、これ以上ウマイ話はないんだが』  
「ダメですっ!!もう勘弁してくださいっ…!!」  
「ちょっとキョ…」  
 
ふたりののん気な会話を聞いて、二人がかりで苛められると思ったのかキョーコは思わず叫んでしまった。  
 
『オイオイ、その声まさかキョーコちゃんかよ!』  
「――っ!!!」  
「あー…そうみたいですね」  
『そうか…そうかそうか、そういうことだったか。いやー続きを聞きたいのは山々だが、  
 これ以上さっきみたいな色っぽい声聞いちゃったら、次に彼女に会った時に襲ってしまいそうだな』  
「それはダメですよ。もうサービスは終わりです」  
『ハハ、そりゃ残念だな。じゃあ終わったら電話くれ』  
「朝まで終わりませんよ」  
「敦賀さんっ!!」  
『そりゃまたすごいな。まあいい、主に訊きたかったことは聞いたし、明日現場で会おう』  
 
はい、じゃあ明日、と挨拶を済ませ、子機に手を伸ばして電話を切る。  
 
「バレちゃったね。まあ特に困ることもないけど」  
「困ります!次にどんな顔して会ったらいいか…もう恥ずかしい…」  
「バラしたのはキョーコだよ」  
「敦賀さんですっ!」  
「ひどいな、俺は悦ばせようと思っただけなのに」  
「そんな…!やぁあっ!…も…やだぁ…っ、だ、ダメ、あ、んーーっ!」  
 
音も気にせずじゅるじゅると液を吸い上げると待ちわびていたキョーコが声を上げる。  
花芯を指でくるくると撫でながら舌を穴にねじ込んでやる。  
 
「あ、ああっ!だ、だめ、イっちゃうっ!いっ…いやぁーーっ」  
 
俺の顔を挟もうとする太ももを制止し、大きく広げてしばらく続けると、キョーコは呻きながらビクンビクンと跳ねた。  
 
「まだ…これからだよ。朝まで、だからね」  
 
そう、キョーコはここからがスゴいしね。  
はぁはぁと息を荒げるのも構わず足をぴったり閉じて膝を曲げさせたところに  
俺は大きくなった自分のモノをゆっくりと突っ込んだ。  
イったばかりのキョーコのなかは、きゅう、と俺を締め上げる。  
 
「ぅ…スゴイな、キョーコのココは…ビクビク動いてるよ」  
「だ、だって…まだ…っ…だめ、動いちゃ、あ、ん!ん!」  
 
焦らした分、このままでは俺の興奮が抑えられそうにない。  
まずは激しく突かせてもらうか――激しく抜き差しを繰り返し突き刺すと、  
タンッタンッと打ち付ける音と、それに合わせてくちゅくちゅと水音が走る。  
キョーコの身体は逃げるようにズリ上がり、頭上にあるベッドの柵を握り締める。  
 
「や、やぁっ!いや!激し、すぎ、敦賀、さんっ…!もっと、ん!や、やだ、もっと、キて!」  
「悪い子には、こうして…っ…、罰、与えないと、ね…」  
「ん!はぁ、ん、やだ、奥まで、入って…る…!また、きちゃう、やだ、ぁあっ」  
「スゴイね…監督に電話して、声、聞かせてあげようかな」  
「だ、だめっ!だめ、ほんとに、だめ…ああ、あ、あ!イッて…いい?ぁん、もう…!」  
「まだダメだよ」  
「お願いっ…!おね、おねがい…も、ダメ、いっちゃぅぅ、あ、ああっ―――!!」  
 
脱力しているキョーコの手首の拘束を解いてやる。  
優しく手首をさすってやるが、息をするのが精一杯といったかんじで反応が薄い。  
 
「まだ、って言ったのに。ダメな子だな」  
「だって…ん……ごめ……」  
 
言葉にならない呻きをあげるキョーコをうつぶせにし、臀部を上げさせて再び挿入する。  
 
「ああああっ!!」  
「今夜は気絶するまで…いや、気絶してもイかせてあげるから、覚悟して」  
「いやぁ…こわ…壊れ、ちゃう…っ…」  
「じゃあ、壊れるまで犯してあげる」  
「ぁあっ、ぅあ、ん、はぁ…いいぃ…っ!」  
 
横目で時計を見ると、まだ日付が変わったばかり。  
言葉は嫌がりながらも淫らに愛液を溢れさせながら腰の動き、声、で悦んでいるキョーコ。  
朝まで果たして壊せるか見ものだな。  
ふっ、と哂いをこぼしながら、俺はキョーコの中に溶けていった。  
 

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