『駄目です!神父様!か、神様が見てます!』  
『神が何だと言うんだ!そんなもの、私の愛の前には、無いも同然だ!』  
 
「はい!カーット。キョーコちゃんはこれで、クランクアップです。お疲れ様」  
「お疲れ様さまです。ありがとうございました」  
監督のカットの声に、現実の世界に引き戻された。  
「お疲れ様でした、キョーコちゃん。よかったよ」  
「ありがとうございました」  
さっきセットの中で、私に言い寄ってたのは、抱かれたい男No.2の古賀さん。  
今回のドラマは、教会を舞台にしたサスペンス・ミステリー。  
私は、修道女の役で、片想いの人がいるんだけど、その人ではない人に言い寄られる役、だったんだけど…。  
 
あわわわっ。睨んでる、睨んでるっ!  
 
このドラマの主演は、敦賀さんで、私が片想いする、神父さん役。  
今日の撮影はこれで全部終わりだから、見学していきます、なんて言ってたけど…。  
撮影中からずっと、神父さんの衣装でキュラキュラした笑顔を浮かべながら、ホントは無茶苦茶、機嫌が悪かった。  
 
「随分と仲がいいんだね、古賀さんと」  
「いえ、そんなことないですよ…」  
 
うぅ。拗ねてらっしゃいますか。  
挨拶しただけなのに…。  
何か、別の話題…、  
 
「敦賀さん、神父さんの服、良くお似合いですね」  
「ありがとう。キョーコも良く似合ってるよ。シスターの格好」  
せっかく、こんなに素敵な教会で、ロケも終わってやっと二人きりになれたのに、気まずいのは嫌だもん。  
「ホント、キョーコの腰に手を回して、唇を奪おうとする古賀さんに、軽く嫉妬したくらいだよ」  
 
その笑顔…。軽く、じゃないですね?絶対。  
 
にっこりと、神々しいオーラを湛えて笑む敦賀さんは、本物の神父さんに見えたけど、ちょっと怖かった。  
「こ、この教会、凄く素敵ですね」  
「そうだね」  
逸らそうと思った話も、大して逸れずに、気付いたら、敦賀さんに、教壇の所まで追い詰められてしまってた。  
腰を抱かれて、逃げられないようにされて、  
「んっ」  
唇を奪われる。  
吐息の漏れた唇から、舌が侵入してきて、私の舌が絡めとられた。  
「んっ、んんっ」  
黒いワンピースの修道服のスカートを託しあげられ、太ももに敦賀さんの手が触れた。  
「んっ、ちょ、敦賀さん!駄目です」  
「何が?」  
 
何がじゃありません。これは、このままなし崩しにえっち、のパターンな気がします。  
 
そんなことが言える暇も与えられないくらいに、唇を吸われて、  
「…っ、ふっ」  
 
吐息と、くぐもった声だけが響いた。  
「んっ、んんっ」  
ぬめぬめした、生温かい舌の感触に、頭の中がふわふわとしてくる。  
「キョーコ、俺のお願い、きいてくれた?」  
「ふぁ、アレですか?着けてますよ、ちゃんと」  
「じゃあ、見せて?」  
敦賀さんのお願い、は、敦賀さんがプレゼントしてくれた、黒の下着とガーターベルト、黒のストッキングを着けるコト。  
「ここ、じゃ、駄目です」  
 
だって、誰が来るかわからないもの。  
 
「駄目じゃない」  
甘えた声で、ちゅ、と口付けて、私の目を覗き込んでくる。  
「お願い」  
 
うあ、卑怯!  
 
私は、コレに弱い。  
いつも、やることなすことスマートな敦賀さんが、私の前だけ、こんな甘え方すると思うと可愛くて、なんでも言うコトきいてしまいそうになる。  
「キョーコ」  
 
あー、もう!そんな声で、そんな顔で、甘えてこないでよー。  
 
「あ、き、今日だけ、ですよ」  
本当は、『今日だけ』だったことなんてないけど。  
「うん」  
満足げに笑う敦賀さんをみたら、まあ、イイかと思ってしまった。  
スカートをたくしあげて、敦賀さんに、下着を見せる。  
「ああ、可愛いよ、キョーコ。神聖な修道女が堕ちた感じが、凄くいい」  
 
敦賀さんの言葉に、スカートの裾を離してしまった。  
「何で、下ろすの?可愛かったのに」  
「だって…、恥ずかしい、です」  
 
敦賀さんったら、じろじろと見るんだもの。  
 
「駄目だよ。ちゃんと、見せて」  
「も、やだ」  
「だぁめ」  
いつも通り、一歩も引かない敦賀さんの言う通りに、再び、スカートをたくしあげた。  
見つめる敦賀さんの瞳に、顔が、体が熱く火照るのがわかる。  
「敦賀さん、まだ?」  
いつ、人が来るかわからない教会の中で、不埒なコトをしてると思うと、ドキドキして仕方がない。  
「ひゃっ、う」  
突然、敦賀さんが、服の上から胸の先を口に含んだ。  
「ちょ、敦賀さん!コレ、衣装っ…」  
「大丈夫」  
 
何がですか!?何が大丈夫なんですか?  
 
「大丈夫、じゃな…、あっ」  
するすると、スカートの中に手が入ってきて、ショーツの上から割れ目をなぞった。  
「濡れてるね、見られて感じた?」  
「そ、そんなコト…」  
「なくないよね?」  
敦賀さんは、指をショーツの中に滑り込ませて、くちっ、とわざと音を立てた。  
「ホラ、音がする」  
「あっ、ああん」  
くちゅくちゅと、いやらしい音が響く。  
「ふっ、んむ」  
 
敦賀さんの首に手を回して、唇を求めた。  
「んっ、んっ、んん」  
舌を絡めて、敦賀さんの唾液を啜る。  
「んっ、ちゅっ」  
「駄目だよ。キョーコの可愛い声が聞こえない」  
 
き、聞こえたらヤバいと思うんだけど…。  
だめ、何も、考えられない…。  
 
「はっ、敦賀さん…、あっ、ん」  
中が熱い。  
「いいよ、キョーコ」  
「い、いっちゃ、あああん!」  
ぐり、と、内襞を擦られた瞬間、簡単に達した。  
脚の力が抜けてしまって、立ってられない。  
ぺたり、座り込んでしまった私の目の前に、敦賀さんの大きくなったモノが見えた。  
「ちょ、キョーコ!」  
敦賀さんの着ている長い修道服をたくしあげて、ズボンをさげ、大きくなったモノに触れた。  
「すごい…。大きくなってますね、敦賀さん…」  
「キョーコが、あんまり可愛かったからね…、んっ」  
ちゅっ、と先に口付けて、敦賀さんのモノを口に含む。  
舌を絡めながら、見上げた敦賀さんの顔が気持ちよさそうで、二人の格好が聖職者なだけに、何だか、悪いコトをしてるような気分になった。  
「はっ、ちゅっ…、んむっ、敦賀さん、気持ち、イイ?」  
「ああ、気持ちいいよ」  
更に、舌を絡めて、深くくわえ込もうとすると、  
「んっ」  
 
唇を離されてしまった。  
敦賀さんは、私の手を教壇につかせて、目の前の十字架と向き合う形にさせた。  
「あっ、あんっ」  
ショーツを脱がせて、私の中に指を差し込む。  
「あんっ、つ、つるがさ、」  
じくじくと中が熱くて、きゅうきゅうと敦賀さんの指を締め付けてるのがわかる。  
「お願い」  
 
敦賀さんのが欲しい。  
 
「何を?」  
敦賀さんは、にやり笑って、わざわざ訊いてくる。  
「あっ、敦賀さんの、ん…、ちょうだい?」  
「俺の、何?」  
「あんっ、いじわるっ」  
 
悪徳神父。そんなコト言わなくてもわかってる癖に。  
 
「おねがいっ」  
「ちゃんと言わないとあげないよ」  
敦賀さんは、私の中に指を這わせながら、意地悪ばかり言う。  
でも、私も、もう我慢が出来ないくらい、敦賀さんが欲しい。  
「あんっ、おねがい、敦賀さん。も、欲しいのっ」  
「何が?」  
「あっ、お肉の棒。敦賀さんの、お肉の棒、私の中にいれてぇ!」  
恥ずかしいおねだりをした私に、  
「いやらしい子だ…」  
言いながら、敦賀さんは私の中に入ってきてきた。  
「あっ、あああん、あっ、あっ」  
「はっ、イイね。神聖な修道女を犯す、この背徳感。たまらない」  
 
そうだった。  
 
中を擦られる感覚に、忘れていたけど、ここは教会で、私は修道女で、敦賀さんは神父さん。  
「あっ、だめ、つるがさっ、だめぇ!」  
ずりずりと奥まで入ってくる敦賀さんのモノは熱くて、意識が遠のく。  
「キョーコ、あの台詞、言ってみて」  
「あっ、あっ、セリ、フ?」  
 
えーと?あ、今日の。  
 
「あんっ、『だめ…です、神父さまっ!か、かみさま、あっ、かみさまがっ、みてますっ』」  
「いいじゃないか、キョーコ。キョーコのいやらしい姿、神様にも見せてあげなよ」  
「あっ、いやっ!いやぁっ!」  
「清純なものが汚されるって、何か、イイね」  
呟く敦賀さんの言葉も、深く考えられないくらい、頭の中が真っ白で…。  
「あっ、あっ、あんっ、つ、るがさんっ、…も、いっちゃ」  
「いいよ」  
「あ、いっしょにっ、キてぇ!」  
「はっ、いくよ。キョーコ」  
「あっ、あっ、ああああぁぁああぁん!」  
 
「……変態神父」  
果てた後、敦賀さんに言った。  
「じゃあ、キョーコは淫乱シスターだね」  
にっこりと、神々しい笑みを湛えて、返されてしまった。  
「帰るまで、待てなかったんですか?」  
「うん。ごめんね」  
私を抱き寄せて、額に唇を落として、敦賀さんが言った。  
 
「ホント、素敵な教会ですね」  
呟く私に、敦賀さんが、  
「キョーコは、結婚式はこんなとこでしたい?」  
突然訊いてきた。  
 
そりゃあ、こんな素敵な所で出来たら嬉しいけど…。  
 
「そうですね。いずれは」  
そうできたらいいですね、と答える私の左手を手にとって、  
「ちゅ」  
敦賀さんは、薬指の付け根にキスをして、痕をつけた。  
「婚約指輪の代わり。いつか、こんな素敵なところで、結婚式しようね」  
照れながら言う敦賀さんは、可愛くて…。  
「後になって、なかったことにしないでくださいね」  
告げた私に、  
「神に誓うよ」  
唇を落として、言ってくれた。  
私は、  
 
ホントにいつか、そんな日がくればいいな…。  
 
心底思った。  
 

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