君は今、何してる…?
珍しく、2日間続けて、休みが取れた。
1日目は、ゆっくり体を休めて、ぼーっとテレビを見たり、台本を読んだりしていた。
2日目の今日は、何もすることがなくて、やっぱり、ぼーっとして過ごして…。
そういえば、キョーコのいない休日なんて、ここしばらくなかったな、なんて考えながら、愛しい恋人のスケジュールを思い出す。
「地方ロケで…。敦賀さんの休み明けに帰って来るので、入れ違いになりますね」
せっかく敦賀さんがお休みなのに、会えないのは寂しいですね、と笑むキョーコが本当に残念そうで、何とも申し訳ない気持ちになった。
――キョーコの香りがする。
2人で眠るには広すぎるベッドが、1人の時は更に広くて、ふと、キョーコに会いたくなった。
シーツに染み込んだキョーコの香りに、
「一度、付けてみたかったんです」
そう言って、キョーコが付けたキスマークに、逐一、キョーコを思い出してしまう。
――会いたい。
たった、2日間で、こんなに会いたくなるなんて…。
こんなに、寂しい、なんて気持ちにかられるなんて、思ってもみなかった。
寂しい気持ちを認識してしまえば、切実に、キョーコに会いたいと焦がれる。
――キョーコに、会いたい。
会いたいし、触れたい、抱き締めたい。
たくさんのキスをして、それから…。
2日前には、重ね合わせる事ができた肌を重ねて、キョーコの温もりを感じて、眠りにつきたい。
――子供みたいだな、俺。
母親に抱かれると安心する子供のように、キョーコの体温に、それだけ安心感を感じていたなんて…。
広すぎるベッドの、冷たいシーツなんかじゃなく、滑らかで温かなキョーコの肌に、触れたいと思った。
「会いたいな」
キョーコに会えないとわかっていても、ぽつり、口をついて出てきた言葉。
カタンッ。
言葉を発した瞬間、ベッドルームのドアが開いた。
「…っ!敦賀さん、まだ起きてたんですか?」
開いた扉の向こうには、愛しい恋人の姿。
あまりにも、会いたい、と願って…。
願いすぎて、願望が幻を見せているのかと錯覚する。
「ただいま、帰りました」
ベッドの方に近付いてきて、声をかけるキョーコに、
「…キョーコ?」
「はい。キョーコで…、わっ!?」
思わず、抱きすがり、幻ではないと認識した。
「どうしたんですか?敦賀さん」
キョーコの腰にまとわりつき、きゅう、と抱き締めると、不思議そうに訊ねてくる。
――ああ、キョーコだ。
肌の温もりに、キョーコの香りに、胸が締め付けられる。
「あの…?敦賀さん?」
「会いたかった…。会いたかったんだ、すごく」
抱きすがり、キョーコの体に顔をうずめて、離れがたい思いにかられていると、キョーコが抱き締め返してくれた。
「私も…。敦賀さんに会いたくて、ロケが早く終わったので急いで帰ってきました」
額に、キョーコの柔らかな唇が触れる。
「なんだか、今日の敦賀さん、子供みたいですね」
くすくすと笑いながら、ふわふわと髪を撫で、もう一度、きゅうと頭を抱え込んで、額にキスを落としてきた。
――しまったな。
本当は、いつものように、大人の男を装って、キョーコをお姫様のように扱ってあげたかったのに。
子供のように甘えるなんて、幻滅されたのではないだろうか、と、ちらり、不安に思った。
「なんだか、かわいいです」
嬉しそうに笑いながら、今度は、頬に、唇に、キスを落としてくるキョーコが愛しい。
「幻滅した?」
冗談めかして言うと、
「そんなことくらいで嫌いになるような、中途半端なキモチで、敦賀さんを好きなわけじゃないです」
しっかりと目を見て言ってくれるのが、嬉しかった。
「キョーコ、したくなった」
腰に回した手をゆるめて、かぷり、キョーコの耳たぶを口に含む。
「…っ、じゃあ、シャワー浴びてきますね…、わわっ」
キョーコの体を持ち上げて、ベッドの上に、ぽすん、と寝かせた。
「待てない」
上から被さり噛みつくくらいの勢いで、唇を奪い舌を絡めると、
「んっ…、ふっ」
キョーコの口から、くぐもった声と吐息が漏れた。
「もぉ。仕方のない人ですね」
唇を離して、困ったように笑いながら言うキョーコの頬が、朱に染まって、ますます止められそうにない。
もう一度、口付けようとしたその時、
「待って」
キョーコが、唇を押しのけて、むくり、起き上がった。
「一回、してみたかったんです」
そう言って、俺のパジャマに手をかけ、ボタンを外し始めた。
キョーコが服を脱がせてくれるのと同時に、キョーコの着ている服を脱がせる。
「キスマーク、そろそろ消えちゃいますね」
寂しそうに、俺の左胸の少し上側、2日前にキョーコがキスマークを付けたところを撫でられる。
「いくらでも付ければいいよ」
そう言う俺に、
「だめですよ。大事な商売道具に」
笑って、キスマークの上にちゅと唇を落としてから、俺の口にキスをしながら押し倒してきた。
「どうしたの?」
「会いたかったし、したかったのは、敦賀さんだけじゃないです」
俺の上に覆い被さり、そう言った後、キョーコから深く口付けてきた。
「…ふっ」
どちらともなく吐息が漏れる。
首筋に、胸に、キョーコの唇が降りてきた。
――めずらしいな。
積極的なキョーコが可愛くて、しばらくされるがままになってみようかと思う。
「…ん」
俺の胸の先を唇で捕らえ、舌を這わせてきて、同時に、手で俺のモノを握って扱いてきた。
「ちゅっ、キモチイイですか?」
唇をつけたまま、訊いてくるキョーコに、
「気持ちいいよ」
答えた。
キョーコの唇が、ちゅ、ちゅ、と軽くキスをしながら降りてきて、俺のモノへと到達する。
先端にちゅ、と唇をつけ、舌でべロリと這わせてきた。
「んっ」
裏筋を下から上に舐め上げられて、思わず、声が出る。
「おっきくなりましたね」
唇を離して、四つん這いのまま、俺の頭の上の枕元をごそごそと探る、キョーコの胸の先を口に含んだ。
「あんっ」
コロコロと舌で転がして弄ぶと、キョーコの口から、可愛い声が漏れた。
「もう、入れたくなった?」
ゴムが見つかったのか、手の動きが止まったキョーコに訊くと、
「んっ、はい」
恥ずかしそうに、でも、素直に答えた。
「まだ、濡らしてないけど?」
「大丈夫です」
顔を朱くしながら、俺のモノにゴムを被せて、跨りながらキョーコが言う。
「いいですか?」
本当は、いろいろ触って、触りまくってから入りたかったけど…。
――まぁ、いいか。
自分から跨ってくれるキョーコなんて、しばらく見れないかもしれないし。
「いいよ」
俺の言葉を合図に、キョーコは、ゆっくりと腰を下ろした。
「あっ、ああん」
まだ触れてもいないそこは、ずるずると俺のモノを飲み込んで、ゆるゆると締め付けてくる。
「すごいね、キョーコ。そんなにしたかった?」
「んっ、すごく。敦賀さん、に、会いたかったのっ」
ゆらゆらと腰を動かしながら、キョーコが言った。
可愛くて、思わず腰を突き動かしそうになるのを我慢して、キョーコの頭を撫でる。
「キョーコの気持ちいいように動いて」
「やっ、はずかしっ」
言いながらも、キョーコは腰の動きを速めていく。
動かしながら、中は、きゅうきゅうと俺のモノを締め付けてきて、とろとろに溶けてるのがわかった。
「あっ、…敦賀、さんはっ、キモチイっ、ですか?」
「気持ちいいよ」
――ホントに、この娘は…。
可愛い恋人の痴態を見ながら、自分のモノが熱くなるのを感じる。
「つ、あっ…つるがさっ、…いっちゃっ」
「いいよ」
「あっ、あっ、んっ、いっちゃぅ…、ああああんんっっ!」
キョーコが達した瞬間、ぎゅう、と締め付けられて、少し、達しそうになった。
「…、あ、つるがさ…」
達したばかりのキョーコを、繋がったまま押し倒し、膝を持って脚をM字に開かせた。
「次は、俺の番、ね?」
「あっ、あんっ、ああっ」
奥まで入って、入り口ギリギリまで抜き、また更に奥まで突き上げる。
「あっ、つ、るがさっ、…はげしっ」
「ごめん。今日は、…っ、加減できない」
腰を突き上げる度に、粘液の擦れる音と、キョーコのあげる可愛い声が、ベッドルームに響いた。
「あっ、つ…るがさ、んっ、…キモチイっ、のっ」
「うん。…っ、キョーコ、俺もっ」
キョーコの右手に、俺の左手を重ねて、しっかりと手を握り締めた。
――そろそろだな。
ぎゅうぎゅうと、喰いちぎらんばかりに締め付けてくる胎内に、キョーコも限界が近いことを悟る。
「あっ、あっ、あんっ、…っ、つ、つるが、さんっ、んっ、…また、きちゃっ」
「…くっ、いいよ、キョーコ」
「いっしょにっ、…きてっ、あっ」
キョーコの小さな体を、腕の中にすっぽりと閉じこめて、
「いくよ」
「あっ、あっ、つるがさんっ、…いっ、いっちゃ、ああああああんっっ!」
2人同時に果てた。
「もっと、キョーコに触りたかったな」
「…す、すみません」
俺の胸に、顔をうずめて恥ずかしがるキョーコに、
「いや、嬉しいよ」
笑って言った。
――キョーコも、同じように求めてくれて。
言ったらきっと、もっと恥ずかしがるから、口には出さないけど。
「あ、シャワー浴びてきますね」
シャワーを浴びてないことを思い出したのか、くるまっているシーツの中から出ようとするキョーコを、腕の中に閉じこめて、
「だぁめ、もう一回」
甘えてみる。
キョーコは少し、恥ずかしそうに、
「もう、しょうがないですね」
言って、俺にキスをくれた。
俺は、残り少ない休日に、キョーコがいてくれる幸せを噛みしめていた。
君が、側にいてくれることが、俺の幸せ。