「はい、休憩でーす!次の撮影は40分後になります」
きまぐれブリッジロックスペシャルの撮影中、二度目の休憩。
前回の休憩前の撮影中に、ゴージャスターとかいうクソ恥ずかしい呼ばれ方をしているアイツが、俺と同じようにゲストだったり、ニワトリの中身がキョーコだってバレたりと、大騒ぎの収録だった。
休憩後の、さっきの撮影中、何だかキョーコの様子がおかしかった。
瞳は潤んでいたし、顔も朱かった気がする。
撮影中だってのに、どこかぼーっとして…。
「お前、熱でもあるんじゃねえ?」
せっかく、この俺が心配してやってるのに、
「あ、アンタに、関係ない、…でしょっ」
つれない態度。
でも、呂律は回っていないし、ふらふら歩いてるし、やっぱり調子が悪いんじゃねーか。
仕方ないから、スポーツドリンクでも持って行ってやるか…。
自販機で、ペットボトルに入ったスポーツドリンクを1つだけ買って、キョーコの楽屋を訪れた。
「…っき、ヤツに話し掛けられてたろう?何だった?」
キョーコの楽屋のはずなのに、聞こえてきたのは、男の声。
「あっ、顔が、朱いっ、から…、熱でもあるんじゃないかって。…んんっ」
何だ、やっぱりキョーコ、いるんじゃねぇか。
ノックをして、楽屋の中に乗り込んでやろうと思った瞬間、
「あっ、つ、敦賀さんっ!…コレ、もう、抜いても、…んんっ、いいでしょう?」
聞こえてきたのは、俺が唯一ライバルと認める男の名。
「駄目だよ。ちゃんと入れてるか、見せてごらん」
「見せたら、…抜いて、くれます?」
中の様子を伺おうと、カチャリ、ドアを開けて隙間から覗き込んだ俺の目に飛び込んできたのは…。
キャミワンピのスカートの裾を持ち上げて、その中の下着を見せるキョーコと、椅子に座ってそれを眺めているであろう男の後頭部。
「敦賀さん、だ、誰か来たら…」
「大丈夫。ちゃんと鍵かけたから」
キョーコの言葉にドキッとしたけど、中の2人は気付いてないみたいだ。
でも…、鍵なんてかかってなかったぞ?
「あっ、あああんっ」
キョーコの声に少し驚いて、意識が引き戻された。
よく見たら、キョーコの下着の裾からコードのような物がでて、太ももにスイッチのような物がくくりつけられていた。
男の手の中にも、リモコンのような物…。
「ああっ、んっ、敦賀さん…」
キョーコの艶めかしい声。
こ、これって…。
お前ら、仕事中に何やってんだ!?
つーか、この2人こんな関係だったのかよ!?
「すごいね、キョーコ。下着がびしょびしょだ…。ここから見ててもわかるよ」
「つ、敦賀さん!はやくっ、イカせてぇ」
男の言葉に反応して、いやらしい言葉を吐くキョーコ。
「いいよ」
カチリ、男の手の中のスイッチの音と同時に、
「いっ、あああああんっっ!」
おそらく、達したであろうキョーコの声。
「…い、いじわる!」
潤んだ瞳で恨めしそうに男を見つめるキョーコの表情に、朱い顔に、ズキリ、下半身が疼くのを感じた。
「どうして?イカせてって言うから、イカせてあげたのに」
男は、飄々として、キョーコに言った。
「だって、コレ。撮影中もっ…」
「気持ちよかったんだろ?そんなに、下着がびしょびしょになるくらい濡らしておいて」
「でもっ、カメラも…」
「キョーコのいやらしい顔が、日本中に見られてしまうね」
「…いやっ、言わない、っでぇ」
「それ、意識したから、そんな感じたんだろう?」
キョーコの中に入っている物のスイッチは止まっていないようで、声が上擦っているように聞こえる。
「ど、…して?そんな、…ふっ、いじわる、ばっかり…」
「キョーコが、あのニワトリだったなんて知らなかったなぁ」
「ごめんなさっ…」
ガクガクと膝を震わせて、座り込まないように耐えながら憎まれ口を叩くキョーコに、男は冷たく言い放つ。
「黙ってたお仕置き、だよ」
「ごめっ、なさっ、…敦賀さんっ!コレ、もっ、抜いてぇ」
「どうしようかな」
どうしてほしい?と訊く男に、キョーコは、恥ずかしそうに答えられないでいる。
もじもじと内股を摺り合わせて、スカートの裾をぎゅ、と握り締めた。
そんなキョーコの様子を見て、男は楽しんでいるようで…。
コイツ、変態なんじゃねぇの?
他人の行為を覗いて、股関を膨らませている自分を棚にあげて、心の中で毒づいた。
「何もしなくていいなら、このままにしておくよ」
冷たく言う男に、焦れたキョーコがおずおずと口を開く。
「…、コレじゃなくて、敦賀さんのが欲しい、です」
恥ずかしそうに、視線を落として言うキョーコが、やけにいやらしく見えた。
「どうしようかなぁ。家まで我慢できないの?」
男の声は至極、楽しそうで…。
「んんっ、ぅ、…できないっ。敦賀さん、おねがいっ!」
我慢しきれず、必死に懇願するキョーコを見て、満足したのか、男が立ち上がる。
自分の座っていた椅子の背もたれに、キョーコの手をおいた。
男はキョーコの下着を脱がせて、腰を掴んで、後ろから、キョーコの中に侵入した。
「やっ、敦賀さんっ!オモチャ、まだ入って…、あっ、あっ」
「奥で当たって、気持ちイイだろう?」
中に入っている物をそのままに、ぐちゅ、ずちゅと後ろからキョーコを貫いている。
「あっ、あっ、あああんっ!」
奥まで貫かれて、キョーコは呆気なく達した。
「早いね、今日は。でも、そんなに声を出したら、誰かに聞かれてしまうかもしれないよ」
「言わない、でっ、あっ、つ、敦賀さ、…奥、奥、当たってるのぉっ」
「仕方ない子だね」
男は苦笑しながら、片手でキョーコの口を塞いで声が漏れないようにしている。
「誰に見らるかわからないからね。それ以上、キョーコの可愛い声は出させられないな」
そう言いながら男は、覗いている俺を見て、ニヤリと笑った。
野郎、気付いてやがる。
キョーコの痴態に見とれて動けない俺から、視線を外して、キョーコ見つめる。
「そろそろだね、キョーコ。一緒にイこうか」
優しくキョーコに声を掛け、更に腰の動きを速めた。
「んっ、んんっ、ふぅぅっ、んっ、んんんんんっ!!」
扉を閉める俺の目に焼き付いたのは、最後にキョーコが達した顔。
張り詰めた股間の痛みに、耐え切れず、俺はトイレに向かった。
しゃーねえから一回抜いて行くか、時間もねぇ事だし…。
ぬるくなってしまったスポーツドリンクを飲み干して、ゴミ箱の中に投げ込み、しばらく頭から離れてくれそうにないキョーコの顔を思い出していた。
「あんなキョーコ、君は見たことないだろう」
収録前、クソむかつく相手に話しかけられた。
「…んだ、てめー。キョーコにあんな事しといて。変態なんじゃねぇ?」
「人の行為を覗く、君よりマシだよ」
いちゃもんをつけたら、さらり、かわされ、
「でも、これでキョーコが誰のかわかったろ?気安く話し掛けないでくれ」
牽制までされた。
このクソむかつく男は、
「最上さん」
紳士面を作ってキョーコの元へ行った。
やっぱり信じられねぇ。
キョーコは俺の事が好きだったはずだ…。
思いながら、やっぱり、さっきのキョーコの顔を思い出していた。