「「はぁ…はぁ…」」  
お互いに見つめ合いながら、荒いがそれでいて甘い息を交わす。  
少し息が落ち着いたところで、蓮はキョーコの中から自身を抜き  
出した。  
そして、少し深めのキスをする。  
「………んっ………」  
蓮はキョーコの髪を優しく撫でながら、瞼に、頬に、鼻に、唇を  
滑らすようなキスを落とす。  
そして、「愛してる」と囁きながら強く抱きしめた。  
 
キョーコにとって、この時間が一番幸せを感じる時。  
激しく求められて、身体を繋げている時も確かに幸せなのだが、  
幸せと思う前に思考はいつも飛んでしまうから、幸せを噛み締め  
る余裕なんてない  
のだ。  
 
蓮とこのような行為をするのはもう何度目か忘れてしまう程なの  
に、いつも蓮に翻弄されてしまうキョーコ。  
いつかは蓮を翻弄してみたいと思うのだが、それは当分実現する  
のは難しそうだ。  
 
「何考えてるの?」  
眉根を寄せて少し難しい顔をしているキョーコを訝しく思いなが  
ら言う。  
「ん〜?別に…ただ幸せだなぁって思ってただけですよ」  
「とてもそんな顔に見えなかったけど?」  
 
女心には疎いくせに、こういう僅かな行動は見逃さないのだから…  
 
キョーコは蓮から教わった似非スマイルでニッコリと笑って誤魔化  
そうとすると、本家の蓮に通用するわけもなく「どうしたのかな?」  
と更に迫ってくる。  
 
キョーコは蓮の首に腕を絡ませながらチュッと軽いキスをした。  
普段滅多にキョーコからキスをすることなんてないのだが、行為の  
後のこの時は、興奮が冷めていないせいなのか、結構キョーコから  
キスが貰える。  
 
蓮にとって、この時間が一番幸せを感じる時。  
もちろん身体を繋げている時もこの上ない幸せなのだが、いつも自  
分が求め過ぎて彼女に無理をさせてしまう、少なからずの罪悪感が  
あったりする。  
しかし、彼女からキスを貰うと愛されていると実感するのだ。  
 
蓮がこれ以上ないとろけるような甘い笑顔を浮かべると、キョーコ  
もつられるように微笑む。  
「…ただ、ちょっと…」  
「ん?」  
「いつも敦賀さんのされるがままになってるのが、ちょっと癪だ  
なって思っただけ」  
そう言って、キョーコはもう一度蓮に口付ける。先ほどの触れる  
ようなキスではなく、恋人同士が交わす熱の籠もったキスを。  
蓮もそのキスを受けて、自分の舌に絡みついてるキョーコの舌を  
引っ張って吸い上げた。  
「………んんっ………はぁ………」  
甘い吐息に煽られて、蓮の身体がまた熱くなってくる。  
 
「キョーコ」  
耳元で、吐息をかけながら甘く熱の籠もった声で呼ばれる。それだ  
けでキョーの身体も熱くなる。  
「もう1回しよっか」  
「…………」  
真っ赤になったキョーコは「いい」とも「だめ」とも言えずにいた  
が、蓮はキョーコの返事を待たずに身体に手を這わしていく。  
蓮の手に煽られながら、熱に浮かされるようにキョーコの口から出  
た言葉は  
 
「……好き……」  
 
その言葉を聞いて、蓮の行為は激しくなり、二人は共に更に熱を灯  
ていった。  
今、この時間が、二人の全て――――――  
 

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