1.遠方から連れてこられた武家の娘、まだ殿(将軍=蓮)を見たことすらない。
名誉なことだしお国のためとやってきたが、言葉も違うかも知れず、
不安で潰されそうになりながら通された部屋で待つ。
将軍には正室がいるが仲は冷え切っており、政にしか興味がなくなっている女。
将軍も正室もまた側室が増えたか、くらいでたいした興味なし。
目通りすらしてもらえずますます孤独でたまらなくなる京子。
数日後の夜、突然思い立った将軍は予定を変えてこっそり京子を見てみるかとやってくる。
準備もしておらず色着物のままでぼんやり月を眺めている娘。
振り向いた姿を見て、将軍はすっかり心奪われてしまう。
驚く京子。この奥に入れる殿方は将軍様ひとりのはず。
京子もまたその凛とした顔立ちの殿から目が離せない。
香も焚いておらず、準備していないので申し訳ないと頭を下げる京子。
そんなことはどうでもいい、と初めての熱情を覚えながら抱いてしまう。
その後他の側室のもとへはまったく通わなくなり毎晩京子のもとへ。
愛されている幸せを感じながらも、妬みと嫌がらせを浴びせられる京子。
殿に無用な心配をさせてはならないと黙って耐えていたが、蓮の耳に入り、
怒った蓮は側室を全て廃止すると言い出す。
相手の国との戦にでもなりかねないと家来の社になだめられ廃止はしなかったが
結局その後愛したのは京子だけ、当然後継ぎも京子との子だった。
2.町の子で奥に入るなんてトンデモネーのに、殿に見初められて連れてこられた控えめで純真な娘。
あんな小汚い貧しい子が、と誰も相手にしていなかったが、
将軍から見事な着物や調度品を次々に差し入れされ、
綺麗に身を整えられ作法を覚えさせられ現れた京子は見違えた美しさ。
しかし身分もない京子は肩身が狭い思い。将軍の愛情だけを心の支えにしているが
蓮は蓮で、京子だけを寵愛すればますます妬みを受けるだろうとなかなか独占することも叶わない。
たまに訪れる二人の夜。朝まで起きて過ごしてもあっという間に終わってしまう。
しかしなかなか跡継ぎのできない中、京子は男子を懐妊し状況は一転。
蓮はこれをいいことに京子の扱いを格上げし、全力で守りきるべく特別待遇。
京子も強さを身につけ、無事跡継ぎを出産。
側室ながらも将軍の愛を一身に受けめでたしめでたし。