「敦賀さん、古い香水、まだ残ってます?」  
肌を重ね合った後、二人、シーツの中でゆったりと過ごしていたら、訊かれた。  
「うん。半分くらい。でもキョーコに貰ったの使いたいから、捨てるよ」  
せっかく君が選んでくれたんだし。  
「……あの、捨てるんだったら、私が貰ってもいいですか?」  
もじもじとしながら訊ねる君が、可愛い。  
「いいけど、どうして?」  
体を引き寄せて、額にキスを落としながら訊くと、君は更に恥じらった。  
「だって……」  
「だって?」  
「持ち歩いたら、いつでも敦賀さんと一緒にいられる気分になるじゃないですか…」  
俺の胸にもぞもぞとうずまってくるキョーコの顔が、熱い。  
「そっか。いいよ」  
ホントは、俺がいつでもそばにいたいけどね。  
伝えるとキョーコは本当に嬉しそうに、にっこりと笑った。  
「ありがとうございます」  
そう言って、自分から唇を重ねてくる。  
本当に喜んでくれるのがわかって、俺も嬉しかった。  
 
…………でも。  
「俺がキョーコに貰ったの使い始めたら、香り、変わるんじゃないか?」  
ふと、気付かなくていいことに気付いてしまった。  
「……あ。ホントだ」  
私ったら馬鹿ですね、と恥ずかしがるキョーコも可愛いから、いいか。  
「古いの、使い終わったら、また新しいの持ち歩きます……」  
そう笑う君が、やっぱり、可愛い。  
「うん。それより、キョーコ」  
もう一回しようか?と、キョーコにキスを降らせる俺に、  
「はい」  
と、笑って手を回す。  
そんな君が可愛くて、今度は手加減なんて出来そうになかった。  
 

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