目の前には大きな鏡。鏡に越しに後ろから自分を抱きかかえるようにしている恋人と、視線がぶつかる。  
まるで、子供が小用を足す時のように脚を開かされているキョーコは、自分だけが全裸である状況に、ふるりと身震いした。  
「……あっ、やぁ」  
立てた膝にキョーコの脚を掛け、閉じられないようにしている恋人の手は、キョーコの胸と、秘部を弄んでいる。  
鏡に写る、自らの痴態を凝視することができないでいるキョーコを、恋人が促した。  
「駄目だよ、キョーコ。キョーコの可愛い姿、ちゃんと見て?」  
「……ぃやぁ」  
促されるまま鏡を覗くと、鏡の中の自分と視線がかち合う。自らの淫らな姿を目の当たりにして、キョーコはすぐに視線を落とした。  
左手で乳房を握り、やんわりと揉みしだきながら、右手で下肢にある茂みの奥を撫で回される。  
キョーコの秘部は、中から溢れ出したものでトロトロになっていた。  
「ほら、見て?キョーコのここ、溢れてきてる」  
くちっ、と音を立てて入り口を撫でると、キョーコの体がひくりと震えた。  
「…あ、ん」  
「それに、ヒクヒク蠢いてる。感じてるんだね」  
「あ、…やぁ、んっ」  
乳首を摘まれながら、割れ目を上下になぞられると、体が熱くなる。  
 
熱く、高ぶっていく体を撫で回され、いじられ、弄ばれると、キョーコの口からため息に似た声が零れた。  
「敦賀さん、ん、…恥ずかしいです」  
両手で蓮の袖をぎゅっと掴んでしがみつきながら、困惑気味に告げる。  
「キョーコが、自分に色気がないなんて言うから、色っぽい姿を見せてあげてるんじゃないか」  
ほら、と鏡を見るように促され、鏡に視線を戻しては、自分の淫らな姿を目の当たりにして、また逸らした。  
「キョーコは、いやらしい事してる時が一番色っぽいね」  
満足そうに鏡越しに見つめる蓮の表情を見ながら、同じように見られていると思うと、視線に犯されているような気分になる。  
その視線に、体が熱い。ヒクヒクと蠢く中が疼く。  
「いやっ、んんっ」  
「嫌?いつもより、良さそうだけど?」  
「…あ、ぃやぁ…」  
図星だった。鏡越しに自分に向けられる視線に、鏡に写る自らの痴態に、いつもより高ぶりを感じる。興奮している。  
「…そ、そんなこと、…ああっ」  
焦らすように撫で上げられ、じりじりと高められていくキョーコの中から、またトロリと蜜が溢れ出した。  
「ホントに?こんなに濡らしてるのに?」  
くちゅくちゅと蓮の指が、入り口を刺激する。水音が響く。  
 
秘部から聞こえてくる淫らな音に、キョーコの体がまた、カァと熱くなった。  
ムズムズと中が疼いて、細かく収縮を繰り返している。今すぐにでも指を入れて、中をいじって欲しい。  
しかし、蓮の指は入り口を通り過ぎて蜜をすくい、少し上の粒を撫でたかと思うと、また入り口を弄ぶのだった。  
「あっ、んんっ」  
脚に力が入らない。自然にかかとが宙に浮いてしまう。M字に開いた脚が、もっととねだっているように見える。  
「どうしたの?脚、開いて…。もっと、欲しい?」  
欲しい。中に、もっと刺激が欲しい。しかし、羞恥心と理性が邪魔をしてそんなこと言えなかった。  
「……ああっ」  
答える代わりに、吐息をもらした。  
「強情だね」  
素直に答えないキョーコを、蓮は更に攻め立てる。しかし、達する事がないように、絶妙な力加減を忘れない。  
「んっ、んんっ」  
鏡に写る自分の紅潮した頬や、潤んだ瞳がやけに淫らで、余計にキョーコを強情にしたのかも知れなかった。  
蓮からすれば、焦らせば焦らす程キョーコは必死になるから好都合なわけだが、キョーコはそれどころではない。  
耐えきれず、ゆるゆると淫猥に腰を揺らすキョーコの、見かけとのギャップがたまらなく、蓮を煽った。  
 
「腰、揺れてきたね。感じてるんだ、キョーコ」  
「んっ、やぁ、…んっ」  
耳元で囁かれ、掠める吐息に息を飲む。声に、言葉に、耳を犯される。蓮の声が、艶を帯び始めるのを感じた。  
息も絶え絶えに、ゆらゆらと腰を揺らすキョーコの秘部がヒクつく。  
「そろそろ、中、欲しいんじゃないか?」  
軽く指を入れて、入り口間際でくるりと回すと、キョーコの体がピクリと跳ねた。  
「ほら、キョーコの中。俺の指を飲み込もうと必死だよ?ヒクヒクしてるの見えるだろう?」  
「……ぁ、あっ」  
入り口を煽られて、一気に指を突き入れて欲しい衝動にかられた。中は、うずうずと疼いて更なる刺激を求めている。  
体が熱い。蓮の着ているシャツが、自分の汗でぴったりと貼り付くのがわかる。  
「もっと欲しい?」  
「…っ、あ、ほ、欲しい……、敦賀さん、中…、触って?」  
腰を揺らしながら鏡越しに懇願するキョーコに、蓮は思わず自身を突き入れたくなるのを感じた。  
でも、今日は、もっと乱れるキョーコが見たい。  
「いいよ。中、してあげる」  
そう言って、蓮が取り出した物は、紫色の男根を模したグロテスクな玩具だった。  
「え…?敦賀さ…、あ、あああっ」  
ゆっくりとキョーコの中に沈めていく。  
 
キョーコの中は、イボ付きの卑猥な玩具を飲み込んでいく。自らの秘所がそれに犯されていくのを、キョーコは息を呑んで見つめた。  
目を逸らしたいのに、そのいやらしい光景から目を逸らすことができない。  
「あ、…ぃや」  
冷たいバイブの刺激に、じんわりと熱くなる。中が蠢いて、バイブを逃さないように締め付ける。  
「いやっ、いやぁ、ああんっ」  
キョーコが全て飲み込んだところで、ヴヴヴとバイブが振動を始めた。  
「ほら、中、気持ちいいだろう?」  
「やぁっ、あ、あ、あ、コレっ、ああんっ、やっ」  
「嫌じゃないだろう?こんなに締め付けて」  
く、とバイブを引き抜こうとすると、キョーコの中が離さないように締め付けてくる。抜き差しを繰り返している手が、キョーコの愛液でベタつく。  
中を擦られる感覚に、たまらずキョーコは声をあげた。  
「あっ、ああっ、んっ、敦賀さんんっ、」  
そろそろというところで、蓮は抜き差ししている手を止めた。キョーコの手を取り、バイブを握らせる。  
「え…?敦賀さん?」  
「自分でしてごらん?」  
握らせたまま、蓮はキョーコの手ごとバイブを動かした。  
「んんっ、や、そんなのっ、できな…」  
「でも、もっと気持ち良くなりたいだろう?」  
 
駄目と言いながらも、キョーコの手は快楽を求めてゆるゆると動き出した。  
「あっ、んんっ、んっ、あっ、ああんっ」  
キョーコが自らが与える刺激に夢中になり始めると、蓮は手を離す。しかし、キョーコの手が止まる事はない。  
淫らに腰を動かしバイブを飲み込むキョーコの背中が反り返り、胸を突き出す形になった。  
蓮は秘部を弄んでいた手も突き出した胸に当てて、両手で乳首を摘む。  
「キョーコ、前、見て?」  
目を瞑って快楽に身を任せるキョーコを促した。ゆるゆると睫を持ち上げて、鏡の中の自分と視線を合わせる。  
「……あ、いゃあ、あああっ」  
潤んだ瞳。紅潮した肌。服を着ている蓮の前に座り、全裸でいやらしいバイブをくわえて悦ぶ自分の姿が、やけに淫猥に見えた。  
「自分でバイブ動かして、気持ち良くなってるんだよ?キョーコ、いやらしいね」  
「やあ、やっ、ああっ、んんっ、敦賀さ、こんなの、恥ずかしいのにっ、止まらなっ、ああっ」  
キョーコの手の動きが、激しくなった。蓮の言葉と、鏡の中の自分の姿の卑猥さに、火がついたように熱くなる。  
「キョーコの中、どうなってる?」  
「やぁ、ぁぁんっ、言えな」  
「言って」  
耳元で囁く蓮の言葉に、逆らう事ができない。  
 
わずかに残っている羞恥に堪えながら、キョーコはおずおずと口を開いた。  
「んんっ、中、熱くて、ムズムズしてますっ、…あ、ああっ、オモチャがっ、動き回って…」  
クプッ、グチュッと襞とバイブの擦れる音が響く。抜き差しを繰り返す度に、バイブの振動音がくぐもるのが、艶めかしい。  
「見てるよ。キョーコの中にバイブが出たり入ったりしてる。自分で動かして気持ち良くなるキョーコ…、可愛いよ」  
「ああんっ、いやっ、ああっ、つ、つるがさんの、へんた…」  
「それはキョーコだろう」  
「やっ、あ、あああぁぁっ!」  
さらりと言い放つ蓮の言葉に、キョーコははじけた。背中を反らせ、ガクガクと体をしならせる。  
中がひくん、ひくんとバイブを締め付けるのが、鏡越しに見ている蓮からもはっきりとわかるくらいに、収縮した。  
「……ぁ」  
くたりと体の力が抜け、蓮にもたれかかるキョーコの中からバイブを引き抜き、キョーコを仰向けに寝かせた。  
素早く避妊具を被せたものを、キョーコの中に埋め込む。  
「あっ、あああっ」  
達した余韻でヒクヒクと蠢くキョーコの中は、きっちりと蓮をくわえ込んで離さない。  
「あ、あ、あ、つ、つるがさっ、激しっ、ああっ」  
 
鏡越しにキョーコの痴態を見ていた蓮の、腰の動きがいつもより速く、深い。  
直接的で、それだけ蓮自身も限界だったことを悟る。  
「ああっ、奥ぅ!奥っ、奥まで、きちゃっ、あああんっ、いつもより、おっき…」  
「キョーコ、がっ、…っ、いつもより、締め付けて、くるんだよ?……くっ」  
「やあぁっ、あんっ、あっ、ああっ、中っ、えぐっちゃ、だめっ、だめぇっ」  
蓮の腰とキョーコの臀部がぶつかり合う音や、中が擦れる濡れた水音が耳に届く。  
抜き差しに合わせてキョーコの中が細かい収縮を繰り返し、その度に蓮は締め付けられる快感に襲われた。  
「あああ、ああっ、あっ、中ぁ!奥っ、奥がぁっ」  
「いいよ、キョーコっ、キョ、…コの中っ、全部、イイっ」  
吐息をもらす唇が、卑猥な音を捕らえる耳が、視線を絡ませる瞳が、繋がり合う体全てが性感帯になったように、目眩のような熱に浮かされる。  
「ひゃ、ぅうっ、ああんっ、あっ、ああっ」  
ぎちぎちと締め付けられて、蓮は思わずうめき声をあげた。  
「キョーコ、…っ、可愛いよっ、ああ、もうっ」  
蓮にしがみつこうと腕を伸ばし、シャツを掴みながら快楽を貪るキョーコの潤んだ瞳が、艶めかしい。  
視線に煽られ、蓮は更に腰を速めた。  
 
そんな蓮に合わせるように、キョーコも腰を揺らす。締め付ける。  
そんな痴態をキョーコは蓮にしか見せられない。否、蓮だからこそ、見せられるのだった。  
蓮もまた、そんなキョーコの事が可愛くて仕方なかった。  
初めは戸惑いながらも、蓮の教え込む行為をすんなりと受け入れていくキョーコと、キョーコの体を、もう手放すことが出来ない。  
「あっ、あっ、ああっ、敦賀さんっ、もっ、だめっ、ああんっ、だめぇっ」  
「……っ、いいよ、キョーコ。イって…」  
激しく貪り合うように愛し合う二人の夜は、まだ、始まったばかり。  
お互い、高め合い求め合って、そして……。  
 
夜が更けていく。  
 

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