「…キョーコ」  
首筋にキスしながら、アイツが囁く。  
一緒に暮らしていた頃は、一度だってこんな風に甘く私を呼んだことは無かった。  
 
どうしてだろう、と思う。  
あんなに憎んでいたはずなのに。  
…私を好きだと言ってくれた優しい人もいた。あの時、確かに私も  
あの人に惹かれていたと思う。  
それなのに、どうしてなんだろう…?  
 
「はっ…んぅ…」  
「…キョーコ、愛してる」  
充分すぎるほど火照っていた身体が、さらに熱く痺れた。  
切なくてたまらなくて、私はすがるようにアイツに手をのばす。  
「あっ、ん、…ふぁ…あぁっ」  
身体の奥深く、一番敏感なところを探られて、我慢できずに一際高く私が啼くと、  
アイツがいつかPVで、悪魔の格好をしたときと同じ顔で笑っていた。  
 
そうして、私は唐突に理解した。  
この恋は、悪魔との恋なんだ、と。  
幸せになることを確信できなくても、どうしようもなく落ちていって  
しまうのだろう。  
…目の前にいる、悪魔のようなこの男に………  
 

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