今日、敦賀さんが海外ロケから帰ってくる。  
会うのは1ヶ月ぶりだ。  
この1ヶ月のあいだ、敦賀さんは毎日のように電話をくれた。  
大きなベッドにひとり眠るのはちょっぴり淋しかったけれど、そんな時はたいてい電話が鳴った。  
時差があるはずなのに、私が寝る頃を見計らったようにかけてきてくれる敦賀さん。  
大切にしてくれてるんだなぁと思ったら、あったかい気分で眠ることができた。  
 
でも…帰国が迫る1ヶ月に近づくにつれ、敦賀さんの様子が少し変わった。  
お昼の着信が増えたし、メールも増えた。そして質問も増えた。  
共演者の名前を聞きたがったり、その人と何を話したか、今日は誰と会ったのか。  
「キョーコに会いたい…」  
愛しそうに言ってくれていた台詞が、次第にうわ言みたいに切羽詰るようになってきた。  
「会いたくて触れたくて……気が変になりそうだよ…」  
「私も会いたいですよ。敦賀さん、今そちらは夜中じゃないんですか?ちゃんと眠らないとダメですよ?」  
食事はちゃんと摂っているのか訊くと、もごもごとごまかして切られてしまう。  
社さんに電話してみたら、仕事はしっかりこなしているらしい。  
「蓮のヤツ、キョーコちゃん欠乏症なんだってさ」  
「なんですかそれ?」  
「キョーコちゃんなしじゃ生きていけないらしいよ。早く終わらせたいみたいで撮影はまあ順調だけど。  
 最近は『俺を殺すつもりか』とかキョーコちゃんの共演者の名前とかブツブツ呟いてて…」  
社さんには悪いと思いつつ、私は思わず吹き出した。  
大げさですねえ、と答えたけれど、久々の敦賀さんに会って、それがあながち大げさでもなかったと知ることになった。  
 
帰国の日、撮影があった私はテレビ局の楽屋にいた。  
今から撮影だとメールして、「帰ったら敦賀さんがいると思うと楽しみです」と付け加えた。  
本当にそう思うと心が弾んで、思わず笑みがこぼれてしまいそう。  
「ダメダメ!気をひきしめてお仕事しなきゃ!」  
頬をパンパン、と叩いて気持ちを入れ替えていると、楽屋のドアがノックされた。  
「はぁい」  
まだ時間には早いはず、と思ってドアを開けると――そこには敦賀さんが立っていた。  
 
息を切らして走ってきた様子の敦賀さんは、驚いている私に構わず身体を入れてきて、いきなり抱きしめた。  
「ちょっと?!つ、つるが、さ…」  
「会いたかった…キョーコ、会いたかった…本物だ…」  
私は腕を伸ばしてなんとかドアを閉めた。  
「本物、ですよ。あの…夕方の便じゃなかったんですか?」  
「早くしてもらった、キョーコに会いたくて」  
「お昼食べましたか?そこにお弁当も」  
「食べてないよ、それよりキョーコに会いたかったから」  
「そんなのダメですよ!いいですか、ちゃんとお食事は……んっ」  
私の言葉も耳に入っていないみたいに、荒々しく唇を塞がれた。  
敦賀さんがいつもくれる、私の好きなキスを探すみたいなそれじゃなくて、ただただ激しいキス。  
驚いて胸板を押し返すけど、口の中を滅茶苦茶にかき回されて、強く抱きしめられて、押す手が震えて力が入らない。  
震えるのは怖いせいではなくて…敦賀さんの体温に、敦賀さんの激しい愛情に…  
久々に触れて、彼にいつも与えられるあの快感が鮮明に蘇ってきて、眩暈と共に全身の力が抜けていく。  
「ゃだ…っ…だ、だめ…やめ……んぅ、んっ…さつえ……きちゃう、んっ…」  
キスだけで脱力していく私を抱きかかえた敦賀さんは、長く横に伸びる鏡の前に座らせる。  
顔じゅうにもキスをされて、唾液で頬が、口元が濡れていく。  
「メイク…崩れちゃ…ん…はぁ…」  
拒みながらも、頭の隅ではもうどうでもいい、と思い始めていた。  
太腿に伸びた敦賀さんの手のひらが動くたびに、戦慄にも似た刺激が背筋を走り抜ける。  
優しく労わるように与えられる愛撫ではなく、こんな風に荒々しいものは初めてだけど、  
もっと…もっとして欲しい、頭の中で、もうひとりの自分が淫らに懇願を始めている。  
敦賀さんの首に腕を絡めて、自ら舌を入れ始めた私。  
そんな変化に気付いたのか、敦賀さんはスカートの中へと手を入れ下着をおろした。  
片方の足を抜いただけで、下着は足首に止まった。  
 
「敦賀さん…きて……っ」  
自分の言葉に、彼を強く求めていたことに気付かされる。  
敦賀さんが小さく頷いたような気がしてその瞬間を待つ。  
だけど彼は私の両膝をぐっと開いて、その中に顔を埋めた。  
「ああぁあっ!!」  
思わず声を上げてしまって、ここが楽屋だと言うことを思い出して…  
突然羞恥が襲ってきた私は、これ以上声をあげてはまずいと、手元にあったタオルを咥えた。  
少し苦しいけど、声をあげてしまうよりはきっとマシ。  
マシ、だけど…すでに楽屋じゅうにアソコをしゃぶられるジュパジュパと卑猥な音が響き渡って、  
その音にまた感じてしまうのかますます舐められているところが熱くて熱くて…  
きっと今までにないくらい溢れてる…私、いま、すごくきっと…いやらしい…  
そしてそれを見られて、飲み込まれてるんだと思うとまた気持ちよくなってくる。  
気付いたら鏡の前で手をついて必死に自分の体重を支えて、大きく膝を広げて腰を振っていた。  
もっと、舌、入れて…そう思って腰を押し付け、強い快感でイキそうになると慌てて引く。  
上の尖りをしゃぶって欲しくて、今度は舌にその位置を持っていくように腰を回す。  
あっ……そこ…ずっと敦賀さんに触ってほしくて…敦賀さんがよくて…我慢、してたのっ  
「んっ、ん、ん、んーーーっ……!!!」  
絶頂感で頭が真っ白になり、身体がビクビクと痙攣する。  
いつもは何か意地悪なことを言ったり、愛してる、って言ってくれたりするのに、  
今日の敦賀さんは余裕がないみたいに夢中で貪っている。  
私が今イったことにも気付いてないのか無視してるのか、今度はクリトリスをしゃぶりながら指を入れてきた。  
だめっ、だめっ…もうほんとにこれ以上…  
最後の理性がわずかに声をあげようとしたところで、ドアがコンコンとノックされた。  
 
「は、はいっ!?」  
慌てて口のタオルを取って返事をする。  
敦賀さんはまったくやめる気配がない。  
「京子さん、あと10分くらいで始めるそうです」  
鍵、かけてない…開けられたらと思うと心臓がバクバク鳴ったけど、スタッフの人はドア越しに声をかけるだけのようだ。  
「はい…あ…わ、わかり、まし、た…」  
遠ざかる靴音がして、ホッと息をつくけれど、敦賀さんは相変わらず指で中をかき回してる。  
時々角度を変えられて、久しぶりの私の中の感触を確かめるように味わっている。  
「敦賀、さん…もう、もう…」  
「もう、やめる…?」  
耳元で囁かれて、顔が熱くなる。違う、そうじゃない、の。  
「敦賀さ…入れたいん、で、しょう…?」  
「キョーコは?」  
顎をつかまれて、正面から見据えながら、敦賀さんは指の動きを早めた。  
「あ、あ、あっ、ぃやぁ、あっ、イっちゃ…うっ、だめっ、あっ」  
「イって…その顔ずっと、見たかった」  
気持ちいいのが恥ずかしくて表情を見せたくないのに、離してくれない。  
凝視する視線に耐えられなくて、ぎゅっと眼を閉じる。  
「あっあっあっ、ちがうの、指じゃ、ちがっ、あぁっ…あん、もぉ、あぁぁっ…っーーー!」  
淫らに腰を振りながら、胸を反らして悦んで、私はまたその瞬間を迎えてしまった。  
はぁはぁと息をしながらそっと眼を開けると、すごく嬉しそうな敦賀さんの顔。  
「ん…やっぱりキョーコがイク表情って可愛いよね…何度も夢で見たよ」  
「やだ…恥ずかしい、です…」  
「じゃあ、もう終わりにする?」  
徐々にペースを取り戻してきた敦賀さんは、やっぱり最後には私に言わせたいらしい。  
久々に会っても変わらずに意地悪だ。  
そして変わらずに愛してくれていて、私もこの人が愛しくて…。  
「いや、です」  
ぷぅっと膨れて見上げると、敦賀さんはくすくす笑う。  
「じゃあ、期待には答えないとね」  
 
この日帰ってからも、そしてふたりともオフだった翌日も、何度も何度も愛し合った。  
会えなかった時間を埋めるみたいに。  
何度抱いてもらっても足りなくて、何度抱かれても気持ちよすぎて溶けてしまって、  
欠乏症だったのは私のほうだったのかしら、とふいに思う。  
外は久々の小春日和らしいけれど、私たちはずっとベッドで絡み合ったままだった。  
目の前に敦賀さんがいるのが嬉しくて嬉しくて、ふふ、と笑いがこぼれてしまう。  
「なに?」  
繋がったままの敦賀さんは、大きな手で優しく私の髪を梳かしながら不思議そうに尋ねる。  
「内緒、です」  
「気になるよ、言って?」  
「秘密です」  
「じゃあ吐かせるまで、だ」  
私のくすくすと笑う声はすぐに、たえきれずに漏れる快楽の啼き声に変わっていく。  
何度愛されても磨り減ることのない甘い甘い快感に、私は逆らえずに溺れていった。  
 

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