キョーコを抱いた後、二人、裸のままシーツにくるまって、眠るのが好きだ。  
俺の腕の中で、幸せそうに安らかな寝息を立てるキョーコの、  
寝顔を見る俺の胸を、甘やか熱がしめつける。  
起こさないこっそりと、キョーコの額に唇を落とすと、  
キョーコはくすぐったそうに首をふった。  
ふと、キョーコの眉間にしわが寄る。  
嫌な夢でも見ているのだろうか。こぼれ落ちる涙が、俺の腕まで伝った。  
「キョー……」  
「……ンっ!いっちゃやだぁ。いかな…で、コーン……」  
嫌な夢を見ていたら可哀想だからと、起こそうとした俺の耳に届いたのは、昔の呼び名。  
「行かないよ、もう。キョーコを置いてどこにも行かない」  
言いながら、キスでキョーコの涙を拭うと、キョーコはまた、安らかな寝息を立て始めた。  
俺の腕の中で、安心しきった顔で眠るキョーコ。  
そんな君にハマってしまって、離れられないのは俺の方だ。  
「キョーコを置いてどこにも行かない……」  
キョーコをしっかりと抱きなおして、もう一度呟いた。  
夢の中で、聞こえていないだろう君が、安心するなら何度でも言うよ。  
「君を置いてどこにも行かない」  
呟いて、腕の中のキョーコの体温を感じながら、ゆっくりと瞳を閉じて、  
あたたかなまどろみの中に落ちていった。  
 
 

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