シャワーを浴びて、リビングに戻った蓮の目に写ったのは、  
何やらブツブツと呟きながら、雑誌のページをめくるキョーコだった。  
「何見てるの?」  
ソファに座るキョーコの肩越しに雑誌を覗き込む。  
「敦賀さん、ラブホテルって行ったことあります?」  
「ないことはないけど、どうした?それ」  
よくあるデート情報誌の、ラブホテル特集を開いたキョーコは、  
「モー子さんに貰ったんです。もう、いらないからーって」  
と言った。  
キョーコが買ったんじゃないのか、と内心がっかりする蓮をよそに、  
「うわっ、天蓋付きベッドなんてあるんだ!可愛いですね」  
なんて、開いたページを指さすキョーコは無邪気そのもの。  
「へぇー、露天風呂付きとかもあるんですねぇ。何コレっ?SMルームぅ!?」  
こんなの入る人いるの!?と驚きながらも、キョーコは雑誌から目を離さない。  
「興味ある?」  
「そりゃ、まぁ、少しは……」  
「SMルームに?」  
「なっ……!?違います!ラブホテルにですよっ!」  
顔を真っ赤にするキョーコの慌てっぷりに、蓮は思わず噴き出した。  
くすくすと笑い収まらない蓮をじっとりとした目で見ながら、  
「からかったんですね!?」  
と、キョーコは唇を尖らせる。  
「ごめんごめん」  
蓮は悪びれずに謝りながら、キョーコを振り向かせキスを落とした。  
 
「んっ、んんっ、…はあっ、ああんっ」  
ソファに腰掛けた蓮に跨り、腰を揺らすキョーコの髪を愛おしそうに撫で、  
「だいぶ、上手くなったね」  
と満足そうに笑う。  
「だ、だって、んんっ!敦賀、さん、がっ、ああしろ、こうしろって……、ひゃああっ!」  
憎まれ口を叩くキョーコの腰を掴んで、蓮は容赦なく突き上げた。  
「今度、二人で行こうね。ラブホテル」  
唇を啄みながら言う蓮に、キョーコは答えられずに、喘ぎ声だけもらした。  
「返事は?」  
「んあっ、はっ、はいぃ!あ、あ、あっ、ああんっ」  
「SMルームね」  
「はっ、はい、……っ、て?えええっ!?んんっ、そんな、突いちゃ、だめっ」  
「決まりだ」  
楽しそうに笑う蓮に、突き上げられてキョーコは意識を飛ばした。  
 
おしまい。  
 

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