付き合い始めて約半年。
敦賀さんは壊れ物を扱うみたいに私を大切にしてくれて、
無知で臆病な私に合わせて、時間をかけて恋愛してくれている。
手を繋ぐことにも、キスにも少しずつ慣れてきて、ようやく抱き合うようになったのは1ヶ月ほど前。
忙しい敦賀さんに合わせているから、実際はたまにしか会えない、そんな毎日。
今日は敦賀さんの楽屋にやってきた。
この一週間会えなくて、電話かメールだけの会話だった。
今日も会えそうになかったけれど、敦賀さんの待ち時間が長いと聞いて、私は楽屋に押しかけてきた。
コンコン、とドアをノックすると「はい」と待ち望んだ声がして、私は胸を弾ませながら扉を開けた。
顔を見たら頬が緩んで、でもちょっと会ってないだけでどう接していいのかちょっと戸惑う。
本当は会いたくてたまらなかったから、すっごく嬉しくて飛びつきそうになったけど、
敦賀さんにそういうことしたことがないから、なんだか恥ずかしくて。
それにそういう態度って呆れたりうざったく思ったりしないかな?
ショータローの時はそういう反応しか返ってこなかったし。
ううん、敦賀さんのことだもの、あんまり喜んだらかえって忙しくて会えなかったことに罪悪感を覚えてしまったり…
いろいろ考えていたらいつの間にか目の前に敦賀さんが立っていて、あっ、と思った次の瞬間には抱きしめられていた。
「わっ、敦賀さ…」
「会いたかった」
おずおずと腕を背中に回して私も答える。
「私も…」
温かい抱擁で再会を喜んで、敦賀さんの膝の上に座って話をして、
鏡越しに見つめあったり耳元で囁かれたりしているうちに、敦賀さんの手はスカートの中に伸びてきた。
今までそういうことをする時は、いつも私は先にシャワーを浴びて、
暗くした寝室で真っ裸にバスタオルだけ巻いて待っていた。
だからこの状況にものすごく驚いて、身体をビクンと跳ね上がらせた。
「つ、敦賀さん、なにを…」
「いいから」
敦賀さんの声が低く響いて、なんとなく拒否できなくて黙ってじっとしていた。
手は太ももを優しく撫でながら往復する。
足の付け根まで手が伸びてきて、心臓がバクバク言い始めて動揺する。
と、また膝の方まで戻っていく。
戻っていく時、ぐいっと足を広げられて、思わず小さく「あっ」と声が出た。
ふっと笑う息が聞こえて鏡越しに見た敦賀さんの顔はすごく色っぽくて、なんだか恥ずかしくなって目をそらす。
そらした視線をどこに向けていいのかわからなくて、
結局敦賀さんの手が私の足を往復するのを眺めていると、なんだか変な気持ちになってきた。
綺麗な細くて長い指…この指をあそこに入れられた時のことを思い出して、顔が熱くなる。
何度も何度も優しく太ももをさすられて、なんだか身体がむずむずしてくる。
敦賀さんはそっと下着の上に指を置いて、中央を軽くなぞり始めた。
「あぅ…ん……ん…ん…あっ…」
「気持ちいい?」
「あ…やだ、いやですっ…敦賀さん、こんな、ところ、で…っ」
「まだ時間があるんだ、誰もこないよ」
「でもでも、服だって」
「濡れてきたよ、ほら」
スカートをめくられて、促されるように見た下着には大きく染みができていた。
「ぁんっ、つ、冷たい、です」
「温めて、あげる」
大きな手がショーツの中に突っ込まれて、慌てて足を閉じようとしたけど、片足の膝を強く掴まれたままで逆らえない。
指で蜜をぬるりとすくって、それをクリトリスにぬりつけて転がされる。
「あぁっ…んっんっ」
下着の中で敦賀さんの手が蠢いているのがなんだか見ていられなくて、
正面を向いたら顔を赤らめていやらしい顔で喘いでいる自分が鏡に映っている。
「あっ、だっだめっ敦賀、さん、声、でちゃ、う」
「ここ、好きだよね、キョーコ」
「好きっ、好きです、けどっ、んあぁっ…だめ、ですっ、そこ声、我慢、できないっああん!」
「びしょびしょ、だね」
「ああっあああっ…んんっ、んぁあっ…ぁああああんっ!!」
信じられない…楽屋で、指でされて、おまけに喘ぎながらイってしまった。
恥ずかしくて、でもその何倍も…気持ちよかった。
息があがってはあはあ言ってると、今度はあそこに指が入ってきた。
「あっ…!」
もう終わりだと思ったのに。
言おうとした『やめてください』って言葉が飲み込まれて、代わりに鈍い快感がまた湧き上がる。
ちゅぷ、ちゅぷ、と出し入れされる卑猥な音が響いて、声を出しちゃいけないと手の甲で口を押さえる。
「んっ…んんー…んっ、んっ」
指は時々止まって上の壁をぐいぐいと押してくる。
「あっあっ、そこ、だめっ…ん、もぉ、敦賀さん…これ以上、下着…濡れたら…気持ちわるい、です…あっ…だから…」
「そっか、ごめんね」
敦賀さんは指を抜いて、私をそっと膝から下ろした。
ホッとしたような、ちょっと残念なような気持ちで振り向くと、敦賀さんはズボンを下ろして座りなおしていた。
驚いているのもつかの間、下着からポロン、と敦賀さんの…アレ、が、上を向いて勢いよく飛び出して、
私はさらに驚いて、ひゃあっと声を上げてしまった。
失礼な反応だったと思い慌てて両手で口を塞いだ。
「…ひどいな、化け物でも見たみたいに」
「ご、ごめんなさいっ!あの、ちゃんと見たの初めてで、びっくりしちゃって…」
「そう、だったかな。で、ご感想は?」
「か、感想って…」
おっきい。標準がどのくらいか知らないけれど、こんな大きなものが私の中に入っちゃってるの?
「あの…触ってみても、いいですか?」
私の言葉に敦賀さんは一瞬驚いた顔をしたけど、「いいよ」と言ってくれた。
跪いて、そっと先端に触れてみたら、ぴくっと敦賀さんが反応した。
顔を見上げてみたけど無表情で、気のせいかな、と思って続けることにする。
手のひらで真ん中辺りを優しくつかんでみた。
確か男の人って、自分で「する」時はこう…こする、のよね?
摩擦すると気持ちいいってことなのかな。
試しにつかんだまま上下にこすってみると、敦賀さんが「んっ」と小さく唸った。
ちょっと鼻にかかった吐息だから、イヤじゃないんだろうと判断してそのまま続けると、
なんだかますます太くなってきたような気がする。
敦賀さんが漏らす息も荒くなってきたから、多分気持ちいいんだよね?
ちょっと嬉しくなって、こすり続けながら、先っぽにチュッとキスをした。
ンぁ、と声が聞こえて、それがまた嬉しくて、調子に乗って何度も口付ける。
ちゅ、ちゅ、と触れるだけが物足りなくて、ちゅぷ、ちゅぷ、と少し吸い付いてみた。
「キョー、コ…っ」
じゅぷ、じゅぷっ、と深く吸い付き始めたところで突然腕をひかれて立たされた。
下着をおろされて、軽々と持ち上げられて。
反り返りそうにすっかり上を向いているソレで、敦賀さんは私の熱くなっている入り口を軽く往復する。
「んっ、あっ…座って…入れちゃうん、ですか?」
「そうだよ。スカートめくって、見てて?」
スカートの裾をめくりあげると、敦賀さんは少しずつ私を下ろして埋め込んでいく。
「あ…はあ…ん…」
「見えてる?」
「は、はい…ほんとに…入って、く…ぁあ…あつ、い、です、すごく…んぁ…」
「んっ…気持ち、いいよ、キョーコの中…」
奥まで全部埋め込まれて、なんだか満たされた気分になって、ぎゅっと胸にしがみついた。
「私も…気持ちい、です…」
身体中に染み渡る熱にうっとりしていると、電子音が響く。敦賀さんの携帯電話。
敦賀さんは手を伸ばして、ディスプレイを確認してからピッと電話に出た。
「もしもし?」
電話の向こうから聞こえた声は社さん。
2人はなにやら仕事の打ち合わせを始めた。
お仕事の話だから仕方ない、って思いつつも、なんだか面白くなくて、ちょっとイタズラ心で腰を振ってみた。
見上げると敦賀さんのちょっと困った顔。
ふふ、なんだか、可愛いかも。
それに…せり上がってくるような快感。
クリトリスを押し付けてこするみたいにぐいぐいと身体を揺らしていると、気持ちよくて止められなくなってきて。
んっ、んふ、と社さんに聞こえないように押し殺して息をする。
あっ、やだこれっ、気持ち、いいっ…
「…ん、んぁっ…」
堪えきれずに声が漏れてしまう。
身体が勝手に動いてしまって、夢中になってきたら敦賀さんが電話を切った。
「…バレてたよ、キョーコ」
「ご、ごめんなさいっ、だって、我慢でき、ないっ」
「いいよ、ごめん、待たせたね」
「あっ、ああんっ!」
まるで今まで溜め込んできた反動、みたいに、敦賀さんは下からいっぱい大きく突き上げ始めた。
「ぁあっ、はああぁっ、ん、んぁあっ…」
敦賀さんから与えられる全てが初めてで、愛しくて、私を虜にする。
まだまだ敦賀さんとの日々は始まったばかりなのに、最初からこんなんじゃ私、これからどうなっちゃうんだろ?
胸の片隅に浮かんだ疑問は、でも不安よりも期待のほうが大きくて、
きっとこの人に任せてたら大丈夫、そう信じて、与えられる快感の波に攫われていった。