「おかえりなさ……」
「ただいまー…?どうかした?固まって」
「…あ…びっくりした…そのまま帰ってきたんですね」
「え?あぁそっか。撮影終わって急いで帰ってきたんだ」
帰宅した蓮は「BJ」姿のまま。
金髪に黒のスーツ姿でキョーコは一瞬違う人かと思ったのだった。
「キョーコはイヤ?こんな…日本人じゃないみたいで」
「いいえ、敦賀さんは敦賀さんです」
もう一度「おかえりなさい」と言いながら、キョーコは蓮に抱きついた。
かすかな煙草の匂いが鼻につく。
「敦賀さん…」
「どうした?今日はやけに甘えん坊だね」
「私…もう、シャワー浴びたんです…あの…だから…」
見下ろしたキョーコの耳は真っ赤になっている。
蓮は抑えきれずにそのまま寝室へと連れていった。
「あっあああっ…あっだめ、も、だめぇ、イっちゃう、またっイっちゃうぅっ!」
「ん、いいよ?何度、でもっ、イってごらんっ、気が済むまで、イかせて、あげるっ」
「いや、いやぁあ、ああぁあ、あ、あ、だめっいやっ、いや、なのっ!」
蓮はM字に大きく広げられたキョーコの膝を掴み、何度も何度も突き上げる。
抜き去るように腰を引き、その反動で奥まで押し込む。
シーツには結合部分からかき出されるようにあふれ出した愛液の染みが広がっている。
部屋の明るさの元で、繋がるその動きははっきりと眼下に照らされ、それが蓮の中に眠る陵辱的な欲望を揺さぶり起こした。
そのまま突き続けたいのをわずかに残る理性で押しとどめ、身体を引いてキョーコの中から取り去った。
「ひぁあっ…あ…んぁ…」
キョーコはぶるりと身震いし、短く息を荒げながら蓮を見やる。
「いやなら…やめてあげるよ?俺はキョーコの嫌がることはしない。知ってるよね?」
蓮はすっと指をキョーコの頬へ伸ばす。
そのまま線を描くように首筋へ…胸へ、脇腹へ、臍へと下ろしていく。
「ぁ…は、あ、あ…ん…ゃあ…っ」
「どうして欲しい、キョーコ?」
キョーコは足を閉じて横を向き、ぎゅっとシーツを握り締めた。
羞恥。
しかしそれを確かに上回り襲い来る愛欲。
認めてしまえばそこで箍が外れてしまいそうで、キョーコはなんとかそれに抗おうと心の中で格闘していた。
恨めしく思いながら蓮を見る。
そこには意地悪に哂いを浮かべる妖艶な顔。
そんな表情にすら心臓が跳ね上がり、なぜか興奮が高まってしまう。
それは、虐められていることを罵倒したい気持ちと同時に、
自分の中でもっと虐めて欲しいという矛盾した感情があることに気付かされる瞬間だった。
思わず目を反らせたが、視線の先には行き場を失ったままの蓮の肉棒が捕らえられる。
それははドクドクと滾るように熱く膨れ、蜜液をまとわりつかせて卑猥に濡れていた。
淫らな光景に眩暈を覚える。
認めたくはないと思いつつも鼓動が高まり、キョーコは自分がそれを渇望していることを教えられる。
蓮は恥部を裂け、相変わらず嗜虐的な笑みを浮かべながら焦らすように太ももへと指を這わせる。
「おしまいにする?もう遅いしね…また寝不足はツライだろう?」
「……っ…」
「聞こえない」
「…さぃ…くださいっ、もっと…」
「何を?」
蓮の容赦ない追及に、キョーコの落ち着きかけていた呼吸は再度乱れ始める。
「ぃや、言えないっ」
「欲しいものもはっきり言えないような子の願い事はきけないな」
足の先まで指が到達し、蓮は横を向いているキョーコの片足を持ち上げ、つま先をペロリと舐めた。
指の間に丁寧に舌を這わせ、美味しそうに味わっていく。
「は…ぁ…やめて、くすぐった…もぉ…あ…」
「キョーコは…いやらしいね…どこを舐められても、感じるんだね?」
「あ…も、だめぇ…お願い…違う、の…さっきの、続き、して欲し…」
「ごまかしてもダメだよ…はっきり、ちゃんと言いなさい」
キョーコの息に、表情に、そろそろ限界だろうと蓮は踏む。
自分の思うとおりに反応し磨かれていくキョーコを見ながら、蓮の興奮もまた限界へと高まっていた。
「い、入れっ、入れてっ…敦賀さん、の…欲しいっ、のぉっ」
涙目でひくひくと泣き声混じりでの懇願に、蓮の背筋にぞくぞくと熱が駆け上がる。
許してやろうかと思ったものの、ようやく壊れ始めたキョーコの痴態。
ここで歯止めをかけるのはたまらなく惜しい気がした。
「俺の、何が欲しい?どこに?」
目を逸らしたキョーコの顎を掴み、覗き込みながら質問する。
「言ってごらん。その通りにしてあげる」
「つ、つるが、さんのっ…あ、熱い、の…私の中にっ…」
「どんな風に?」
「い…いっぱい欲し…もう、やめないで…は、激しいのが、いいっ」
「いい子だ」
横を向かせたままキョーコの片足を高くあげ、蓮は待ちわびたように埋め込んだ。
「ぁああっ!あっあっはぁあっ…あ、ぁあっ、そんなにっ、ぁああっ!」
んっ、んっ、くっ、と蓮が低く唸りながら入れ込む度に、ズチュ、グチュ、と淫猥な音がキョーコの耳を犯す。
高まりすぎていた興奮が、二人を早々に絶頂の波へと押し上げていく。
蓮はキョーコの足を下ろし、ぴたりと重ね合わせてから、更に激しく、仕上げとでもいうように腰を動かしスピードを上げた。
「あああぁああっ…!あっ、だめえ!つ、つるがさんっ、壊れ、ちゃぅ、ぁああっ、あ、やああぁあっ!!」
「…っ…く…ぁあ、壊され、たいん、だろう…っ?」
「ぁああっあああぁあん、あっ、だめ、ぁああ、あ、あっ、き、きちゃう、ぁあっ…ぁああっ…ぁあっっっ!!!」
ガクガクと震えながら脱力していくキョーコの姿を堪能しながら、蓮もまた押し寄せてきた快感の高波に、今度は抗うことなく飲み込まれていった。
「今日のキョーコは…すごかったね」
真っ白な絹のような背中にキスを落としながら、蓮はその余韻を楽しんでいた。
「今夜の敦賀さんは…鬼畜です、優しくなかったです…」
「そうかな?」
「無意識だったんですか?すごく意地悪でした」
後ろからで蓮にはその表情ははっきりとは見えないが、どうやらキョーコは拗ねているようだった。
「ごめん…役が抜けきれてなかったかも」
「そうですね…急いで帰ってきたんですから、仕方ないですね」
理由を聞いて安堵したのか、キョーコの背中からふっと力が抜けていくのが蓮にもわかった。
その身体を無理矢理転がし、蓮は自分の方に向けさせた。
「で?キョーコはどうしてあんなに興奮してた?」
「わ、わたしはっ…最近敦賀さん毎日遅くて……久しぶり、だったし…」
「それだけ?どうして目を見ないのかな?」
「そ、それだけですっ他に理由なんて」
「その割りにはすごい興奮の仕方だったよね。久しぶりと言っても3日空いただけだし、俺が触った時にはもうびしょびしょに濡れてたし」
「や、やめて、そんなこと言わないでください!」
「嘘じゃないよ?その証拠にほら、シーツのここに」
「わ、わかりましたからもう勘弁してくださいぃ!!」
毛布をめくって証拠を示そうとすると、キョーコは真っ赤になって蓮を制した。
「じゃあ、どうして?」
「怒らないでくださいね?その…BJの格好のままの敦賀さんがなんだか…違う人みたい、だったから…」
ああ…なるほど、と一瞬納得しかけた蓮だったが、みるみる不機嫌になっていく。
「へえ…つまりキョーコは、俺じゃない違う誰かに犯されているみたいで興奮してたんだ?」
「ち、違いますっ!そうじゃなくて、いつもと違う、意地悪な敦賀さんに、お、怒らないって言ったじゃないですかあ!」
「そんなこと言ってない」
キョーコの否定の言葉に、内心一応の理解はした蓮だったが、
一度高まりかけた苛立ちにすっかり覚醒したため、結局そのまま怒ったフリでキョーコを襲うことにする。
「知らなかったな…キョーコが鬼畜な俺に興奮するなんてね」
おまけにさっきの行為で周知したのは、キョーコの底なしの被虐嗜好。
たまにはこうして虐めるのもいいかもしれないな。
蓮は口の端に意味ありげな笑みを浮かべながら、今後の開発計画を見直すことにしたのだった。