「あんないかにも愛妻弁当をバカップルの様についばんだり  
一日何度も用もねーのにラブ電話をよこし合うウザイ関係になるとでも・・・!?」  
 
・・・と、妄想する度自分に言い聞かせていたのに。  
通りすがりのロビーで一番目障りな組合せを見てしまった。  
 
 
「・・・でも・・・私・・・少しでも 何か 敦賀さんの力になりたくて―――……」  
 
 
・・・お前なぁ。その上目遣いはナニよ?  
弁当作ってきた?そんであの敦賀蓮が固まってるぞ、ヲイ?  
んであのいけ好かない男が、えらい優しげな微笑みを浮かべて、  
 
 
「お弁当のついでに、できればもらいたいものがあるんだけど・・・  
 ・・・君の 今夜の 時間と身体――……」  
 
 
 
キョーコ、てめー、訝しげにでも頷くなー!  
んでのこのこついて行くなー!  
鈍いにも程ってもんがなぁ!  
そりゃ狼が赤頭巾ちゃんに言うようなセリフだろーがー!!  
 
一瞬、あのヤローがこっちをチラッとみて口の端だけ上げて嘲笑った。  
確信犯じゃねーかー!!うわー、ムカつく。  
キョーコのことなんざどうだっていいのに・・・  
でも、自分の幼馴染が気に入らない狼の腹に収まるのって  
結構心配だしムカつかねーか?  
俺に珍しく心配なんかさせやがって、それに気が付きもしない。  
キョーコのくせに!  
思わず声を掛けようとしたした瞬間に祥子に肩を叩かれた。  
次の現場に時間ギリギリだって。  
 
・・・分ったよ。行くよ。  
次に会った時には絶対カマかけてやるから逃げんなよ、キョーコ。  
 

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