「じゃあ…京子さんが最近涙を流したのはどんな時でしたか?」
女性インタビュアーの質問にキョーコは耳の先まで真っ赤になって俯いた。
「どうした、"京子"ちゃん?」
ん?と横から顔を覗き込むのは、宣伝するべきドラマで共演している"敦賀蓮"。
キョーコは蓮のわざとらしい追及に閉口しながらも反論すらできない。
頭にぽんっと浮かんだのは快感に身をゆだねた淫らな夜――…
『ぁあっ、ああんっ、あぁ…んぁあ……るがさんっ…だめぇ、それいじょ…はぁあっ…んんっ!』
『キョーコ…っ…可愛い、よ…すごく…っ』
『んんっ、うそっ…ん、んぁっ…やだっ、すごい、のっ…ゃああっ…』
『ん、すごいね…ほら、見える…?俺のモノに…キョーコのいやらしい液、絡みついて…』
『ぁあっ、いやっ…み、見ないっ…もん…っ!』
大きく開かせた膝の間で、激しく腰を動かしていた蓮は、キョーコにその詳細を見せ付けようと両腕をひっぱり状態を起こそうとした。
が、キョーコは嫌がって首を振り、見ようとはしない。
『見ればいいのに…綺麗だよ?』
『嘘ばっかり…っ!』
『嘘なんて、つかないよ』
蓮はふっと笑いをこぼし、再び深く突き上げる。
『はぁああっ…ん、ぁああっ…あっ…!!』
『キョーコ、また…』
ゆっくりと身体を倒しキョーコの胸の上に重なり降りて、蓮はキョーコの目元を拭った。
『…ぁあ…ん…つるが…さん…』
『キョーコ…また泣いてるよ…?』
蓮が最近行為のたびに気付くこと――それはキョーコが行為に溺れると涙を流すこと。
無意識なのか、キョーコ自身には泣いているという自覚がない様子だ。
『…つるがさ……きて…もっとぉ……』
ぽろぽろと涙をこぼしながら懇願されて、蓮は抗う術もなく請われた願いを叶えてやった――…
「で?泣いたのはどんな時?俺も知りたいな」
赤面しきりのキョーコに戸惑うインタビュアーを放置して、蓮は容赦なく問いかける。
「あ、あのっ…よくわかりません…私…無意識のうちに泣いているらしくって…っ」
「それって例えばどんな時?」
耳元で囁かれて、キョーコは思わず「ひぁあっ」と小声で叫んで身を捩らせる。
息を吹きかけた耳を必死に押さえながら、キョーコはなんとか無難な答えを探して返した。
「…っっ…わっ、我を忘れるくらい、その…っ…う、嬉しかった時とか、感動、した時、とかっ」
「へえ、京子ちゃんって情熱的なんだね」
「……っ!!」
にっこり楽しそうに…そして意地悪に微笑まれて後ずさりしそうに動揺するキョーコ。
会話がうまく、つかめたような、つかめないような、でも蓮の笑顔に焦点寸前のインタビュアー。
ひとり貧乏くじを引いた気分のキョーコは、もう二度と泣かないんだから!と無駄な決心を固めるのだった。