コンコン  
 
「こんばんは。またラブミー部の依頼で食事を作りに来ました。」  
「くす…ありがとう。とりあえず乗って?」  
 
過去に蓮がDARKMOONの嘉月で役になりきれずに躓いていた時、キョーコが社に言われて食事を作りに行ったその日と同じ場所で彼女はスーパーの買い物袋を持って現れた。  
車内で他愛も無い会話をしながら蓮のマンションに向かう。  
そして、あの時と同じように短時間で見事な食事を作り上げ二人で食事を楽しんだ。  
その後も二人で食器を片付け、キョーコが帰ろうとカバンを持ったその時…  
 
「あのさ、今日は最上さんに聞きたい事があるんだけど…」  
「???聞きたい事…ですか?」  
「うん。だから、まだ帰らないでくれる?大丈夫、ちゃんと下宿先まで送ってあげるから…。」  
 
似非スマイルではなく、いつもの優しい笑顔でそう言われて、キョーコは蓮が手招きしているリビングに戻り、絨毯の上にちょこんと正座した。  
 
「最上さん、君、昨日TBMで仕事があっただろう?」  
「へ?あ…はい。でもどうしてご存知なんです?」  
「ん…ちょっとね。それで、その仕事で何かトラブルでもあったの?」  
「トラブル?」  
「不破…」  
 
松太郎の名前を聞いたキョーコはまるで条件反射のように顔をしかめ、不穏な空気を漂わせた。  
 
「……あの馬鹿男が何か?」  
「昨日TBMの廊下で偶然にも彼を見かけてね…」  
「ななななななななっ………!!!!」  
 
しかし、蓮の口から出た言葉に突然青ざめるキョーコ。  
 
「確か彼、やたらと荒れていて『キョーコのヤツ何でまたあんな事』とか何とか言ってたなぁ…」  
「あああああああああのっ!!わっ…私、決して昨日あの馬鹿男なんかと一緒の仕事をしてませんからっ!!!」  
「それじゃ、何で彼は荒れてたのかな…」  
「そっ…そそそそそそそそんなの私が知るわけないじゃないですかっ!!!」  
「くす…じゃあ質問を変えようか。今日さ、最上さん誰かに謝罪されてなかった?」  
「…………」  
「黒いベストと黒いスラックスの小柄な男だったか?所謂ギャルソンの服装をしていたけど、あれって番組の衣装なの?」  
「あああああああああああああのっ…!!!」  
「君さ、『事故』とか言ってたけど、何?それって?」  
「どっ…どうしてその事を?!!!」  
「………今質問しているのは俺だろ?」  
「っ…!!!」  
 
先ほどまで笑顔を浮かべてからかう様な口調で話していた蓮が、いきなり真剣な表情で声のトーンを低くしたので、キョーコは思わず固まった。  
 
「彼…君に向かって土下座してた。何度も何度も…ね。」  
「そっ…それは…」  
「……『忘れる』って何?」  
「…敦賀さん、私やっぱり帰らせて貰います…!」  
 
キョーコはそう言って立ち上がり、リビングから出ようとした。  
 
ダンッ  
 
「っ…!!!」  
「質問に答えてくれなきゃ帰さない。」  
 
ドアノブにキョーコが手をかけた瞬間、音と共に蓮の両腕が彼女の真横に伸びてきた。  
腕の檻に掴まり、逃げ場を失ったキョーコはふるふると小動物のように震えながら彼を見上げる。  
 
「…何故隠すんだ?もしかして俺に隠すような間違いでもしたのか?」  
「い…いいえ…」  
 
キョーコは突き刺すような鋭い視線で自分を見つめる蓮に、やっとの思いで返事をし、頭をふった。  
すると…  
 
「………………」  
「あ…あの………って!ひぃっ…!!」  
「…コレ…いつ、どこで、誰からつけられたの?」  
 
キョーコが首を横に振ったとき、蓮の目に彼女の首筋に残る赤い痕が飛び込んできたのだ。  
彼はドアについていた手をゆっくりとおろすと彼女の首筋をつぅ…っとなでた。  
途端にキョーコは咄嗟に蓮の手を払いのけ、自分の手で痕を隠すように覆った。  
 
「…あの『彼』…なんだね?」  
「ちっ…違います!」  
「だから『彼』は必死になって君に謝罪していたんだね?」  
「……………」  
「どこまでされたの?今日の彼の様子だと未遂…ってわけじゃなさそうだが…」  
「何もされてません!!!未遂です!アイツが来たから服を破かれただけ…って!!!しまっ…!!!」  
「アイツ…?もしかして、不破…なのか…?」  
 
……キョーコの『アイツ』という言葉に、蓮が必死の思い出築いていた最後の砦が崩壊した。  
 
蓮をとりまく周りの空気の温度が一瞬にして下がった。咄嗟にキョーコは口を硬く閉ざし下を向く…  
 
「……………」  
「無言は肯定とみなすよ…?」  
「なっ…何言って…っきゃあっ!!」  
 
蓮はそう言ってキョーコを抱き上げた。彼女は蓮の腕の中でジタバタと暴れたが、彼は一向に動じず、  
逆に歩くペースを速めていて気がついたら寝室に連れて来られていた。  
 
ドサッ  
 
「きゃあっ!!」  
 
ベッドの上にキョーコを乱暴におろすと、自身も素早くシャツを脱いだ。  
そしてゆっくりとキョーコの上にのしかかる。  
 
「つ…るが…さん、いったい…何を…!」  
「…確かめてあげる。本当に未遂かどうか…」  
「え?ん…んん…っふ…………」  
 
艶かしくも妖しい表情を浮かべると、蓮は目を見開いた状態のキョーコの唇を塞いだ。  
触れるだけの優しいキスではなく、いきなり吸い付くようなキス。  
苦しさのあまりキョーコは酸素を取り込む為に口を開いた。  
しかし、それを待っていた蓮の舌が容赦なく彼女の口の中に進入し、口腔内を蹂躙する。  
歯列をなぞり、奥にひっこんでいた獲物を捕らえると巧みに絡ませてきた。  
 
「んん…ん〜っ…!!………はぁっ…はぁっ…どうして…」  
「……昨日の彼にもそんな顔見せたの?」  
「そんな顔って…!昨日は私本気で嫌がって…それで…」  
「それで?」  
「気がついたら光さんの口から血が出ていて…」  
「くす…彼はキスがヘタだったんだね…。それで?」  
「それで…って…!あっ…やっ…あんっ…」  
「彼にこうされたんだろ?」  
 
キョーコに質問しながら、いつの間にかラブミーつなぎのファスナーを下に下げてTシャツの上から胸を揉みしだく蓮。  
今の彼の頭の中には、キョーコがまた自分の知らないところで男に襲われた事、  
そして何より彼女の危機を救ったのが不破尚ことキョーコの幼馴染みで復讐相手でもある松太郎だという事しかなかった。  
 
「やっ…やめ…て下さ…い!つる…が…さ…!」  
――――俺はまた間に合わなかったのか!!!しかも、またアイツに先を越されて…!――――  
「あんっ…おねが…い…ですか…んぅっ…ら…!」  
―――だが、どうしてこの娘はそんなに無防備なんだ!!  
男の前でそんな表情見せたってよけいに嗜虐心を煽るだけなんだぞ!――――  
 
 
光が以前咲かせた赤い花の上を夢中になって吸い付く蓮。  
そんな彼を押しのけようと両手を蓮の胸について涙目で必死で訴えるキョーコ。  
しかし嫉妬の塊と化した彼にはそんな彼女のささやかな抵抗も逆に火に油をそそぐようなものであり…  
 
 
「…あとは何をされたの…?」  
「あっ…だから…な…何も…あんっ…されてな…」  
「まだそんな事言うの?彼にもそんな顔してそんな可愛い声を聞かせたんだろ?」  
「だっ…だから!私必死で抵抗して…!でもっ…ふっ…服を…破られてむっ…胸を…あっ…やっ…!」  
 
キョーコの話を聞き、蓮はラブミーつなぎを一気に上半身だけ脱がせてTシャツを捲り上げ、ブラジャーを押し上げた。  
すると、ぷるんという弾力をもって現れた二つの白い小さな丘。  
その頂を口に含み舌で転がす。  
 
「…ココをどうされた?」  
「あっ…すっ…吸われていた時に…あんっ…アイツ…が駆け込んで来て…だっ…だから私…!」  
「そう。…こんな姿をアイツにも見せたんだ…。」  
「みっ…見せてなんか…!あっ…やぁん…!やめっ…!!」  
「くす…今の君の姿を鏡に映して見せたいくらいだよ…。自分がどんなに淫らな顔してるか…」  
「そん…あっ…やあっ…!」  
 
必死に脚をジタバタさせて抵抗しているキョーコ。しかし、男女の力の差だけでなく、  
明らかに体格差のある蓮に簡単にねじ伏せられてしまう。  
 
「嫌がってるわりには感じてるじゃないか…?ほら?」  
「え?何言って…って!いやっ!そんなとこ…ああっ…!」  
 
いつの間にか上下共に脱がされベッドの床に投げ捨てられたラブミーつなぎ。  
蓮はショートパンツにその長い指を入れて下着ごしに秘所に触れた。  
 
そこは触っただけでわかるほどにしとどに濡れており、下着が張り付いている状態だった。  
蓮はショートパンツごと下着を一気に脱がし、キョーコの脚を担ぎ上げるとそこに顔を埋めた。  
 
「ココ…も…確認しないとね…」  
「だから…そんなとこ何もされてな…ああっ…!!!やっ…!」  
 
割れ目に沿って舌を這わせ、時には思いっきり泉から流れ出る蜜を吸い込む。  
キョーコに聞こえるようにクチュクチュ…とわざと淫猥な音をたてながら…。  
 
「もっ…やめっ…やめてくだ…さい!おねが…い…!!」  
 
キョーコは泣きながらいやいやをするように首をふり、蓮の頭を押しのけようとする。  
しかし、蓮は彼女の秘所に吸い付いたまま一向に離れない。  
いや、それどころか、彼女の秘所に指をつっこんでかき回し始めた。  
 
「ああっ…やっ…やめっ…!!」  
「ん…どうやら初めてみたいだね…こうされたの…」  
「なっ…なら…あっ…やめっ…てくだ…ああっ…!!」  
 
舌先で先端の突起を押しつぶし、指で蜜壺の中をかき回しながらその壁をこする。  
すると、キョーコの全身を今まで感じた事もないような感覚が襲った。  
 
「やっ…やだぁっ…へんっ…からだがっ…!」  
「…いいよ。いって…」  
「い…いく…って…」  
「そのまま…抗わずに感じるままに身体を委ねるんだ。」  
「ああっ…やっ…やあっ…!」  
 
蓮はキョーコの上げるなき声が一層高く大きくなったのを合図に、指の出し入れを早め、舌先で僅かな振動を突起にあたえた。そして…  
 
「あっ…ああっ…ああ〜〜〜っ……!!!」  
 
キョーコの身体がよりいっそう仰け反った。  
彼女は両手を口にあてて、驚いた表情を浮かべながら両足を震わせていた。  
 
「い…今の…」  
「『いった』んだよ?気持良かった?」  
「そっ…そんな恥ずかし…です…って!ちょっ…まっ…!」  
 
蓮がキョーコの今だ震えている両足を持ち上げ思いっきり横に開かせた。  
そして自身もスラックスのファスナーを下げて自己主張をするかのように熱を持って膨張しているソレを取り出し、ゆっくりと挿入する。  
 
「やっ…痛い!」  
「大丈夫。すぐに気持ちよくなるから…力を抜いて…?」  
 
いきなり押し付けられた硬いモノ。それがまだ小さい入り口を無理やりこじ開けるように入ってきたのだ。  
思わず悲鳴をあげるキョーコ。そして涙で潤んだ瞳を開けて自分の上にのしかかっている男の顔を見る。すると、その瞳はどこまでも妖しく艶かしい光を放っていた。  
 
「っ………!!」  
「…いい子だ。それじゃもう少し…入れるよ?」  
 
何か得体の知れないモノが自分の中に入ってくる。そんな不安に襲われキョーコは思わずぎゅうっと目を閉じた。  
 
「痛いっ…痛いっ…」  
「ごめんね…でもあとちょっとで全部入るから…」  
 
今の蓮には初めてのキョーコを気遣う余裕などなかった。いや、いつもの温厚紳士の皮を被った状態であったなら、未遂だったという事がわかった時点で即座にやめていたはずだった。  
しかし、決壊が崩壊してしまった今の彼には、ただ早く彼女を自分のモノにしたい、彼女と一つになりたい…それしかなかったのだ。  
 
「っくっ……!あっ…ああっ…!!!」  
「全部入ったよ。」  
「そ…そん…あ…!やっ…」  
「…随分締め付けてくるね。少し動いただけでイキそうだ。」  
 
そう言うと、蓮はゆっくりと腰を動かし始めた。  
最初は引き裂かれるほどの痛みに苦しんでいたキョーコも、次第に痛みとは別の感覚に侵されるようになっていった。  
一方蓮は、自身を締め付けてくる彼女の中と、感じはじめた為ピンク色に染まっていくキョーコの身体や、艶っぽくなる彼女の表情に我を忘れ、夢中で腰を動かしていた。  
 
……そして…  
 
「やっ…あっ…ああっ…つるが…さ…!」  
「っく…き…キョーコ…!」  
「ああっ…い…やっ…もっ…もう…!」  
「い…イキそう…?いいよ。お…俺もい…っしょに…!!」  
 
キョーコの頭の中が一瞬真っ白になったかと思ったら、体内に何か温かいモノが入ってきたのを感じた。  
 
「はぁ…はぁ…はぁっ…い…いま…何か入って…」  
「ごめ…ん。すぐ…拭いてあげる…から。」  
 
口をがくがくさせて股の間から白い液体を流しているキョーコ。しかしその液体には赤い筋が混ざっていた。  
蓮はベッドサイドから箱ティッシュを取り出すと、丁寧にキョーコの身体から自分が流したモノを拭い始めた。そんな蓮の行動を恥ずかしいと思いつつも、キョーコはいつの間にか意識を手放していった。  
 
 
**********  
 
そして翌日、蓮はタレント部の椹に聞いてブリッジロックのスケジュールを確認し、仕事の移動時間を使って石橋光に会いに行った。  
 
「お疲れ敦賀くん。俺に用だって?」  
「忙しいところ呼び出してごめん。すぐ済むから…」  
 
ブリッジロック様と書かれた紙の貼ってある控え室から出て来た光。  
蓮はキョーコ言うところの似非スマイルを浮かべて彼に話しかけ、次の瞬間…  
 
ドスッ  
 
「っ…!な…何を…!!!」  
 
いきなり鳩尾にパンチをくらい、前のめりになる光。  
蓮はそんな彼を冷たい視線で見下ろし…  
 
「これで『彼女』にした事はチャラにしてやる。だから、二度とあの娘に手を出すなよ?」  
「っ…………!!!」  
 
いつか軽井沢でキョーコを組み敷いたレイノに対して向けた視線と同じ表情でそう言い放つ蓮。そして…  
 
「用件はそれだけだから。それじゃ仕事頑張って。」  
 
一瞬でいつもの笑顔に戻ると、顔面蒼白にして震えている光を後に残し優雅な足取りで去って行ったのであった。  
 

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