注意事項:  
・恋人成就前えっち  
・蓮がちょっと変な人  
 
()内→キョーコの心情  
<>内→蓮の心情  
 
状況説明:  
レイノにチョコレートを渡す云々で一悶着があり、その後蓮に誕生日プレゼントを渡した。  
大量の贈物などを家に運ぶのを手伝って欲しいと頼まれ、蓮の車に乗り込み、口数少なく帰路につく。  
やがて駐車場に到着したが、蓮はなかなか車を降りようとしない。そして、ようやく重い口を開いた。  
 
 
「奴には、酷い目に合わされたっていうのに…チョコレートを渡すなんて。びっくりしたよ。」  
 
自分でも驚いてしまうくらい、彼女を追い詰める口調になってしまった。  
自分は彼女の中で、奴に及ばない存在だというのだろうか…?あの犯罪者に?  
 
「ちっ、違うんです、敦賀さんっ!」  
助手席で所在無げに縮こまっていたキョーコが、慌てて蓮の方を向いた。  
 
「あの変態霊能力者が私の──」  
不意に蓮の唇が、続く言葉ごとキョーコの唇を塞ぐ。  
 
(えっ…?!)  
 
一瞬、何がおこったのかわからないうちに、キョーコの腕はがっちりと捕われてしまう。  
華奢な手首は、蓮の大きな手で易々と左右ともに封じられたのだった。  
 
視界を占める蓮の長い睫毛と瞳が、近すぎる距離を思い出させ、同時に、  
温かく柔かで、今まで味わったことのない感触がキョーコの唇を侵していた。  
 
(も、もしかしてこれってわたし、敦賀さんとキスしてるのー?!)  
 
ようやく回転しだした思考回路はしかし、まだいつもの速度を取り戻せないまま。  
侵入してきた舌と、首筋から耳の付根をなぞる蓮の左手に、すっかり翻弄されてしまう。  
 
(初心者なのにこんなちゅーで、こんなこんなの、反則じゃないですか敦賀さんー!!!)  
 
抵抗することさえ思い付かないほどの衝撃。爆発しそうな鼓動。のぼせあがり、くらくらする意識。  
 
(そうだ、忘れてた、敦賀さんて夜の帝王様だったんだ…)  
 
ひとしきりキョーコの唇を貪り、舌を絡ませ、歯列をたどり、  
存分に味わいつくしてから離して下さった夜の帝王様は、キュラキュラした笑顔で告げた。  
「キョーコちゃん、荷物部屋まで運ぶの手伝ってくれるかな」  
 
まるで変事など何も起こっていないかのような、  
拒否するのも取り乱すのも相応しくない雰囲気に、思わずこくりと頷いてしまう。  
 
(酷いじゃないですかとか、今のなんですかとか、いくらでも言うことがあるはずなのに)  
 
段ボールを抱えて蓮の後をついて歩く。  
 
(どうして私、普通に運んだりしちゃってるの?!  
 敦賀さんだって、キュラキュラ偽紳士しちゃって、何にもなかったみたいに…。  
 いまどきの若いもの同士だったら、こういうの、普通なのかな。  
 敦賀さんて、そういう浮ついた人種のこと軽蔑しそうな人なのに)  
 
キョーコがぐるぐる思考の迷路を彷徨っている間に、部屋の主は、解錠して扉を開く。  
 
<前もそうだったけど、俺はああいう場面を誤魔化すのが得意みたいだな…。>  
 
後ろで控えるキョーコは挙動こそぎくしゃくして不自然気味だが、  
蓮の事を軽蔑した気配は感じられない。状況を理解しきれていないのか。  
 
<…あの娘のことだから、違った方向に全力で誤解してるかもしれない。>  
 
蓮は両手の塞がったキョーコが通りやすいように、長い腕を伸ばして開いた扉を支える。  
その腕の下をくぐり抜けた刹那、後ろから抱きすくめた。  
思わず箱を取り落としたが、軽かったおかげか、かたわらに転がったものの中身に被害はなさそうだ。  
 
「まったく君って子は」  
腕にすっぽりおさまるキョーコをくるりと半回転させ、耳元で囁く。  
 
「俺が君のことを好きで好きでたまらないって、気付いてもいないんだろう」  
細い腰に回された手が、背中、肩を伝い、うなじを通過して、愛しげに髪をかき分けた。  
恐ろしいほど真剣なまなざしで、まっすぐに瞳を見つめられる。  
どきどきして、冷静に何かを考えることができない。  
蓮はふっ、と微笑んだ。  
 
「さっき、車では急に…その、同意も得ずにごめん。」  
「えっ!?いえ、わたしこそあの、なんていうか、」  
いきなり紳士に戻るものだから、つい生来の礼儀ただしさで反応してしまう。  
 
「本当に、君って子は…」  
くすくす笑いながら、白い首筋に唇を寄せる。  
 
「あんなことした男の部屋までついて来るなんて」  
軽く口づけて、ちろりと舌先を這わせる。  
 
「警戒心がないにも程がある」  
軽く耳朶を噛んだあと、やっと上半身の密着を解く。  
 
「待とうと思ってたんだけどね。待ってる間にさらわれてしまいそうだから。  
愛してるよ。不破にも奴にも誰にも渡さない。君が、欲しいんだ」  
 
絡み合った視線を、外すことができない。  
 
「受け入れてくれるなら、目を閉じて」  
 
どうしよう。敦賀さんが?私を?そんな馬鹿な。  
目を閉じれば、この場から解放してもらえるだろうか――?  
ついそんな事を考えてしまった。  
 
愛だの恋だの、自分には邪魔なだけだ。  
でも敦賀さんは…私にとって、簡単に言い表せられるような人ではなくて。  
尊敬、信仰、崇拝、感謝、それから…  
 
高鳴る鼓動と高揚感に邪魔されて、自分の気持ちがなんだかよく分からないまま、目を閉じてしまった。  
視線から逃げるように。はたまた、目の前の人の口付けを待っているかのように。  
薄く開かれた唇、上気した頬。  
 
「…ありがとう」  
 
今度は優しく、そっと触れるだけのキスをして、  
ゆっくりとまぶたをあげたキョーコに、極上の笑みを覗かせた。  
 
(うわぁーー!神々しすぎますっ、さっきまで夜の帝王様だったのに!!)  
 
見とれてぼんやりしてしまっていると、百戦錬磨の帝王様は機敏に事を進めていた。  
お姫様だっこでキョーコを抱えあげ、あっと言う間に寝室まで運び込んでしまう。  
キングサイズのベッドにお姫様を横たえると、コートとジャケットを脱ぎ捨て、  
シャツの襟を寛げながらルームライトを絞る。  
 
薄明かりの中でベッドをきしませ、キョーコに覆い被さった。  
片腕で体重を支えてはいるものの、初心者のキョーコにとっては充分以上の密着だ。  
 
(展開が早すぎて、いつの間にかすごい状況になっちゃってるんですけど!)  
 
知恵熱が出そうだ。  
 
(でも、なんでだろう、…わたし、嫌じゃない)  
 
恥ずかしい。どんな顔をしたらいいんだろう。  
顔だけでも枕に隠れようとしていたら、顎に指をかけて、正面を向かされてしまった。  
ダークムーンごっこの時みたいに、これでお終いなんて…ないんだろうな。やっぱり。  
 
身体の下でじたばたともがく、しなやかな肢体。  
冬の厚着にくるまれていても柔らかで、女性らしさを隠しきれない。そう、こんなに密着していれば。  
 
<まずいな…>  
 
ぐるぐると頭をかけ巡る欲望に感付かれてしまいそうで。  
 
<自重、できるかな…>  
 
こちらを向かせた顔を覗き込む。  
うるんだ瞳。伏せた睫毛。耳まで赤く染まって、正直可愛すぎる。  
上着を脱がせるのももどかしく、でもそんなはやる気持ちを知られてしまうのは年長者の沽券に関わるから、  
あくまで余裕を演出して、ゆっくりとくちづける。  
 
唇の隙間から舌を差し入れ、大きく開かせる。  
キョーコの舌を探り当てると、軽くつつき、誘うように絡めた。  
ねっとりと口中をなぶる大人のキスでキョーコの頭が一杯になっている隙に、  
上半身を起こさせ、手品のように衣類を取り去ってしまう。  
 
蓮もシャツを脱ぎ、肌と肌で触れ合った。  
我に返ったキョーコは、控え目な胸を覆うブラを慌てて隠そうとするが、  
背中のホックをあっさりと外され、見る見るうちにショーツ一枚にされてしまった。  
 
熱心なくちづけからようやく口を離すと、銀の橋が二人をつなぐ。  
キョーコはびっくりして息をのんだ。  
 
(敦賀さんと私の…唾液が混じったんだ。なんか、すごい事してるみたい)  
 
見る見るうちに真っ赤になるキョーコの顔を見ていると、名残惜しくなり、また短く口付けた。  
 
「可愛いね」  
 
首筋や耳の後ろに舌を這わせ、左手は背筋のくぼみやウエストラインを刺激する。  
その間に右手は、胸をかくそうとするキョーコの手をやんわりと押しのけ、つつましいふくらみを撫でる。  
一瞬、蓮の手のひらが胸の先端に触れ、甘い痺れが走った。  
 
「あっ…!んっ」  
 
思わず声をあげてしまい、そんな自分にびっくりした。  
こんな声が勝手に出るなんて、ふしだらな娘だと思われたんじゃないかしら。  
信じられない。自分の身体が、こんなふうに反応するなんて。  
 
<参ったな…声だけでも我慢できなくなりそうだ>  
 
この子、無意識に誘惑してるんじゃないだろうか。  
今度は先端を避け、外周をやわやわと揉みしだく。  
先程の一瞬の刺激でか、つん、と存在を誇示するように尖る乳首にはまだ触れない。  
 
耳朶をそっと甘く噛み、首筋を軽く吸っていた口は胸まで移動し、ミルクティー色の乳輪のふちを辿る。  
先端への直接的な刺激はないが、吐息がかかり、そしてまわりを攻める舌の動きに、  
気持ちいいようなもどかしいような感覚に襲われる。  
 
「んっ、ふあっ」  
 
蓮の舌の動きが、小振りな胸をぷるぷると揺らす。  
柔らかく、滑らかで感度も上々のようだ。刺激を求めているかのように、  
先端の赤みと堅さを増している。  
背中や腰を撫でていた左手が、徐々にその位置を下げていた。  
ショーツの中に滑り込み、すべすべの丸い双丘の手触りを楽しんでから、  
器用にショーツを脱がせてしまう。  
と、その時クロッチ部分からキョーコ自身に、粘性の糸が結ばれた。  
 
<濡れて…>  
 
様々な刺激は与えていたが、実際に感じている証を得たようで、無性に嬉しくなった。  
思わず夢中で腕を膝裏にかけ、脚を持ち上げる。キョーコの秘部は、かげりが薄いためか、  
きらきらと愛液が伝う様まで良く見えた。絞った明りでも意外に見えている事に、蓮は躊躇した。  
 
外国の血が混じっているせいか、蓮のサイズは標準を遥かに上回っている。  
おそらく、キョーコが目にしたら怯えてしまうだろう。  
実際、経験豊富な過去の女性たちですら、初見の際には戸惑いを見せていた。  
 
間違っても視界に入れさせるわけにはいかない。  
とりあえず、他に目を向ける余地をなくしていてもらおう。  
 
両足を折りたたまされるような格好で、  
とんでもない場所をまじまじと見つめられている事に気がついたキョーコは、隠そうと慌てた。  
しかし蓮は意に介せず、秘所に口を寄せてゆく。  
 
「やっ…ダメです、敦賀さんっ。そんな…お風呂も入ってないのに、」  
 
ふるふると左右に首を振る。今にも泣き出しそうだ。  
 
「恥ずかしくて死んじゃいますっ」  
 
それもいいのになあ、と呑気にオヤジくさい感想を持ったが、  
泣いて嫌がる事を強行するわけにはいかない。  
よしよしと頭を撫でて、機嫌を取るように甘いキスを落とすと、  
部屋の明りを完全に消すためにベッドから立ち上がった。ついでに避妊具も手元に用意しておく。  
 
(呆れられちゃったのかな…?)  
 
蓮が離れてしまい、急に不安になった。  
 
(って、わたし敦賀さんが途中でやめちゃったの、残念だと思ってる?!  
 恋人でもない人とえっちな事を続けたがるなんて破廉恥極まりないわ…  
 こいびと…さっきの「受け入れる」って…恋人ってことかな…)  
 
蓮が戻って来てキョーコに覆い被さる。  
 
「待たせてごめん」  
 
すると予想外にも、キョーコの方から抱き付いてきた。  
 
<!!!>  
 
血液が逆流しそうだ。  
 
<…喜びたいけど、見られたくないだけかもしれないしなあ。読めない子だ、ホントに>  
 
すっかり、糠喜びを避けるように学習してしまった自分がちょっと悲しい。  
内心はともかく、行動ではきっちりお応えして、額、頬、顎、唇にキスを降らせた。  
そのまま胸の頂にもキス。  
舌先でくるみ、啄み、唇で挟む。  
 
「あっっ!」  
 
気持ち良い。  
乳首を舐められるのが気持ち良いなんて、想像したこともなかった。  
乳首だけではない。  
触れ合う肌も、指も、さらさらした髪も…敦賀さんって気持ち良い。  
蓮はなおも丹念に吸いつき、つつく。  
 
「はあっ、あっ、あんっ」  
 
もっと触って欲しい。  
もっと吸い付いて、もっと…  
いつの間にか、蓮からの愛撫を求めるようになっていた。  
 
キョーコの昴ぶりを見て、そろそろ頃合かと、手早くこっそりと避妊具を身に着け、  
キョーコの下腹部へと手を伸ばした。案の定とろとろに潤っている。  
爪を当てないように注意しながら、そっと指を動かした。  
 
「ひゃあっ!」  
 
間抜けな声をあげてしまったが、乳首の時とは違う、  
痺れるような、熱いような感覚に、早くも捕われ始める。  
 
くちゅっ。  
ぬるぬるした陰裂を上下にすべる指が、時折浅く差し入れられ、音を立てる。  
 
「んっ、ん…ぁ」  
 
熱い吐息と共に、もれる嬌声。  
充血し、蓮を待ち構えていたかのような突起に、  
そうっと指の腹を乗せ、小さな円を描きながら圧迫した。  
 
「あ――!」  
 
そのまま、陰唇に沿って優しく指を行き来させる。  
 
くちゅっ、くちゅっ、くちゅっ…  
 
頭がばくばくして、顔が熱い。全身を血液が暴れているみたいだ。  
キョーコは高まってきたものの、どうしていいのかわからない。  
無意識に、蓮の指を握っていた。  
それに気がつき、蓮は手のひらを合わせて指を絡ませる。  
 
はあはあと苦しげにも見えるが、快感に押し流されているキョーコにキス。  
視界を奪ったまま、脚をあげさせ、蓮自身をキョーコの秘所にあてがった。  
 
「っ?」  
 
指とは違う、熱く堅く大きな感触に一瞬戸惑った。  
しかし、キョーコにはハッキリ理解できていないらしい。  
 
挿入してしまわないように角度に気をつかいながら、ゆっくりと腰を動かす。  
蓮の陰茎が、キョーコの陰唇と突起をスライドして攻め立てる。  
 
ぐちゅっ、ぐちゅっ…  
 
リズミカルに響く音。再び、キョーコは高まってゆく。  
 
「あっ、あっ、はあっ…」  
 
耳元をくすぐる声と、自身に加わる刺激、  
なにより愛しい少女の乱れた姿に、蓮も快感に流されそうになる。  
こんなに華奢にも関わらず、予想外に柔らかな肉体に溶けてしまいそうだ。  
 
「あんっ…敦賀さんっ」  
 
例えるなら目眩、あるいは貧血か。  
それらとは似て非なるベクトルで、一点に意識が集中してゆく。  
ぎゅっと眉根を寄せ、何かをこらえるように体をこわばらせる。  
熱い。甘い。  
気持ち良くて、ずっとこの快感を味わいたいのに、早く楽になりたい気もして、なにがなんだかわからない。  
ただただ一面の白に塗りつぶされてゆく。  
 
ぐちゅっ、ぐちゅっ、ぐちゅっ…  
 
「あ――」  
 
一気に世界が拡散する。  
 
「つるが、さっ、ぁんんっ…!」  
 
びくびくと身体をふるわせ、ぎゅうっと手を握り締める。  
 
「すきっ…」  
 
自分で発した言葉を気付いてか気付かずか、ぼんやりと薄まる意識の中、  
 
(そっか、わたし、敦賀さんのこと、好きなんだ…)  
 
くたりと脱力した。  
 
指を握って来てもらえたことに嬉しさを噛み締めながら、  
だんだんと切迫してゆくキョーコの様子を伺う。  
 
くーっ、このまま、この娘の中に入ってしまいたい。  
だが、初心者で初体験で、なにより強引に事に及んだ状況で肉体的苦痛まで与えたとなったら、  
今後恐怖と忌避の対象どころか、二度と顔を合わせる事もできないかもしれない。  
せめて、快感で満たしてやりたい。と思うのは、自己満足に過ぎないだろう。  
それとも保身か。そうだとしても…。  
 
考えを巡らしながらも、次第に余裕が失われる。  
挿入したとき程ではないが、こすれあい飲み込まれそうになる感触は確かに蓮を追い立てる。  
あたりに響く卑猥な音と可愛らしい喘ぎ声が、聴覚をも支配してゆく。  
 
蓮の動きは徐々に速度を増し、それと共にキョーコの限界がやって来た。  
蓮の名を呼び、身体を震わせ、握り締めた腕は蓮を引き寄せ…微かな声で「すき」と呟いた。  
 
「好き」  
 
収縮が膣口、陰唇に伝わり、びくびくと蓮に微妙な刺激を与えた時、この言葉が飛び込んで来た。  
頭は真っ白で何も考えられなかったのに、理性が理解するより先に、身体が反応してしまう。  
 
<なっ…!嘘だろ>  
 
自分自身をぐっとキョーコにおしつけ、きつく抱き締めながら。  
 
<敦賀蓮ともあろう者が。信じられん>  
 
蓮は、達してしまった。  
 
<ちょっと待ってくれ…まだまだ全然大丈夫だったはずなのに>  
 
深く息を吐く。  
 
<重症なんだな…。俺>  
 
冷えないように上掛けでキョーコを包むと、その外から軽く抱き締め、キョーコの目覚めを待つ。  
どうか赦してくれますようにと祈りながら。  
 
<さっき、好きって言ったよな…>  
 
うわ言か、聞き間違いか…?  
もし、本当だったら。  
どうしようもなくキョーコに溺れてしまうだろう、と外れようのない予想をしていた。  
 
 
さらさらと髪を弄ばれる感触で、目を覚ました。  
結構な至近距離からの優しいまなざしにどぎまぎしながら、先ほどまでの事をまざまざと思い出す。  
 
(あんな恥ずかしい事をしちゃったんだ私、この人と!)  
 
「きょ…最上さん。…キョーコちゃん、目が覚めたかな。ええと、シャワー使うよね?」  
「あっ、そうですね、はいっ、お借りしたいです、でもあの」  
「ん?」  
 
どうしたの?と柔らかに微笑む。  
飛び切りの神々スマイルに眩みそうになりながら、必死に眼をそらさず見つめる。  
 
「わたし、敦賀さんの事が好きです。ラブミー部のくせに…  
 愛とか恋とかって気持ち、自分の中に存在しないし、忌まわしいって思ってたのに。  
 もちろん、敦賀さんに釣り合うなんて思ってないですけど…  
 
 それに、あの…なんか、すごく気持ち良かったんです!  
 訳がわからないくらい、私、もしかして変なんじゃないかなとか、それで、  
 …もう、なにが言いたいんだろ」  
 
語尾がしどろもどろになってゆくキョーコを、  
蓮は天啓がくだったかのように溌剌と、キラキラ輝きながら抱き上げた。  
 
「シャワー浴びようシャワー。一緒に!大丈夫、綺麗に洗ってあげるから。  
 それから、もが…キョーコちゃん、ここに住まない?流石に無理かな…  
 近くに部屋借りようか。悪い虫が近付けないように厳重なところで、  
 いやいやそれよりも、あー、もうダメだ、君を手放せる気がしない。」  
 
「つ、敦賀さん…?あの」  
 
「愛してるよ。キョーコちゃん」  
 

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