「京子ちゃんって化粧一つで美人になるんだなー。俺とした事が見逃してたなぁ。敦賀君、君知ってた?」
「…そうですね、俺も最初は驚きましたよ。(素の彼女も綺麗ですけどね。)」
「おっと、京子ちゃん一人にしちゃダメだな。折角、今日一日エスコートする権利も獲得したし!じゃぁ、明日の報告楽しみにしとけよ。」
「………」
そそくさとキョーコの元へ駆けつけ、オレンジ色の飲み物を手渡す貴島
「ねぇ、京子ちゃん!これ美味しいよー?飲んでみなよ。」
「貴島さん、ありがとうございます。あっ、本当、甘くて美味しいですね!」
そんな二人を遠くから見つめる蓮と社
「ちょっ、あれアルコールじゃないのか?いくら二次会で取材陣がいないからって…蓮、止めないのか?」
「………」
、、、一時間後、、、
「……き、きょうこ…ちゃん……」
「…き、貴島さん…」
「ん……」
「あっ…あの……貴島さん、だ、大丈夫ですか?」
「…ふ、ふにゃ…(な、何でだぁ?俺は結構酒には強いし、京子ちゃんにはカクテルをこっそり、沢山飲ませたのに…)……ね、ねむい…」
「えっ?…では、ホテルにお部屋を用意していただきますね」
「…(やったぁ!鴨が葱しょってきた!!)」
、、、、
「京子さん、ありがとうございます。お手数をおかけして申し訳ありません。」
「いえいえ、お気になさらずに、後輩として当然の事です!」
それに、酔っ払いの扱いは慣れてますから!
その頃の貴島…
(あれ?何で俺、ベットで一人寝てんの?)
「…最上さん…」
「……っ!!」
後ろから、かけられるバリトンの良く通る声。それだけで誰だか分かる…よりにもよって、今一番会いたくない人!キ、キョーコ、頑張るのよ。な、仲居魂よ!
クルリッと勢い良く身体を回転させ、蓮を真っ直ぐに見つめる
「何でしょう、敦賀さん」
仲居魂もしっかり入って、ニッコリと笑って見せた
「…はーーーっ」
何で、ココでダメ息ーーー??!今はセツカじゃ無いわよ?!
「…もう良いよ。とりあえず、こっちに来なさい…」
なっ何ーーー?!
ちょっ、ちっ近いんです!何で肩やら腰やら支えてるんですか?!破廉恥よーーーー!!!仲居魂が抜けて鍵が外されたらどうするのよーーーー!!!
そのまま、あれよあれよと、人気のない場所へ連れて来られた
「君、いくら先輩から勧められても飲んじゃダメだよ。アルコールだって知っていただろう」
「…うっ…」
「大体君がそんな事も分からないはずが無いんだから」
あ、敦賀さんは知ってたのよね…
「…旅館でも、その、無理矢理勧められる事は、、、あったんです。…自分は、簡単には酔いませんし……大丈夫かなっと…」
「…はぁーーーっ…(普段は真面目すぎるほど真面目なのに、こんな時だけ)…」
「…あの、だから…大丈夫、ですから…ソノ、ハナシテイタダケマスデショウカ?」
「…ん、あぁ。ゴメン、無理。」
へっ?
「君、自分じゃあ気がついていないだろうけど、身体中真っ赤だよ。最上さんの事だから、何か役になりきってやり過ごしてるんだろうけど……このまま、アルコールの匂いをさせて下宿先にも帰れないだろう?」
「…ウッ…」
「足元も微妙に覚束無い…何かあったり、役が抜けてからでは遅いんだよ」
何でこの人は、何もかもを見抜いてしまうの?
ふっと、油断した隙に、辛うじて付いていた仲居魂が完全に抜けてしまった…酔いが一気に回ってくる
「…もっ、最上さん!?…もがみ………」
…あぁ……遠くで敦賀さんの声が聞こえる…
…あったかくて……良い匂い……コノママ………
…頭、痛い……
喉乾いちゃった…水、欲しいな
冷蔵庫を見つけて、ミネラルウォーターを半分ほど飲んだところで、ボンヤリと周りを認識し始める
見慣れた部屋、ただそこは…
「きゃぁぁぁぁあああああぁぁぁぁぁあああああっっ!!!」
「も、最上さん!大丈夫?!」
私の叫び声に驚いて寝室から出てきたのは、一番会いたく無い人で…
「…な、な、な、」
「何故って、君が酔っ払って潰れてしまったから、下宿先にも、カインのホテルにも連れて行けないから…社さんと二人で家に連れてきたんだよ
(これは本当。俺は、反対したのに…何で自ら首を締めなきゃならないんだ…でも、ホテルに一人置いて嘔吐物で窒息死したらどうすると社さんに迫られて…)」
「…き、き、き…」
「着替え?大丈夫、パジャマになりそうな物を渡したら自分で着替えてたよ。見ていないから。(これも本当。社さんに君の着替えを見せるつもりも無いしね)」
「…ね、ね、ね…」
「あぁ、君はゲストルームに寝てたよ?それとも…腕枕、して欲しかった?(何もなかったけど、タダでさえ理性が傾きそうなのに…『安心して』とは言えないな)」
「…っ!」
「…最上さん」
それまでドアの前に立ってた敦賀さんが、スッと一歩近づいた
「…それ、とっても魅力的だけど…もしかして、誘ってる?」
「…??」
この人は、時折よくわからない事をよくわからないタイミングで仰る
「…意外と言うか…でも、とっても似合ってるし?…俺としては、そうだと嬉しいんだけどね…」
ひっ!!何でココで彼(夜の帝王)なのーーー??!
「酔ってる娘に手を出すのは主義に反するけど…今、君はシラフだもんね……」
いや、何の事かわかりませーーーーん!!!
「クスッ…まだ分からない?…ソレ」
と、私の方を指差した
5分後…
自分の格好(セツカ嬢仕様エロかわ肉食系女子下着)を見て全てを把握するのと、その場が阿鼻叫喚と化すのは同時だった