インタビューを終えパーティー会場へと戻ると、さっそく貴島に声をかけられた。  
「あれ?敦賀くん、京子ちゃんは?」  
我が物顔で彼女の名を呼ぶ貴島に、嫉妬の入り交じった嫌悪を感じる。  
「あぁ彼女ならインタビュー後具合が悪いって言い出して。部屋で休ませてるよ」  
「え?部屋って?どこの?」  
「さぁ……?スタッフが連れて行ったからそこまでは確認してないな」  
「えぇ〜?そうなの〜?相変わらず使えない男だなー」  
俺の返答に落胆した声をあげる。  
彼女の休んでいる部屋を知ってどうするんだと、聞かないでも察しはついた。  
「しょうがないな〜。大原ちゃんのとこでも行ってくるかー。」  
「あぁ、楽しんで。」  
笑顔で貴島を見送り、スポンサーや局の重役たちと談笑をする。  
それから間もなくの後、メディア向けの一次会が終わり会場の撤収作業が始まった。  
社さんからは二次会も参加しろと言われていたけど……  
俺はどさくさに紛れ集団を離れ、ホテルの一室へと向かった。  
 
 
「やぁ、お待たせ」  
煌々と明かりの灯るホテルのベッドルームに足を踏み入れる。  
「つ……るが、さん……?」  
そこには目隠しをされ、手足を縛られた状態で横たわる最上さんの姿があった。  
貴島に贈られたドレスはとうに裸に剥かれ、一糸纏わぬ姿が俺の欲情を駆り立てる。  
膝を折り右手と右足、左手と左足を縛り付け、  
大きく開かせた脚の間からは彼女の秘部がまる見えだ。  
「パーティーが意外に早く終わって助かったよ。  
けど君のお仕置きには物足りなかったかな?」  
ネクタイを緩めながら、彼女の横たわるベッドに腰をかける。  
「やぁ…どうして…」  
おそらくアイマスクの下では涙をいっぱいに浮かべてるのであろう、  
彼女の口から弱々しい声が漏れた。  
「言っただろ?あんな格好でノコノコ他の男と現れた罰だよ」  
「あれは…貴島さんがっ」  
彼女の肩に触れる。ビクッと全身が跳ねるのを感じた。  
「ドレスはなりゆきだった?じゃあこの肩に手を置かせたのは?」  
「ぁ…やぁ…っ」  
肩から脇腹をなぞり、彼女のくびれにたどり着いたところで手をとめる。  
触れるか触れないかのわずかな力加減で腰に手を這わせる。  
「ここも触らせていたね?俺以外の男に。」  
ぎゅっと彼女の体が硬直し、切なそうな声をあげる。  
「あまつさえ付き合おうなんて言われてあっさりOKするなんてね」  
「それは…冗談だと思ったし……それにちゃんと後で断りました…っ」  
うん、後ろで聞いていたから知ってるよ。  
だけど意地悪く問い詰める。もう一度君の口から、確かな言葉を聞きたくて。  
「へぇ、なんて言って断った?」  
「……純潔を、命に代えて守り抜くって……っ」  
「いい子だ」  
ふっと微笑み、彼女の唇を蹂躙する。  
初めは驚いていたようだが、従順な舌はすぐに俺に動きを合わせた。  
「んっ、はふっ、つる…が…さん、、」  
息も切れ切れに俺の名を呼ぶ。鈴の音のような声が愛らしい。  
今までも幾度となく、彼女とこうして唇を重ねてきた。  
役作りのために自宅でウォーキングを教えた夜。  
バレンタインの後、不破とのことを塗り替えるように求めあった夜。  
それからカインとセツとして過ごした夜。  
だが俺の欲望を彼女の中に吐き出したことは一度もない。  
『生涯純潔を命に代えて守り抜く』  
彼女が口にしたその言葉は俺に対しても例外ではないのだろう、と。  
ずっとそう思っていた。  
何よりも、彼女に拒絶されるのが怖かった。  
だから一線だけはずっと越えないように堪えてきたのに―――  
 
『それって』『敦賀さん』  
『私をどうにかしたいって』  
『言ってます?』  
 
仕掛けたのは君の方だ。  
 
もちろん彼女の言葉に俺の想像したような思惑がないことなどわかっていた。  
どうせこの子のことだから、俺を誘惑してるつもりもさらさらないのだろう。  
だけどずっと我慢してきた俺にとっては起爆剤になるには十分だった。  
彼女の耳を甘噛みし、ふっと息をふきかける。  
「ふわぁ…っ!」  
君は耳が弱いんだよね、ここを舐めるととびきり甘い声をあげる。  
指先を胸に伸ばすと、案の定、キュッと縮まった尖端が、  
まるで触って欲しいと言わんばかりに主張する。  
「最上さんは耳を舐めると乳首が硬くなるね。気持ちいいの?」  
オブラートに包まず、わざと直接的な言葉で彼女の被虐心をあおる。  
「……言わないでください……っ」  
彼女の体がぷるっと震える。  
やわやわと胸を揉みしだき、時折乳首の周りを指でなぞる。  
ゆるやかな刺激から、急に指で弾くと彼女はいっそう甘い声をあげた。  
そのか細い膝に手をつき、開かせた脚の間を覗く。  
そこは想像した通り、溢れ出る蜜で濡れそぼっていた。  
「すごいね。下の口がびしょびしょだ。縛られたのがそんなに良かった?」  
わざと呆れたように笑いながら言う。  
彼女は歯を食いしばり、羞恥に堪えているようだった。  
俺は今すぐそこに触れて快感を与えてやりたい衝動をぐっとこらえる。  
「ほら、舐めて…」  
ズボンから取り出したモノを彼女の口に突き入れた。小さな口はすぐにそれでいっぱいになった。  
根元まで入りきらず、無理矢理押し込もうとすると彼女が苦しそうな声をあげる。  
贖罪のつもりなのか、懸命に舌を使い俺のモノを舐める姿が愛しい。  
恍惚に眉間を歪ませる。  
ズルリ、とそれを引き抜くと彼女の唾液が糸を引いた。  
「敦賀さ…、いつもみたいに、私の…に、触ってください……」  
「ダメだよ。これは君へのお仕置きなんだからね。  
いつもみたいに気持ち良くはさせてあげられない」  
頬を赤くさせ、イヤイヤと首を振る君。  
キスの後、いつも決まって彼女の胸やまだ幼さの残る花芽にも手を触れていた。  
『外国で仕事をしているとボディタッチは当たり前だよ。  
もちろん誰にでもするわけじゃないけどね?  
俺が触れるだけなら純潔が汚れることにはならないよ』などとたらしこんで。  
そんな言葉を半信半疑で聞いていた彼女も、  
いつしか自分から俺の手を誘導するまでになった。  
だけど、今日は触ってあげない。  
そう、これは罰なんだ。  
俺以外の男に頼った罰。  
俺以外の男に肌を触れさせた罰。  
君には身をもって俺の怒りを受け止めてもらうよ。  
 
彼女の花芯に俺のモノを擦り付ける。  
触れてもいないのにそこには愛液が溢れていて、  
たとえ彼女の意志に反していても俺を受け入れてくれるようで嬉しさがこみあげる。  
割れ目を這うように往復すると  
彼女は唇をわずかに開き、快感に身を委ねているようだった。  
いつもはここを何度も指で擦り、彼女を絶頂へと導く。  
そのたびに彼女は体をのけ反らせて一際高い声をあげる。  
だけどごめんね、今日は優しくできない。  
君の躯の中まで犯す。  
わずかに綻んだそこに俺のモノをねじ込むと、異変を感じた彼女が体を硬くする。  
「敦賀……さん?……、痛……っ!」  
腰を浮かせ、俺から逃れようとする。  
俺は構わず中に進んでいった。  
「あっ、……んっ、痛い、ですっ!」  
まさかとは思ったが、『命に代えて純潔を守る』と言った彼女が  
間違っても舌など噛まないように口にタオルをねじ込んだ。  
「んむっ!んーーーっ!!」  
十分に濡れていたものの、さすがに初めて男を受け入れる中は硬くて。  
ゆっくりとほぐすように、徐々に彼女の中を俺の形に変えていく。  
「んっ、んんっ、……んっ!!」  
くぐもった声が響き、彼女の頬に涙が伝う。  
「…ごめんね、もう少しで全部入るから……っ」  
今まで、それなりに経験のある女の子たちだって、  
初めて俺を受け入れるときは苦しそうな表情をしていた。  
処女の君ならなおさらかもしれない。  
その表情を確かめたくて彼女の目隠しを外してやる。  
案の定、辛そうに眉をひそめ、俺に何かを訴えかけるような目をしていた。  
「んんっ!んんーっ!」  
「入った……」  
彼女の細い体が、根元まで俺を呑みこんだ。  
「最上さんの中、キツイね…。俺に絡み付いてくるよ」  
彼女は顔を真っ赤にし、何度も首を横に振った。  
「ごめんね、動くよ」  
彼女がおそらく激痛に堪えているのだろうということは表情でわかった。  
けれど突き動かしたい衝動をおさえられない。  
彼女の中に俺を刻み込んで、他の男が付け入る隙もないくらい君を独占したい。  
 
すべての欲望を彼女の中に吐き出した後、途方もない罪悪感に襲われた。  
自分のくだらない嫉妬や怒りに任せて、彼女を傷つけてしまったこと。  
拘束を解いてもなお、額に汗をかき、ぐったりと横たわる君を見て。  
「ごめんね……」  
彼女の髪を撫でると、焦点の曖昧なままの瞳が俺を捉えた。  
「……どうして謝るんですか?」  
私を抱いたこと後悔してるんですか?と彼女が言う。  
後悔してるのは君の方だろう?大事にしていたものを、強引に奪われて。  
そこまで出かかった言葉をぐっと飲み込む。  
例えわかりきったことでも、彼女の口から聞きたくなかった。  
「まさか、まさか敦賀さん――」  
彼女の大きな瞳が涙で揺れて、俺はギクリと全身を強張らせた。  
このあと彼女の口から出るのはきっと侮蔑の言葉。  
「まさか敦賀さん、本気で私には純潔でいて欲しいなんて思ってたんですか?」  
 
……ん?  
 
てっきりなじられる覚悟でいたのに、彼女の口から出たのは思いもよらない言葉で。  
「私、ずっと敦賀さんとこうなりたいって思ってたんですよ?  
なのに敦賀さん、いつも……その、……口と手でしかしてくれないし……。  
」  
「えっ、………え?」  
君はあれをただのボディタッチだと思っていたんだろう?  
あの愛撫に特別な意味などないのだと。俺はわけがわからず狼狽する。  
「敦賀さん、私もう17ですよ?  
いくら外国人の方でもボディタッチで……む、胸とか下半身とか  
触るわけないってことくらいわかりますっ」  
「えっ、あっ、それに君、自分で生涯純潔を守るって言ったじゃないか…」  
「あれは…っ、そのっ、敦賀さんに操を立てるっていう意味で……」  
真っ赤な顔をして視線を反らす。そうしてまたチラリと俺の方を見ると、  
絶対怒らないでくださいね?と言ってから耳元で囁いた。  
「『私のことどうにかしたいって言ってます?』って聞いたのは、  
私なりの精一杯の誘惑だっんですよ?」  
そんな可愛い告白を聞いた俺は、うなだれることしか出来なくて。  
「……まったく、君には完敗だ」  
ずっと主導権を握っているのは俺の方だと思っていた。  
なのに、巧みな君の甘い罠に躍らされていたのは俺の方だったなんて。  
「だけど縛られるのは計算外でしたっ!敦賀さん、ちょっと怖くて……」  
「ごめんっ、それは本当に、ごめんね…。」  
まだ跡の残る彼女の手首に口づけをする。  
そして「もう一度君を抱いてもいい?」と聞く俺に、君は特上の笑顔で頷いた。  
 
 
 

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