「敦賀さん、私のこと嫌いですか?」  
「???どうした…? こんな急に何を?」  
「・・・急な事はいけませんかぁ?・・・―――嫌い?」  
「嫌いなことは・・・ないけど―――」  
「・・・けどって―――なんですか!?―――・・・やっぱり私、嫌われてるんだ・・・」  
「そんなことは言ってない!」  
「じゃあ好きってことですよね。―――良かった!!」  
とキョーコは蓮の首に腕を巻きつけ唇を塞いだ。  
状況を飲み込めず硬直し何かの間違いかと動揺している間に口吻けは激しさを  
伴い、勢いベッドに押し倒される。そんな蓮は混乱を極めているがキョーコの  
細い指が蓮の頬を包み込み更なる行為を重ねる。優しく、時には啄ばむように  
甘さを織り交ぜて吐息が重ね合う。幾ばくかの時が流れキョーコは  
名残惜しそうに赤い唇を離すと思いがけず紡がれた糸が一瞬二人を繋ぐ。  
しばらく熱ぼったい視線を注ぎながらキョーコはか細く搾り出すように  
言葉を繰り出す。  
「私、敦賀さんのことはすごく尊敬する先輩だったんです。・・・でも、  
それだけじゃない、何かざわついた想いがずっとしこりのように  
引っかかっていて・・・。それが何なのか解らずにいて、なにかずっと  
気持ち悪くて・・・。何回も自分に問いかけて、何度も何度も考えて・・・。  
そうしたら行き着く先の答えがいつも一つしかなかったんです・・・―――」  
 
言い終わるかどうかのところで恥ずかしそうにふいっと視線を外す。  
蓮が驚きのあまりしばらく身動ぎできないでいる間に胸元へ蹲り  
キョーコはずっと俯く。呆けたままどの位の時が過ぎたであろうか、  
その顔を真っ赤にしつつ困った表情でそろそろと覗き込んだかと思うと、  
どうしていいのか解らない・・・そんな困惑を浮かべながら  
やっと聞こえるかというくらいの小さな声が聞こえてきた。  
「・・・―――好きです―――・・・」  
表情と声と言葉に完全に嵌められた。  
そう自覚する間もなく自ら力強く抱きしめ口吻けをしたかと思うと  
自分でも呆れるくらい巧みに重心を移し、先程までの位置を完全に入れ替え  
今度はこちらから両の手首をまとめながら押さえ込み視線を絡めて言い放つ。  
「・・・やっとわかってくれたね・・・。」  
 
「俺も君の事が・・・。」  
「・・・私の事が?」  
頬を赤らめ恥じるように上目遣いで見やるキョーコを視線で  
捻じ伏せる。―――もう言葉は要らない。今まで色々な決心があった筈で  
あったが、もうどうでもいい。もう君を離したくない・・・。  
 
―――そう思ったところでマネジャーの社に起こされた。  
「蓮、蓮!」  
「・・・?」  
「蓮。大丈夫か?何かモゴモゴうなされていたけど。」  
「・・・・・・はい?」  
「なんか念仏みたいなモノ唱えてて。夢見でも悪かったのかい?」  
「・・・え、あ、あぁ、えぇ。・・・ある意味死にそうな思いをしましたよ・・・。」  
「ああ、なら良かった良かった。ほら、悪い夢って最後まで見ると  
気分悪いじゃない?」  
「・・・―――はい、そうですね。―――・・・」  
「たまには俺も役に立つんだなぁ♪」  
 
 
・・・この時ばかりは暢気な社に殺意を憶えた蓮だった。  

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