あるところに 「きょーこちゃん」という かわいいこひつじがいました。  
かわいいですが 悪霊がだせます。以前わるいハイエナにだまされたせいで、うらみ心が悪霊になるのです。  
さてまたあるところに、もうひとりひつじがいました。「つるがさん」といいます。  
とてもかっこよくてやさしいとみんなに評判ですが、きょーこちゃんがそう思ったことはあまりありませんでした。  
きょーこちゃんと出会った最初のころは、いじわるだったからです。しかも怒ったときは大魔王でした。 とても怖かったのです。  
だからきょーこちゃんはつるがさんに悪霊をだしたことはありません。(もっとも、うらみはないのでだす必要もありません)  
そんなふたりですが、演劇を通してこのごろなかよしになりました。  
つるがさんはよい先生となって、きょーこちゃんに色々教えてくれます。  
今ではきょーこちゃんはつるがさんを尊敬しています。  
 
ある日、二人はつるがさんの部屋にいました。  
最近つるがさんの元気がなくてようすがおかしいので、心配したきょーこちゃんがたずねてきたのです。  
きょーこちゃんはお部屋で寝ているつるがさんにご飯を作ってあげたりしました。いい子です。  
それから二人は、いつものように演劇の事とかいろいろ、おはなしをしました。  
つるがさんはこころよくはなしをしていましたが、やはり元気がなくもやもやしていました。  
このごろ自分を保てなくなるときがあるというか…なんだか調子が悪いのです。  
まずいなあ、と思います。  
つるがさんにはひみつがありました。だれにも明かしてはいけないものです。  
きょーこちゃんにだって、一番ばらしてはいけないのです。  
本当は自分は「・・・・」だなんて。  
 
ふときょーこちゃんが聞きました。「せんせいのべっどは、なんでこんなにおっきいんですか?」  
唐突ですが、以前からふしぎに思っていた事のようでした。  
それもそのはず、今つるがさんが寝ているベッドは、本当におおきいのです。  
つるがさんはいっしゅん言葉につまりました。それは、ひみつに関わることだからです。  
でもすぐ気を取り直してこたえました。役者ですもの。  
「それはね、せんせいのからだがおおきいからだよ」  
きょーこちゃんはうなずきました。つるがさんはきょーこちゃんよりずっとからだが大きいです。  
でも、まだきょーこちゃんはふしぎです。  
「でも、このべっどは、せんせいよりずっとおおきいです。おおきすぎです。なんでなの?ねるだけなのに。」  
疑問をもつのももっともです。つるがさんが三人いたってだいじょうぶなおおきさなのです。  
まいったなあとつるがさんは思います。これ以上どう答えようかと思います。  
…ほんとうは、ここがとてもこわい場所だとしったら、この子はどうするだろう…?  
こたえを待っているきょーこちゃんはいっしょうけんめいつるがさんを見つめています。  
つるがさんは、ふっと、かわいいな…と思いました。  
…え…?  
今まで感じたことのないおもいに、つるがさんは動揺しました。  
きょーこちゃんにだって、ほかの女の人にだって、そんなことをかんがえたこと、無かったんです。  
…まずいな、自分で自分がわからなくなるとは、化けの皮がはがれてきたのかもしれない…  
つるがさんは困りました。  
こうなったら、とにかくごまかすしかないと思いました。  
とっさにごまかしをかけるなんて、いつもならそんなうかつなまねをするはずが無いのですが…  
つるがさんはまるでゆうわくするかのよーな笑顔を作りました。  
そしてベッドサイドですわっている、きょーこちゃんの肩をひきよせました。  
「教えて…あげようか…?」みみもとで、低くつぶやくのです。  
 
きょーこちゃんはいつもと何かようすのちがう先生にちょっとびっくりしましたが、調子の悪いせいかな?とおもいました。  
そして、よろこんでうなずきました。いつものお勉強だと思ったのです。  
先生は、「君さ…キス…したこと、ある…?」と聞きました。  
びっくりしたきょーこちゃんは、とにかく正直に、くびを振りました。  
方向はよこです。ないということです。  
つるがさんは、にっ とわらいました。  
予想通りだとおもったのですが、なんだかこころが明るくなった気もするのがちょっとひっかかるところ。  
それはともかく、つるがさんは、では…とくちびるをきょーこちゃんのそれへとちかづけました。  
きょーこちゃんが焦って逃げていけばいいとおもったのです。  
ですが、これは計算違いでした。  
きょーこちゃんは、さっきのなまめかしいつるがさんの笑顔を見て当惑しつつ、  
…おしえてほしいっていったんだもの、ちゃんときいていないと……  
なんて、きょーこちゃんは、すなおにせんせいのする事を、ついつい待ってしまいました。  
そう、お勉強中のつるがさんはいつも真剣できびしいのです。今日はなにかが違うなんて、思いませんでした。  
まじめなかおで待っているきょーこちゃん。  
つるがさんはその表情に、見いってしまいました。  
すると、このごろ抱えていたもやもやのひとつが形をとりました。  
…抱き締めたい…  
 
「こんなはずじゃなかったのに」という言葉がありますが、このときの二人のあたまの中はまさに同じでした。  
ただしきょーこちゃんのあたまのほうは、段々もうろうとしてしまってます。  
つるがさんのあたまのほうもはっきりしているとは言いがたいです。  
つるがさんにひきよせられて、きょーこちゃんのからだはベッドの上に乗せられてしまっていました。  
そして今や、つるがさんの体ですっぽりおおわれてしまっています。  
ながいキスが続いていました。  
…なんで…?  
なんでこんな事になったのか、きょーこちゃんはわかりません。  
キスされているということさえ、よくわからないくらいです。  
だって、どうわの中のキスとはちがいますから。  
かるがると抱き上げられて、おしたおされて、ぎゅぅっと抱き締められて、おどろく間もなく・・・  
くちびるを、おおわれてしまいました。  
あとはもう…  
するりとはいってきた、なまあたたかくて、ざらりとしていて、なめらかな、そんなものが、くちのなかをすみずみまでなでまわ  
 
していくにまかせていました。  
なでまわされたり、すわれたり、かるくつつかれたり。  
激しくうごくのに、それはとてもやさしくて。  
…なんでこんな、ぼんやりしちゃうんだろう、とけてゆくみたい…  
しんぞうがはやく、とてもはやく動いてることしか、わからなくなってきました。  
 
…こんなはずじゃなかったのに…  
と、なんどかあたまの中ではつぶやくのに、つるがさんは抱き締めたうでをはなすことも、  
はげしいくちづけも、やめることが出来ません。  
いままで、こんなことをやったことがなかったわけではないのです。  
それなのに、まるで勝手がちがっているのです…  
つよく抱き締めたときの、むねのあつい感覚。  
すべりこませた舌の動きにとまどう反応をかえす、きょーこちゃんの、ぎこちない舌と唇。  
「んふっ、ふ…ぅう…」  
もれてくる吐息に、どこまでも追い立てられてしまいます。  
そのまま、抱き締めたうでをゆるめて、徐々に手のひらできょーこちゃんの体をなでまわしてゆきます。  
ときおり、ぴくりとふるえる感触があって、なんだかつるがさんはうれしくなります。  
そこにつよく触れてやると、「くぅんっ、ふ、ぁ…」吐息が、かわいい声になるのです。  
ただなすがままにされている無力な、ちいさなからだに…  
しめつけられるようなせつなさが、いとおしさがうまれてゆきます。  
つるがさんは、ゆっくりと手をすすめます。  
「っぅ、ぁう…ぅん…っ」  
キスのために敏感になっているのでしょうか、服の上からなでられるだけでも声がもれてしまっています。  
そんなきょーこちゃんの声を聞いているだけでくらくらしてきます。  
 
でも、と、あたまのどこかが冷静になろうとします。  
ここではまずいんだ…  
そう、かくさなくてはならないひみつがあるのです。  
つるがさんは、いままでにも何人かのひつじさんたちをここに連れこんだことがあります。  
キスもした事があります。  
でも目的はそうじゃなくて。  
最後には、いつもベッドの半分があかく染まって終わり。  
 
…そう、つるがさんは、ひつじではなくて、おおかみ だったのです。  
今はもう、むかしのことですが。  
 
つるがさんは、ひつじたちの群れに入る時、にどとこんな事はしないと、決意しました(当然です)  
大体、ひつじを食べるのも、特に好きではありませんでした。  
だから、全然、ぜーんぜん、たえられると、思っていました。  
…なのに。  
今、じぶんの中でせっぱつまった感覚がたかまるにつれて、  
…まずいんじゃないか…  
そう思わずにはいられませんでした。  
こんなに、こんなにつよく、からだを求めたことはないのです。  
まさか、いままで「こんなことはしない」と押さえ込んでいたのが、たまりたまっていて…  
だめです、それはだめです。  
今の自分では、それはやってはいけない事。  
何よりも、きょーこちゃんを傷つけたくなんか、ないのです。  
でも。  
どんどん、自分のなかの感覚が、あつく高まっていってしまいます…  
つるがさんは、きょーこちゃんの服のすきまから、手をさし入れました。  
「っ、は…んぁあ…」  
やわらかい肌に手をすべらせると、どんどんあまくなっていっている、声が、しました…  
つるがさんは、むかしにしか感じた事の無いような、強い衝動を感じました。  
…だめだっ…、傷つけるわけには、いかないのに…!!  
意識がブレーキをかける反面、そのまま、衝動に流れていくようにもおもえて…  
なにもかも、まっしろになりました。  
 
ぼんやりとやさしい快感の中から、いっしゅんきょーこちゃんは目をみひらきました。  
つるがさんがとてもこわい表情をしていたような気がしたからです。  
まるで・・・・みたいな。  
でも。  
「やっあ…ああっ、はぁ、ああぁん…」  
ぼんやりした感覚が、いきなり鋭くなって、きょーこちゃんはおおきく声を上げました。  
ふときづくと、きていたはずの服が、すっかりぬがされていました。  
つるがさんのおおきな手が、からだにじかにふれていて…  
くちびるは、胸にふれていました。  
きょーこちゃんのかわいい乳首に、つるがさんはていねいにすいついて、舌を使っています。  
…え…なんなの…これえぇ…  
さっきまで、そのくちびるがふれていたくちびるも…すごく気持ちよかった。  
でも、これは、なんなの、こんな、全身にひびくような…  
「や、だ…っ」  
はずかしいと思ったのもつかのま、なにもかんがえられなく、されました。  
「きゃあぅっ…」  
もう片方が、つるがさんの長い指でつままれてなでられてしまいます。  
一方は、いまだくちびるで愛されたままで…  
「せ、んせ…、や、やんっ、やぁああっ…」  
だめ、両方は、片方だけでもヘンになっちゃうのに…っ  
つぎつぎとあまい声をあげながら、きょーこちゃんはいままでになかった感覚を下半身におぼえました。  
あつくなって、うるんでる…  
つるがさんのふれたところ、何処もかしこもがあつくなって気持ちいい、そんな中で、まだふれられていないそこが。  
ふと、ほおにあつい息を感じました。  
つるがさんがかおをよせて、もう何度目か分からない、キスをしました。  
「ふぁ…っ」激しくくちづけられながら、きょーこちゃんは叫びをもらしました。  
うるんだそこに、つるがさんのながい指がふれたのでした。  
ぐらり、と、世界がゆらぐようなかんじがしました。  
全身の、あついところがつながって、もう溶けるようです…  
「あっあっ、あぁああぁぁ…っ」  
 
 
「せん、せぇっ、いやぁああっ、いたぁいっ…」  
泣くような声で、つるがさんは我にかえりました。  
…え…?  
自分のからだのしたには、ぬれた瞳でこちらを見上げている、きょーこちゃんがいます。  
…何を、してるんだ、俺は…!?  
あわてて指を、きょーこちゃんのなかからひきぬいてしまいます。  
きょーこちゃんのあまりにあまく、かわいい声にさそわれるままに、性急に突き入れてしまって、  
きょーこちゃんを傷つけてしまったのだったと、だんだんと、記憶がつながりました。  
…なんて、事だ――…!!  
 
溶けそうなきもちが急に痛みにかわって悲鳴をあげたきょーこちゃんも、つるがさんの手がはなれて…  
からだのそこにあつい火が残ったような気がするものの、だんだんと、落ち着いてきました。  
つるがさんは、きょーこちゃんからはなれて、ベッドの上にうずくまってしまっています。  
きょーこちゃんはすっかり裸にされてしまっているのが恥ずかしくなって、すぐに服を着てしまいます。  
さっきまでの事は、あまりにも溶けそうで、気持ちよくて…現実離れしているようで。  
ゆめだったような気さえします。  
そんな今となっては、気になるのは、つるがさんのこと。  
頭をたれたまま、苦しげに震えているようです。  
「せんせぇ、だいじょうぶですか…?」  
先生は調子が悪かったのです。  
それなのに自分が押しかけて、長話してしまって…  
きっとなにかいけなかったんだ。  
きょーこちゃんは心配でたまらなくなりました。本当にいい子です。  
 
ですが。  
なんて事はありません、  
「あ―――――はっはっは――!!!」  
せんせい、笑ってるだけですから…  
かわいいこひつじちゃんをあんな目にあわせておいて笑い出すのもどうよ、という感じですが…  
つるがさんにはしかたの無い事、でした。  
だってこんな妙な展開、そうはありません。こんなの初めてです。  
…何もかもまっしろになった瞬間、つるがさんは、きょーこちゃんを傷つけてしまう事を覚悟していました。  
あかく染まった半分の視界を。  
ところが、これです。  
 
飢えたおおかみが、こひつじを前にして…  
牙をむくのを忘れて、ただ、抱こうとしていただけなんて――!!!  
 
一生ありえないでしょう、普通。  
つるがさん、笑いがとまりません。  
 
「せんせい…!」  
けげんな声が聞こえて、つるがさんはようやく笑いやんでそちらを向きました。  
心配なような、困ったような表情のきょーこちゃんがいます。  
あんまりしんけんなので、怖い顔になってしまっています。  
「せんせい、だいじょうぶですか?おからだがわるいのに、わたしがむりにおしかけたから…」  
ぐあいが悪いという人が、とうとつに笑い倒しているのを見たら、心配にもなろうものです。  
「それに、さっきのは…」  
きょーこちゃんの顔は、少しあかくなって…そしてすぐ硬い表情になりました。  
はずかしくて、こわくて、いたくて…なんて言っていいのか分かりません。  
自分がどう感じているのかも、なんだかわかりません。  
そんな反応に、しまったと思って、とっさにつるがさんが言います。  
「ごめんね、もう、だいじょうぶだから…。もう、すっかりなおったから。」  
ぱっときょーこちゃんの顔があかるくなりました。  
「なおったんですか!」  
もう、なにもかも気がかりな事を忘れてしまったかのように、すなおによろこんでくれています。  
本当にいい子です。(いい子すぎ、とも言います。)  
そんなきょーこちゃんをみて、つるがさんの胸があたたかくなりました。  
すっかりなおった、というのはうそではありません。  
本当にもう、すっきりとしています。  
やっとわかったのです。さいきんの調子の悪さの意味が。  
 
…俺は、この子が好きなんだな…  
 
うまれてはじめて知った感情ですが、間違いはありません。  
でなくて、あんな行動をするはずがありませんから。  
知らなかった、あんな自分は。  
この子が、教えてくれた…  
 
「きょうは、きみがおれのせんせいだったね…」  
つるがさんは、やさしくきょーこちゃんにわらいかけました。  
 
 
 
おしまい。  
 

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