敦賀さんの大きな背中をぼんやりと眺めていると、  
背中の泡が少し薄いような気がして、なんだか気になった。  
背中ってどうしても洗いにくいよね・・・  
垢すりタオルもあるみたいだけど、使う様子ないし・・・  
 
・・・私・・・逆上せちゃったのかな・・・  
普段の自分ならありえないことを言い出してしまった。  
絶対に振り返らないで下さいね!と念を押して  
スポンジを泡立て敦賀さんの背中に滑らせる。  
 
・・・大きな、広い背中――…  
 
敦賀さんに抱かれるようになって一つ分ったことがある。  
男の人の身体って、女の身体と全然違うんだ・・・  
想像も付かないくらいに硬い腕や背中で、  
いつも私のことを軽々と扱って。  
そういえばお姫様抱っこされたこともあったっけ・・・  
 
ぼんやりしながら洗えるところまで洗ってお湯で流すと、  
敦賀さんはありがとう、と綺麗に微笑んだ・・・  
・・・え、な、なんで似非紳士??!  
 
「・・・じゃ、次は君の番だね?」  
 
・・・つつ敦賀さん・・・さらりと恐ろしいことを言いませんでしたか、今?!  
 
「イエそんな滅相もないデス・・・私自分で洗いますから!」  
「まぁまぁ。さ、座って?」  
 
腰を引き寄せられて半強制的に椅子の上に座らされて。  
そんなぁ・・・こんな明るい所で身体を見られてるなんて・・・  
胸を腕で隠して、太ももをぴったり合わせて膝を下げ  
背中を丸めて出来るだけ身体を隠していると、  
首筋に後ろから口付けられた。  
 
「・・・っん・・・」  
 
甘い刺激に思わず声が漏れてしまって・・・恥ずかしいよ・・・  
敦賀さんは私の様子にはお構いナシでスポンジを軽く洗っている。  
 
「・・・敦賀さんはもう全部洗い終わったでしょう?  
 先に上がっててくださいよぅ・・・」  
「君がせっかく俺の背中流してくれたんだから、  
 俺も君にしてあげなきゃ不公平だろう?」  
 
「そんなの気にしないでk・・・ん・・・」  
 
不意に肩を抱かれ・・・有無を言わさず深く口付けられた。  
敦賀さん、自分だけ先に上がる気なんて  
これっぽっちもないんですね・・・(泣  
 
キスの合間にせめて明かりは消して下さいって懇願したら、  
それだけは辛うじて聞いてくれた。  
浴室の照明が消えると、ドアの曇りガラスから  
洗面室の明かりが柔らかく漏れてきて・・・  
うっすらと敦賀さんの整った横顔を照らしている。  
艶やかな微笑で見つめられて・・・いたたまれなくなって目を閉じた。  
 
大きな手が肩に掛かり、スポンジが首筋から背中を往復する。  
ボディソープの冷たい感触に一瞬身を震わせると、  
まだ石鹸の付いていないところにキスが落ちてきた。  
背中から胸の横をスポンジでこすられて、  
反対側の手は背中を泡を塗りつけるように撫でていて・・・  
・・・なにか、ヘンな感じ・・・  
 
・・・石鹸がついてる所、いつも触れられてるときより  
ずっと敏感になってる気がする・・・  
 
だってもう・・・胸の先が固く張り詰めてるし、  
身体の奥が少しずつだけどアツくなってる・・・  
まだ胸やあそこを直接愛撫された訳じゃないのに・・・  
 
「・・・敦賀さん、背中洗い終わりましたよね?  
 後は自分で洗いますから・・・スポンジ貸して下さい」  
「ん?駄目。俺の方が背中広いだろう?  
 君のちっちゃな背中洗っただけじゃ不公平だから、  
 もっと洗ってあげるよ?」  
「・・・またそんな屁理屈・・・んっ・・・」  
 
腕や足を捕られ指先や指の間まで洗われているうちに、  
ぬるりと敦賀さんに身体を撫でられるたびに、  
どうしようもなくため息が漏れてくる・・・  
 
そのうち正面に廻った敦賀さんは背中に手を回して  
私の身体を支えると、胸やお腹にもスポンジを這わせてきた。  
抱きかかえられる様にお尻も洗われて。  
 
触れられるトコ全部が粘膜になったみたいに、  
体中が甘く痺れてる・・・  
恥ずかしいのに・・・全身に力が入らない・・・  
 
敦賀さんの大きな手が不意に胸を持ち上げてきた。  
あ・・・と声を出してしまうと、胸の先を摘まれて  
笑いを含んだ低い艶やかな声で囁かれて・・・  
 
「ここ、どうしたの?触ってなかったのに、もう硬くなってるよ・・・」  
「・・・っあんっ・・・いやぁ・・・」  
 
やだ、いじめないで・・・敦賀さん・・・  
でも敦賀さんの指は無遠慮に私の胸を掬い、  
指の間で乳首を挟んで転がしている。  
張り詰めてしまって痛いくらい敏感になってるのに・・・  
石鹸で長い指がつるつると滑る度に  
痺れるように身体の奥が熱くなって・・・  
 
「・・・はぁはぁ・・・う・・・あんっ・・・」  
 
何も答えられずにため息で喘いでいると、  
背中からぬるめのシャワーを浴びせられた。  
私を抱きかかえるようにして敦賀さんは  
全身くまなく身体の泡を丁寧に流していく。  
でも・・・足の奥にだけは触れてこなかった・・・  
恥ずかしいのに・・・でもそこがひどくアツい・・・  
どうにも物足りなくて、もどかしくて・・・  
 
そのまま髪も洗われて全身さっとシャワーで流されると、  
濡れた髪をかき上げられながら優しいキスが降ってきた。  
深く舌を絡め、首筋を食まれて・・・乳首を吸われて。  
ちゅ・・・くち・・・っと微かなはずの水音が  
やけに大きくバスルームに響いてる気がする・・・  
その度に、そこから全身に痺れが走って、  
すごく気持ちいいのに・・・一方ではすごくもどかしい。  
 
敦賀さん・・・もっと、触って欲しいところがあるの・・・  
 
敦賀さんの手が太ももに触れ、ぬくもりが少しづつ這い登ってくる。  
指先が足の付け根まで来た。あそこまで、もう少し、もう少し・・・  
息を呑みながら指を待っていると、足の付け根の溝を  
からかうように軽く引っかいて、手が膝へ降りてしまう。  
 
「やあっ・・・敦賀さん・・・!?」  
「・・・ん?どうしたの?」  
 
敦賀さんの声はどこか笑いを含んでいて。  
どうしたの、なんて・・・そんなの言える訳ないじゃない?!  
でも・・・もうもどかしさも限界で・・・  
 
涙目になって何度も敦賀さんを呼んでいると、  
ようやく胸から顔を起こしてこっちを見てくれた。  
 
「・・・敦賀、さん・・・んっ・・・つるがさん・・・」  
 
触ってほしいの。敦賀さんに来てほしいの・・・  
私、いつの間にこんないやらしくなっちゃったんだろう・・・  
どうしたの?と聞かれて思わず肩から首に回した腕に力を込めて  
敦賀さんにしがみついた。  
 
「・・・欲しいの・・・?」  
 
思わずこくんこくんと首を縦に振っていて・・・  
もう、駄目・・・どうしたらいいの・・・  
 
「すごいね・・・もう、びしょびしょだよ・・・?」  
「・・・や、あっ・・・」  
 
軽くだけ触れられると余計にもどかしさがつのる。  
からかうような指先が返って憎たらしくて・・・  
そんな・・・意地悪しないで、お願いです・・・  
 
ごく浅く差し込んだ指で軽くかき回すと、  
ますます彼女はぎゅうっと俺にすがり付いてきた。  
 
「もっと、欲しい?」  
 
涙を目尻に滲ませて切実そうに頷いている彼女。  
・・・もっともっと、苛めてしまいたくなる・・・  
 
俺の首に腕を回した彼女をそっと抱いて床に横たえた。  
うつ伏せにして後ろから指をぐっと差し込むと、  
小さな悲鳴を上げて彼女の背中がびくんっと跳ねる。  
 
少しずつ貪欲を覚えていくキョーコちゃん・・・  
俺の指が動くリズムで身体をくねらせ甘い声をあげる・・・  
もっと俺の指を深く咥えるために、  
可愛いお尻が少しずつ持ち上がっているのを  
彼女は気が付いているだろうか?  
 
真っ白な雪原に思うように足跡を付け汚していく感覚に  
ぞくぞくする自分が抑えられない・・・  
彼女の心は未だ掴めないまま。  
ならいっそ身体にだけでも・・・俺を覚え込ませてしまいたい・・・  
 
敦賀さんに後ろから指を1本ぬるりと差し込まれた瞬間、  
体中に火がついたかと思った。一瞬で体温が上がって、  
もう充分潤っていたあそこにきゅうっと力が入ってしまう。  
人差し指が中を撫で、馴らすように揺らめいたと思ったら  
その脇から中指が滑り込んできて。  
長くて少し骨ばった2本の指が私の中で暴れ始めた。  
 
・・・あぁ・・・そんなっ・・・  
 
もう意味をなさない声が指に押入られる度に零れ出す。  
最初は浴室にこもる自分の声が恥ずかしかった筈なのに・・・  
もう駄目。与えられる熱い痺れがうねる度にお尻がくねって、  
あそこが指の動きにあわせてひくついてしまう。  
 
私、いつの間にこんないやらしくなっちゃったの・・・?  
 
指で私を攻め立てながら首から背中を食んでいた彼は  
すっと身体を起こすと、胸を掴んでいた手を腰に廻してきた。  
お腹を掬う様に手を差し入れてきて・・・腰を持ち上げられた?!  
 
「あっ!・・・何するんですか・・・こんな、ん・・・いやぁ・・・っ」  
 
下半身がすっかり膝立ちになってしまって逃げかけた腰を  
お腹からぐっと支えられ、指はますます深く中を穿ってきた。  
お尻に敦賀さんの吐息を感じる・・・  
ほの暗い明かりの中で、きっと指の動きをじっと見てるんだ・・・  
指の愛撫だけでこんなに声が出ちゃうなんて・・・  
敦賀さん、いやらしいって呆れてないかな・・・  
 
ふっと指があそこから抜けた。  
どうにも恥ずかしい快感から開放されて  
一瞬寂しくなりながらもふう、と一息ついていると。  
 
「・・・あっ!・・・つ、つるが・・・さ・・・っ!?」  
 
やぁっ・・・そんなぁ・・・  
ひょっとして敦賀さん、あそこを後ろから舐めてる?!  
熱い塊がぬるぬるとあそこで上下に蠢いている。  
気が付くと両手で腰を掴まれて、  
びっくりして逃げそうになった所をぐっと抑えられて。  
 
「あん・・・あぁ・・・こんなの、やぁ・・・あっ・・・」  
 
尖りを舌でつつかれたり、包まれて捏ねられたり。  
全体を舐られて吸われて、舌を奥まで差し込まれ・・・  
お尻から食べ尽くされてしまいそう・・・  
後ろからぴちゃ、ちゅ、じゅ、・・・と  
くぐもった水音がやけに響いて耳から離れない・・・  
 
もうとっくに足に力は入っていないのに、  
敦賀さんの両手で腰をしっかりと支えられて  
お尻を高々と突き出した格好のまま、  
背中を少しずつ白い波が這い登ってきた。  
 
やぁっ・・・こんなの・・・  
こんなに恥ずかしくても、こうなっちゃうの・・・?  
 
「つる、が、さん・・・なんで、こんな意地悪・・・」  
 
前よりもずっと焦らされたり、  
こんな恥ずかしい姿勢を強いられたり・・・どうして・・・  
 
切れ切れに問いかけると、ふっと笑った気配がした・・・  
 
「俺が意地悪?・・・そうかもね。  
 何か意地悪される心当たりはある?キョーコ?」  
 
笑いを含んだ声で名前を呼ばれて、増々顔に熱が集まって・・・  
・・・心当りは・・・はっきりいってありすぎるのですが・・・  
 
「・・・『坊』のコト黙ってたからですか?  
 敦賀さんのこと騙してたから・・・?」  
 
「ん?それは・・・、君スタジオで泣きながら謝ってたじゃないか。  
 なら、それ以上俺が怒る必要はないだろう?確かにびっくりはしたけどね。  
 俺の為にしてくれてたことなんだから・・・」  
 
敦賀さんは私から手を離して身体を起こし、  
口元を拭いながらソープディッシュの横に手を伸ばした。  
・・・小さな四角い包みが・・・いつの間に??  
最初から、こんな破廉恥なことするつもりだったんですか・・・?  
うつ伏せのまま身体を伸ばしてなんとか足を閉じる。  
足の間に篭った快感に身震いしながら後ろを恐る恐る見ると・・・  
敦賀さんは・・・あの夜の帝王の顔をしてこっちを見下ろしていて・・・  
 
「・・・え、でもじゃあなんで・・・こんな?どうして・・・?」  
「どうしてだか分らない?」  
 
「『坊』以外で何か私・・・敦賀さんのこと怒らせたりしました・・・?」  
「フフッ)・・・怒らせた、とかじゃないよ?  
 ・・・最上さんがこんなに可愛いから、つい、ね?」  
 
・・・なんですかその理由?!  
こんな地味で色気のない女を捕まえてなんちゅう寝言を・・・  
嫌がらせにも程があると思うんですけど!!  
 
あまりにあんまりな理由に起き上がって抗議をしようとしかけたけど、  
その前に敦賀さんに後ろから肩を押さえられてしまった。  
首筋を甘噛みされて、熱い痺れがまた広がっていく・・・  
 
「あ・・・いやっ、つるがさん・・・そんなぁ、ずるいっ・・・」  
「俺も男だからね。可愛い子を捕まえるためには  
 いくらでもずるくなるんだよ?覚えておくんだね」  
 
「またそんな嫌がらせばっかり・・・  
 敦賀さん、気になる人がいるって言ってたじゃないですか?!  
 こんな色気のない後輩捕まえてカラカワないで下さい!」  
「君が色気がない、だって・・・?さっきの声、すごく可愛かったのに?  
 あれで色気がない、なんていう男はいないって・・・  
 ああいう君は本当に綺麗だね。すごく色っぽいよ・・・  
 このまま閉じ込めてしまって、誰にも見せたくなくなるね・・・?」  
 
「っやぁ、そんなの誘拐犯じゃないですか・・・あっ・・・」  
 
可愛い憎まれ口を叩く彼女の背中を舌でなぞると  
素直な艶めいたため息がこぼれて、一際俺を興奮させた。  
彼女の足の間に身体を滑りこませて  
すっかり屹立した切っ先をあてがうと、  
一瞬震えた後に・・・可愛いお尻が少し上を向いて腰を浮かす。  
ほの暗い明かりの中で、紅く染まった彼女の入り口が  
ひくひくとぬるついているのが見て取れて・・・  
・・・欲しいの・・・?俺を欲しいって、思ってくれてる・・・?  
 
キスの応え方も知らなかった彼女が、  
俺を欲しがって腰を揺らめかせてる・・・俺が教えて、汚した・・・  
罪深い光景にゆっくりと自分を沈めていくと、  
彼女から一際高い苦痛とも歓喜ともつかない悲鳴が漏れる。  
 
きゅうきゅうとキツく締め付ける中に全部自分を収めると、  
どちらともなく二人のため息が重なった。  
 
「・・・大丈夫?動くよ?」  
 
目をぎゅっと瞑ったまま頷く彼女を攻めたてはじめた。  
最初はゆっくりと・・・でも、もううまくブレーキが利かない・・・  
 
「あっ・・・はぁ・・・ん・・・あぁ・・・っ!」  
 
敦賀さんがゆっくりと入ってきたとき・・・  
少し怖かったけど・・・でも、背中は喜びで引きつれた・・・  
どうしても足りなくてもどかしかったところが、  
今は熱くて硬い、大きなモノで苦しい位に一杯になっている。  
・・・敦賀さんにこうされるの、気持よすぎてなんだか怖い・・・  
でも・・・でも・・・ホシカッタノ・・・  
 
左手で胸を覆われ、右手は私の左手に指を絡めて。  
思わず右手も添えて敦賀さんの手と腕にしがみ付いていると、  
動くよ、と言われ・・・あそこから熱い波が体中に襲ってきた・・・  
 
「あっ・・・いやぁっ、あ、ふ・・・、っん、あん・・・!!」  
 
自分でもどうしようもなく声が押し出される・・・  
只もうあそこからのうねり以外なにも分らなくなって・・・  
敦賀さんの手にしがみ付きながら甘い波に耐えていると、  
胸を覆っていた手がすっとわき腹を撫でてきた。  
 
「気持いいの・・・?」  
 
真っ赤に染まった耳たぶを噛みながら囁くと、  
彼女は俺の腕にますますぎゅうっとしがみついてきた。  
絡ませた指に唇を押し付けて我慢していても、  
漏れ出る声は俺の動きにあわせてどんどん高くなってくる。  
もうそろそろ、かな・・・?  
 
胸を弄っていた手を繋ぎ目に持っていくと  
彼女の腰が一瞬逃げたそうにした、けれど・・・  
上から俺が圧し掛かっているのに逃げられる訳ないよね?  
抜き挿しを続けている自身に指を沿えて襞をなぞると  
彼女のキツイ内部はますます俺を締め上げて奥へ誘う。  
その敏感な反応を充分楽しんでから  
仕上げに突起を摘んで逆撫でしながら押しつぶすと、  
彼女は一際高い声をあげて頂点に達した・・・  
 
・・・くっ・・・  
 
彼女に吸い込まれて放ってしまいそうになるのをなんとか堪える。  
今は俺の下で力を抜いて大きく息をついている彼女が  
なによりも可愛くて、愛しくて・・・  
 
今までの愛撫ですっかり融けてしまっていた身体。  
敦賀さんが入ってきて動きはじめて・・・  
与えられる感覚以外は何も分らなくなる・・・  
 
「ひあっ・・・あん・・・いやぁ・・・!あーーーっ!!」  
 
貫かれた所をさらに手で弄られて突起にまで触れられ、  
背中からまた這い登ってきた白い波に一気に呑まれた。  
あそこから広がる痺れで体中が甘く熱い・・・  
 
はぁ、はぁと荒い息をついていると  
しがみついていた敦賀さんの手が私からそっと離れ、  
片足をぐいっと持ち上げてきた。ええ?!  
びっくりしているとそのまま身体をひっくり返されて  
敦賀さんと正面で向き合う姿勢になっている。  
 
いきなり中で角度を変えられて身体が引き攣れてしまう・・・  
つい顔をしかめていると、ひどく優しい目をした敦賀さんが  
私の頬を撫でながら軽いキスを繰り返してきた。  
 
「どう?気持よくなってくれた・・・?」  
「・・・だからっ・・・どうしてそんな恥ずかしいこと、  
 何度も聞いてくるんですか・・・意地悪です・・・」  
 
彼女が涙目で弱々しく抗議してくる・・・  
何故かって・・・すごく簡単なことだよ?  
 
「君が気持いいと、俺も嬉しくて気持いいからだよ。  
 だから・・・教えて欲しくなるんだよ・・・?」  
 
だからね、イイならイイって言って?、と重ねて強請ると  
彼女は目を伏せて本当に小さな声で、よかったです・・・と囁いてきた。  
それを聞いた俺の自身はもっと貪欲になってしまう。  
彼女を貪りたくて・・・もっと啼かせてしまいたくなって・・・  
 
「ごめん・・・もう少し、ね?」  
 
背中に腕を廻して再度動き始めると、  
彼女も俺の首にしがみついて喘ぎだした。  
後ろから苛めてしまうのもよかったけど、  
やっぱり君の感じてる表情を見ながらが一番イイな・・・  
 
さっきよりももっと手加減が効かなくなってスピードを上げる。  
彼女の表情が、声が、俺を呑み込むその場所が  
俺を煽るだけ煽って・・・君しか見えなくなる。  
最後のキツい締め付けで俺は自分を解き放った。  
もう誰もいらない。君だけでいい。君だけが欲しい・・・  
 
「あ・・・いやぁ・・・つるが、さん・・・あっ・・・あーーーっ!!」  
 
さっきよりも深く激しく穿たれて、  
ただただ敦賀さんにしがみついていた・・・それしか出来なかった。  
「・・・そろそろ、イキそう・・・」と荒い息で耳元で囁かれた瞬間に  
真っ白な大波にさらわれてしまって・・・  
・・・もう、体中が熱すぎて・・・甘すぎて・・・  
 
・・・次に気が付いた時にはリビングにいた。  
大きすぎるバスローブをまとって、  
ソファーを背もたれにしたパジャマ姿の敦賀さんに抱きかかえられて・・・  
あの後何もかも敦賀さん任せにしちゃったんだ・・・  
敦賀さんは強そうなお酒をロックで飲んでいて、  
その内私のバツの悪そうな視線に気が付いた。  
 
「・・・ん?目が覚めたの?」  
「・・・敦賀さん・・・私、寝ちゃってました・・・?(汗  
 ・・・ごめんなさい、この姿勢って重いでしょう・・・?」  
 
あわてて膝から降りようとした私を強く抱えなおして、  
敦賀さんは私に水の入ったグラスを渡してくれた。  
 
「・・・気にしないで。水だけど飲む?さっぱりするよ・・・  
 まだ二人とも髪が乾いてないから、乾くまで時間潰してたんだ」  
 
そういって敦賀さんは私の髪を撫で、時折さらさらと空気を含ませた。  
大きな、優しい手・・・一体何人のヒトにこんな風に優しくしてたんだろ?  
それに気になる人がいるって言ってたのに・・・  
でも、あんな悲しい表情を見てしまった後では何も聞けないから・・・  
 
『大切な人はつくれない・・・どこにいても――…』  
 
もらった水を飲みながらあの時の事を思い返していると。  
 
「あ、そうだ。言い忘れてた。  
 いつも助けてくれてありがとう・・・最上さん」  
 
??吃驚して顔を上げると、敦賀さんが神々しい微笑で・・・  
今まで見た中で一番かもしれない神々しさで、私の頬を指先で撫でた。  
・・・笑顔の光で私、干からびちゃうかもしれない・・・  
 
「そんな、私何もしてませんよ?!  
 坊の時だって結局何の役にも立たなかったし、  
 以前演技にお付合いした時だって、返って敦賀さんの  
 お邪魔をしてしまっていたようなモノですし・・・(汗」  
 
そんな事無いよ、いつも本当に助かってるんだ、ありがとう・・・と  
甘〜い言葉を紡ぐ敦賀さん。おでこに優しいキスを降らせながら・・・  
 
敦賀さん・・・あなた、ホントは絶対に女タラシですよね???  
あなたのその甘やかな優しい態度って、本当に世の女性の目の毒デスヨ??!  
 
・・・でも、そう思いながらも、ひとつ気が付いていることがある。  
 
敦賀さん・・・このマンションって、  
ほとんど他人を入れてないんじゃないですか?  
 
時々食事を作りに来るといつも思う。  
お手伝いさんは要らないって前にも言ってたけど、  
それにしても・・・台所を他の誰かが使った様子が全く無い(汗  
たまに時間が余って掃除機かけたりする時も、  
敦賀さん以外の誰かがいた形跡なんてぱっと見だけど全く無い。  
 
・・・もしかして・・・ココに出入りしてるの、私だけ、なのかな・・・?  
 
合鍵を貸してもらう度に、日本一売れっ子の俳優さんなのに  
こんな軽々しいことしてイイの?!・・・って不思議だったんだけど。  
ひょっとして、私、敦賀さんから信用されてるのかな?  
だったら嬉しいな・・・と思ってると、なんだかまた眠くなってきた。  
 
暖かい腕・・・眠っていいよ、と促されてどんどん意識が遠くなる。  
許してもらってる内は甘えちゃおうかな・・・?例えそれが今だけでも。  
今まで私にこんなぬくもりをくれたのは、敦賀さんだけだったから――…  
 
おやすみ・・・と囁くと、彼女は子供のように微笑んでまた眠りに落ちた。  
俺がいくら自分を刻み付けて汚したつもりになっても、  
結局は君は何も変わらない・・・無邪気で無垢なまま、  
親切で優しくて、何をするにも一生懸命なあの頃のまま・・・  
 
・・・でも、そう思いながらも、ひとつ気が付いていることがある。  
 
君は、俺の腕の中では本当に安心しきって眠っている・・・?  
俺に抱かれることを恥ずかしがりはしても、  
君が俺に見せる表情に嫌悪はない。  
そして、軽い身体を腕にかき抱くと、  
暖かそうに目を細め、俺にすっかり身体を預けて・・・  
 
他人からの愛情に怯え恐怖すら覚えている君は、  
それでも俺には少しは気を許してくれているのかな・・・?  
こうして抱いていることを許されているうちは、  
少しは自惚れてもいいのだろうか・・・?  
 
お互いの髪が乾いた頃合を見計らって、  
すっかり力の抜けた君を寝室へ連れて行った。  
もしまだ君が起きていたら、  
もう一度・・・という意地汚い気持もあったけど、  
今日は色々あって疲れただろうしね・・・  
 
本当は何もかもをさらけ出してしまいたかった。  
俺のこの狂いそうな思慕や汚い欲望や・・・  
『コーン』のために泣いてくれた君に、  
捨てたはずの過去を打ち明けたかった。  
 
たった一つだけ、どうしても捨て切れなかった  
綺麗な綺麗な思い出の話も――…  
 
でも・・・今『愛』に怯える君にそうするのは、  
ただの俺のエゴの押付けでしかない。  
君が他人の気持を受け入れられるようになる日まで、  
俺は待とうと決めたんだ・・・  
 
君が俺を惑う暗闇から光の中へ導いてくれたように。  
いつかは俺が、今だ彷徨う絶望から君を救い出したい・・・  
それはひどく大それた望みなのかもしれないけど。いつか。  
その役目が俺であることを切に祈るよ――…  
 
 

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