まぁ急な予定変更に対応するのもマネージャーの大事な仕事。
まして担当が日本一売れてる、と言っても過言ではない俳優ならなおさら、ね。
社長の依頼でどうにかこうにかスケジュールを調整して、
蓮と社長の打合せの時間を30分ほど無理繰り作った。
なにせ今日が今日だったしね・・・色々確認事項もあるんだろう。
キョーコちゃんの記者会見はちょっと前に終わったらしく、
結構うまい事いったみたいだ、っていうのは
事務所で聞いていたから、後はさほど心配することもないし。
蓮に対する方針は後で社長か松島主任から
申し送りがあるだろうからソレ待ちってことで。
俺は、30分程出来た空き時間を使って
ちょっと外出することにした。
蓮に、きっと必要になる物を贈るために・・・♪
「社さんお待たせしました。行きましょうか」
二人で車に乗り込んで次の現場に向かう。
最後の現場を後にして蓮が俺を下ろす直前に、
俺は蓮に小さな袋をほい、っと渡した。
「?コレ・・・///」
「今晩キョーコちゃんお前の部屋に来てるんだろ?
万が一でも、必要かもしれないしな?」
ふ、とクールに笑って前髪をかき上げる。
こういう事は人生のお兄さんがちゃんと気をつけてやらないと!
袋の中身を察すると、蓮の頬が微かに染まった。
そうそう、あれだけ女に囲まれてても全然食っちゃう気配がナイ
お前だけど、相手は未成年だしソレ絶対必要なのは分るだろ〜?
・・・と、ニヤニヤしていた俺は、顔を上げた蓮を見て固まった。
「あぁ・・・、ちょうどよかったのかな・・・?ありがとうございます」
お、お前・・・その壮絶な暗い色気は一体なんだ?!
蓮の凄まじく艶っぽい微笑みに俺は一瞬総毛だった。
温和で温厚な「敦賀蓮」は何処行ったんだよ?!
それじゃまるでホストクラブのNo1だろ??
・・・そうだよな・・・以前から思ってたんだよな〜
コイツは絶対に人に言えない後ろ暗い過去があるはず、って・・・
キョーコちゃん・・・これからまともにこいつに捕まるのか・・・
いや、ずっと応援してたしお互いが幸せならそれでいいんだけど・・・
俺はなんだかこれからの彼女の苦労を思って涙ぐんでしまった。
・・・もちろん、俺も色々苦労させられるハメになるんだろうけど・・・
・・・キョーコちゃんまだ未成年なんだからな?!手加減しろよ、蓮!?!!