「と、いう訳で・・・今日は『やっぱ気まぐれロック』クリスマス特番、
芸能人ビンゴ大会に出演していただきまして誠にありがとうございまーす♪
・・・って、なんでお前らそんなに不機嫌なの、慎一?」
「・・・見てわかんねーかな、リーダー?
リーダーはそりゃいいよ・・・サンタの格好、いいよねー?
・・・で、なんで俺はトナカイなの?!」
「・・・慎一なんてまだマシだろ!!俺なんてソリよ、ソリ!?
なんでソリが立ってんの?!そんで歩いてんの???」
「いーじゃん、慎一も雄生もすげぇかわいいって(ププッ
・・・ではそんな不機嫌な君らのアシスタントに・・・
京子ちゃん、よろしくーーー♪」
「こんにちわー、京子です!今日はよろしくお願いしますー♪
・・・って、リーダー、私ほんとにこんな格好でいいんですか?(照」
「いーのいーの、やっぱ思ったとおりよく似合ってるよ!
普段は露出少ないんだし、たまにはこんなのもイイでしょ(ハァト
ダークムーンの『未緒』とは全然違う、普段の君もアピールしなきゃ、ね?
こんなきれいな足、隠すの勿体無さ過ぎ〜♪」
ぺちりと太ももをリーダーにはたかれて、キョーコはますますとぎまぎした。
そりゃそーだ。いつものキョーコは着ぐるみなのに、今日ときたら・・・
サンタはサンタでも膝上20cmのミニスカート、
上着は下乳よりもちょっとだけ下の長さで
キョーコの滑らかなお腹がちらちらとのぞいている。
赤いピンヒールで白いふさふさのついたショートブーツは
とっても可愛くて気に入ってるのだが・・・
いつもよりも露出の多い衣装にキョーコはかなり照れていて、
その様子を見たリーダーは「拝み倒した甲斐があった!!」
・・・と内心ガッツポーズしていた。
そして・・・なんだか暗雲立ち込めているゲストが二人ほど・・・
『お前・・・その小さい乳はしっかり隠せよ?!
おだてに乗せられてそんなカッコして・・・ばっかじゃねーの?!』
・・・とか思って内心ぶすくれてるのは幼馴染のショータロー。
『・・・最上さん・・・きれいな足なのは認めるけどね・・・
君は少し仕事を選んだ方がイイ・・・』
・・・と、他の男の目を気にしているのは
抱かれたい男No1(でも本命は恋愛拒絶中w)の敦賀蓮。
水面下では波乱含みでビンゴゲームは和やかにスタートした・・・
景品が並んだ正面に向かって5〜6人ずつ、円卓は8つ。
ビンゴがそろった人から順番にくじを引いてもらい、
リーダーと他アシスタントのトークを交えて商品を渡す。
そうすると必然的にキョーコはうろちょろしている訳で・・・
色んなゲストとにこやかに会話を交わしていて・・・
当然、某二人のゲストは大変に面白くない。
そして、先に動いたのは忍耐が足りない方だった。
『キョーコの癖に、なんだよ・・・あんな貧弱な体見せてこっぱずかしいヤツ?!
あんな地味女にお世辞言う男もどうかしてるよなっ』
ショータローの内心の罵りはさておき、
最近のキョーコは新人ではあるが演技派の注目株であり、
知る人ぞ知るLME社長(というかマリア)のお気に入り。
それにもましてちらちらとのぞく白い肌が
いたく清楚な色気で人目を引いていて・・・
キョーコ嬢が色々なゲストと和気藹々と談笑しているのが
大変にお気に召さない様子である。
そしてわき目も振らずに横を通り過ぎていくキョーコに、
ショータローはふと足が出た。
「えっ・・・きゃあっ?!・・・痛ーーっ・・・」
(・・・どんくせーなぁ)
ショータローにブーツの踵を蹴られて、キョーコはしりもちをついてしまった。
しかし、蹴られたとは気付かず憎い男の嘲りで我に返ったキョーコは
笑顔で誤魔化してそそくさと立ち位置に戻った。
・・・ひねった足首をかばいながら。
それに気が付いたのは、もう一人の男だった。
トナカイ慎一が横を通りすがる時に、蓮は「次の休憩はいつ?」と囁いた。
最上さんがさっき転んだときに足を痛めたようだよ?と。
そしてプロデューサーの計らいで20分の休憩が入り、
蓮は真っ直ぐにキョーコの元に向かった。
「最上さん。足、見せて」
「・・・大丈夫ですよ、敦賀さん・・・だから・・・っ?!」
蓮はかまわずしゃがんでブーツのジッパーを下ろし足首に触った。
「・・・少し熱を持ってるじゃないか。手当てした方がいい」
「この位なら大丈夫ですからっ!・・・て、敦賀さん、降ろして?!
本当に、大丈夫ですからーーー??!!」
キョーコを姫抱っこした蓮はかまわず医務室に向かった。
「おとなしくしなさい。君、何度もそこ痛めてるだろ。
ちゃんとテーピングした方がいい」
それを見た他のスタッフやゲスト・・・とりわけショータローは
口をぽっかり開けて彼らの後姿を見つめていた―――…
医務室でキョーコを椅子に座らせテーピングをしながら蓮は考える。
なんて、非常識なぐらい無防備な子なんだ、君は・・・
さっきすっ転んだときも見られてることなんて何も考えてないようなそぶりで・・・
足の奥の際どいところまで見えたようで・・・
蓮の(いやショータローやリーダーや見ていた男達の)心臓にすこぶる悪かった。
「・・・いつもすいません・・・でもさっきのは・・・敦賀さんのファンが泣きますよ?」
親切は嬉しいんですけど自重しましょうよ〜と途方にくれてるキョーコに
蓮はこっそりとため息を吐いた。自重して欲しいのは俺の方だよ・・・
「俺のことより、君も気をつけなね?こっちの足、怪我が多いし・・・
それにさっき転んだとき、スカートの中見えてたよ?」
丸見えではなかったけど、チラリとね・・・との言葉は飲み込んで、
蓮はキョーコを横目で睨んだ。
「えええ〜〜??そんな・・・やだなぁ・・・あ、でも大丈夫ですよ?!
ちゃんと万が一の為にこの下アンダースコート履いてるんですよ♪」
ぴらりと少しスカートの裾をめくったキョーコに蓮は眩暈を覚えた。
白くてすべらかな太ももが眩しくて眩しくて・・・
なのにキョーコには見られている自覚は全くなくて。
本当に、全く・・・どうしてくれよう、この娘は・・・(怒
「・・・でもね、あまり隙のあるところを見せるもんじゃないよ?
特にああいう番組ではね?後で面白おかしく編集されるんだから・・・」
業界の大先輩からの注意にキョーコは気を付けます、と小さくなった。
「・・・もう転んだりしないように、おまじないしてあげようか?」
「・・・おまじない??敦賀さんが・・・?」
「うん、きっと転んだりしなくなるよ。試してみる?」
じゃあお願いします♪、と乙女なキョーコは無邪気に微笑んだ。
蓮は怪我した方の足首をつい、と持ち。
そのまま軽く持ち上げると太ももの内側に唇を寄せた。
「くぁwせrftgyふじこlp@:?!?!」
付け根に程近いところにきゅうっと熱が集まり・・・
今まで感じたことのない痺れがキョーコの背筋を駆け抜け、
顔だけじゃなく全身まで火照り出した。
「つ、つつる敦賀さん?!?!!一体何を??!」
くっきりと紅く染まった痕を見て蓮はふふ、と微笑んだ。
「何って・・・おまじないだよ・・・」
「こんなおまじない、あるわけないじゃ・・・うっ・・・」
キョーコは抗議しようとして、蓮のキュラレストな笑顔に黙り込む。
それは今までの経験から学習したことで・・・
(この笑顔に楯突くとろくなことがないのよぉぉ(泣)
「この後の収録で君が転ぶと、コレ見えちゃうよね・・・?
それが嫌なら・・・もう転ばないよう気をつけなさい」
(今私敦賀さんに運ばれて・・・こんな痕敦賀さんに付けられたなんて
他の人、特に女の人に知れたら・・・コロされちゃうかも?!)
うわー、絶対駄目・・・そんなの嫌〜と内心号泣するキョーコを見て
蓮は満足そうに微笑んだ。これで君も少しは気をつけるだろう・・・?
「分ったならそろそろ行こうか。また抱いて行く?」
「絶対要りません!敦賀さんのバカ、意地悪、いじめっ子〜〜」
キョーコは半べそでぱたぱたと早足で去っていった。
「あの元気なら、この後の収録くらいは大丈夫かな?」
蓮の浮かべたとろけた笑顔を見たものは幸い誰もいなかった―――…
その後の収録は順調に進んだ。
キョーコはさりげなく足を隠すようにしていて、
蓮は「おまじない」の効果に満足していた。
そのきれいな身体を無造作に見せびらかすとね、
こんな目にあうんだよ・・・君も分ってくれたのかな?
ついでにミニゲームで蓮がショータローをこてんぱんに負かして
もらった商品をキョーコにあげたのはまぁ余興。
ちょっとしたご機嫌を取って。ついでにカタキも取ってあげて。
そして太ももの熱には羞恥だけではなく、
また違った、今まで知らなかった甘さが含まれていたと
キョーコが気が付くのはまた後日。
太ももの赤い痕は一週間しないで消えてしまうから。
次はどうやってどこに俺の印をつけようかな・・・?
・・・などと蓮が内心企んでいるのはまた別の話―――…