それはそれはうららかな午前中。  
緑の森の中をキョーコはうきうきと歩いていました。  
月の神殿で食事係をしている彼女は、  
天気のよい日には森にハーブや野草を探しに行きます。  
仕えている女神のマリアや親友のカナエに美味しいと言ってもらうのが  
今のキョーコの何よりの楽しみでした。  
 
昔は…兄弟のように育った同居人からは、  
どんなにがんばって食事を作っても美味しいなんて言われませんでした。  
キョーコがバイトしたお金を当たり前のように使い  
キョーコが身の回りの世話をするのをごく当たり前のように享受していた男は  
「お前みたいな色気のない女に掴まる男なんざいる訳ねーだろ」と暴言を吐き、  
激怒したキョーコは「男なんてコリゴリよ!!」と  
幼馴染の男を怨キョで半殺しにしてから  
処女の女神でもあるマリアの神殿に押しかけたのです。  
 
(色々と過去の素行に問題はあったものの処女は処女だし)  
料理の腕を認められて神殿に仕えることを許された後は。  
ほぼ同時期に巫女になったカナエと親友になり、  
まだ幼いところもある女神マリアからも慕われ、  
キョーコは今までで一番幸せな生活を送っていました。  
 
あれだこれだと命令や文句ばっかり、  
そのくせ自分では食器の片付けもしないで転がってばかりの  
ダラシナイ男を世話することに比べれば。  
 
今は何かをすればありがとうと声を掛けられ、  
食事を出せば美味しいわ、と褒められ、  
右を見ても左を見ても清らかな乙女ばかり。  
ここで仕事に励んで一生平穏に生きていこう!と  
キョーコは硬く硬ーく決意していました。  
無意味に男に尽くすのなんてもう二度とごめんよ!…と。  
 
「美味しいって食べてもらえるのって、こんなに幸せで  
 作る意欲がわくのね〜。あ、ローレルの木見っけ。  
 あとは川に行ってクレソンと三つ葉を採ってー、  
 そういえばアカシアの花がそろそろ満開かしら?  
 あれ、てんぷらにすると美味しいのよ〜♪」  
 
道端でローレルを一枝折り取り手篭に入れ、  
キョーコは小川へ向かいました。  
 
それを遠目で見とめた男が一人…  
 
男はマリアの兄で太陽神のレンでした。  
彼はずば抜けた長身と輝く美貌のため、  
神殿でも街でも人のいるところに行くと  
いつも騒がれてしまいます。(※大半が女性です)  
今日はそんな騒々しさを避けて  
ふらふらとマリアの森に逃れてきたのですが…  
 
彼が目にしたキョーコは袖のないすその短い質素な短衣姿でした。  
化粧も着飾りもせず、素のままの姿で、でも…  
 
白い肌、紅い唇、柳のような細腰。  
今晩の献立に張り切って大きな瞳を輝かせ、  
やや早足でうっすらと汗ばみ頬を染めた横顔に  
レンはしばし見入ってしまいました。  
 
あの娘にきれいな服を着せ、髪をきちんとゆわせたら、  
どんなに美しいだろう…  
 
そう思ったときには、もうレンはキョーコを愛してしまっていました。  
彼は見逃すものかと急いでキョーコを追いかけます。  
 
背後に怪しい気配を感じたキョーコがふと振り向くと、  
レンが優雅にキョーコとの距離を縮めているところでした。  
慌てて歩調を速めましたが、レンは見る見るキョーコに追いついてきました。  
 
『きゃああああ?!憎っくき<男>がなんでマリア様の神殿の近くに?!  
 なんでめちゃくちゃ極上高級紳士スマイルで追っかけてくるの??   
 しかも…!!私より優雅に歩いてるクセに  
 追いついてくるってどういう事!!』←脚の長さの差です  
 
「ねぇ、美しい娘さん、挨拶もしてくれないの?  
 俺は太陽神のレンだけど、君と話をしたいだだけなんだよ?」  
 
そんなこと聞いちゃいないキョーコは必死で考えてました。  
 
『なんでこんなに速いのこの男…こ…っ怖ぁあいい!!  
 …でももう目の前は川だわ、逃げ場がないわ…  
 仕方がない。覚悟を決めて…殺(ヤ)るしか!!』  
 
川に行く手を遮られたキョーコはきっと振り向くと  
必死の思いで怨キョを繰り出しました。  
憎い<男>はこれでヒネる!!  
 
大量の黒い怨キョがレンの首を絞めてしまえと押し寄せました。  
 
「許せないの〜」「憎らしいの〜」「怨めしいのおおお〜」  
 
決死の表情で振り返ったキョーコを見て…レンは破顔しました。  
いきなり追っかけたのを怒っているんだろうか?  
…でもそんなところも可愛いなぁ♪  
 
レンの心からの笑顔から零れる神々光線に…勝てる怨キョがいる訳もなく。  
(そりゃ相手は邪な心持でも神様ですから)  
眩い光に怨キョは全員じゅうっと焼かれてしまって、  
気づけばキョーコはレンの腕の中に捕われてしいました。  
 
「やぁ…何をするんですか!?あなたは誰??  
 マリア様の森に<男>が簡単に入れるはずないのに…」  
 
「ああ、君はマリアちゃんの神殿のコなの?  
 俺はレン。マリアの兄だよ。君の名は?」  
 
「私はキョーコです…ああ、だからあなたは普通にこの森に入れるんですね…  
 じゃなくてっ。この手を離してください!!」  
 
キョーコは初めて間近でみる男の優しい瞳にとぎまぎしています。  
こんなきれいな男のヒト初めて見た…穏やかな声…  
でも、こんなことで惑わされちゃだめよキョーコ!  
相手は憎い<男>なんだから!!!  
 
「…どうして?」  
 
じたばたと身をよじるキョーコにレンは不思議そうに尋ねました。  
今まで、レンに腕を廻された女性は全員  
うっとりと力を抜いてしなだれかかってきたものですから…  
逃げようとする女の子なんて初めてでした。  
面白い子だな〜と、ますますレンの興味を引いてしまっています。  
 
「だって私…マリア様の神殿に仕えているんですよ?」  
 
処女の神様の神殿に仕えてるんですからね、  
だから<男>に近寄るなんて以ての外なんですよ?  
…と言外に滲ませたのですが。レンはどこ吹く風でした。  
 
「…君、その手篭の中に入ってるのはローレル(月桂樹)?  
 ってことは君は料理担当の子なの?」  
 
未だ腰に腕を回されしっかりと拘束されたまま…  
顔を真っ赤にしながら上目遣いに頷くキョーコを見て  
レンはふと思い出しました。  
 
そういえばマリアちゃんが…  
「最近ね、素敵なお姉さまがウチの神殿に来たの!  
 お料理もとってもお上手だし、一緒にいるとすごく楽しいのよ〜♪」  
って、はしゃいでいたことがあったっけ…  
 
そうか、この子はマリアちゃんのお気に入りかぁ…  
 
レンの目が妖しく光りました。  
 
「ふーん…美味しそうだね…  
 俺にも、食べさせてくれる?」  
 
キョーコはいきなりレンの雰囲気が変わったことに一層慄きながら…  
「いいですよ、でも今はローレルとお弁当しか持ってませんし…  
 マリア様の神殿で夕食をご一緒なさいませんか?  
 今日は確か鶏がある筈ですので、鶏のスープと  
 クレソンのサラダに野草の天ぷら、  
 後は…何か献立のリクエストはありますか…?」  
と、びくびくしながら聞きました。  
 
レンは川べりの平らなところにキョーコを抱いたまま座り、  
にーっこりと満面の笑みを浮かべました。  
 
「じゃ、リクエストしていいなら…君をいただこうかな」  
 
キョーコがレンの言葉の意味を十分理解する前に、  
レンはそっとキョーコの唇を塞ぎました。  
初めての暖かい感触にキョーコは混乱し、  
腕を強張らせてレンの胸を強く押しのけようとしましたが、  
分厚い胸もがっしりした腕もびくともしません。  
 
(やぁ…、なに、なんなの、これぇ…)  
 
抱きしめられた暖かさに戸惑っていると  
いつのまにか顎を掴まれ唇を開かれ、  
口内にぬるりとしたものが入ってきました。  
やぁっ…と声をあげると  
その声すら呑み込んでキスは深まる一方です。  
あふれそうになったどちらのものともつかない唾液を  
こくり、とキョーコが飲み下すと、  
ようやくレンはキョーコの唇を開放しました。  
 
濡れて赤く染まった唇をレンがかわいいなぁ…と親指で撫でていると、  
呆然としていたキョーコがようやく抗議の言葉を口にしました。  
 
「レン様…一体何なさってるんですか??!」  
 
「何って…食べたいもののリクエストを聞かれたからね。  
 一番美味しそうなものをいただいたんだけど?」  
 
平然としたレンの答えにキョーコはますます真っ赤になりました。  
 
「じゃ、じゃあもう食べ終わりましたよね?!  
 だったら離してください!!まだ仕事の途中なんですから…」  
 
腕の中でじたばたともがくキョーコにレンはニヤリと微笑いました。  
 
「食べ終わった…?まだオードブルしかいただいてないよ?  
 まだまだ、全然食べ足りない…」  
 
レンはキョーコを柔らかい草地に静かに横たえ、また深いキスを重ねました。  
 
キョーコは自分に何が起きているのかまったく分からずに  
ぐるぐると目を廻しています。  
 
レンは再度キョーコの唇を楽しみながら  
するすると服を全て脱がせてやわらかいふくらみを撫で始めました。  
 
やぁ…なんなの、どうして…?  
 
キョーコは唇を吸われ、舌を絡めて口内を探られ、  
また新しい刺激を受けてどうしていいのかよく分かりません。  
 
こんなの恥ずかしいのに…でもこの大きな手が暖かくて優しくて…  
男の人って…こんなこともするの…?  
ショータローになんて肩を抱かれたこともないのに…  
 
レンは優しくふくらみを揉みしだき、口付けを解いて  
紅潮したキョーコの頬から首筋に唇を這わせ  
所々に紅く痕を刻みながら、小さな頂を口に含みました。  
 
「…っ…あっ…ん、もう止めてください…」  
 
「…まだ食べ始めたばかりなんだよ?大丈夫だから…怖がらないで…」  
 
頂をちゅ、と吸われたり舌を這わされたり…  
胸の先から痺れる様な刺激を受ける度に小さな身体が軽く跳ねます。  
レンがそっと片手を太ももからぴったりと閉じた脚の間に滑り込ませると  
キョーコの脚にきゅっと力が入りました。  
胸を強く吸い上げ身体が震えた隙に指を奥に忍び込ませると、  
そこはうっすらと湿り始めていました。  
 
「や、そんなとこ…だめ、です…んっ」  
 
キョーコの可愛らしい抵抗も全く意に介さず、  
レンはさらに唇を下に進めていきます。  
お臍にまだ薄い下生えの生え際、  
今度は膝からゆっくりと太ももを唇と舌がなぞっていき…  
 
レンはキョーコの脚の間にゆっくりと大きな身体を割り込ませながら  
彼女の足を開いてしまってその付け根に顔を寄せました。  
キョーコはぞくぞくするような感覚に全身を襲われて、  
もうどうしていいのか分かりません。  
隠さず全身を見られてしまっているのが恥ずかしくて、  
でも身体は甘い刺激に少しづつ融けてしまうようで…  
 
あそこに舌のぬるりとした感触を感じて、  
キョーコはとうとう悲鳴をあげました。  
 
「ああっ…そんな…、そんなところ…いやぁっ…」  
 
レンは奥から少しずつ蜜が滲んでくるのに気をよくして  
もっと、と舌を奥に進め、狭いそこを解しています。  
羞恥と痺れで甘く身をよじるキョーコに、レンはふと顔をあげました。  
 
「キョーコちゃんのココ、とっても美味しいよ?可愛いね…」  
 
そう言うと、レンは少しほぐれたそこに  
指を一本ゆっくりと差し入れました。  
無理をさせないように少しずつ根元まで差し入れ、  
馴染んだところで軽く抜き差しをすると  
キョーコが眉を顰めながら嬌声を上げ始めました。  
 
痛い…?とレンが聞くと、キョーコは首を横に振りました。  
ただもうそこが熱くて…レンの長い指がそこで蠢く度に  
今まで知らなかった刺激で身体がオカシクなりそうで…  
 
レンはもう少し準備を進めようと、指をもう一本増やしながら  
まだ浅い溝の上にある小さな尖りに舌を伸ばしました。  
下から上へ転がすように舌を動かしながら  
すっかり潤んだそこをかき混ぜていると、  
だいぶ指が自由に動くようになりました。  
 
『そろそろ大丈夫かな…?』  
 
キョーコは目じりに涙を浮かべ両手でぎゅっと口を抑え、  
刺激の度に全身をうっすらと赤く染めて小さく震えていました。  
レンが身体を起こしてキョーコを抱えなおすと、  
キョーコの大きな潤んだ瞳が一瞬レンを見つめ、  
またすぐ伏せられてしまいます。  
 
…可愛いなぁ…  
 
キョーコちゃん、と名を呼び頬を撫でると、  
もう一度キョーコの目が恐る恐るレンを映しました。  
そこでキョーコが見たものは、ひどく優しくて、でも熱い男のまなざし。  
そんな目で見られたことのないキョーコはますます真っ赤に染まりました。  
 
「少し痛いかもしれないけど…ちょっとだけ、ごめんね?」  
 
レンはそう言って、すっかり猛り狂った自身を  
キョーコのそこに少しずつ沈めていきました。  
身体を裂かれる痛みと指とは比べ物にならない圧迫感に  
キョーコから涙声で悲鳴をあがりました。  
 
「い、痛ぃ…レン様、やめっ、ぅ…」  
 
「ん、きつっ…キョーコちゃん、身体の力抜いて…」  
 
気を紛らわすようにキスを降らしながら  
レンはキョーコの腕を自分の背中に廻させました。  
 
「っ…全部入ったよ。…分かる?」  
 
硬い楔に身体を串刺しにされて、  
キョーコは涙を零しながら頷きます。  
そこが、裂ける様に痛くて、でも熱くて…  
レンがキスをしながら優しく胸や背中を撫でていると、  
キョーコが安心したようにほんの少し身体の力を抜きました。  
 
少し落ち着いたキョーコの様子を見て、  
レンはゆるゆると腰を動かし始めました。  
最初はなじませるように、奥を捏ねるように  
レンが自身の抜き差しを繰り返すと、  
キョーコは身体の奥が痛いだけじゃなく、甘く疼き始めてきました。  
 
「やぁ、ど、して…あ、ぅん…」  
 
キョーコは未知の感覚が恐くてレンにぎゅっとしがみつきました。  
レンは優しくなだめるようにキョーコの背中をなでながら、  
キョーコを貪るスピードを速めていきます。  
締め付けがキツイなー、気持いいなー、と思いながらレンはキョーコに囁きました。  
 
「可愛い、本当に可愛いね…キョーコちゃん、好きだ…」  
 
キョーコは甘い睦言を上の空で聞いています。  
それどころじゃないくらい身体が熱くて、  
レンに身体の奥を突かれる度にあそこが甘く激しく痺れて、  
その甘さが全身に広がって…オカシクなりそうでした。  
 
レンの囁きも、唇や頬に落とされるキスも、  
胸の先端を掠める厚い胸板も  
キョーコの背中を支える逞しい腕も、  
動くたびにあそこから響くぐちぐちとした水音も、  
全て…キョーコの感覚を煽って止まりません。  
 
なにかぞくぞくとした感覚が背中を這い登ってきて  
キョーコは恐くなりました。私、一体どうなっちゃうの…?  
更にしがみつくキョーコを一層強く抱きしめると、  
レンはラストスパートに入りました。  
 
がつがつと激しく腰を打ち付けられ、キョーコは激しく喘ぎました。  
 
「あっ…いやぁぁ、だめ…こんなのぉ…」  
 
「だめ、じゃないよ…ほら、いって…?」  
 
あそこから背筋を甘い痺れが激しく走りぬけ、  
それはいつしか大きな波になって…キョーコは何も判らなくなりました。  
一際大きな声を上げキョーコがぶるりと身を震わせて硬直すると、  
レンも自分をキョーコの中に解き放ちました。  
 
*****  
 
キョーコが目を覚ますと、小川に足を浸したレンに抱えられて  
身体をハンカチで拭かれているところでした。  
 
「あ、目が覚めた?キョーコちゃん」  
 
至近距離でレンの神々しい笑顔を目の当たりにして、  
キョーコはあ、う、と口をぱくぱくさせました。  
思わず目を伏せると、自分がまだ一糸纏わぬ姿なのに気が付いて  
真っ赤になり、とにかくレンから離れようと身をよじります。  
 
「こらこら、暴れないの…とりあえず全身拭き終わったから。  
 はい、腕をあげて?」  
 
キョーコはレンに子供のように服を着せられ、  
でもレンが全くキョーコを離そうとしないのに困惑しました。  
 
「えっと…レン様?私そろそろ行かないと…」  
 
「行くってどこに?」  
 
「そりゃあ、仕事してから、神殿に戻りますから…」  
 
自分が何をされたのかいまいち分ってない様子で  
おずおずとレンを見上げるキョーコに、  
レンはにこにこと微笑みかけました。  
 
「…とりあえず俺も一緒に行くよ。マリアちゃんにも説明しないとね。」  
 
…?キョーコはレンの似非紳士風味な笑顔が不思議でしたが、  
逆らうとなんだか恐い目に会うような気がしたのでこくこくと頷きました。  
 
どうも歩き方がおぼつかないキョーコをレンが支えながら  
野草を摘んだり、ついでに途中でお弁当をわけっこして食べたり…  
二人が月の神殿についたのは夕方前でした。  
 
「君はちょっとここで待ってて?」  
 
レンはキョーコを神殿の入り口前で押し留め、マリアを呼びに行ってしまいました。  
 
「…?どうして…?一緒に行けばいいだけなのに…?」  
 
キョーコが首をかしげていると、  
洗濯物を取り込んだばかりのカナエが偶然通りかかりました。  
 
「あーー、モー子さぁん!」  
 
「…アンタ一体何してんの…って、ソレどーしたの??!!」  
 
カナエはキョーコの首筋に付いた紅い跡に仰天しています。  
キョーコは先ほどの行為を思い出して真っ赤になりました。  
 
「あの、これ、ね…」  
 
「ああ、それ俺が付けたんだよ。…マリアちゃん、こういう訳なんで、  
 キョーコちゃんは俺の神殿に貰っていくね?」  
 
ぎょっとしてキョーコとカナエが振り向くと、  
そこにはレンが微笑んで、マリアが…硬直して佇んでいました。  
 
「レンお兄さま…なんでこんな狼藉をなさったの?  
 こんなことしたらキョーコお姉様、もうこの神殿には居て貰えないじゃないの?!」  
 
だからだよ、とレンはけろりと答えました。  
キョーコちゃんは君のお気に入りって聞いたからね。  
何もしないで神殿に帰せば、マリアちゃんのことだから  
俺がキョーコちゃんに会うのをきっと邪魔するだろう?  
 
「そんなの当たり前よ!私キョーコお姉様が大好きなのに、  
 ここから浚おうとする人になんて会わせるわけないんだから!!」  
 
「でも、もう彼女は君の神殿に仕える資格はないからね…  
 だから…ごめんね?マリアちゃん。」  
 
でも彼女の事はどうしても譲れなかったからね…と  
キョーコを抱き寄せるレンを見て、マリアは怒るよりも先に唖然としてました。  
あの、来る者拒まず去る者追わずだったお兄様が…?!  
こんな風に一人の女性を捕まえて離さないところなんて初めて見たわ…(汗  
 
「え…?さっきのコトって、そういう意味だったんですか??!」  
 
ややピントのずれたところでキョーコが吃驚しています。  
せっかく仕事してきたのに…としょんぼりしてるところに  
カナエが苦笑しながら声を掛けました。  
 
「…まぁアンタみたいなぽんやりさんは、  
 頼もしい男性のそばにいるのが一番かもよ?  
 今アンタの私物持ってくるから…大事にしてもらいなさいね」  
 
お姉さまのお食事が食べられなくなるなんて淋しいわ、と  
しょんぼりしていたマリアも、レンから  
俺の所にいつでも遊びにおいで?と言われ機嫌を直しました。  
 
お姉さまをちゃんと大事にしないと怒るわよ!と  
マリアにしぶとく念を押され、肝に銘じるよ、と苦笑して、  
レンはキョーコを連れて自分の神殿へ向かいました。  
 
マリアやカナエと別れ、  
ちょっとうなだれているキョーコに  
レンは心配そうに声を掛けました。  
 
「ごめんね、確かに強引だったと思ってるけど…やっぱり淋しい?」  
 
こくり、とキョーコは頷き蚊の泣くような声で言葉を続けました。  
 
「はい、淋しいですし…それに、不安です…」  
 
「不安?」  
 
「だって…男の人を信じるのって…恐いです」  
 
「そうか…じゃあ、君に信じてもらえるように、君を大事に大事にするね。  
 君が疑う余地もないくらいに、ね。  
 時々マリアちゃんやカナエさんにも遊びに来てもらおう?  
 俺はもう君しか要らないし、君の料理じゃなきゃ食べないよ。…信じて?」  
 
恐る恐る抱きついてくるキョーコをレンは優しく抱きとめました。  
溢れる涙を唇で受け背中をなだめるように撫でていると、  
「好きです…」と小さな小さな声が聞こえてきました。  
 
「きっと、俺の方が好きだよ…」  
 
その後キョーコはレンの神殿に住むことになり、  
レンにそれはそれは大事にされました。  
キョーコも自分の料理だけは残さず食べるレンに  
張り切って腕を振るい、いつまでも仲良く暮らしましたとさ。  
 
ちなみに彼らが出会うきっかけになったローレル(月桂樹)は  
「俺がキョーコを得ることが出来た記念の木だね♪」…と  
レンの木ということになり、勝利の木として尊ばれたということです…  
 
おまけ  
 
その後、「やっぱ、おさんどんがいねーと色々マンドクセ」…と  
例の幼馴染がキョーコを探していたのですが。  
 
マリアの神殿では有無を言わさず叩き出されまして。  
うわさをたどってレンの神殿に行ったところ  
やたらめったら綺麗なおねーさんがいたのでつい習慣でナンパしたらば、  
それはレンの元で大層美しく花開いたキョーコだったりしまして…  
 
幼馴染がその後どんな目にあったのかは…ご想像にお任せします…  
 

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