決壊・・・  
 
 
 「カットッ!」  
監督の声が緊迫した撮影現場にこだまする。  
ほっとしたような顔の共演者達と彼女・・・。  
 
 今日の撮影はこれで撤収、手元の時計を見るとすでに  
深夜2時を回っていた。  
スタッフ達が機材の片付けで走り回る中、役者達は己に与  
えられた控え室へと帰り支度をするために引き上げていった。  
 
 
 もう癖になっている・・・。自分の視線が彼女にむいてし  
まうのは。  
どんなに片隅に彼女がいても、視線が彼女を捕らえてしまう  
のが憎い。  
深入りしてはいけない、自分は今ここで大切な存在は作って  
はいけないのに・・・、彼女へあふれ出る思いをぶつけては  
いけないのに・・・ただでさえ今日の不破の急襲に決壊しそ  
うなのに。  
「もが・・・っ」  
思わず通り過ぎることができずに声をかけようとして固まる。  
 
 
 食堂の片隅でため息をつきながら不破から貰ったらしき、  
薬の箱を手の中で転がしている。  
「・・・ショータロー」  
彼女のぽそりとつぶやく声が耳に届いた。  
(・・・っ君は、もう奴を許したのか・・・)  
爪が手のひらに食い込んで痛いくらいに拳を握り締めていた。  
彼女の口から漏れた俺の禁句・・・誰の口からでもない彼女  
の声でその禁句。  
(・・・もう決壊してしまったよ)  
自嘲気味につぶやいた自分の目に冷たい何かが宿ったような  
気がした。  
 
「最上さん」  
いつものように自分を・・・彼女が安心する敦賀 蓮を演じ  
た。  
ハッとしたように彼女が思いつめた瞳のまま自分を見上げて  
きた。  
「あっ、つ・・・敦賀さん、お疲れ様でした」  
礼儀正しい彼女があわてて立ち上がり自分にペコリと頭を下  
げた。  
「遅いから、早く帰らないと駄目だよ、もう電車もないから  
今日は送っていくよ」  
「いっ・・・いえ、大丈夫です、お疲れの敦賀さんにそんな  
こと・・・」  
「そんなの君が気にしなくてもいいんだよ、それよりもこん  
な遅くに一人で帰して何かあったら大変だからね」  
彼女が嫌がるキュララな笑顔で迫る。  
そうすれば彼女が断れないことを知っているから・・・。  
「ハワワ・・・・でっではお言葉に甘えさせていただきます」  
予想通りの展開に心の中でほくそ笑む。  
今日は社とも行動が別なので変に勘ぐられる事はない。  
決壊した熱い自分の中のマグマが理性を焼き尽くす。  
 
 
「・・・すみません、なんかご迷惑かけてしまって」  
車の助手席で彼女が遠慮がちに自分の顔をうかがう。  
そして何度目かのため息をもらす。  
そのため息に彼女の不破への捨てきれない思いを感じ  
る・・・それが許せない!  
キキーッという悲鳴のような音を立てて、自分のマンションの  
暗い地下駐車場に車を急停止させる。  
「つ・・・敦賀さん、どうかされたんですか?」  
あせったように自分に問いかけてくる彼女の顎を片手でがっ  
ちりと捕らえた。  
「ん・・・っつる・・・が・・・さ・・・」  
「この傷にもう薬は塗ったのかな?」  
再び自分の瞳につめたい何かが宿る。  
その自分の変化に彼女はおびえたように身を固まらせている。  
 
顎を捉えたままもう一方の手で彼女の頬に貼られた絆創膏を  
はがしていく。  
「いっ・・・」  
かすかな痛みに彼女の顔が歪むが瞳は自分を移したまま動けず  
にいる彼女にぞくりとした感覚が背筋を伝う。  
あらわになった彼女の頬に残る奴の爪あとにゆっくりと舌をは  
わした。  
「なっ・・・いやっ・・・」  
あまりのことに驚いたのか彼女の固まっていた腕が自分の胸を  
つっぱねた。  
「逃がさないよ・・・」  
そう彼女の耳元にささやく。  
(そう・・・君が悪いんだよ、未だに不破なんかに心をとらわ  
れている君が・・・)  
そしてそのまま欲してやまなかった彼女の唇に噛み付くように  
口付けをする。  
食いしばる歯列を顎に当てた手に力を入れ無理やり開かせ舌を  
差し入れ硬く奥に引っ込んだ彼女の舌と絡ませる。  
「ん・・・・くぅっ」  
彼女のくぐもった声と初めて触れることができた唇をもっと欲  
しいと自分を突き上げた。  
 
 長いくちづけ、このまま時が止まればいいのに。  
 
 
 欲望はもう・・・止まれない、止まりたくない。  
 
 
 離れた唇を銀色の糸がつなぎ、束の間の幸福の時間の終わり  
を告げるように切れた。  
 
「つ・・・敦賀さん」  
荒い息を継ぎながら彼女の大きい瞳から涙が溢れ出すのを舌を  
甘露な雫を舐めとるようにはわす。  
「や・・・めてください・・・」  
「やめないよ」  
ミニスカートから伸びる白い足をなで上げると震える体がピク  
ンと跳ね上がる。  
 
左手で服越しに乳房を包んだ。  
やさしく・・・そしてきつく緩急をつけながら乳房を揉み、主  
張を始めた頂を指で刺激した。  
「んぅ・・・あぁっ」  
彼女の口から色づいた声が聞こえてきたのを合図に、一気に服  
を脱がせその服で両の手首を戒める。  
 
「な・・になさるんですかっ!」  
手の自由を奪われ、晒された白い素肌と彼女らしい淡いピンク  
の下着。  
そんな肢体を隠そうと恥ずかしげに身をよじる彼女が愛しい。  
 
「わからないの?」  
酷く淫猥な笑みを彼女にむける。  
これから起こることが何かを思い知らせるように・・・。  
「・・・あぁっ、不破とはまだこういうことしたことないんだね」  
「なっ・・・ 当たり前ですっ、こんな事!」  
絶句したように自分を睨み付ける。  
「うれしいよ最上さん、俺が初めてで」  
そして彼女の胸元に唇をよせきつく吸い上げる。  
「あっ・・・」  
むずがゆいような感覚に彼女が思わず声をもらした。  
 
 
一度味わった肌は麻薬のようで何度も味あわずにはいられない。  
角度を変え、何度も柔らかな肌に唇を寄せる。徐々に彼女の抵抗  
する声に熱が帯びる。  
彼女の肌に赤い花びらが散って・・・  
「きれいだよ」  
 
「いゃぁぁぁ・・・」  
彼女は聞きたくないというように顔を左右に振る。  
そして彼女のクリトリスをつまみ指で転がすように刺激する。     
 
「あはぁ…っんっ」  
その刺激が堪らないのか、甘い喘ぎがもれた。  
 
そして彼女は恐怖と・・・それに勝った快感で意識を手放した。  
 
 
「キョーコちゃん・・・」  
昔呼んでいた彼女の名前を涙に濡れた彼女の頬を撫でながら呟く。  
愛しさが溢れる様に込み上げてくるのに苦笑した。  
 
このまま逃がしてあげようか・・・。  
 
でも、自分の心の中に点いた暗い炎がその考えを打ち消す。  
 
自分のものにしてしまえ・・・、悪魔が囁いた。  
 
意識のない彼女の体を抱き上げ車を後にする。  
 
ガチャリとドアを開けた・・・広い自宅を進みベットルー  
ムへと足を踏み入れる・・・。  
 
 
ベットにそっと彼女の体を横たえる。  
彼女の自由を奪っていた戒めを解き中途半端に着ていた服を  
全て取り去り生まれたままの姿にした。  
 
そして自分の服も投げ捨てた。  
 
「・・・んっ・・」  
帰宅したばかりの空調の効いていない部屋・・・。全裸の彼女は  
寒いのか身震いするような動きをして彼女が覚醒を始める。  
「ぁっ・・・」  
 
恐怖とそして甘い・・・甘いなにの再開・・・  
 
彼女の顔が悲しそうに歪む。  
 
 
「さっきの続きをしよう」  
そう囁き彼女の体にのしかかり先ほど散らした花びらのような鬱  
血のあとを舌でなぞり、今度は乱暴に乳首をなぶる。  
「あっ・・・ぃぁ・・・」  
かすかに物欲しげに彼女が腰を揺らめかせたのを見逃さなかった  
・・・。  
そして彼女の足を開かせ、そして濡れた秘所へと再び手を伸ばす。  
彼女は腰を引いて自分の指から逃れようとしたが抗おうとすれば  
するほど ぐちゅぐちゅと卑猥な音を立て指は彼女の内壁を刺激し、  
さらに愛液を 溢れさせ、腰が引けば引くほど自分の体躯に阻まれ  
る。  
「や・・だっ・・・だめ指・・・抜いてぇっ」  
「駄目だよ…もう逃がさない」  
抵抗とされればされるほど暗い情欲という名の炎が燃え上がる。  
 
指を抜き愛撫をやめ、硬く立ち上がったソレを彼女に向けると膣  
口にあてがう。  
今すぐ突き立ててしまいたい衝動を抑えてゆっくりと慣らすよう  
に進めていく。  
「いっ・・・痛っ・・・」  
 
初めての行為に彼女から苦痛の悲鳴が上がる。  
苦悶に歪む彼女に深く口付ける・・・舌を絡ませ口腔をむさぼり、  
少しでも苦痛を紛らわせる。  
 
先端が入りそして慎重に腰を進め最奥へとたどり着く。  
「くっ・・・」  
暖かい彼女の内壁が自身に絡みついてあまりの刺激に声を漏らす。  
そして衝動のまま 華奢な彼女の腰をつかみ、激しく・・・やさし  
く・・・何度も何度も楔を打ち込んだ。  
 
卑猥な水音がベットルームに響く。何度も突き上げられ白い 彼女  
の首筋がうっすらと紅くなっていた。  
「あん・・・ぁっ・・・」  
拒絶をつむぐ唇から甘い喘ぎを漏らす唇に口付けをする。  
 
「あ・・・はっ・・・あんっん」  
腰の動きは早さを増し、互いの肌はしっとりと汗で濡れていた。  
突き入れるたびエンジュの体はしなり、今にも崩れ落ちそうだった。  
「もう・・・ゆるし・・・てぇ・・・」  
「違うよ・・・言うことが・・・」  
自身をグイグイと 奥に押し付け動きを止めた。  
「あ・・・っ・・・な・・んで?」  
「許して欲しいんでしょ」  
彼女に笑いかける。  
「・・・ちがっ・・・」  
彼女は奥で止まってしまったモノにじれるように、自分を縋る様見つ  
める。  
刺激にもう限界なのだろう。  
「言ってみて・・・どうして欲しいの?」  
「・・・・・・」  
彼女が唇をかみ締める。悔しいのか・・・無理やりに体を開かされて  
そして自分から懇願するのは・・・。  
「・・・」  
束の間の沈黙。  
 
「・・・い・・かせて・・・」  
 
沈黙を破ったのは彼女。  
その言葉で自分のモノが更にドクリと脈打つ。そして最後とばかりに  
早く激しく打ち込んだ。  
「も・・・っうだめぇ・・・ひぃゃぁぁぁ・・・」  
高い声が上がり急激に彼女の力が抜け失神した。  
「くぅっ・・・」  
同時に自分も彼女の中で激しく脈打つモノを限界で引き抜き彼女の肢  
体に白濁した欲望を吐き出した。  
 
 
「・・・ごめん、キョーコちゃん」  
彼女の黒く艶やかな黒髪をなでる。  
 
昨日見た彼女の不破のプロモを思い出す・・・。  
 
知ってしまった感情・・・、欲望・・・自分勝手に遂げてしまった思  
い・・・そして彼女を汚した。  
 
 
 
彼女にも罪悪感を植え付けるために無理やり要求の言葉を言わせた。  
 
 
・・・悪魔は俺だ・・・。  
 
 
自分の精で穢れた彼女を清め、やさしく抱きしめる。  
 
「逃がさないよ・・・もう・・・」  
 
そして空が白み始めた。  
 
 
                          続く  
 

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