再び信号は赤に変った。
後方車両は全て追いこして行ってしまった後なので、周囲には人気はない。
沈黙の交差点で、横断歩道の信号がうるさく点滅している。
「・・・仕事で・・・何があった?」
長い沈黙の後、キョーコを一瞥も離さず見つめていた蓮は、問いかけた。
先ほどまでの優しかった雰囲気は消え、口調は険しくなっている。
「・・・・何もありません」
「自覚がないのか?君はいつもの最上さんじゃない。何かあったんだろう?」
蓮はキョーコの胸から力任せに腕を引いた。
キョーコの身体がぐらりと揺れる。
「とにかく事務所へ入ろう。話はそれからだ」
明らかに怒っているのが解った。
不愉快さが全身から滲み出ていて、キョーコを萎縮させる。
ギアを入れ、車を発進させた。
すぐ先の駐車場入り口にウィンカーを出して入っていく。
「何かないと、こんなこと言ってはいけないのですか?・・・」
キョーコは小さい声でつぶやいた。
蓮は黙ってエンジンを切った。
静粛が訪れる。
「・・・・本気か?」
低く強張った声に、キョーコは目をあげた。
すぐそこに蓮の顔があるのに気が付く。
はっとして反射的に両手でブロックして身体をつっぱった。
「キャッ!!」
突然シートが倒され、キョーコは勢いで一緒に倒れこんだ。
「つ、敦賀さん・・・っ」
シートに押し付けられ、ブラウスがはだけられる。
フロントホックがはずされ、パチンと音がしてブラが両側にはじけた。
小ぶりな乳房は大きい手の平にすっぽりおさまり、形を歪められ弄られた。
「んんっ・・」
蓮の指がキョーコの顎にかかる。
押さえつけられ、頬はゆがみ微かに唇が歪んで開いた。
望んだことではあったが、キョーコは微かな恐怖で目をきつく閉じた。
だが、蓮はそれ以上動かなかった。
そっと目を開けると、蓮は静かにキョーコを見下ろしていた。
「・・・?」
つるがさん?
そう言おうとしたが、顎を押さえられて思うようにいかない。
「・・・事務所に用事は?」
蓮は指を離すと、そっとキョーコの前髪をかきあげる。
優しくて静かな声音は、キョーコには自分を憐れんでいるように聞こえた。
「・・・部室に寄らなきゃいけないんですが・・・。明日でも間にあいます・・」
「そうか」
蓮は身体を離して、シートから起き上がった。
「ここで待っていなさい・・・。送っていくから」
呆然と横たわったままのキョーコをそのままに、車を降りていった。
1人になった車内にカチリとロックの音が大きく響いた。
取り残された暗くて静かな中、キョーコはシートに横たわったままそっと胸元をかき寄せた。
『・・・送っていくから・・・』
蓮の声がリフレインする。
「・・・これって、ふられた、ってことですよね・・・?」
身をよじり、横向きになる。
「ふられちゃったのか・・・莫迦みたい・・・」
二の腕で顔を隠し、しばらく息をつめて黙り込んだ。
蓮は怒っていた。
何に腹がたっているのか、自分でもわからなかったが、とにかく怒りがおさまらなかった。
事務所の廊下を大股で歩き、タレント部門事務室に直行した。
「〜あ?蓮か。どうした?こんな時間に」
中に入ると、まだ残っていた椹が暢気に声をかけてきた。
「椹さん。聞きたいことがあります」
部屋中の空気を一瞬で凍らせ殺気を発しながら近づいてくる蓮に、椹はひえっと逃げ腰になる。
「な、なんだあ?」
「最上さんの今晩のラブミー部の仕事・・・。一体なんだったんですか?」
「・・・・っっっ!!!」
椹の顔色が音をたてて青くになった。
キョーコの怨念か、蓮の殺意か。
二者択一は椹にとって非常に難しい究極の選択だった。
『お先に失礼します。ご迷惑をおかけして申し訳ありませんでした。
勝手な話ですがさっきのことはどうか忘れてください K』
キョーコは走り書きをしたメモをフロントガラスのところに置き、車を離れた。
キーロックを解除したまま去るのは躊躇われたので
柱の影からエレベーターの出入り口をチェックすることにした。
蓮の姿が見えたら早々に立ち去るつもりだった。
本当は・・。敦賀さんの姿なんか見たくない。
こんなに胸が苦しいのに、見てしまったら私はどうなるんだろう・・・
キョーコの胸がギュウっと音をたてて軋む。
催眠術でローソクの火を見た瞬間から・・・、胸は容赦なくキョーコを締め付ける。
眼から涙がこぼれてくる。
キョーコは自分に言い聞かせた。
催眠術って、いつか、解けるんだよね?
しばらく我慢していたらきっと楽になるんだよ、キョーコ・・。
ピルルルル・・・。
キョーコの携帯が鳴った。
『非通知』。
まさかと慌ててあたりを確認する。
蓮の姿は車にもエレベーターにも見当たらない。
キョーコは通話ボタンを震える指でそっと押した。
椹だった。
「あ、今晩は椹さん。お疲れ様です!」
キョーコはほっとしつつ挨拶をした。
しかし電話の向こうは地獄の底から聞こえてくるような、おどろおどろとした電波がにじんでくる。
「最上くん・・・。すまん・・・。実は・・・敦賀くんに、バレてしまった・・・」
「は?」
「きまぐれロックのレギュラーのことだよ・・・・」
「・・・・・えええっっ!!!!」
地獄の釜が開いて闇が一気にやってきたような感覚に襲われるキョーコ。
ばれた・・・!
坊が私だってこと・・・!
今までの所業も、何もかも。
そして・・・、私が今日の生放送で
催 眠 術 に か か っ て し ま っ た こ と も ?
「そ、それって椹さん?それって・・・」
二の句がつげないキョーコ。
身体中が恐怖でガクガク震えた。
そこに。
「・・・最上さん」
大魔王の声がキョーコの耳に響く。
はっと息が止まり固まるキョーコ。
「椹さんから、全部聞いたよ・・・」
蓮が後ろに立っていた。
怒りの波動で空気がビリビリと震えた。
「キャアアアアアアアアーーーーーッッッ!!!!」
気がついたとき、キョーコは全速力で逃げていた。
止まろうとしても恐怖で脚が勝手に動いてしまう。
後ろがどうなっているのか気になったが、振り向く勇気などかけらもない。
とにかく逃げた。
フロアを抜けて、廊下へでた。
職員用通用口をかけぬける。
出入り口のロックを外して、ドアをあけた。
「待ちなさい、最上さん!」
蓮の声が聞こえた。
イヤアアアア!追って来てるの!!!!?
待てと言われても止まるに止まれない。
キョーコはますますパニック状態になり全力疾走した。
裏口通路にでた。
目の前の階段を3段おきに駆け上る。
植木を飛び越えた。
着地すると同時に、両膝のバネを使い方向転換する。
裏通りに駆け出す。
坂道へ向かう。
自転車が突然飛び出してきた。
片手で突進してくるハンドルを突き飛ばした。
そのまま体勢をくずしながら走る。
後ろでガシャーン!と何かがぶつかる音が聞こえた。
公園に入る。
下り階段を飛ぶ。
折り返しの踊り場で手すりを軸に、ジャンプした。
ふわりと空中で体勢をととのえる。
一気に下まで着地した。
勢いでそのまま走り出す。
が。
ダーーン!!!
という音と共に、上から人間が真正面に降ってきた。
はっとするキョーコ。
慣性ですぐに止まることが出来ない。
ぶつかる!
キョーコは眼を閉じた。
ガッ!!!!
飛び込んだ身体を力強く抱き止められて、キョーコは宙に浮いた。
「っ!・・・」
キョーコは泣きそうになった。
その人間が誰だか解りすぎるほどわかっていたから。
逃げようともがくが、両腕でホールドされて全く自由が利かなかった。
「・・・つるがさん・・」
涙がこぼれた。
壊れた蛇口のようにボタボタボタと次から次に地面に落ちた。
「・・・ったく・・・。君の身体能力には感心するよ・・・」
蓮はキョーコを肩にかつぎあげながら、汗をふいた。
「ふっ・・・ふぁなしてくださいぃ・・っっ・・」
えぐえぐと泣きながら蓮に懇願するキョーコ。
「・・・ごめんなさいぃ・・だか・ら・・っ。うぇっ・・」
「駄目」
抱えたキョーコをそのままに、蓮は今来た道を戻り始める。
「こんな時間だしあまり迷惑はかけられないから・・・急いで行くよ。催眠術を解いてもらいに」
「・・・はあ。で、私にどうしろと」
寝ぼけ眼の自称催眠術師はアパートの玄関で2人に言った。
「ですから電話で説明したとおり、先ほどの『坊』はこの子なんです。
あの時この子の術を解いてもらわないまま終了してしまったので
その術を、解いてあげて欲しいんです」
蓮は言った。
なみだ目で縮こまるキョーコ。
「はあ、そうですか・・・」
訝しげに見る男。
「でもねえ、術なんか解けませんよ」
「どうしてですか?ご迷惑は解っていますが・・・」
イラつく蓮。
「だって私、催眠術なんかかけてませんから」
「だから、そこを無理を承知で・・・。・・・・は?」
「・・・は?」
「「 は あ あ ? ? ? ? 」」
「本当の催眠術師は急病でこれなくなったんですよ。
打ち合わせで聞いてなかったんですか?
つなぎで無理矢理連れてこられたんですけどね・・・、僕は単なる手品師です。
ハトならだせますが、あなたがたをハトにはできません。
敦賀さん、あなただって術にかかるどころか、全然そんな気分にならなかったでしょう?」
「・・・はあ、それはそうでしたが・・・」
「この方が本当に術にかかっている風なのでしたら、多分自己催眠ですね。
その気になっちゃった、ってことですよ。
ご本人が希望されていたように、術にね」
「・・・」
「・・・」
「で、何の術でしたっけ。イチローになったままなんですか?」
もう一度あくびを噛み殺す男を、蓮もキョーコもただ呆然と見ているしかなかったのである・・・。
蓮の車の中。
キョーコはもうこのままドアを開けて橋からダイビングし
東京湾へ自分を沈めてしまいたかった。
お話にならない。
洒落にならない。
ばかばかしすぎて涙もでやしない。
大混乱の頭の中は整理がつかないまま、蓮の一挙一動にビクついている。
ああっもうやだああっ!!と頭を抱えて暴れたい。
早くどこでもいいから車から降ろして欲しい、それだけを望んでいた。
やがて駐車場に車は止まり、蓮は助手席のドアを開けた。
「ついたよ。降りて」
顔をあげないまま、キョーコはそろそろと降りた。
「・・・・。今日は本当にご迷惑をおかけして申し訳ありません。
海よりも深く反省します」
深々と頭をたれる。
「では・・・失礼します」
後じさるキョーコを蓮は慌てて腕をつかんだ。
「どこにいくの?」
「椹さんに挨拶して家に帰ります・・・。気に留めぬよう・・」
「何言ってるの。いいからおいで」
キョーコの肩を抱いて連れて行く。
はっ?
周囲の様子が何気に違うのにやっとキョーコは気がついた。
LMEだとばかり思っていたが、蓮のマンションの駐車場だったのだ。
「あ、あの・・敦賀さん?」
大慌てのキョーコをエレベーターに押し込めると、最上階のボタンを押した。
静かに動き出す。
わざと大きなため息をついて、蓮は言った。
「君には毎度毎度驚かされるけれど・・・。今回も参ったよ・・疲れた」
「うっ・・・すい、ま・・せん・・」
キョーコの顔が真っ赤になり湯気が吹き出た。
蓮の顔を見ることなどが出来るわけが無い。
「いいよ、もう・・。思いきり振り回されたけど、最後がこうなら何も文句はない」
「ふわっ?」
チン、とエレベーターが止まったと同時に、キョーコは抱き上げられた。
そのままの体勢で部屋に入り、ベットルームへ連れて行かれた。
「あっ、あのっ・・きゃあっ!」
キョーコはいきなり空中に放り出され、ベットに身体を何度もバウンドさせた。
転がってしまう身体をなんとか立て直そうとしたが、蓮にそのまま押さえつけられる。
のしかかってくる重い体から、むっと男の汗の匂いがした。
「んっ・・!」
唇を塞がれ、舌が侵入してきた。
両手に顔を挟まれて、口が閉じられない。
口内を蓮の舌が動き回り、歯があたってガチガチと鳴った。
「んっ・・・ふぅ・・」
苦しくてキョーコは息を漏らす。
蓮のシャツをひっぱって押し戻そうとするが、びくともしない。
唇の端から唾液がつたって流れた。
長い時間愉しんだ後、蓮は唇を離して言った。
「これくらいお仕置きしても許されるだろう?」
いつの間にかはだけていたキョーコのブラウスを脱がせた。
露出した細い肩を撫で回し、吸い、歯をたて、痕をいくつも残した。
一度外したブラのホックをまたずらし、再び乳房を指先と掌でもてあそぶ。
「んん・・っ、つるが、さん・・・どうして?ですか・・・。さっきは怒ってたのに」
また塞ごうとする唇を、キョーコは懸命に首を振って逃げた。
「いやなのでしょ?・・こんなこと不愉快なんでしょう?・・・お仕置きって・・。
そんなに怒っているんですか?・・・」
蓮は手を止めて、べそをかくキョーコを見る。
少し黙っていたが、やがてクスクスと笑いだして、キョーコの髪をくしゃくしゃにかき乱した。
「ああ、もう・・・。なんて可愛いんだ?参ったよ」
きょとんとするキョーコを強く抱き、体勢を入れ替えて自分の身体の上にのせた。
「覚えておいた方がいい。結構男ってロマンチストなんだよ。
あんな口説き方じゃ驚いて戸惑ってしまうからね・・・少なくとも、俺は」
ブラジャーを腕から抜き取り放り投げる。
スカートのホックに手をかけた。
慌てるキョーコの手を押さえながら、脚から抜き取った。
自分のシャツも、片手でボタンを外していく。
「訳がわからなくて椹さんに聞いてみれば、君が『坊』だって?
どういうことなんだい?
しかも自分で『催眠術にかかったから』とか言ってるし。
それを知った俺の気持ち、想像つく?」
「う・・・」
「暗示にかかったわけでもない、君の心と身体の望むとおりに。
俺も好きだよ、キョーコちゃん・・・。
君がいい。
本音で俺を好きな、君がいい。
でも俺にも少しは怒る権利はあるだろう・・・。こんな風に」
蓮はキョーコの頭を引き寄せ、再び深く口付けをした。
上唇と下唇を交互に甘噛みし、歯の裏を舐める。
舌を強く吸い上げ、唾液を送り込んだ。
手はキョーコの脇から腰まで何度もすべり撫で回す。
胸に微かに触れ、指を何度も行き来させる。
その度、キョーコの身体はピクン、ピクンと反応し、切なそうな声をあげた。
腰から手をすべらせて、そっと最後の一枚をずらしていく。
「ふんっ・・あん、やっ・・」
キョーコが蓮の身体から降りようと抵抗するのを抑え、ショーツを剥いた。
蓮は身体を起こし、再び体勢を入れ替える。
脚から抜き取った布を放り、手を滑らせる。
奥の突起に指をあて、ゆっくりと円を描く。
「あっ、や、やだ・・っ!」
自分でも触ったことのない場所への刺激に、キョーコは跳ね上がり太腿をきゅうっとしめた。
「これは『坊』で俺を騙したお仕置き・・」
2本の指と掌で圧迫ししつこく刺激を与え続ける。
「ここも、あそこも、固くなっているね」
同時に胸に顔を埋めて舌と唇で愛撫した。
「これは椹さんとグルで黙っていたこと・・・。ここは、『坊』で女の子とつきあうことを勧めたこと」
吸い付いてくるキョーコの奥に、指を進めて中を擦り続ける。
すっかり濡れたそこは、蓮の指の動きにあわせて、躍動しからみついた。
「あっ・・・あっ・・・やめて、あんっ。ごめんなさい・・敦賀さんっ・・」
しっとり身体が汗ばみ、キョーコの頬が染まる。
両手は蓮の背中にしがみつき、引き寄せた。
キョーコの耳元でつぶやく。
「ほら・・もっと謝って・・・。でないと止まらないよ」
挿入する指を3本に増やし、中で自由に動き回った。
親指はクリトリスを刺激し続け、快感を汲み出す。
「あっ・・っあぁんっ・・ごめ・んなさい・・許して。あっ! ああっごめ・っ・・ふぁあっ・・・っっっ!」
急にキョーコの内股が痙攣し、腰が浮き上がった。
ビクビクッと震えた後、息が荒くなった。
少しの間反応がなくなるキョーコに、蓮は嬉しそうに微笑む。
「今の、軽くイッたね・・・わかった?」
「んん・・」
朦朧としたキョーコは蓮のキスを今度は素直に受け入れ舌を動かした。
「可愛いよ・・・。こんな可愛いのに俺を騙していたなんてね」
「ん・・ごめんなさい・・・」
「それにこれは・・・さっき、他のせいにして俺を誘ったお仕置き・・」
蓮は身体をずらして下に移動した。
汗で光る肌を舐めながら、腹部までさがる。
くぼみに舌を差しこみほじる。
両手は腰から臀部を経由し膝をさする。
そのまま内股にすべって、膝を開かせた。
「あっ・・や・・っ!!」
キョーコは慌てて膝を閉じようとしたが、蓮の頭は間に入っていた。
長い指で肉を掻き分け、開かせる。
「や、やめて。見ないでえ・・」
かぶりを振り腰をよじらせるキョーコ。
構わず指をすすめる蓮。
開いたそこは蜜で光りながら時折ひくひくと蠢いていた。
見たことのない美しい光景にしばらく眼を細めていた蓮だったが
やがて舌をのばしてそっと突起を舐めあげた。
「あっ!やん!」
キョーコの身体が跳ね上がる。
初めての行為には刺激が強すぎる愛撫だった。
「やだ、やめて、やめてくださいっ・・っ!」
本気の抵抗に一瞬離れた蓮だったが、両手で太腿を抱えあげて抑え付ける。
大きく開いた脚の間に再び顔を埋めて思う存分味わうことに没頭した。
キョーコは腰を固定され、動くことが叶わなかった。
蓮の髪を掻き毟る。
精一杯押すが止めてくれそうにない行為を耐えるしかなかった。
「あぅっ・・・ん・・ふぅ・・んんっ・・」
股間で唇が動き回る刺激に、声は溶けとめどなく溢れる。
身体全体が火照り燃え出しそうに熱かった。
内股がびくつき、微かに震える。
暖かくて硬いものが中でどんどん膨らんできて背中をはいのぼってきた。
「あっ・・。つ敦賀さん・・・っ。も、もう、もう許して・・ください・・っ。やめっ・・」
足の甲が反り返る。
しびれた感覚が襲ってきて攣りそうになった。
再び指が侵入してくる。
舌で突起を刺激すると同時に中がひくつくのが指に伝わってきた。
何度もそれを確かめ続ける。
「敦賀さんっ!つるがさん・・ね、ねえ。ねえ・・」
キョーコの声がせっぱつまってくる。
「お願い、ねえっ・・・」
涙声で懇願するキョーコに、蓮はやっと脚を解放し、身体の位置を変えた。
「どうした・・・?君が望んでいたことだろう?こんな風に、こうして欲しかったんだろう?」
「・・・っ」
キョーコの耳に囁きながら、スボンのベルトを外す蓮。
カチャリと響く音に、キョーコはこれから起こることを悟り、蓮の首に腕をまきつけた。
「脚、ひらいて・・」
蓮の手が太腿を大きく広げ、硬くなったものを当ててきた。
全て終わった後、蓮はキョーコを優しく拭いてくれた。
横抱きにしてシーツにくるめる。
ぼうっとしているキョーコに額をあてて、言った。
「まだ、ここ苦しい?・・・」
そっと胸元をなでる。
キョーコは首をふって眼を閉じる。
「いいえ・・・。とっても暖かいです。敦賀さん、ありがとうございます」
俺こそ、ありがとう・・・。
きゅうっと抱き寄せ、自分にあわせてしなる背中をさすりながら
蓮も同じ夢におちていった。
(終わり)