ここでアースは何を勘違いしたのか、上着とズボンを全て脱いでしまい、下着1枚の姿になった。  
「ちょ!ア、アースさん!そ、そこまで脱いで頂かなくても・・・」ステラは手で顔を隠し頬を真っ赤に染めた。  
「ご、ごめん、ここまで脱がないといけないかな、って勘違いしちゃって・・・」  
「と、とりあえずズボンは履いたままで結構ですよ・・・」  
「ははは・・・ごめんなさい・・・」  
 
アースはすぐにズボンを履き、その状態でベッドに横になった。  
「じゃあ、怪我している所、一ケ所ずつ治していきますね」  
「えっ?手元に救急箱とかないけどどうやって治すの?」  
「私は巫女なので、治癒するための魔法が使えるんですよ」  
「へーっそうなんだ。そういやライコウも確か使えるって言ってたな(あれは酔い覚ましだったっけかな?)」  
「じゃあ、まずは肩のところを・・・○×△#◎?△・・・」  
「お、おおっ何だか肩が軽くなってゆく・・・き、気持ちいい・・・」  
アースはステラの魔法によりさっき怪我をしたところの痛みが引いていくのが分かる。  
「次はお腹の部分・・・○×△#◎?△・・・」  
「おお・・・凄い・・・」  
「次はうつ伏せになって下さい。背中にも怪我があるといけませんので」  
「あ、ああ。で、でも凄いねステラさん。どんどん痛みが引いてゆく・・・」  
「そんな事ないですよ・・・巫女なら出来て当然の事ですから・・・あっアースさん。背中にちょっとおっきな怪我がありますね・・・でもこれは今日付けたものじゃないみたい・・・」  
「それは以前デビル空賊団やデーモン空賊団との闘いで付けたやつだから、痛みはないよ」  
「空の平和の為に・・・こんなに傷を負ってまで・・・ほんと・・・ありがとうございます・・・」  
ステラは小さな手のひらをその傷に沿って擦ってきた。  
「あ・・・ステラさんの手・・・とっても柔らかくて暖かいね・・・」  
「アースさん・・・気持ちいいですか・・・?」  
「ああ・・・何だか君の手が・・・優しく俺を包み込む・・・」  
アースがそういうと同時に、アースはバッと起き上がり擦っていたステラの手を握ってきた。  
 
「きゃっ!な、何ですかアースさん!ち、治療はまだ・・・終わって・・・ませんよ・・・」  
アースがステラの手を握りしめながら真直ぐな目でステラの顔を覗き込む。ステラは少し頬を赤らめ視線を外に向ける。  
「ス、ステラさん・・・ちゃんと・・・俺の目を・・・見つめて・・・」  
「えっ・・・?」  
ステラはアースの言葉に従い、ゆっくりと目線をアースの目に合わせた。その時  
 
「んんっ・・・!」  
アースが突然、ステラの唇にキスをしてきた。当然、ステラは何が起こったのか理解できず、パチンと目を大きく開き身体を硬直させた。  
「ア、アース・・・さん・・・?」  
こういったことに慣れていなかったステラは真っ赤に頬を染めた。しかも拒否しようともアースがしっかりと手を握りしめているので、離れる事が出来ずしばらく口づけが続いた。  
 
そこに突如、ドンという扉が開く音と共に元気な声が聞こえてきた!  
「お姉ちゃーん、おっ先〜!」  
扉を開けて入ってきたのは、先程シャワーを浴びに行っていたシフォンだった。  
「あーっスッキリし・・・た・・・って・・・」  
 
バスタオル1枚姿で入ってきたシフォンが見たその光景・・・なんとステラとアースがベッドで口づけをしていたのだ。  
「お、おっ、お姉ちゃん・・・!?」  
ステラはその声を聞き我に返った。  
「んぱっ!!!シ、シフォン!?」  
「お、お姉ちゃん・・・な、何してるの・・・?」  
「ち、違うの・・・違うのよ!シフォン!」  
「違うって・・・お、お兄ちゃんと・・・な、何してたの・・・?」  
「・・・」  
「ねえ、何してたのって聞いてるのぉ!」  
「ア、アースさんに・・・突然・・・」  
「突然・・・何?」  
「・・・チュー・・・されちゃった・・・」  
「えええっ!?チ、チューって!?」  
「チ、チューだけよシフォン!私・・・こんなの・・・初めてで・・・呆然としちゃった・・・何だか・・・身体が熱い・・・」  
「お、お兄ちゃん!な、何でお姉ちゃんと、キ、キスしたのぉ!?」  
「ごめん・・・お姉さんに魔法で治療してもらってる内に・・・気持ちよくなって・・・つい・・・ご、ごめんね、ステラさん」  
「えっ・・・い、いいんですよ・・・でも・・・アースさん・・・ちょっと強引すぎます・・・」  
「ははっ・・・ほ、ほんとごめん・・・」  
「ふふっ・・・そんなに謝らなくても・・・いいですよ・・・」  
 
シフォンはなぜかアースとステラがとっても仲良くなっているので、仲間外れにされたくないと思いこんな行動に出た。  
 
「・・・わ、私も・・・チューするぅ!」  
「うわっ!シフォンちゃん!ちょっと!」  
 
シフォンはバスタオル姿でアースのベッドに飛び込んで行った。  
 
シフォンは上半身裸のアースの上に覆いかぶさる状態で飛び乗ってきた。  
 
「わ、わ、シ、シフォンちゃん、ちょっと・・・」  
「ねえ〜、アースくうん、いいでしょ?お姉ちゃんだけじゃなく、私にもチューして!」  
シフォンは目を閉じて口をこちらに向けてきたが、突然のことでアースもかなり困惑気味だ。  
「シ、シフォン、止めなさい!アースさん、困ってるでしょ!?」  
「何よー、お姉ちゃんさっきまでチューしてたじゃない!私だけ仲間外れになるの嫌だもん!」  
「ダ、ダメよ!アースさん怪我してるんだから、そこを離れなさい!」  
「嫌っ!チューするまで離れないもん!さあ、早くぅ!」  
「シフォン、お姉ちゃんの言う事聞きなさい!」  
ステラはシフォンの巻いていたバスタオルを掴み、アースから離れさせようとしたその時  
「あっ!」  
「ああっ!」  
 
バサッ・・・ステラがシフォンのバスタオルを掴むと、スルッと抜けてしまい、シフォンのあられもない姿がアースの前に・・・  
 
「あああーっ!」アースはまじまじとシフォンの身体を目に焼き付けた。  
「キ、キャーーッ!アース君のエッチぃ!」  
 
パチーン!すぐさまシフォンの右手がアースの頬に飛んできた。  
 
「ぐはっ!痛ってえーーー!な、なんて強さだ・・・」  
「シフォン!」  
「ア、アース君の、バカー!」ドタドタドタ・・・  
 
シフォンはバスタオルをステラから取返すと、目に涙を浮かべてその部屋から出て行った。  
 
バタン!扉が強い勢いで閉まると同時に二人はしばらく沈黙を続けたが、お互いが目を合わすてステラが話し掛けた。  
 
「ア、アースさん・・・だ、大丈夫ですか・・・?」  
「え、ええ・・・でも・・・シフォンちゃんに・・・悪い事しちゃったね・・・」  
「悪いのは私です!シフォンもまだ子供なので、私がちゃんと言い聞かせないと・・・」  
「う〜ん・・・とりあえず俺から謝らないといけないんじゃ?」  
「いえいえ私から良く言って聞かせますので・・・あらもうこんな時間。アースさん、今日は遅いですし、ウチに泊まっていって下さい」  
「えっ?いいんですか?」  
「ええ、今日はお疲れでしたしょうし、この部屋でゆっくりお休み下さい」  
「すみません、じゃあまた明日にでもシフォンちゃんに謝りますよ」  
「大丈夫ですよ、明日にはケロッとしてるでしょうから。では、お休みなさい・・・アースさん」  
「お休みなさい・・・ステラさん」  
 
アースは横になりながら、今日のことを振り返ってみた。  
 
「ステラさんしっかりしてるなあ・・・さすがはお姉さんってとこか。それが俺を惹き付けた魅力なんだろうか」  
「でも、キスしたところをシフォンちゃんに見られたのはまずかったなあ・・・明日、ちゃんと謝ろう・・・」  
 
そんな感じで色々と考えてたが、今日の疲れのせいか、すーっと目が閉じてゆき、意識が無くなってゆく・・・。  
その何分後だったろうか、アースのいる部屋の扉がきーっと音を立ててゆっくりと開いた。  
 
「・・ス君」  
「・ース君?」  
「アース君?起きてる?」  
 
アースの側で何か声がする。しかしもう眠りにつこうとしたときなので、ちゃんと聞き取れない。  
その後、身体をゆさゆささせてきたのに気付き、目をこすって開けてみたら・・・そこにはシフォンの顔が。  
 
「シ、シフォン・・・ちゃん・・・?」  
「うん・・・シフォンだよアース君、ごめんね起こしちゃって」  
「い、いいよ・・・でも、こんな時間にどうしたの・・・?」  
 
シフォンは今度はパジャマ姿でアースの部屋に入ってきた。  
 
「えとね・・・ごめんなさいって・・・言いに来たんだ」  
「へっ?」  
「さっき私、アース君に思いっきり平手打ちしちゃったでしょ?」  
「ああ、ちょっと痛かったけど、俺も悪かったしね」  
「アース君は悪くないんだよ!お姉ちゃんにあの後色々言われて、私なんて勝手な事しちゃったんだろうって・・・」  
「シフォンちゃんの気持ちも分かるよ。仲間外れにされたくなかったんだよね?」  
「うん・・・二人の姿を見て私も、って気持ちが強くなっちゃって。ほんと、ごめんなさい」  
「もういいよシフォンちゃん。さあ、今日はもう遅いし、寝ようよ」  
「うん・・・あのさ・・・アース君・・・お願いがあるんだ」  
「ん?何だい?」  
「今晩だけ、一緒に・・・寝てもいい?」  
「ええっ!?」  
 
アースは突然のシフォンの言葉に吃驚した。  
 
「ど、どうして?」  
「アース君が何だかお父さんに見えたの・・・」  
「お父さん?そういや、君たちのお父さんってこの家には・・・」  
「うん・・・かなり前だけど魔王ルーザックを封印する為にお姉ちゃんと私を残して戦死しちゃったんだ」  
「そうか・・・勇敢なお父さんだったんだね・・・」  
「アース君もお姉ちゃんを助ける為に勇敢に闘ってくれたんだよね。それを聞いてちょっとお父さんの事思い出しちゃったの」  
「お父さんの事を思い出したら、アース君とお父さんがダブって見えて・・・」  
「そうなんだ・・・。君のお父さんには程遠いかもしれないけど、今日は一緒に寝てあげるよ」  
「うん・・・ありがとうアース君・・・」  
 
シフォンがするっとアースの横の布団に潜り込み、アースの側に寄ってきた。ほんのり香る、髪のシャンプーの匂いがしてきた。  
「シ、シフォンちゃん、そんなにくっついたら・・・眠りにくくない?」  
「ううん・・・お父さんに・・・いつもこうやって寄り添って寝てたから・・・」  
「そ、そうか・・・分かったよ」  
「じゃあ、おやすみなさい・・・お父さん・・・」  
 
シフォンはそう言うと、すぐにスーッと寝息を立てて眠りについた。  
 
「シフォンちゃん・・・余程お父さんが好きだったんだな・・・。でも、もう甘えることも出来ないんじゃ寂しいだろうな・・・」  
アースはさっきしてあげれなかったキスを、シフォンのおでこに軽くしてあげてから、眠りについた。  
 
 
翌日・・・  
 
「ステラさん、おはようございます!」  
「あっアースさん!昨日は良く眠れました?傷とか痛みはありませんか?」  
「ええ、おかげさまで」  
「あら・・・?アースさんの後ろにシフォンが隠れてるみたいですが・・・こらっ、シフォン出てきなさい!」  
「えへへー、お姉ちゃんおはよう!」シフォンがアースの後ろから笑顔をぴょこんと出してきた。  
「あら?もしかしてアースさん、シフォンと仲直りしたんですか?」  
「え、ええ。昨日シフォンちゃんが部屋に謝りに来たんです」  
「そうですか〜。シフォン、アースさんに許してもらったのね」  
「うん!お兄ちゃん優しいからすぐ許してもらったよ!嬉しくて一緒のベッドで寝ちゃった!」  
「(えっ・・・一緒のベッドって)よ、良かったわねシフォン。と、とりあえず朝ごはんの用意が出来てますので、召し上がって下さい」  
「ここまでしていただけるなんて・・・ほんとありがとうございます」  
 
ステラはシフォンとアースが仲直りしたのはいいが、一緒のベッドで一夜を明かしたと聞いて少しムッとした。  
 
「え、えーとアースさんこのあとどうされるんですか?」  
「昨日バースデーケーキを予約したんで、今日は飾り付けとか花束とかを買いに行こうかと思ってます」  
「あっそれならお兄ちゃん私と一緒に行こ!案内してあげる!」  
「シフォン!アースさんはラブさんの誕生日の用意で忙しいんだから、邪魔しちゃだめでしょ?」  
「えーっいいじゃん別に。私がいたほうが店探す手間も省けるしいいでしょ?」  
「アースさん、それなら私も一緒に行かせて貰っても良いですか?」  
「えっ?ふ、二人と?」  
 
アースは案内してもらうなら一人でも二人でも同じかと思い、快く承諾した。  
 
続く  
 
 

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