デーモン空賊団を倒し、再度空の平和を取り戻したピース空賊団。
とある晴れた日、飛行船内でアースがキャプテンルームに入ってきた。
「ラ、ラブ、ちょっと、いいかな?」
アースはなぜかうつろな目で私を見る。
「何だ?私に用事か?」
「うん、少しの期間でいいんだけど、地上に降りてもいいかなあ」
「ん?何か行きたいところがあるのか?」
「う、うん、ちょっとね」
アースの喋り方が何とも怪しいため、否定するように答えた。
「・・・その間にまた空の平和を乱す輩が出てきたらどうするんだ?」
「それは承知してるさ。ほ、ほんの2〜3日でいいんだよ。ザックもライコウも最近疲れているみたいだし、たまには休息も必要かな・・って思って」
アースの言うことももっともだ。これまで空賊団との戦いで緊張の連続のため、メンバーの士気も少し落ちてきている。
「メンバーを労る気持ちも分からなくはない。しかし、勝って兜の緒を締めろという通り、こんな時こそ後から出てくる敵に用心し、空を守るのが我らの勤めではないか」
「それはそうだけど・・・」
「ラブよ、ちょっと落ち着くんじゃ」
その会話を止めたのはライコウだった。
「ライコウ・・・!」
「ラブ、お前さんの気持ちも分かる。しかし、乗組員も大分疲れが見えてきている、実際ワシもこの老体を維持するのは結構辛いでの」
「そ、そうだろライコウ、逆にラブだって連戦で疲れていると思うんだ」
ライコウとアースの言葉を聞いてラブはハッと目覚めた。
「・・・戦いばかりで息を抜くヒマもなかったが、ようやく平和を取り戻した直後だし、2〜3日ぐらいなら敵も戦いの準備には短すぎるだろうし・・・」
すっくとラブは立ち上がり
「よし、ライコウの意見に同意しよう!アース、3日限定で皆に休暇を取らせろ!」
「了解!ありがとうラブ!」
アースは喜びの笑顔だったが、ラブはこの時点で何だか引っ掛かるものを感じた。
そしてピース空賊団は飛行場へ降り立った。
「さあ着いたぞ。皆これまで御苦労だった。3日と短い期間ではあるが十分体を休めてくれ。ただ、緊急時には連絡が取れるようにしておいてもらいたい。いいな」
「了解!」
そして家族の元に行く者、酒場等に行く者などバラバラに散り、残ったのは2名。ラブとアースであった。
「アース、お前はどこかに行きたいと言っていたな。どこに行くんだ?良ければついていってもいいぞ」
「えっ!?いっ、いいよラブ。大したところへ行く訳じゃないし、ラブもどこかでゆっくり体を休めてよ」
アースはドギマギしながら答えたが、何だか怪しい。
「何っ?私と行くのがイヤなのか?」ラブは少し目をつり上げてアースを睨む。
「ち、違うってラブ、いっしょに行きたいのはヤマヤマだけど、今日は独りで行きたいところなんだ」
「(・・・ここまで否定するとは・・・私に何か隠し事でも・・・)」
ラブはアースの怪しい態度に疑問を抱きながらも
「分かった。アースがそこまで言うなら独りで行ってもいい。ではここで別れるとするか」
「う、うん、ごめんなラブ」
「ああ、じゃあアース、また3日後に」
ラブが後ろを振り返り、アースの元を去った。
「行った・・・な。ラブ。ウソ言ってゴメンな。実はもうすぐ、君の誕生日なんだぜ・・・」
そうなのだ。3日後はちょうどラブの誕生日。アースは誕生日を祝ってあげようと、どうせなら盛大にやってビックリさせてやろうと考え、その準備が必要なため、アースはラブに地上に降りる事を提案したのだ。
「へへっ、ラブの驚く顔が楽しみだぜ!さあ、色々と買い出ししなきゃな!」
・・・前日、アースはザックとライコウを作戦会議室に呼び、こんな会話が行なわれた。
「実はラブの誕生日が近いんだ。今まで戦いに明け暮れてたからなかなか祝うことができなかったけど、ちょうど空の平和が戻ったし、今回ちょっとラブをビックリさせてやろうと思ってるんだ」
「ほうそうか。せっかくの誕生日じゃし、いいかもしれんの」
「キャップが喜んでくれるなら、俺も協力するぜ!」
「ありがとう。それで色々と準備しないといけないけど、このまま空にいたんじゃ何も用意できないから、ちょっと明日ラブに地上に降りる事を話してみようと思ってる。多分否定されると思うんだけど・・・」
「それならワシに任せい!ラブとお前さんが話してる間に入って説得してやるわい」
「じいさんが言ってくれればラブも納得するはず。すまないけどよろしくな!」
「ザックは乗組員全員にこの事をこっそり告げてくれないか。皆で祝うことも」
「わかったぜアース!じゃあ早速話をしてくるぜい!」
こうして、キャプテンのラブをビックリさせる計画が始まった・・・。
「まずはケーキを予約しなきゃな。さーてどこにあるかなあ」
アースは洋菓子店を探したが、それらしき店がなかなか見つからない。仕方なく、歩いている人に聞いてみた。
「すみません、この辺りにケーキを作ってくれる店ってありますか?」
「ケーキですか?ここにはないですけど、ここを東に向かえば隣のエサリカ村におすすめの店ありますよ」
「エサリカ村ですか?ここを東に向かうんですね。分かりました、ありがとう!」
アースはエサリカ村におすすめの店があると聞き、早速東の方向へ歩いていった。そしてエサリカ村に到着。辺りを見回してみると、ケーキの絵が描かれている少し大きめの看板を発見。
「あっあれがそうかな?よし、早速注文しに行こう!」
アースが陽気に店に向かうと、人の列ができている。
「うわ〜結構人気の店じゃん。3日間なんかで作ってもらえるかなあ」
アースは少し心配しながらも、その列に並び順番を待った。そして数分後、アースの順番が回ってきた。
「いらっしゃいませ!お客さまどのケーキを御所望ですか?」
「い、いや、今日は今度誕生日を迎える人がいて、バースデーケーキを作ってもらおうと思ってるんですが」
「そうですか!それはおめでとうございます!ところでその方のお誕生日はいつでしょうか?」
「3日後なんですけど・・・作ってもらえますかね・・・?」
「3日ですか・・・大きさはどの程度をお考えですか?」
「ウチのメンバーと乗組員の数十名分が食べれるぐらい必要なので、大きめなのをお願いしたいんですが」
「え〜っと、ちょ、ちょっと待って下さいね。店長〜!」
店の店員さんが奥に入り、店長と何やら話をしているようだ。
「やっぱ大きめなのは3日じゃ無理かなあ・・・」アースは少し心配してきた。すると店長が奥から姿を現わした。
「お客さま、数十人分様のケーキを作るとなると、3日という期間ではちょっと厳しいと思われます。
なので、よろしければバースデーケーキ用には普通サイズのものを1つと、ウチの作っている色々なケーキをバイキング形式でお出しするというのはいかがでしょうか。それなら、3日あれば十分です」
「おーなるほど・・・そういう方法もアリだよな。分かりました!じゃあ、それでお願いできますか?」
「承知致しました!では、こちらの用紙にお名前と連絡先、誕生日を迎える方のお名前等を記入して頂けますか?」
「はいはい・・・俺の名前はアース・ジャスティス・・・迎える方の名前はラブ・ハート・・・っと」
「えっ?ラ、ラブ・ハート様!?も、もしかしてピース空賊団の・・・!?」
「え、ええ、そうですけど・・・何か?」
「そ、それを早く言って下されば・・・お、おい!今から突貫工事で大型ケーキを作るんだ!早く!」
「ちょ、ちょっと店長さん!さっき言って頂いたバイキング形式でいいですよ!?」
「いいや、ラブ・ハート様に空の平和を守って頂いたことで、今の私達は安心して店を出す事ができるんです!大きめのケーキ、しっかり3日後にお届けします!」
「は、はあ・・・分かりました・・・じゃあ、お願いしますね・・・」
アースはラブがこれだけ人々に慕われてるのを聞いて正直凄いなあと思った。
ラブハートというの名前を聞いて、さっきまで並んでいた人たちが一斉にアースの元へ駆け寄った。
「ほんと平和を守って頂き感謝してます!」
「ラブ様に一度お会いした事があるんですよ私!ほんと綺麗だったわ〜」
「ねえねえ私達もバースデーパーティーに呼んでくださらない?」
「ちょ、ちょっと待って!お、俺これから他に行く所が有りますので!そ、それじゃ!」
アースは人々からもみくちゃにされたが、何とかその場から難を逃れた。
「ふ〜、びっくりした。ラブ人気はここでも健在か・・・と、とりあえず今度は飾りとかを買ってこなきゃ」
とアースが別の店に向かおうとしたとき、正面からバイクに乗った奴が轟音を挙げて走ってきた。
「おらおら〜!どけどけ〜!道を空けろ〜!」バイクはさっきのケーキ屋の列のほうへ向かっている。
「あっあれじゃあぶないぞ!よ、よけろ皆!」
しかしアースの声も届かず、ケーキを買って外に出ようとした女性客にバイクが突っ込んでいった!
「キャアーーーーーーッ!」
切り裂くような女性の甲高い声が町中に響く。アースは咄嗟にそのケーキ屋に走り戻った。
バイクは急停止し、引きそうになった女性に向かって
「けっ!邪魔なんだよ!道を空けろって行っただろ?」
「そ、そんな・・・急に来られても避け切れないし・・・」
女性は涙目になり顔にアザができてしまい、持っていたケーキも落としてしまった。それを見たアースは
「おい待て!」
「あ〜ん何だお前は?こいつの知り合いか?」
「知り合いじゃねえけど、お前のその態度が許せねえんだよ!」
「おぅ何だやろうってのか?いいぞ、来いよ」
「おぅ!俺をなめるなよ?」
こうしてアースとバイク野郎のケンカが始まった。
アースは何度か攻撃を受け劣勢ながらも、これまでのデーモン空賊団の戦いに比べれば大した相手でも無く、相手を弱らせるところまで追い詰め
「ち、チキショー!お、覚えてろ!」
「ヘン!おととい来やがれ!」
アースはフラフラになりながらも、何とか勝利を掴んだ。
「だ、大丈夫ですか!?」さっきの女性がアースの元へ駆け寄った。彼女は巫女の格好をしている。
「へ、大丈夫さ・・・でも、君のケーキ、ダメになっちゃったね・・・」
「ケーキは何とかなります!でも、見ず知らずのあなたに怪我をさせてしまって・・・私・・・」
「いいよ気にしなくても。よっこらせっと・・・あ、痛っ・・・」
「ほらほら無理しないでください・・・助けて頂いたお礼と言ってはなんですが、手当てして差し上げます・・・」
「ご、ごめん俺がもっとしっかりしてれば・・・」
「そんな事ないです!あなたは勇敢に戦ってくれました!ところで、あなたのお名前は・・・?」
「アース・ジャスティスです。ピース空賊団の偵察部隊の隊長です」
「ピース空賊団の・・・!そうですか、空の平和を守り、私の事も守って頂いて・・・ほんと勇敢な方です!」
「てへへ・・・そう言われると・・・恥ずかしいな・・・ところで君の名前は?」
「私はエサリカ村の巫女をしてます、ステラと言います。では、行きましょうか・・・」
ステラはアースに肩を貸したが、さすがに非力なステラではなかなかアースを持ち上げることができない。
「お、俺はなんとか自分で歩くようにするから、大丈夫だよ・・・」
「いいえ!私に任せてくだ・・・きゃっ!」
ステラは態勢を崩し、そのままアースの上に覆い被る形になり、なんとアースの顔とステラの顔が数センチのところまで近づいてしまった。
「ご、ごめんなさい・・・す、すぐ退きますから」ステラは顔を赤くしてドギマギしながらもすっくと立ち上がった。
アースは間近でステラの顔を見たとき「結構可愛いな・・・」と思ってしまった。(また浮気性の癖が・・・)
そんな時向こうの方から「お姉ちゃ〜ん」と元気な声が。
やってきたのはステラの妹、シフォンである。
「お姉ちゃんどうしたの?顔にアザがあるし・・・ところでこの人だあれ?」
「シフォン、この方私を助けてくれた方なの。怪我をされたのでウチで手当てしてあげようと思ったんだけど、私では運べなくて・・・」
「それなら私に任せて!じゃ、お兄ちゃん私の背中に乗って!おんぶしてあげる!」
「お、おんぶ!?き、君が俺をおんぶするって事?」
「うん!心配しなくても大丈夫!ちゃんと運んであげるから!さ、早く!」
「お、女の子におんぶされるなんて・・・恥ずかしいよ・・・」
「怪我してるんでしょ?恥ずかしがらないで!さ、早く!」
「わ、分かったよ・・・じゃ、じゃあ行くよ・・・それっ」
「はいっ!よっこら、せっと・・・!」
シフォンはがっちりとアースの足を掴み、ゆっくりと歩き出した。
「じゃあお兄ちゃん、落ちないように私の肩をちゃんと持っててね!」
「あ、ああ・・・お、重くないかい・・・?」
「大丈夫!じゃ、ステラお姉ちゃん、行こ!」
「ええ、頼むわねシフォン」
「俺より小さなシフォンという子、どこにこれだけの力があるのか・・・でも、目の前のシフォンの髪からちょっといい匂いがする・・・
しかも俺と彼女が今は密着状態でこのちょっとした揺れが・・・興奮しちゃいそう・・・い、いかんいかん」
アースは股間が熱くなるのを抑え、数分後ようやくステラ達の自宅へ辿り着いた。
シフォンが部屋に入りアースをベッドへ下ろしてあげた。
「さあお兄ちゃん着いたよ〜、あ〜疲れたあ〜」
「あ、ありがとうシフォンちゃん、助かったよ」
「どういたしまして!」
シフォンは床でふうふうと息を荒げていた。で、アースが心配そうにシフォンの方を見ると・・・
「シフォンちゃん・・・大股開いて・・・あっ・・・パ、パンツ見えてる・・・い、いかん!」
アースは床に座ってたシフォンのミニスカートの中の白いパンツをまざまざと見てしまったが、すぐさま目を反らしたその時、ステラが部屋に入ってきた。
「シフォンお疲れさま!アースさんじゃあそのベッドで横になってください!手当てしますから」
「お姉ちゃん、私ちょっとシャワー浴びてくるね、汗かいちゃったし」
「ええ、その間私はアースさんの手当をしてるから、ゆっくりしてらっしゃい」
「はーい」
「じゃあ、アースさん、服を脱いで頂けますか?」
「ふ、服を!?え、ちょ、その、あの」
「色々と怪我されてると思うので、脱いで頂かないと場所が分かりませんし・・・」
「わ、分かりました・・・」
続く