彼にとって、わたしの第一印象は最悪だったはずだ。  
あの、屋上での出来事はまだ覚えてるし、思い出すだけでも心のどこかがぎゅっと押しつぶされるような気がする。  
それでも、彼に近づきたかった。もし嫌われていたとしても、それを覆すぐらい印象をあげればいいだけだ。  
彼は他人には興味があんまりなさそうだからそう簡単にいくはずは無いと思うが。  
 
意を決して体育館の扉を開けた。  
部活の時間はとっくに終わっている。だけど、その後彼はいつまでも体育館に残って練習しているのをわたしは知っていた。  
 
「流川くん」  
 
流川くんは、わたしの声に気が付いてドリブルをやめてこちらを見た。  
目があうだけで、どきりとしてしまってうまく喋れない気がする。  
スポーツドリンクの入ったビニール袋をぎゅっとにぎりしめて精一杯の言葉を声にした。  
 
「あ・・あの・・練習みててもいい?」  
 
彼は怪訝そうに目を細める。  
 
「・・・なんで」  
「え・・いや・・あのホラ、上手い人のプレイ見るのがすきなのよう!あと差し入れも・・はい」  
 
と、彼に近づいてビニール袋からついさきほど買ってきたばかりのスポーツドリンクを取り出した。  
流川くんの方へ手をのばし、ドリンクを差し出すと、彼はどうも、と短い言葉を残してそれを受け取った。  
こうして近づいてみると彼は遠くでみてるときよりも大きく感じられた。そして、遠くでみるよりかっこよく見える。  
ドリンクを飲む仕草さえ、すきだなあとおもうけれど、こんな気持ちは彼には一生知られないだろう。  
というか、知られたところでなんにも変わりやしないはずだ。  
ドリンクをすこしだけのこして、彼はコートへ戻っていった。  
 
 
 
ずいぶん長い間彼のプレイをみていた。きれいなフォームで放たれるシュート。  
勢いのあるドリブルとか、素早い動き。彼が動くたびに飛び散る汗。  
彼は最後に一本シュートをきめてから、ボールをカゴに直した。  
 
「・・もう帰るけど、お前はどうすんの」  
「あ・・ああ!わたしも帰らなきゃ。練習見させてもらってありがとう」  
 
じゃあ・・といって扉を開けて去ろうとすると彼は突然あ、とちいさな声を漏らした。  
ちいさな声は、わたしと彼以外に誰もいない体育館には大きく響いて。  
わたしはなんだろう、と振り返ると何かいいにくそうに目を泳がせている。  
 
「・・・・・暗いし遅いし、スポーツドリンクももらったし、」  
「え、いやいいのいいの!そんなの安いし・・」  
「じゃなくて、俺は男でお前は女だ」  
「え?」  
「・・・だから・・その・・送るからそこで待ってろ」  
「ええっ!?」  
 
彼はすっと顔を背けて部室のほうへと向かっていった。  
わたしはさっきの言葉がうまく理解できなくて頭のなかをいろいろ整理しているうちにどんどん顔があつくなっていくのがわかった。  
送っていく、っていうのは一緒に帰る、っていうのと同じような意味でとらえていいのだろうか。  
そう考えるとますます心臓の動きがはやくなっていく。  
 
 
 
流川くんと並んで、夜のにおいがする道をひたすらに歩いていた。  
彼は隣で自転車を押している。  
一緒に帰れたはいいが、わたしは興奮のせいかうまく言葉を話せずにいた。  
いいたいことはやまほどあるはずなのに、なんにも言葉にできない。  
そんな自分にもどかしさを感じながら、さっきまで話していた話題を変えた。  
 
「流川くんは、夜、すき?」  
「朝よりかは」  
「わたしは、夜、すごくすきなの。昼まで見ていたものが、まったく別のものにみえるでしょ?  
 まるで、別の世界に入ってしまったみたいで、すごく、どきどきする。  
 だから、夜の行事もすき。お祭りとか、花火とか。  
 うち門限厳しいんだよね・・・でもそういう行事があるときは大目にみてくれるから、  
 長いこと気にせずに外にいられるのよね」  
「なんか・・わかりそうでわかんねえ」  
 
そう、流川くんはぼそっとつぶやいた。わたしはそうだよね、わかんないよね、と笑ってその話を流した。  
 
「また、練習みにいってもいい?あ、差し入れももっていくから!」  
「・・べつにいいけど・・」  
 
そっけない返事だったが、わたしはそれだけでも十分うれしかった。  
まだまだ長い道のりをふたりでならんで歩いていく。  
 
 
 
それから、数日たって。  
流川くんとはだいぶうまくはなせるようになったし、話す機会も増えた。  
彩子さんにも、  
 
「あんたら最近仲いいわよねえ」  
 
といわれて肘をつつかれた。  
なんでかはわからないけれど桜木くんと流川くんの口喧嘩  
(というか桜木くんが一方的にふっかけてるだけのような気もするが)  
も最近よくみかけるようになった。  
 
 
 
いつもの部活のあとの長い練習が終わり、わたしは流川くんといっしょにモップがけをしていた。  
おにいちゃんは汚いのが嫌いだから、コートを使わせてもらった分モップがけは念入りにやらなければならない。  
ほこりや髪の毛を注意深くとって、一箇所にゴミをあつめてちいさな箒でちりとりに入れる。  
ようやくモップがけがおわり、モップをいっしょに体育館倉庫へ直しに行った。  
 
「モップ、貸せ」  
「あ、ありがとう」  
 
先に中に入っていた流川くんにモップをわたそうとして手をのばした。  
すると、彼はモップではなくわたしの手を勢いよく引き寄せた。  
ぐい、と彼の胸に引き寄せられたかとおもったら、唇が彼の唇によってふさがれていた。  
手に力がはいらなくなり、思わずモップを手放すとガン、とモップは床に落ちた。  
 
「ん・・んふぅ・・っ・・んっ」  
 
口内に舌が入り込んできて、無理やりわたしの舌をからめとられる。  
変なかんじがした。息ができない。彼はなんでこんなことをしようと思ったのだろうか?  
 
ようやく唇が開放されて、わたしはその場にへな、と座り込んだ。  
 
「な・・なに・・?どうしたの・・?」  
「・・・お前がいつか夜のはなしをしてたときの顔がすきだった、あんな顔すんのかって」  
 
わたしは驚いた。あんな他愛もない話、流川くんならすっかり忘れているとおもったのに。  
あのとき、わたしはどんな顔をしていたんだろう。どんなふうな顔をして、あんな話をしていたのだろう。  
いろいろと頭の中で整理をしていると、彼はすっと押し倒してきた。  
これから何が起こるのかはなんとなくわかっていた。その行為が嫌ならば、すこし抵抗すれば彼は離してくれるだろう。  
なにも抵抗しない自分がわからない。  
 
「そんで・・なんかわかんねーけどお前とあのどあほうが喋ってるところをみるとなんかもやっとした。  
 こーしてやりてー、てずっとおもってた。けど、我慢してた。こういうの、やるべきじゃねーて思ったから。  
 でも、ずっと我慢できるほど俺は大人じゃなかった」  
 
そういって、首筋に顔をうずめられた。舌で首筋をなぞられ、思わずびくっ、と反応してしまった。  
 
制服に手をかけられ、それが捲くりあがっていくのがわかった。  
流川くんはなんともないような顔で、わたしの身体を見下ろしている。  
ブラのホックがわりかし慣れた手つきではずされ、いよいよだ、とぎゅっと目をつぶる。  
 
「ふ・・あ・・っ・・・・」  
 
胸がゆっくりと揉まれる。彼のごつごつとした手の感触を肌で感じる。  
ふと指先で先端にある突起物を弄られ、思わず声を出してしまう。  
もう片方にある突起物は、彼の舌によってくちゅくちゅ、と音をたてられて濡らされている。  
 
「ひっ・・!・・・んあっ・・はあ、ん・・・」  
「・・・・少しずつ声、出るようになってきてんぞ」  
 
突起物を弄っていた指は、いつの間にかスカートの下へ入り込み、太ももあたりに指が這っていた。  
そして、その指は秘所を覆っている布に行き着いた。  
 
「湿ってる・・・」  
「い・・いやぁっ・・・そこはっ・・・」  
 
とうとう布の隙間に指が入り込み、秘所をその指がなぞった。  
今まで感じたこともないような感覚に、わたしはがくがくと足がちいさく震えだした。  
足を持ち上げられて、下着をあげられ、秘所が露わになる。  
彼は持ち上げられた足を下ろしてくれなかったので、彼からみるとわたしの秘所は丸見えだっただろう。  
ぐい、とさらに足を開かされる。俗にいう、M字開脚のようなかたちだった。  
 
「や・・・やめて・・おろして・・っ・・はああんっ!」  
 
流川くんはわたしの必死の抵抗をもろともせず、そこをなぞるように舐めだした。  
いやらしい、水音を立てながら。  
さっきよりもおおきな衝撃により、わたしの声もよりいっそう変な声になってしまう。  
 
「ひあぁんっ・・はぁっ・・・だ・・だめぇっ・・舐めないでっ・・」  
 
ぺちゃぺちゃ、と彼が舌でわたしの秘所をなめている音が妙にリアルに耳に入る。  
こういうことに関してはすこしぐらいは知識はもっていたが、ここまでするとは思ってはいなかった。  
いやだと拒絶している反面、どんどん快楽におぼれていっている自分がいる。  
 
舌が離されて代わりに指が中に入ってきた。初めての異物感。  
人差し指でぐちゃぐちゃと中をかき乱される。  
 
「うっ・・うう・・あぁっ・・・ああんっ・・!」  
 
止めようとおもっても声が出てしまう。  
こんないやらしい声、彼にも聞かせたくはなかったし、わたしも聞きたくはなかった。  
ふと、彼の指が頬に当たる。彼の指は、踊るように頬をなでたあと、わたしの髪を優しくさわった。  
ぎゅ、と、何も見るまい、とおもっていた目をすこしだけ開けてみると、彼は今まで見たこともないような顔をしていて。  
 
彼の唇が、かわいい、という言葉をなぞるように動いた。  
もちろん、声には出してはいなかったが。  
わたしは、少しずつ目を開けていく。状況は、わたしが想像していたよりもリアルに行われていた。  
 
「ふうあっ・・あっあっんやっ・・!!」  
 
指が二本に増やされ、激しく出し入れをされる。初めての異物感にはもう慣れきっていた。  
声が止まらない。次第に大きくなっていく。すごく、気持ちがいい。  
 
「・・・いいか?」  
 
彼は指を抜いて、迷うように聞いてきた。  
わたしは、もうとっくに覚悟をきめていた。  
 
「・・・・んっ・・・いいよ・・・」  
「わかった」  
 
指なんかより、もっとおおきなものが、ぐい、と波が打ち寄せるように入ってきた。  
 
「ああぁあっ!いた・・・あっ・・あぁん!」  
「・・・っ・・・動くぞ・・」  
 
すべて入ったかとおもったら、いきなり激しく突かれ、変な感覚に陥る。  
現実なのかただの妄想なのかがまったくわからない。  
 
「はああっ!!ぁ・・やああっ・・だめっ・・変なかんじっ・・!」  
「・・・・・・・・・・・・・う・・っ・・!」  
「あぁ・・っ・・!!」  
 
頭のなかも、目の前も真っ白になった。  
もしかしたら、これは夢なのかもしれない。  
そう、意識が遠のいていく途中に、思った。  
 
 
 
夢ではなかった。  
起き上がったら体育館倉庫のなかにいて、服はちゃんと着せられていたが、  
動くと昨日散々突かれたあそこが鋭く痛んだ。  
入口に、流川くんが突っ立っていた。  
 
「・・・立てるか」  
「・・っ・・なんとか」  
 
「・・・その・・・昨日は悪かった・・やりすぎた」  
 
流川くんは照れくさそうに目線を伏せながらいった。  
彼が謝るなんてことは滅多になかったので、わたしは驚きを隠せずぽかんとした。  
そして、あわてて平静をとりもどす。  
 
「・・あっ・・ううん、大丈夫・・・で・・あの、今何時くらい・・?」  
「お前が寝てる間にもう夜中になっちまった」  
「えええっ!?」  
「見回りにバレなかっただけでも運が良い」  
 
運が良いとかそういう問題ではない。  
家はどうしてるのだろう。お兄ちゃんとか、お母さんとかお父さんとか。  
大きな騒ぎになってる可能性だってないはずはない。  
 
「・・・今更帰るに帰れないなあ・・言い訳でも考えなきゃ・・流川くんは?」  
「俺は・・今帰ってもなんも言われねーけど、やっぱ帰るに帰れねーからお前の言い訳考えるの手伝う」  
 
夜という時刻は別の世界をつくりだす。  
夜の体育館も、昼の体育館とはまた別世界だ。  
窓の外の、薄暗い欠けた月でもみながら、必死の思いで言い訳を考えよう。  
彼とふたりで、下手な言い訳を。  
 

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