外はもう真っ暗で、あたしは夜空を見上げながら、一つため息をついた。
赤木先輩と小暮先輩が引退してリョータがキャプテンになってから、練習の終わる時間が以前より少し遅くなった。
そして練習の内容も以前より厳しくなった。赤木先輩が抜けた穴と、まだ帰ってこない桜木花道の穴を埋めるように・・・
だから部員のみんなも練習が厳しくっても、帰りが遅くなっても愚痴を言ったりはしない。
でもあたしは、リョータがすごく悩んでるのを知ってる。キャプテンとして、みんなを引っ張っていけるのかとか、赤木先輩のようになれるのかとか。
だからあたしは、できる限りリョータの支えになろうと思った。そこに特別な感情はないけれど。
だからこうして今日もリョータと一緒に帰る為、学校の玄関でリョータを待っている。
リョータから一緒に帰ろうと誘われた時、最初は断ろうと思った。
でもリョータが顔を真っ赤にさせて、すごく一生懸命だったから、なんだか断るのがすごく悪くて、OKしてしまった。
あたしの返事を聞いて、リョータは泣きそうな顔してすごく喜んでた。
その時のリョータの顔を思い出して、胸が痛む。
ごめんリョータ、あたしアンタの気持ちには答えられないの。
アンタの事、友達としかみれないの。
あたしはまた、「ハァ〜・・」と溜め息をつく。
「彩ちゃんお待たせ」急にリョータの声がして、勢い良く振り返る。
溜め息が聞かれなかったかとドキドキしながらも、なんとか気持ちを落ち着かせてリョータに答える。
「ちょっと、リョータ遅いわよ!男のくせに支度に時間かかり過ぎなんじゃないの?」
「ひどいよ、彩ちゃん・・・これでも部室の鍵閉めて、ダッシュできたんだよ」
本当に急いできたのか、リョータの息が少し上がっている。
「まぁいいわよ。早く帰ろう」あたしはリョータをおいて歩き出す。
「あっ!待ってよ、彩ちゃん!」
いつもと同じ帰り道、練習での事や桜木花道の事などを話しながら歩く。
「ハァ〜〜」会話が途切れ、沈黙の後リョータが大きな溜め息をつく。
「どうしたのよ、リョータ。また悩んでんの?」
「いや、そうじゃないんだ。三井さんてやっぱすげぇーなーと思ってさ」
「三井先輩?なんでよ」
「うん。今日見てて思ったんだよ。ゲーム中も的確に指示出してさ、練習中ふざけてても締めるとこはちゃんと締めててさ。
周りがちゃんと見えてるって感じなんだよね。オレなんか終止ピリピリしっぱなしなのにさ」
リョータが少し自信をなくしてるのがわかった。
「三井先輩は確かにすごいわよね。でもリョータは今色々と模索中なんだし、慣れてくれば見つかるわよ。
リョータのやり方っていうのが。だから焦る事なんてないわよ」あたしは笑顔でリョータに言う。
「彩ちゃん・・・」リョータがまた泣きそうな顔になる。
沈黙がまた少し続いて、リョータが口を開く。
「彩ちゃん。ちょっと座って話さない?」
いつもと違う、真剣な顔のリョータに、あたしは断る事なんてできず、黙って頷く。
近くにあった公園のベンチに二人で座る。
でもリョータは何も喋らず、ただ黙っている。
あたしは沈黙に耐えられず何か言おうと考えていると、リョータが突然、あたしの方に体を向ける。
びっくりして体を後ろに反らすと、リョータがあたしの腕を掴んでくる。
「彩ちゃん、俺彩ちゃんの事大好きだよ」
リョータの気持ちはわかっていたけど、こんなふうにちゃんと言われたのは初めてで、あたしはどうしていいかわからずに、ただリョータを見つめる事しかできなかった。
あたしが何も言えないでいると、リョータはあたしの腕を更に力を込めて掴む。
「俺、彩ちゃんがいたからここまで頑張ってこれたと思うんだ。
だからこれからもずっと傍にいてほしい。・・・
友達としてじゃなく、俺の事ちゃんと男としてみてほしいんだ。
俺、彩ちゃんの事、大事にするから・・・」
リョータがあたしの事を真っ直ぐに見つめながら、泣きそうな切ない顔をしながらあたしに言う。
お願いだから、そんな顔しないで。そんな顔されたら断れない。
リョータは大事な人だけど、それは友達として。でも今は、リョータの事傷つけたくない。
これ以上悩ませたくない。
あたしは、気持ちを落ち着かせる為、軽く息を吸い込んでリョータを見つめる。
「・・・いいよ」
「彩ちゃん?今・・なんて・・・」リョータが驚いて、あたしの顔を覗き込んでくる。
「リョータ、あたし達、付き合おう」
「彩ちゃん!本当?」
リョータの顔が笑顔でくずれる。でも目には涙が滲んでるのがわかる。
あたしは胸が締め付けられるような感じになって、何も言えなくなってしまう。
それでもリョータを傷つけたくなくて、黙ったまま頷く。
それを見て、リョータの腕があたしの体を包む。見た目より逞しいリョータの体にびっくりする。
そして戸惑いながらも、あたしはリョータの背中に腕を回す。これで良かったんだと自分に言い聞かせながら・・・
するとリョータが体を離して、あたしの肩を掴む。
その力が思ったより強くて、あたしはびっくりする。
「ちょ、ちょっとリョータ!なによ!?」
あたしは嫌な予感がして、リョータから体を離そうとするけど、リョータは更に距離を縮めてくる。
「彩ちゃん・・・」
目を閉じて近づいてくるリョータの顔に、あたしは思いっきりビンタをする。
バシッッ!!!
思ったより大きな音がしたので、あたし自身も驚いてしまう。
「彩ちゃん・・・ひどいよ・・・」
リョータが頬をさすりながら、涙目であたしを見る。
「ご、ごめん!でもリョータ、アンタ調子にのりすぎよ!」
「ごめん、彩ちゃん。俺すげー嬉しくて。つい・・・」
「何言ってんのよ!あたし、もう帰るわよ。お腹空いたし」
「えぇ!?じゃあ送ってくよ!」
「いいわよ。家すぐそこだし。じゃあね、リョータ」
「彩ちゃ〜ん・・・」
あたしはリョータと別れて、家へと歩きだす。
これで良かったんだと、また自分に言い聞かせながら。
でもあたしのした事が、リョータの事をもっと傷つける事になるなんて、まだ気づいていなかった。
あれから1ヶ月経った。リョータに後ろめたさを感じながらも、あたしはまだリョータと付き合い続けている。
そして今、リョータの部屋にいる。テスト前で部活も休みの今日は、
「キャプテンが赤点で追試なんてしゃれになんねぇ」と言うリョータに頼まれて、勉強を教える事になったのだ。
初めて来たリョータの部屋で、少しそわそわしながらもお茶を入れに行ったリョータが戻ってくるのを待っている。
ふと机の上に写真立てがあるのに気がついて、写真立てを見てみると、そこにはあたしの写真が入っていた。
「何これ?なんでこんな写真持ってんのよ?しかもこれ、隠し撮り?」
明らかにスナップ写真じゃない。あたしは溜め息をつく。でも嫌な気はしない。
リョータからすごく愛されてるんだって実感した。だからって、あたしもリョータと同じ気持ちなのかっていったらそうじゃない。
複雑な感じ・・・
でも1ヶ月前とは何かが違う気がした。まだはっきりとはわからないけど。
「彩ちゃん、お待たせ〜」突然ドアが開いて、少しびっくりする。
あたしは写真立てを持ったまま振り向く。するとリョータがあたしの手元を見て、顔を真っ赤にさせる。
「リョータ!これ何よ?なんでこんな写真持ってんのよ!」
「あ!彩ちゃん!それは・・・」
真っ赤になったリョータが俯くのを見て、あたしはそれ以上追求するのを止める。
「まあいいわ。早く勉強始めちゃおう」あたしは数学の教科書を取り出してパラパラとページをめくる。
「彩ちゃん、ごめん」少し照れてそう言うと、リョータも教科書を取り出して、勉強を始める。
勉強を初めて1時間近く経った頃、あたしは少し疲れて、大きな伸びをしながらリョータに声を掛ける。
「ん〜・・ねぇリョータ、少し休憩しない?」
問題を解いていた手を止めて、リョータが顔を上げる。
「そうだね。あ、彩ちゃんなんか飲む?」
「ん?大丈夫よ。ありがとう」あたしはそう言いながら、近くにあったバスケ雑誌を手に取り軽く中を見る。
すると急に、リョータに肩を掴まれる。1ヶ月前と同じように・・
この1ヶ月間、こんな場面は何度もあった。
キスしようとするリョータを拒むあたし。
拒まれてもリョータはいつもヘラヘラしてて、だから今日も同じだと思っていた。そしてあたしは、いつもと同じようにリョータのキスを拒んだ。
でもリョータはいつもとは違っていた。
キスを拒んだ後、俯いたまま顔を上げないリョータを見て、あたしは声をかける。
「リョータ?」
「そんなに・・・」リョータの声が震えている。
「そんなに俺の事嫌いなの?・・・彩ちゃん、俺の事・・本当は好きじゃないんでしょ?」
リョータの声がいつもより低くて、怒っているのがわかった。
「な・・何言って・・」
言い終わる前に、リョータに思いっきり押し倒される。
「ちょっと!リョータ止めてよ!」
「彩ちゃん・・・俺気づいてたよ・・彩ちゃんが俺の事、本当は
好きじゃないってこと。でも、それでもいいって思ってた。彩ちゃんの事すごい好きだから。
俺、すごい幸せだった。・・でも 彩ちゃんが嫌なら、俺・・諦めるよ・・彩ちゃんの事・・・」
リョータは今まで見た事もない位、悲しそうな顔をしてた。悲しくて辛そうな顔。
あたしは胸が痛くなった。リョータの悲しそうな顔と、諦めるって言われた事に胸が締め付けられるようだった。
諦めてほしくない・・リョータに好きでいてほしい・・あたしもリョータに傍にいてほしい・・・
いつのまにか、リョータを一人の男として好きになっている自分に気づいた。
「リョータ・・・今さら、こんな事言っても信じてもらえないかもしれないけど、あたし・・リョータが好きよ」
「彩ちゃん、もう嘘つかないでよ」
「嘘じゃない・・リョータが言うように、最初はリョータの事友達として好きだった。
でもこの1ヶ月の間、あたしの中で何かが変わり始めてて、それが何か今わかったの。
リョータに諦めるって言われて、すごく嫌だったの。あたし、リョータが好き」
「彩ちゃん・・・」
「リョータの気持ち考えてなくてごめんね。最低だよね・・リョータの事すごい傷つけた」
リョータは体を起こして、あたしを自分の胸に引き寄せる。
「リョータ?」
「彩ちゃん・・俺の事好き?」優しい声であたしに聞いてくる。
「好きよ」リョータの背中に腕を回す。
「俺も好きだよ、彩ちゃん」
リョータがあたしの頬にキスをして、体を離し今度はゆっくりと唇にキスを落とす。
リョータの唇が少し震えてて、なんだか可笑しくて笑ってしまう。
「フフフ・・・」
「何!?彩ちゃん?」
「だってリョータ、唇震えてる・・」
リョータは恥ずかしそうな顔をしていたけど、急に真剣な顔になって、
「彩ちゃん好きだよ」と呟きながら、あたしをゆっくりと優しく床に押し倒す。
あたしの髪を愛おしそうに撫でてから、リョータの唇があたしの唇に重なる。
さっきとは違った、激しい濃厚なキス。
何度も角度を変えあたしの舌を絡めとり、リョータの唾液が口の中に流れ込んでくる。
あたしはリョータのの首に腕を回し、そのキスに答える。
リョータがキスをしながら、腰の辺りを優しく撫でてきたので、あたしの体は一気に熱くなる。
お互いもう我慢できなくて、急かされるように服を脱がし合う。
そしてリョータは、あたしの胸に顔を埋め、すでに固くなった先端を口に含み、舌で優しく転がし始める。
「あぁ!ハァ・・んっ・・」何度も何度も、あたしの名前を呟きながら、リョータは先端を愛撫する。
そしてリョータの手があたしの下半身へ降りてきて、あたしの割れ目を指でなぞる。
「あっ・・・あぁ」あたしが敏感に反応するのを見て、リョータが指を上下に、撫で回すように優しく動かす。
「あぁ・・・はぁ、はぁ・・んっ!」指の動きが早くなる。
「彩ちゃん、すごい濡れてる・・気持ちいい?」
ピチャピチャと厭らしい音が、あたしを更に興奮させる。
「・・リョータっ・・もう・・だめ・・」
大きくなった突起物を攻められ、足がガクガクする。
「彩ちゃん、イっていいよ」リョータは動きを早めながら、あたしの首筋にキスをする。
「んっっ!!あっ、・・イっちゃう・・」
あたしは体を大きく反らし、快感の波に呑み込まれる。
頭が真っ白になりながらも、乱れた呼吸を必死に整えようとする。
「彩ちゃん、俺もう我慢できないよ。入れていい?」
リョータは自分の大きく反り立ったモノを、あたしのアソコの入り口に押しあてながら聞いてくる。
でもあたしは、まだ頭の中が真っ白で答える事ができない。
するとリョータは我慢できなかったのか、自分のモノを一気にあたしの中へ押し込む。
「あぁ!!ん・・ん・・」
イったばかりのあたしのアソコは、もうグチョグチョでおかしくなりそうだった。
「くっ・・彩ちゃんの・・中、すごい・・熱い・・はぁ、はぁ・・すごいいいよ・・」
奥まで突き上げられる。
「リョ・・リョータの・・すごい・・んんっ」
あたしの腰も自然と動きだして、リョータのモノを締め付ける。
何度も腰を打ち付けられ、あたしはもう限界が近くなる。
「あっ・・ダメ、ダメ・・もう・・イキそう・・」
リョータが更に激しく腰を打ち付けてくる。
「彩ちゃん・・・彩ちゃんっ・・」
「んん!イクっっ!」あたしは、果てるのと同時にリョータのモノを思いっきり締め付ける。
「くっ!・・あぁ、イクっ!」リョータが腰を打ち付けて、あたしの中に流し込み、そのままあたしに覆いかぶさる。
リョータに腕枕をされたまま、あたしは天井を見つめ明日のテストの事を考えている。
「俺、このまま死んでもいいかも・・」
ニヤニヤしながらそんな事を口走るリョータにびっくりして、体を起こす。
「はぁ??何言ってんのよリョータ」
「だって、すごい幸せなんだもん」デレデレしたリョータの顔を見て、あたしは溜め息がでる。
「はぁぁ〜」
「どうしたの?彩ちゃん?」リョータがあたしの顔を覗き込む。
「リョータ、そんな事言ってていいの?明日のテストどーすんのよ!キャプテンが赤点なんてシャレにならないんじゃない?」
机の上に開かれたままの教科書に、視線を落とす。
「げぇぇ!!まずい・・忘れてた・・どーしよう・・彩ちゃん」
今にも泣きそうな顔をして、あたしに助けを求めてくるリョータを見て、思わず笑みがこぼれる。
「もう!しょうがないわね。教えてあげるから、ちゃんと真面目にやんのよ!」
そう言って、教科書を手に取る。
「ありがと、彩ちゃん。がんばるよ」
そしてあたし達は、数学の勉強を再開した。