まだ朝なのに、夏の日差しはとても強くてあたしは、雲一つない空を見上げる。  
そこには、真っ直ぐと続く飛行機雲。  
思い出したくないけど、思い出すアイツの事。忘れた方が楽だけど忘れる事なんてできない。  
あたしも一緒について行きたかった。離れるなんて考えられなかった。でもあたしは、素直になれなかった。  
流川がアメリカへ留学して2ヶ月経った。2年になってすぐに、流川から留学するという話をされた。  
流川がアメリカに行きたいと思っていたのは前から知っていたけど、聞かされた時はしばらく食事もできず、ただ毎日泣いていた。  
でも彼に夢を叶えてほしかったし、何よりもバスケをしている流川が大好きだった。だから笑顔で  
「頑張ってきなさい!」と言った。流川は、あたしを抱きしめて、  
「勝手かもしんないけど、俺の事待ってて・・ぜってぇー強くなって帰ってくるから・・なるべく会いにくるし、メールとか電話とかもする。  
だから・・俺の事、待ってて」流川の言葉を思い出して、涙が出そうになる。  
あの日からもう2ヶ月も経ったんだ。流川は毎日じゃないけどメールをくれる。  
電話もたまにしてくるけど、時差があるからメールのほうが都合がいい。  
それに流川には待ってると約束したけれど、電話で声を聞くと会いたくて泣いてしまいそうなのであたしにも都合がいい。  
やっぱり会えないのは辛いし寂しいけど、もうすぐインターハイ予選も始まるので、悲しんでばかりはいられない。  
流川が抜けたのは大変だけど、リョータも調子いいし、桜木花道も戻ってきたし、新入部員も入ってきたし、  
それに・・・バスケ部に戻ってくる前の不良生活のせいで、出席日数と単位が足らず留年してしまった三井先輩もいるし、  
今年こそは全国制覇よ!なんて一人で熱くなっていると、肩を叩かれ、なんだか嫌な予感がしたけど、とりあえず振り向く。  
「おはよう!彩子さん」  
「せ、仙道!またあんたなの?」  
爽やかな笑顔で挨拶してくる仙道に、あたしは思いっきり嫌な顔をしながら聞く。  
「だって、1日1回は彩子さんの顔見とかないと」  
コイツは前からうるさかったけど、流川がアメリカへ行ってからはこうやって毎朝あたしの前にいきなり現れて、  
湘北の校門までついてくるようになった。酷い時は、放課後学校の前で待ってたりもする。  
最初は仙道に怒鳴ったり文句言ってたけど、何を言っても毎朝必ず来るので、最近はもう諦めて何も言わなくなった。  
「はぁ〜アンタよく飽きずに毎日来れるわね?それより、もう湘北の校門まで来ないでよ」  
「えぇ!?なんで?」  
「なんでじゃないわよ!この前三井先輩に見られて、付き合ってるって勘違いされて大変だったじゃない!」  
「え〜、いいじゃない。付き合っちゃおうよ!流川とは別れたんでしょ?」  
「別れてない!それに嫌よ。アンタみたいな軽そうな奴。  
あっ!それと、あたしと流川が付き合ってる事絶対誰にも言わないでよ!」  
「わかってますって。そのかわり・・」  
いきなり仙道の顔があたしに近づいてくる。  
 
 
「ちょっ!ちょっと・・・」あたしが仙道にビンタをしようとしたその時・・・  
「あ゛ぁぁぁーーー!!」突然大きな叫び声がして二人でそちらに振り向く。  
そこには、いつもは朝練で既に学校にいるはずのリョータが、真っ赤な顔をして、薄ら涙を滲ませながら立っていた。  
        まっまずい・・・  
「リョっ、リョータ!!」  
「彩ちゃん、仙道と付き合ってるって噂本当だったの!?そんな軽そうな奴のどこがいいのっ!?」今にも仙道に飛び蹴りをしそうな勢いのリョータをなんとか止めようと、あたしは必死になる。  
「ちっ、違うのよリョータ!仙道の家がたまたまあたしん家の近くみたいで、朝よく会うのよ。ただそれだけよ!」  
あたしは三井先輩や、仙道との関係を聞いてきた友達についた嘘をリョータにもつく。  
「でも・・・なんかさっき、二人ともやたら距離近くなかった?」  
「えっ?」あたしは、何て言えばいいかわからず、仙道の方を見る。  
すると仙道は意味がわかったのか口を開く。  
「彩子さんが、目に何か入って痛いって言うから見てあげただけだから安心しろよ、宮城」  
何なのよ!!そのベタな言い訳は・・もう最悪・・  
「なんだ・・・そっか。びっくりしたよ、彩ちゃん」  
こんな言い訳で納得してしまうリョータにびっくりしたけど、あたしはホッとしてリョータに声を掛ける。  
「そ、そうよ・・・それよりリョータ、朝練はどうしたのよ?」  
「え?今日は寝坊しちゃってさ・・って、やばいよ!彩ちゃん遅刻するよ!」  
リョータが時計を見て騒ぎだす。  
「本当?早く行こう、リョータ!」あたしは仙道をチラッと見て、走り出す。  
「あっ待ってよ、彩ちゃん!じゃあな仙道」  
「ああ、またな宮城」  
あたしは走りながら振り返り、また仙道を見る。こっちに手を振っているのがわかった。  
「仙道が話を合わせてくれたおかげで丸く収まったわけだし、一応お礼でもしといた方がいいかしら?  
でも元々は仙道が毎日あたしの前に現れるからいけないのよね」  
そしてあたしは、リョータと走りながら学校へ向かう。  
その頃仙道が「この借りは返してもらいますよ、彩子さん」なんて  
言っていたなんて、もちろんわからなかった。  
 
 
 
放課後、いつものように練習が終わって玄関を出ると、外はもう暗くなっていた。  
自転車置き場の前を通りかかると、人影が見えて、思わず足を止める。  
いつもこんな時間まで部活をしているのはバスケ部位で、他に残っている生徒なんて多分いない。  
周りに人がいないのと暗いので、なんだか怖くなって立ち止まっているとその人影が近づいてくる。  
「お疲れさま、彩子さん」近くに来て、人影が仙道だとわかる。  
「なっ、何でアンタがいんのよ!?」  
「いやぁ、朝あんまり話できなかったし彩子さん俺に何も言わずに、宮城と走ってっちゃうんだもん。  
それに、朝のお礼まだしてもらってないし」  
「は?話って、いつもアンタが勝手に一人で喋ってるだけじゃない。  
それに遅刻しそうだったんだからしょうがないでしょ?  
大体お礼っていうのも、アンタが来なければあんな事にはならなかったでしょーが!」  
あたしが早口で捲し立てると、仙道はちょっとびっくりしていたけど、  
すぐに笑顔に戻ってあたしの顔を覗き込む。  
「でも彩子さん、あんとき俺に助け求めてたじゃん。  
だから、少しくらいは俺に感謝してくれてもいいんじゃない?」  
(相変わらず、なんでコイツはこんなに強気なのよ・・・)  
そんな事を思いながらも、急に仙道の顔が近づいてきたので、あたしは不覚にも顔が赤くなってしまう。  
「あっ!彩子さん顔赤いよ。もしかしてドキドキしてる?」  
「ドッ、ドキドキなんてしてないわよ!」そんなあたしを見て仙道が笑い出したので文句を言おうとしたその時、  
玄関の方で話し声が聞こえて反射的にそちらを見ると、問題児3人が出てくるのが見えた。  
仙道もあたしの視線の先を追って、3人を見つけたのか「あっ」と声を出す。  
そしてそのまま手を上げて、3人の方に「お〜い」と声をかけようとする。  
あたしはギョッとして、思いっきり背伸びをして仙道の口と上げた手を抑え、  
無理矢理近くの植え込みまで連れて行き、茂みの中に隠れる。  
仙道は目を丸くしてあたしを見てるけどあたしは無視して、  
仙道の口を抑えたまま3人が通り過ぎるのじっと待っている。  
騒がしい声が通り過ぎたのがわかって、仙道を掴んでいた手を離し茂みから出ようとすると、逆に仙道に腕を掴まれる。  
「な、何よ。帰るんだから離してよ」しゃがんだままの仙道を軽く睨んで、手を振り払おうとする。  
「なんか忘れてない?」あたしを見上げながら笑顔で聞いてくる。  
「離してよ」けれど手を離してもらえない。  
「お礼してもらえるまで、離しませんよ」そう言って仙道は腕を引っ張って、あたしの体を自分の方へ引き寄せる。  
 
 
急に仙道の大きな胸があたしの前に広がり、僅かに汗の匂いがする。胸の鼓動が一気に速くなる。  
「ちょっと!!何すんのよ!」仙道の腕の中で暴れるけど力で勝てる相手ではないので、  
あたしは諦めて仙道に声をかける。  
「あ〜、もうわかったわよ!すればいいんでしょ?お礼。何してほしいのか言ってみなさいよ。  
 あっ、変な事言ったら殴るからね。それと早く離してよ」  
仙道はあたしの体をゆっくり離すと、満足したのかニコニコしている。  
「メールアドレスと電話番号教えてください」  
「あんた、やたらそれにこだわるわね」前にも聞かれた事を思い出し、少し可笑しくなる。  
「だって彩子さん、全然教えてくれないじゃん」  
あたしはかばんからケータイを取り出し、何度かボタンを押してから、仙道にケータイを差し出す。  
「はい、いいわよ」  
仙道は自分のケータイを取り出し、あたしのアドレスと番号を写している。  
「アンタさぁ、練習はどうしたのよ?今日は休みなの?」  
「終わりましたよ」仙道はケータイをいじりながら、顔を上げずに答える。  
「えぇ!?早くない?アンタ一応キャプテンなんでしょ?そんなんでいいの?」  
「今日は監督が居なかったから、早く終わらせたんだ」  
そう言って、仙道があたしにケータイ差し出す。  
「ありがと、彩子さん。毎日メールしますから」  
「鬱陶しいから、毎日なんてやめてよ。朝だけで勘弁して」  
あたしは、ケータイを受け取って歩き出す。仙道もついてくる。  
「酷いな〜彩子さん」  
一緒に帰るのは初めてではないので、仙道がついてくる事には何も言わない。  
少しして、あたしは疑問に思っていた事を口にする。  
「前から思ってたんだけど、アンタ毎朝あたしの前に現れるけど、学校には遅刻しないの?」  
「授業に間に合えばいいんで、大丈夫ですよ。あれ?彩子さん、心配してくれてる?」  
仙道があたしの顔を覗き込んで聞いてくる。  
「し、心配なんてしてないわよ!ただちょっと気になっただけよ!」  
そして、仙道が毎朝現れる場所まで来る。  
「じゃあ彩子さん、おやすみなさい」  
「うん。じゃあね」  
家に着いてから、遅い夕飯を食べてお風呂に入る。そろそろ寝ようと思いベットに入ると、枕元でメールの着信音が鳴る。  
寝転がりながらメールを開くと、知らないアドレスと題名には、“仙道です”の文字。  
本文には、電話番号と“また明日”と書いてある。  
一応アドレスと番号を登録して、返信しようか迷ったけどそのままケータイを閉じて、あたしは眠りについた。  
 
 
 
仙道とアドレスを交換してから、もう一週間が経とうとしている。  
一日に何度も入ってくる仙道のメールに最初は面倒で返信してなかったけど、今はちゃんと返信するようになった。  
仙道とのメールは、思ったより楽しくて、流川のいない寂しさを埋めるには充分だった。  
だからって仙道の事を好きとか、流川の事を忘れるとかそういうんじゃない。  
流川からもメールはくる。ただ、寂しいから誰かにすがりたかった。  
 
学校を出て少し歩くと、ポツリポツリと地面が水玉になり、雨が降り出してきた。  
(あ〜やっぱり降ってきた・・・)と思いながらも、ここから家までは15分くらいかかるので、  
とりあえず走って近くの雨宿りが出来る場所まで来る。  
そこはいつもシャッターが閉まったままのタバコ屋。小さな屋根の下で、あたしは制服についた水をはらう。  
「あぁ〜どうしよう。ここからじゃ家に着く頃にはびしょ濡れになっちゃうわよね。傘持ってくればよかった」  
かばんからタオルを出そうとゴソゴソやっていると、家の鍵がない事に気づく。  
焦って必死に探すけどやっぱり無くて、多分無いだろうと思いながらも、ベストのポケットやスカートのポケットも探す。  
やっぱり無い・・  
「げぇっっ!どうしよう!?学校に置いてきた!?あっ、でも家に忘れてきたのかも・・・もうっ!何でこんな日に限って・・最悪」  
ふと、母親に今日はいつもより遅くなるからと言われた事を思い出す。雨はどんどん強くなってくる。  
「はぁ〜もう、ほんとついてない・・」これからどうするか考え始めた頃、どしゃ降りの中誰かがこっちに走ってくるのが見える。  
徐々に近づいてきて、それが誰なのかわかる。  
「仙道!?」  
「あ、彩子さん」駅から走ってきたのか息は上がっていて、全身ずぶ濡れになっている。  
仙道も屋根の下に入ってきて、濡れた髪をスポーツタオルで拭いている。  
「いやぁ〜参った、参った。あっ、そういえば彩子さん、今日は部活休みとか言ってましたっけ」  
あたしは今朝、仙道とした会話を思い出す。  
「そうよ。アンタも今日は休みだって言って喜んでたじゃない」  
「そうだ、そうだ。二人とも休みだからデートしませんか?って誘ったら断られたんだ」  
笑いながら言う仙道に、あたしは呆れてしまう。  
「この調子だと雨弱まる気配なさそうですね?俺はこのまま走って帰りますけど、彩子さんは?」  
あたしは少し迷いながらも口を開く。  
「あたしはいいわ。っていうか、家の鍵忘れちゃったから家に入れないのよ」  
「じゃあ、家に来れば?ここから結構近いし」  
「はぁ?嫌よ」あたしは思いっきり嫌な顔をして答える。  
「だって彩子さん濡れてるし、このままここにいても風邪ひきますよ?」  
「平気よ。体は丈夫な方なの」  
「いいですよ、遠慮しなくても」そう言って仙道は、あたしの手を取り雨の中へ走り出す。  
「ちょっ、ちょっと!遠慮とかじゃなくて、いいってば!」  
そう叫んでも、仙道はあたしの手を掴んだまま走り続ける。  
 
少し走って着いたのは、小さなアパート。雨の中走ったから、体はびしょ濡れで少し肌寒かった。  
仙道が玄関の鍵を開けてるのを不思議そうに見ていると、それに気づいたのか仙道が口を開く。  
「言い忘れてましたけど、俺一人暮らしなんだ」  
「えぇ!?そんなの聞いてないわよ。あたし帰る」  
そう言って玄関から離れようとすると、仙道があたしの前へ回り込む。  
「ダメですよ!風邪引きますって、彩子さん。何にもしないから安心してください。温かいお茶でもいれるから」  
目の前で手を合わせお願いしてくるコイツに、溜め息をつきながら玄関に向き直る。  
「わかったわよ。なんかしたら、ただじゃおかないからね」  
「ありがとう、彩子さん」  
本当に嬉しそうに仙道が言うので、あたしは少しドキドキしてしまう。  
 
玄関を開けると、そこには小さなキッチンと、奥には8畳程の部屋。  
仙道に「ちょっと待ってて」と言われ少しすると、タオルとTシャツと短パンを持って仙道が戻ってくる。  
「これで拭いて。あとサイズでかいと思うけど、これに着替えて。そこ使っていいから」  
言いながら仙道は、廊下にあるユニットバスを指差す。  
「あぁ、うん。ありがとう」  
あたしは仙道から受け取って、着替え始める。  
こんな展開になってしまった事に少し戸惑いながらも、着替えを終えドアを開ける。  
するとキッチンに立っていた仙道が振り向き、「やっぱ、かなりデカイな」と、笑顔で言う。  
仙道も短パンとTシャツに着替えてて、見慣れないその姿に、あたしは鼓動が早くなる。  
「なんで・・・一人暮らしなの?」  
「え?あぁ、俺家東京なんだ。陵南まで通うのしんどいから、親がこっちにアパート借りてくれたんだよね」  
「そう・・綺麗にしてるのね。部屋」あたしは仙道にハンガーを借りて、濡れた制服を窓際に干す。  
「彦一と越野がね、遊びに来た時に掃除してくれるんだ。俺はあんまり掃除とか得意な方じゃないんで」  
笑いながら仙道はそう言って、キッチンでお茶を入れ始める。  
あたしは「ふ〜ん」と言いながら、床に座る。  
「いやぁ〜、でもまさか彩子さんが家に来てくれるなんて思ってもみなかったな」  
「何言ってんのよ。アンタが無理矢理連れて来たようなもんじゃない」  
「まぁそうですけど、前だったら考えられなかったから。流川がいたし、彩子さん俺に冷たかったから」  
あたしは「流川」という名前を聞いて、少し動揺する。そしてそれを悟られないように口を開く。  
「あ、当たり前でしょ!?アンタ強引なのよ」  
「でも、今は彩子さんメールもちゃんと返事くれるし、朝だってなんだかんだいって一緒にいてくれるし」  
そう言いながら、仙道はテーブルにマグカップを二つ置く。  
「はい、どーぞ」  
「ありがとう」ニコニコしてる仙道を横目で見ながら、お茶を一口飲んで、濡れた髪をタオルで拭く。  
「流川とは・・・連絡とってるんですか?」  
急にそんな事を聞かれびっくりしたけど、隠す必要もないと思い、あたしは答える。  
「たまに・・・メールとか電話とかするけど」  
「流川、元気なんですか?」  
「うん、元気みたいよ」  
「彩子さん寂しくないんですか?」  
「・・・まぁ、それなりに」あたしはそれ以上流川の事を聞かれたくなくて、下を向く。  
そして仙道が、あたしのウェーブした髪を手に取る。あたしがびっくりして顔を上げると、仙道が真剣な顔であたしを見ている。  
「俺は・・流川の代わり?」  
あたしは、見た事も無い仙道の表情と「流川の代わり」という言葉に、何も言えなくなってしまう。  
「寂しいから・・・それを俺で紛らわしてるの?」あたしの髪を触りながら、仙道が顔を近づけてくる。  
「ちっ、違う・・・」あたしは仙道から顔を逸らす。  
「俺だったら・・一人にしたりしない・・彩子さんの傍にいる」  
流川とした約束を思い出し、視界が滲む。  
仙道は、あたしの顔に触れ、ゆっくりと自分の方に向ける。  
「俺、彩子さんの事すごい好きみたい」  
そして仙道はあたしにそっと、キスをする。軽く触れるだけのキスをして、あたしから唇を離すとそっと抱きしめる。  
「あたしは・・流川が好きなの。寂しくて、辛いけど・・それでも好きなのよ・・」  
あたしは泣きながらも、はっきりと答える。  
仙道は、あたしの体を更に強く抱きしめる。  
「それでも好きなんだ。もう止めらんないよ」そう言って仙道は、あたしの首筋に強くキスをする。  
 
 
 
「イヤ・・・」体を仙道にきつく抱きしめられ動かせない。仙道はあたしの頬や髪やおでこに、優しくキスをする。  
「止めて・・・お願い・・」涙をボロボロ流しながら、一生懸命抵抗する。  
「彩子さんが流川の事好きでもいい・・寂しいなら、俺の事代わりにすればいいよ・・俺は、彩子さんじゃなきゃ駄目なんだ」  
「・・・そんな事、できないわ・・・」  
それでも仙道はあたしへのキスを止めない。  
流川とは違う優しいキスに、頭ではわかっていても体に力が入らなくなる。  
仙道はそんなあたしを見て、耳たぶを噛んだりしながら体を撫で始める。徐々に体が熱くなる。  
「・・んっ・・やめ・・て・・」  
「本当に止めてほしいの?彩子さん感じてるでしょ?」  
そう言って仙道はあたしの短パンに手を入れ、湿り始めた部分に指を這わせる。  
指の動きは優しく、でもあたしの感じる部分を的確に攻めている。  
激しい快感に、あたしはもう抵抗する事が出来なくなる。  
仙道はそれを確認して、愛撫しながらあたしの服と下着を器用に脱がす。  
「彩子さん、すごい綺麗」愛しそうにあたしの体を見る仙道から、まだ涙が流れている顔を背ける。  
「もう泣かないで下さい。彩子さん」そう言って、あたしの瞼に優しくキスをする。  
そのままあたしの下腹部に顔を埋め、茂みを掻き分け濡れた部分にキスをする。  
「・・くっ・・ん」声を押し殺して、恥ずかしさで足を閉じようとするけど、仙道が足を掴んでて出来ない。  
仙道の舌が突起物をペロペロと舐めて、ドクドクと愛液が溢れてくるのがわかる。  
「彩子さん、声聞かせて。ここ、もうこんなになってるよ」  
自分の指に愛液を絡ませ、あたしに見せてくる。  
あたしは顔が真っ赤になり、仙道がその指を口に含む。  
そして更にあたしのアソコを激しく愛撫する。  
突起物を舌で転がしながら、指を入れ上下に激しく動かす。  
今まで感じた事もない快感に耐えられなくなり、思わず声が出る。  
「あぁ!!!・・・はぁ・・はぁ」突起物を強く吸われ、限界が近くなる。  
「彩子さん、すごい・・どんどん溢れてくるよ」  
仙道の指があたしの中で動き、強く突き上げてくる。  
「はぁぁ!もう・・・だめ・・・」  
「イっていいですよ」仙道はそう言うと、ピチャピチャと厭らしい音を立て舌を動かし、同時に指を激しく動かす。  
「あ・・あぁ・・イクっ!!」  
全身から力が抜けぐったりしていると、仙道は自分も裸になり、あたしを自分の膝の上に座らせる。  
仙道のモノはすごく大きくてびっくりしながらジッと見ていると、  
「そんなに見つめられたら、恥ずかしいじゃないですか」仙道は少し照れたように言って、あたしにキスする。  
舌が優しく絡み合い、仙道のモノがゆっくりとあたしの中に入ってくる。  
押し寄せてくる快感に、あたしは背中を反らす。  
「あぁ!!」  
「くっ・・・・彩子さんも動いて・・」あたしの腰を掴み、仙道がゆっくりと動き始める。  
最初は戸惑っていたあたしも快感のせいで、自然と腰が動き始める。  
「はぁ・・あぁ・・んん」仙道の上で、あたしは激しく乱れる。  
「あぁ・・彩子さん・・すごい・・締め付けてる・・くっ・・」  
仙道も胸を愛撫しながら、強く下から突き上げる。あたしは仙道の頭を抱え、耳を噛む。  
「はぁ・・イッちゃう・・はぁ・・あぁ・・イキそう」  
「あぁ・・俺も・・一緒にイキましょう・・はぁ・・」  
汗でべたついたお互いの体をくっつけ、きつく抱き合う。  
「んん・・はぁはぁ・・」声を漏らしながら、仙道は腰を早く動かす。  
あたしも同じように腰を動かし、お互い見つめ合い激しく唇を求める。  
「んんっ!!」キスをしたまま二人同時に絶頂を迎え、あたしの中で仙道のモノがドクンと脈打って、暖かくなる。  
 
乱れた呼吸を整えていると、仙道ががあたしをきつく抱きしめる。  
「彩子さん?」  
「なぁに?」あたしは少しだるそうに答える。  
「流川の事好きでもいいからさ、俺の傍にいてほしいんだ」  
「あたしは・・流川と約束したの・・待ってるって約束したのよ。だから仙道・・アンタとは付き合えないの・・・」  
流れ出しそうになる涙を必死のこらえながら、ポツリポツリと呟く。  
「でも、俺の事嫌いじゃないんでしょ?だからこうなったんじゃない?」  
「そ、それはっ!・・確かにアンタの事は嫌いじゃないわ。でも・・」  
「なら、それでいいですよ」あたしが言い終わる前に、仙道が口を開く。  
「こんな関係でも、体だけでもいい。俺は彩子さんと一緒にいたいんだ」  
笑顔で言う仙道にあたしは呆れ、服を着ようと手を伸ばす。  
「彩子さん?俺腹減っちゃった。何か作って下さい」  
あたしの手を掴み、自分の方へ引き寄せ、また抱きしめる。  
「はぁ!?なんであたしが。嫌よ、もう帰るんだから」  
「作ってくれないなら離しませんよ」仙道はあたしに軽くキスをして、更に強く抱きしめる。  
「もうっ!わかったわよ!作ればいいんでしょ、作れば。何がいいのよ?」  
「彩子さんが作ってくれるならなんでもいいですよ」  
そう言って仙道は、あたしを解放する。  
あたしは服を着て、キッチンの冷蔵庫を開け何を作ろうか考える。ふと流川の顔が浮かんでくる。  
こうなってしまった事に後悔している。  
流川に申し訳なくて、でも仙道の事を突き放せない。  
流川の事は今でも好き。でも仙道の事も失いたくない。  
あたしは、仙道の優しさを必要としてる。  
自分の弱さと、もう後戻りなど出来ないという事に、あたしは小さく溜め息をついた。  
 
 
 
 
 

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