―――夏の暑い日差しの中、彩子は体育館へと向かって走っていた。  
   今年はインターハイへ出れることもあって、バスケ部はいっそう活気付いている。  
   それに負けないくらい彩子も張り切っていた。  
 
『今年は全国制覇できるかもしれない!』  
そんな期待のできるメンバーがようやくそろったのだから無理もない。  
頼れる赤木キャプテン、かなりやんちゃな三井先輩、チビで自信家だけど実力もあるリョータ  
無口で無愛想だけど抜群のセンスでチームを引っ張る流川。  
それに・・・問題児軍団でも一番の問題児、桜木花道。  
この5人がそろえば怖いものなんてない・・・と思う。  
 
「チュース!みんな張り切って練習練習!」  
今日もハリセンを手にいつもどおりのスパッツ姿で体育館へ足を踏み入れると  
早速、桜木花道がリョータと喧嘩している。どうせ原因は他愛もないことだろう。  
ぎゃあぎゃあと騒ぐ二人の顔面にハリセンチョップを喰らわせる。  
 
「痛いよ・・・アヤちゃん・・・」  
「フンガッ・・・彩子さん・・・」  
「まぁ〜たくだらないことで喧嘩してんでしょ!今日の原因は何?」  
「え・・・。それは・・・。」  
床に伏せ、涙目で鼻の辺りを押さえながら文句を言う二人を見下ろしながら  
ふぅ。とため息をつく。  
なんだかはっきりしない2人に業を煮やして、周りでおろおろしているヤスに目線だけで  
答えを促すが、ヤスもあわてて目をそらすばかりで答えが出てこない。  
他のメンバーもそう。  
「ったくぅ。・・・まぁ、いいわ。さぁ、張り切って練習するわよー!」  
『ウーッス!』  
とりあえずわらわらと体育館のあちこちに散らばってウォーミングアップをこなしていくメンバーたち  
それなのに問題児の桜木花道だけがじーっとこちらを見ている。  
 
「・・・なによ。桜木花道?」  
「いやぁ。彩子さんは女ゴリだなと思って。」  
「なんだそりゃ!」  
失礼なことを言う桜木花道にバシッとハリセンチョップを再度くらわして  
耳をつかみズルズルと体育館の隅っこへ引きずっていく。  
「あんたねー。くだらないこと言ってないで基礎をしっかりやりなさい。」  
「ぬ・・・。」  
バシバシとハリセンを振るいながらボールを押し付けてドリブルの基礎から始める。  
入部してからわずかの間にこいつもずいぶん上達したもんだ。と考えながらじっと  
桜木花道を観察してみる。  
 
まずは頭。なかなか眼光鋭くて整っている顔。赤くて丸いボーズ頭には閉口するけど、キャラにはあってる。  
次に上半身。たいしたスポーツもやってないのにきれいに筋肉がついてる。喧嘩のせいかな。  
腕も程よく長くて手も大きい。こんだけ大きな手ならどんなボールもつかめそうな気がする。  
さらに下半身。引き締まった腰とすらりと伸びた足。ものすごい瞬発力で一瞬にして誰より高い場所まで飛ぶ。  
あの赤木先輩ですらあんなに高くは飛べないのに。  
今はいてるバスケシューズは新しいもの。この間晴子ちゃんと買いに行ったらしくて浮かれてたな。  
 
「・・・サン・・・彩子さん!」  
「え?あぁ!もう終わったの?」  
「とっくに3分過ぎてる。」  
「あぁぁ。ゴメンゴメン。じゃ次は左ね。」  
じーっとみつめてて時間があっという間に過ぎてた。  
なんでかな。この子は人をひきつける。  
「・・・・俺に惚れたな?」  
「なんでだ!」  
「フガッ!ぬ・・・!」  
ぼそっとつまらないことを言う声にびっくりして反射的にハリセンをお見舞いする。  
恨めしそうにこっちをみる桜木花道がなんだか面白くてまた叩きたくなる。  
・・・・・ひょっとしてあたしってS?・・・いや、そんなことない・・・はず。  
でもクラスの友達には『彩子はS』って言われてる。なんでもリョータに対する態度がそう見えるらしい。  
リョータのことは嫌いじゃない、でも恋愛対象ではないからつい素っ気無くしちゃうんだけど  
それがよくないらしい。  
 
 
悶々と妙なことを考えてたら桜木花道に突然肩を叩かれた。  
「彩子さん。顔赤くなってる。」  
「え?」  
「やはり俺に惚れたな?ププッ」  
からかわれて頭にきたあたしは本日4度目のハリセンチョップを繰り出す。  
今まで手には持っていたけど、実際に使ったのは桜木花道が入ってきてからのような気がする。  
まぁ、先輩相手に叩くわけにいかないし、他のみんなも真面目だからね。  
桜木花道と流川が入ってしょっちゅう殴り合いの喧嘩が増えたからかな。  
大概は赤木先輩の鉄拳が飛んで終わるけど、いない時の仲裁はあたしがしてる。  
年下だからつい気安く手が出るのかもしれない。気をつけなきゃ。  
あとはこの子がつまらないこと言わなければいい。・・・でも、それは無理か。  
 
気合の入った練習が終わって後片付けしながら、また始まった三井先輩と桜木花道の喧嘩をぼんやり見つめる。  
そこにリョータも加わって殴りあいが始まった。  
あの3人も仲がいいんだか悪いんだか。喧嘩するほど仲が良いってことかな。  
あぁ、また桜木花道の頭突きが・・・見てる分には面白いけどほどほどにして欲しい。  
「さぁて、桜木花道!基礎やるわよ!」  
「ぬ・・・?またか・・・。」  
「なにぃ?アヤちゃん直々のトレーニングに文句あんのかコノヤロー!」  
レギュラーとして試合に出られるようになった今も、基礎練習を義務付けられている桜木花道。  
ぶつぶつ文句を言う桜木花道にリョータの必殺とび蹴りがヒットして再び喧嘩になる。  
赤木先輩は今日は用事があるといってさっき出て行ったからこれをとめるのはあたしの役目。  
他のメンバーは流川を除いてとばっちりを受けないように遠巻きにみてる。  
「コラコラ!その無駄な体力を基礎練に向けなさい!」  
バシバシッといい音で鼻っ柱にヒットしたハリセン跡を、手で押さえてうずくまる2人  
周りのみんなに目配せしてリョータを体育館から引きずり出し、鍵をかけるとようやく桜木花道と2人きりになった。  
 
 
「イタイッスよ彩子さ〜ん。」  
まだ涙目で文句を言う桜木花道にボールを押し付けてボールハンドリングを促す。  
渋々やり始めたのを確認してストップウォッチを押す。  
今日もすごいスピードでボールを操ってる。これじゃ疲れるだろうに。  
「フンフンフンフンッ!フンフンフンフンッ!」  
「コラコラ!やりすぎだ!」  
体力があまっているせいか、あまりにスピードを出しすぎて息切れしかかっている桜木花道を  
ハリセンチョップでとめてストップウォッチをとめる。  
「ぜぃ・・・ハァッ・・・。」  
練習後に一度拭いた汗がまただらだらとたれている。  
先ほどの練習で汗を吸い込んだタンクトップはとうに脱ぎ捨てていた。  
うなじを流れる汗が色っぽい。  
・・・はっ!なに考えてるんだあたし!?  
いつもならそんなことは考えないのに、今日はなんだかおかしい。  
また涙目でこっちを見ている桜木花道に胸がときめく。・・・あたしヤバイ?  
「彩子さん、また赤くなってる。」  
「そんなことないわよ!ほら少し休んだら練習練習!」  
「ふぬ・・・。」  
「とりあえず、これで汗拭きなさい!」  
座りこんでる桜木花道の広い背中にタオルを放り投げて、後ろから汗を吸い取ってやる。  
ひざ立ちして抱きかかえるように首の周りの汗もぬぐっていると  
桜木花道は固まったように動かない。よくみると耳が赤くなっている。・・・あれ?  
ふと気づけば桜木花道の背中にあたしの胸があたっていた。  
なるほど。女の子に免疫がないから照れてるんだ?  
ちょっとからかっちゃおうかな。さっきの仕返しだ。  
 
 
「桜木花道?どうしたの?」  
わざと耳に息を吹きかけながら、ぎゅっと首に腕を絡ませる。  
もちろん胸もしっかり押し当てて。  
そしたら痙攣したようにびくりと体を震わせてさらに体を硬くする。  
「いや・・あの・・・。」  
「ん〜?どうしたの〜?」  
しどろもどろで搾り出すように返事をする桜木花道が面白くて、今度は耳を軽く噛んでみた。  
そのままゆっくり耳たぶを舐めて、うなじにも舌を這わせてみる。汗のせいでしょっぱい。  
それだけで桜木花道はカチンコチンに固まってしまった。  
「桜木花道?」  
立ち上がって前へ回ると半ば放心状態になっている。ちょっとからかいすぎたかな?  
でも、もうちょっと・・・。  
自分でもなんでこんなに面白いのかわからないけど、想像通りの桜木花道のリアクションがうれしい。  
キスしたらどんな顔するのかな?  
チュッと軽くほっぺにキスしてみる。まだ放心してる。  
今度は唇に軽く音を立ててキス。まだ戻らない。  
さらに唇に口付けて薄く開いた唇の間から舌を入れてみる。ゆっくりと歯列をなぞったり舌を絡めていると  
不意に意識が戻ったのかビクッとして、顔を後ろへのけぞらす。  
「なななな・・・なにしてるんすか!」  
「え?キスよ?」  
真っ赤な顔で口を押さえて後ろへ後ずさる桜木花道に平然と答えを返す。  
きっとこの子の頭の中はハテナでいっぱいだろう。やっぱり予想通りだ。  
「もしかしてファーストキスだった?」  
「くぁwせdrftgyふじこlp;@〜〜〜!」  
図星を指されて言葉も出ないのかブンブンと縦に首を振る桜木花道。  
あたしはさぞかし意地の悪い顔しているんだろう。でも、もう歯止めが利かない。  
 
 
「これ以上のこと興味ある?」  
ゆっくりと桜木花道に近づいてそっと手を差し伸べる。  
もう言葉も発することができないほど引きつって必死に横に振る桜木花道の顔を  
しっかりと両手ではさんで自分から口付けた。  
むりやり唇をこじ開けて舌を絡める。  
わずかに抵抗してきた手があたしの胸に当たってびっくりしたように引っ込められる。  
気づけばあたしは桜木花道の上に馬乗りになっていた。  
桜木花道の腰に乗っかっているあたしのお尻。  
その下で硬くなったモノがビクビクしてる。  
じたばた動く足の振動で微妙に擦れて、なんだかあたしもむずがゆい感じがする。  
ようやく唇を開放したときには桜木花道の顔はユデダコみたいに赤くなっていた。  
「ふふっ。かぁわいい♪」  
「ああああ彩子さん、俺・・・」  
恥ずかしげに顔を背ける桜木花道がかわいくって、何度もほっぺや首筋にキスをする。  
自分が動くたびに当たるモノに刺激されてあたし自身高まっていく。  
布越しの感触がひどくもどかしい。  
わき腹の筋肉の薄いところに軽く爪を立ててひっかくと、面白いほどビクつく。  
端正な顔が快楽と苦痛でゆがんで、いつも騒がしい唇は声を出さないように必死で噛み締められている。  
もっとこの顔がみたい。  
この子はどんな声を出すんだろう。  
あたしの中の嗜虐心に大きな灯がともる。  
 
 
「桜木花道、触ってみる?」  
桜木花道の大きな手をとり、無理やりTシャツの下のあたしの胸に触らせる。  
バスケットボールすらも掴んでしまう手にはあたしの胸は小さすぎる。  
これでも自信はあったんだけどな。  
自分の手を重ねて上から揉むようにしてやると、ぎこちない手つきで揉み始めた。  
多分初めて触るんだろう。  
次第に真剣な表情になり、手のひらの感触を楽しむようにやわらかく揉んでいる。  
まるで初めて与えられたおもちゃを、珍しげにいじっているみたいだ。  
刺激を受けて立ち上がった乳首を、ブラ越しに軽く爪で引っかかれると気持ちがいい。  
自分でブラのホックをはずして、Tシャツとともに脱ぎ去ると、桜木花道の顔は再び赤くなった。  
でも手はそのままだ。  
手の中で自在に形を変える胸を楽しんでいる。そんな気がした。  
あたしは相変わらずお尻の下で自己主張しているモノに手を軽く沿え、ゆっくりと上下にさすってみる。  
途端にびくりと体を震わせて、また顔をゆがめる桜木花道。  
手も胸から離れてしまった。  
「どう?気持ち良い?」  
噛み締めた唇からどんな声が出るかと期待して声をかけるが、唇は硬く閉ざされたまま。  
ちょっと悔しくなったあたしは体の位置をずらし、短パンに手をかける。  
あわてて止めにきた手を払いのけてそっと中のモノを取り出すと、それは熱く脈打っていた。  
「大きいわねぇ。」  
「!?」  
素直に感想を述べながら指先でなでる。  
動揺しまくって声も出せないのか無言のまま手で隠そうとするのを  
目で制し、大きく口を開けて喉の奥まで飲み込む。  
さすがに大きすぎて全部は無理だった。  
「あぁぁぁっ!」  
背中をのけぞらせて大きく声をあげる桜木花道の腰を抱きかかえ、舌を絡ませながらゆっくり上下に動く。  
口の中でビクビクと跳ね回るモノが愛しくて、丁寧に舐めあげる。  
そのたびに上がる声がうれしい。  
根元を指でしごきながら頭を上下にゆすってやると、桜木花道の声が一段と大きくなった。  
「あ・・・彩子さんッ・・・・も・・・出るッ!」  
そうして口の中で桜木花道は果てた。熱い精液が喉の奥に流れ込んでくる。  
決しておいしいとは言えないけど、一滴残らず飲み干した。  
 
 
ハァハァと肩で息をしながらぐったりしてる桜木花道を見て、あたしは満足していた。  
いつも生意気な後輩を征服した。  
それだけで心は十分満たされた。  
でも、体のほうはそうじゃないらしい。  
さっきまでの胸への刺激と口での奉仕のせいか、履いているスパッツが濡れている。  
頭は冷静なのに体の奥がジンジンとしびれている。  
これはすぐには収まらないかも。  
あたしは仕方なく自分でスパッツと下着を脱ぎ捨てて、まだ放心している桜木花道にまたがった。  
濡れたあそこを桜木花道のモノに擦りつけると、愛液がぬるぬるして気持ちがいい。  
その刺激で、桜木花道のモノがまただんだんと硬くなってきた。  
張り詰めたモノがクリトリスを刺激して、しびれるような快感を生んでいる。  
「入れるわよ。」  
新たな刺激に顔をしかめている桜木花道にそう告げて、少し腰を浮かし、あてがうとゆっくりと腰を下ろす。  
肉壁をかきわけるようにして入ってくるモノに、あたしは思わず目を閉じて息を呑んだ。  
やがて全部があたしの中に納まったころ、目を開けると桜木花道はちょっと涙目になっていた。  
その目があたしの中に、再度火をつける。  
最初はゆっくり焦らすように腰を動かしてやる。  
それだけで達しそうになる自分をこらえて桜木花道の首を抱き寄せた。  
均整のとれたたくましい胸が激しく上下に動いている。  
次第に腰の動きを早めながら、目の前で半開きになっている唇を奪い、舌を絡ませる。  
時折キスの場所を変えると、開放された唇から絶えず吐息と小さな声が漏れる。  
眉根を寄せ苦しそうな桜木花道の表情を見て、あたしの中の何かがはじけ飛んだ。やばい。  
激しく腰を揺り動かし一気に高みへと上り詰めていく。  
「あぁっ・・・イクッ・・・!イッちゃう!」  
「彩子さんッ!」  
限界に達したのか桜木花道が自ら腰をつき上げてくる。  
あたしは振り落とされないように首に抱きつく。  
両手でしっかりとあたしの腰を掴んで、ありったけの欲望を中に吐き出す。  
それと同時にあたしは絶頂を向かえ、頭の中が真っ白になった。  
 
 
「・・・サン!彩子さん!」  
「・・・・・・う〜ん・・・?桜木花道?」  
あれからあたしは少し気を失っていたらしい。  
目を開けると、心配そうに覗き込む桜木花道の顔があった。  
手を借りて体を起こし、腰を浮かせると白濁液がずるりとたれてくる。  
あわててタオルでそれを拭きとって、どうせ後で着替えるが一応服を着た。  
桜木花道もパンツと短パンを元に戻して気まずそうにしている。  
多分、それは後悔の表情。その顔を見てあたしの心がちくりと痛んだ。  
 
「さぁ、着替えて帰るわよ桜木花道!」  
「彩子さん・・・俺・・・。」  
「ん〜?なに?」  
何か言いかけてうつむく桜木花道のお尻をバシッと一発叩いて、あたしはつとめて明るく言い放つ。  
「あんたが反省する必要はないのよ、桜木花道!あたしが最初に仕掛けたんだしね。」  
「ぬ・・・。」  
「なに?それともあたしが相手じゃ不服だった?」  
「いいいいや!そんなことは!!」  
全力で否定して、慌てて体育館の床を掃除し始める桜木花道の広い背中。  
あたし、もしかしたら桜木花道が好きなのかもしれない・・・。  
そう気づいたけど、本人には言わないでおこう。悔しいから。  
 
 
―――やっぱりあたしってS・・・なのかもしれない。  
 
 
〜fin〜  
 
 

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