「だからね・・・こ、ここにこの公式を入れるんだけど・・・」  
ギクシャクした面持ちで懸命に流川に説明をする晴子。  
しかし、反応がないので不思議に思い、そっと流川の顔を覗き込んでみる。  
「・・・・・・ZZZ」  
流川は、既に睡魔に襲われていた。  
「るっ流川君!だめよぅ、寝ちゃったら」  
そういいながら、晴子は流川の肩をそっとゆすった。  
「うらああああ流川ああああ!!てめえせっかくの晴子さんのやさしい心を!!  
なんなら永遠にその目閉じるようにしてやろうか、ああーーーっ!?」  
ちょうど晴子の対角線上の位置にいた桜木が、待ってましたとばかりに隣の椅子の流川にくってかかる。  
「くぉんのバカたれが!!!人のことはどうでもいいから集中せんか!!!」  
そう叫びながら、赤木が思い切り桜木の頭に拳を突き立てる。  
 
期末テストの季節がやってきた。  
赤木を除いた湘北バスケ部の主力メンバーは赤木の家に集まり、徹底的に勉強を教え込まれる。  
本試験で赤点が続出してしまった彼らは、救済措置の追試に合格しなければ全国にいけないのだ。  
そうなれば、湘北高校が全国で勝ち進む夢は水の泡だ。誰か一人欠けてもだ。  
その意味で、この勉強合宿は湘北の命運を握る運命の合宿と言っても過言ではなかった。  
 
「はっ・・・き、聞いてる。」  
反射的に目を開け、流川は強がって答えた。  
(クスッ・・・可愛い)  
寝ぼけている流川をみつめながら、晴子の顔に笑みがこぼれる。  
ふと時計を見ると、既に深夜の一時を過ぎていた。  
「もうこんな時間か・・・赤木、そろそろ休ませてもらっていいか?」  
全ての問題を何とか解き終え、疲労困憊の三井が寝ぼけ眼をこすりながら赤木に話しかける。  
「おう、すまんがそこのソファーで横になってくれ。くれぐれも変な考え起こすんじゃねえぞ、おまえら。」  
「へん、心配いらねえすよ、ダンナ。俺たちを誰だと思ってるんすか。」  
こちらも彩子の指導で発奮し、全問解き終わった宮城が余裕の表情を見せる。  
「あー、眠たくなってきちゃった。キャプテン、あたしも休ませて貰っていいかしら。」  
そう彩子が呟くと、途端に宮城は目を煌かせながら彩子の側に擦り寄る。  
「あっ彩ちゃん!!今晩は俺と時の経つのも忘れるような素敵な一時をぜひ・・・」  
「はいはい、また今度ね。」  
そう言いながら、彩子はリョータを扇子ではたき、軽くあしらう。  
「はーっ・・・まったく、これだから心配が絶えんのだ・・・」  
そう呟きながら、赤木はため息をついた。  
 
「彩子、お前は晴子の部屋でいいな。鍵は後で晴子が閉めるから大丈夫だ。安心して寝てくれ。」  
「はーい。じゃ、晴子ちゃん、お先に失礼ー。」  
そう言いながら、彩子は大あくびを一つついて二階へあがっていく。  
「桜木君も疲れたでしょ?ゆっくりしていって。」  
晴子は笑顔で桜木に声をかける。  
桜木は、いつものように、勝手にあらぬことを想定して顔が真っ赤になる。  
「はっはっ晴子さん、いや、自分は、あの、その・・・」  
その様子を見た赤木は、桜木の想像していることが予測できたのか、また怒り心頭となった。  
「馬鹿者!!他の者もそうだが、特にお前は絶対晴子には近づけさせんからな!!」  
「ぬぬ・・・ゴリ・・・」  
桜木は、しぶしぶ問題集の続きにとりかかる。  
「流川君も、後少しよ、頑張って。」  
んーっと力のない返事が聞える。ダラダラとえんぴつを動かしながらも、流川は着実に  
問題を解いていった。寝ることに関する執念は並大抵のものではない。  
一方の桜木は、晴子に気がいってなかなか集中できず、ほとんど回答は進まなかった。  
 
「・・・・・・・・できた。」  
そういって、流川はほぼ閉じかけている目をこすりながら、晴子に答案用紙を手渡した。  
「やった!流川君、おめでとう!」  
思わず、晴子は自分のことのように喜んでしまう。  
「ようし、流川、よくやった!勉強もやればできるじゃねえか。俺の部屋で休んでいいぞ。」  
「うっす。お先っす。」  
そう呟きながら、流川は二階へ上がっていった。  
「じゃおにいちゃん、あたしも休んできていいかしら。」  
「ああ、そうしろ。しっかり、鍵をかけて寝るんだぞ。」  
「うん。じゃあね、桜木君、頑張って!また明朝ね。」  
「ああ・・・・晴子さん、待ってくださあああい!!」  
桜木は晴子を追おうとするが、赤木の丸太のような腕にむんずと襟元をつかまれた。  
「おい、どこへいく。お前は問題が解き終わるまで、俺とマンツーマンだ。できるまで寝ささんからな。」  
「おのれ、ゴリ!!こんなもん、ぱぱっと解いてとっとと寝てやる、絶対寝てやるからな!!」  
こうして、一階では赤木と桜木の就寝をかけた張り合いが始まった。  
 
どれほどの時が経っただろう。時計にして3時を回った辺りだろうか。  
晴子はなかなか寝付けず、目が覚めた。  
隣の自分の兄の部屋で、憧れの流川が寝ていることを思うと、いても立ってもいられなくなるのだ。  
そっと鍵を開け、赤木の部屋に近づき、耳をたてる。かすかだが、流川の寝息が聞こえる。  
胸に手を当てると自分で自分の心臓の鼓動がはっきり感じられた。  
(いっ、いけないわ、私ったら・・・流川君の寝顔を覗き込もうなんて・・・  
でもどうせ、鍵閉めてるし無理よね・・・)  
そういいながら何げなくドアノブに手をかけると、予想に反してすんなりとドアは開いた。  
(わわっ!か、鍵しめてなかったの。流川君、どうしよう、へ、部屋に入っちゃった。)  
恐る恐る中に足を踏み入れ、月の光を頼りに目を凝らすと、流川はベッドにもぐりこみ、  
布団に包まって死んだようにぐっすり眠っていた。  
 
「ん・・・」  
(!!!!)  
 
流川が声を立てたことで、晴子は心臓が飛び出そうになりながらも、口を塞いだ。  
しかし、流川は寝返りを打って声を出しただけであり、起きていないことが確認できると、  
ホッと安堵のため息をつき、晴子は流川の隣りに腰を降ろした。  
練習や試合で時節見せるあの鋭い目も、長い睫毛によって閉じられている。  
(きれい・・・)  
眠っていてもみとれてしまうほどのその奇麗な顔に、晴子はすっかり釘付けになり、食い入るように見つめた。  
(もう少し・・・もう少しくらい近づいても大丈夫だよね・・・)  
そう自分を納得させながら、晴子はさらに流川の顔に自分の顔を近づけ、吐息がかかるくらいまで接近した。。  
次の瞬間、晴子はいきなり腕を引っ張られてベッドに引き込まれた。  
 
「あっ・・・!る、流川君!?」  
とっさの出来事に、晴子は頭が暴走しそうになっていた。  
流川は既に目を開けており、焦点の合わない虚ろな表情で晴子をジーっと見つめている。  
「ご・・・ごめんね、流川君。起こしちゃって・・・す、すぐ戻るから。」  
晴子は、これ以上ないほど心臓を高鳴らせながらも、必死で思いついた言葉を搾り出す。  
だが、冷静になろうとする晴子に、すぐにまたその思考が中断される刺激が走った。  
 
「!んんん〜〜〜っ!?」  
それは突然に唇を塞がれたからである、初めて唇に感じる、人肌の温もり。  
流川に口付けをされて、ただでさえ興奮しやすい晴子はたちまち顔が真っ赤に火照ってしまう。  
 
長い口づけ。一瞬の静寂が、とても長く感じられた。  
ようやく離れ合う互いの唇。そして、見つめあう。  
「る、流川君・・・」  
晴子は、やっと静寂を切り裂くその一言を搾り出した。  
朱に染まった頬。潤んだ瞳。濡れた唇。  
 
「お前のことが好きだ・・・愛してる」  
流川の思いがけない言葉に、晴子は思わず体を固めた。  
「う・・・うそっ!?こんなことって・・・」  
晴子の思考は、もはや正常な機能を失おうとしていた。  
しかし、そんな晴子の動揺などお構いなしに流川は晴子の首すじに顔を埋める。  
「嘘じゃねえ。初めて会った時から・・・いつかこうしてぇと思ってた。」  
流川が再び顔を近づける。二回目のそれがどういう意味をもつか、鈍感な晴子にも直感できていた。  
触れ合う唇。そして、今度は、流川の舌先が晴子の唇の間にゆっくり差し込まれていく。  
どう受けとめたらいいかわからずにとまどう晴子に、ゆっくりと唇、歯茎と舌を滑らせ、慣れさせていく。  
二、三度それを繰り返し、晴子がようやく僅かに開けたところに、舌がねじ込まれる。  
一瞬、身体をふるわせた晴子だが、心地よい感覚に次第に力が抜けていく。  
流川はそれを確かめると、さらに舌先を奥へと侵入させ、歯茎の裏をなぞる。  
そして、二人の舌は互いに何度も行き来し、唇の間の空間で一つに解け合うようにして絡み合っていく。  
 
「んあっ・・・」  
晴子が大きく仰け反って、二人の舌はようやく離れた。  
だが、次の瞬間には、力を失って、流川の身体によりかかってしまう。  
 
「はあっ、はぁっ、はあっ……」  
晴子は、まるで長い距離を走ったかのごとく息をはずませていた。  
そして、その息が弾んでいるのは、もちろん体力的なことからだけではなかった。  
ゾクゾクと背筋を上って来る余韻に震えながら、ひとまず抜け出そうと必死に体をくねらせる。  
が、流川は更にキツク晴子の体を抱きしめお互いの体をピタリと密着させてきた。  
 
そしておもむろに晴子のシャツの中に手を入れて胸の方へ滑らせた。  
「あ・・・ダメよ、流川君・・・!」  
晴子は顔を真っ赤にさせ、必死になって流川の手を掴み離そうとするが  
力の差は歴然としており、流川は指で晴子の胸を刺激し始めた。  
 
「あっ・・・いや・・・ん!」  
目に涙を浮かべながら、自分でも驚くほどのいやらしい声が自然に出てきてしまう。  
 
「かわいいぜ、お前。」  
流川は耳元で囁きながら首筋に軽くキスをすると、首筋あたりに唇を移動させ何度も吸い付いた。  
(どうしよう・・・こんな声出してちゃ・・・お兄ちゃんや桜木君に・・・気付かれちゃう!)  
晴子は、消えかけようとしている理性を必死に振り絞って今ある状況をどう乗り切ろうかを考えようとした。  
しかし、流川の行為は晴子の意思に反して、さらに激しさを増していく。  
最初はソフトにやわらかく。胸全体を包み込むようにする。そして次第に、その指は頂点へと近づく。  
じらすようにして、周囲を何度も丸く撫でるようにしたあと、人差し指で、乳首を転がすように愛撫すしていく。  
 
「あっ……はっ……ああっ……」  
息も絶え絶えの悩ましい声が漏れていく。耳元にその呼吸を感じた流川はは、晴子の耳を舐め上げる。  
「ふぁ・・・ん!」  
瞬間、晴子の体に電流が流れたような衝撃が走り、ぴくりと身体を揺らした。  
「あ・・・」  
ぴくっぴくっと小刻みに身体が揺れる。晴子は、流川の行為の虜となってしまっていた。  
「今夜は・・・お前をめちゃくちゃにしてぇ・・・いいか?」  
「流川君、うれしい・・・私も、こういう時を夢見てたの・・・私の身体・・・好きにしていいよ・・・」  
流川の甘い言葉に、普通の自分では言えようはずもない台詞がスラスラと出てくるのは自分でも不思議だった。  
脳に普段と違う思考回路がついているのではないかと思ってしまうほどだ。  
だが、そんなことは今の晴子にとってはどうでもいいことだった。  
 
流川はゆっくりベッドから起き上がると、晴子の服を脱がしてゆく。  
やや小柄ながらも、ふくよかな乳房を持った愛らしい晴子の裸身があらわになる。  
「ん・・・恥ずかしいよ・・・流川君・・・」  
晴子は顔を赤らめ、目を背ける。  
「何言ってんだ・・・奇麗だぜ、とっても。」  
流川はそう言うと、改めて晴子を引き寄せて乳房への愛撫を行う。  
ゆっくり唇を胸へ押し当て、左右の乳房に強烈な口付けを行う。  
そして、ゆっくり先端に舌を絡ませ、なめまわしてゆく。  
「はん・・・!ん・・・!」  
流川の舌が動くたびに、反射的に晴子の身体が震える。  
想像していた以上の刺激的な感覚が晴子の体をかけめぐっている。  
流川はその反応を楽しむかのように、赤子のように晴子の乳房に吸い付く。  
 
「あっ・・・あふっ・・・んっ・・・」  
晴子は恥ずかしい声を響かせないように嬌声を押し殺そうとしている。  
しかし、指の間から漏れる甘い声が部屋に響き渡る。  
 
流川は晴子を仰向けに寝かせると、ゆっくり晴子の下半身に顔を近づけ、舌を秘部へと伸ばした。  
秘部のまわりに茂る恥毛をかきわけるように舌を入れ、陰唇を刺激する。  
「きゃふぅっ・・・!!」  
言葉では表せない奇妙な感覚に、晴子が悲鳴にも似た声をあげて、体をよじらせる。  
陰唇の先端にある芽を舌先で転がせる。  
「はぅん・・・ふぅ・・・はんっ・・・]  
試合中と変わらぬ流川の怒涛の責めに、晴子の目の焦点がぶれてきた。瞳は潤み、明後日の方をむいている。  
秘部の亀裂に、既に充分すぎるほどの湿り気を感じると、流川は自らの衣服もそっと脱ぎ捨てた。  
下腹部にそびえたつ自身を握りながら、そっと晴子に覆いかぶさる。  
お互いの体温が肌を通して伝わってくる感触にうっとりしつつ、最後の行為に向けて互いに気持ちを整える。  
 
「いくぜ・・・ちょっとだけ痛いかもしんねえけど・・・すぐ気持ちよくなっから・・・」  
流川の言葉の真意が理解できず、晴子は身体を預けるしかなかった。  
ただ、自分のために全てを捧げてくれる人がいるのだから、自分も意を決して  
自分の全てを捧げねばならない。そう晴子は覚悟を決めて、目をつぶった。  
流川は自らのモノに手を添えながら、慎重に晴子の秘部にあてがうと、一気に腰を進めた。  
 
「あんっ・・・!」  
晴子は背筋をのけぞらせ、家全体に響いたかもしれない甲高い嬌声を上げた。  
今まで経験したことのない激痛が晴子の脳幹を襲い、びくびくと痙攣を引き起こしている。  
「んあっ!はん!あん!・・・・だめ・・・流川君・・・!死ん・・・じゃうよ・・・!」  
晴子は流川の背中に両腕を回し、必死に自らを襲う感覚に耐えようとする。  
しかし、激痛に耐えている晴子の脊髄を、びくびくっと快感の渦が湧き上がって行く。  
「う・・・っ!!!」  
流川が最後の力を振り絞り、最後の一突きで晴子に思い切り腰を打ちつけた。  
「ああああっ!」  
どくっどくっという身体に流れる音と共に、熱い液体が奥に放出されてるのを感じる。  
(流川君・・・ありがとう・・・これからも、ずっと一緒だよ・・・)  
ぼろぼろと涙を流し、身体中で流川の精を受け止めきると、晴子は深い眠りに着いた。  
 
 
翌朝。いつものように、静かな夜明けを切り裂く赤木の轟音が木魂した。  
「起きろー!!いつまで寝てるんだ!!」  
喧々囂々と赤木はいつものように怒鳴りたてるが、その目はやつれていた。  
「ふあー・・・よく寝た。ありゃりゃ・・・ダンナ、だいじょうぶっすか。」  
「おい赤木、おまえはキャプテンなんだから、そんなに無茶することもなかったろうによ。」  
「くぅ・・・俺だって好きでやっとったわけではないわ、馬鹿者・・・」  
赤木が寝ぼけ眼をこすりながら愚痴をつぶやく横で、桜木がこれまたクマのできた目をこすりながら文句をたらす。  
「へん、こうなったのも一晩中ギシギシと誰かさんの家で、でけぇねずみが  
暴れてやがったから集中できなかったせいじゃねえか。」  
「ふん。この期に及んで言い訳とは、一から性根を叩き直さねばならんようだな、ばかもんが。」  
そういい合いをしている横で、晴子が降りてきた。  
「何だ晴子、その格好は。夕べは寝相でも悪かったか?」  
「え・・・?」  
晴子は寝ぼけ眼で自分の服を見た。  
「うわっ・・・!こ、これはその・・・夕べ大きい虫が出ちゃって・・・」  
乱れていた服や髪をさりげなく直しながら必死で答える。  
「虫くらいで騒ぎすぎだばかもん・・・まったく、どいつもこいつも・・・」  
「うぃーす・・・」  
晴子が何とか取り繕ったとき、突然後ろから流川の声がして晴子は思わず飛び上がった。  
「何こんな時間までのんきに寝てやがんだ!もう出発の時間だぞ!」  
「いっとくけど、飯はみんなでもう食べちまったからな!」  
「なーははは!!流川、てめえに食わせる飯はねえって晴子さんも言ってるぜ!」  
「桜木くん・・・そんなこと・・・」  
皆の大声が響くなか、晴子はボンッと顔を赤らめてモジモジとしていた。  
 
「流川君・・・ゆうべは・・・その・・・」  
皆が家を出た後、遅れて家を出ようとした流川に晴子は思い切って話しかけた。  
「・・・・? 何だ、どうした。」  
「えっ・・・その。」  
流川のそっけない態度に、晴子は思わず戸惑った。  
「しょうがないわね、流川。まだパン一枚だけ残ってたから焼いたげるわ。ちょいと待ってなさい。」  
「うっす。お願いしやっす。」  
そう流川と会話を交わした後、彩子が晴子に声をかけた。  
 
「は・る・こ・ちゃん、昨夜はお楽しみだったみたいねぇ♪」  
そう彩子に指摘され、晴子は心臓が止まるくらいびっくりした。  
(わーーーー!!ちょっと、ダメよ、彩子さん。どうして、それを・・・)  
「だってね、昨日トイレに行こうと思ったら鍵が開いててびっくりしたのよ。  
晴子ちゃんの寝てたスペースまだ温かかったし、こりゃ何かあったなと思ってふと隣の部屋を見てみたら・・・  
鍵が開いてたもんで覗き見しちゃった。すごい激しそうで羨ましかった。若いっていいわねぇ。」  
晴子は、そういいながらニヤニヤと肘打ちする彩子にますます顔を赤らめキャーキャーと口を塞いだ。  
「あいつね、自分で言ってておかしかったんだけど、試合中と夢の中じゃ人格変わるんですって。  
だから、きっと昨夜のことも覚えてないわね。」  
「そんな・・・」  
「何でもいいわよ、晴子ちゃんは至福の時経験できたんだから。あーあ、あたしもリョータとしとけば  
よかったかなぁ。」  
「彩子さん・・・そんな・・・」  
「あ、パンが焼けたみたいね。じゃあね晴子ちゃん、また学校でね。おーい流川、これ頬張っていきなさい。」  
そういい残すと、彩子はパンを流川に渡して走り去っていった。  
「る、流川君・・・昨夜はありがと・・・また・・・いつか昨夜の続きしようね。」  
そう顔を赤らめながら笑顔で走っていく晴子を見てクエスチョンマークを浮かべながらも、  
流川は機嫌よさそうに鼻歌を歌いながら自転車に飛び乗った。  
 

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