「・・・そうだ。」
おもむろにメガネを外し、ベッドに体を沈める。かすかに聞こえていたシャワーの音はもう聞こえない。
薄暗い室内の中、ドアが開くまでの一瞬の空白に、鼓動が高まっていくのが自分でもわかる。
「ごめんなさい、時間、かかっちゃって。」体に白いバスタオルをきつく巻きつけたまま、小さくそう呟いた晴子がスルッとベッドの中に入ってくる。
あのバスタオルの中を、俺は何度想像しただろうか。三年間、バスケ部で頑張れれば、少しでも彼女に近づけるかもしれない。
俺には赤木や三井のような才能はない。それは自分が一番よくわかっていた。それでも・・・
「あの、もうちょっとだけ・・・」
「えっ?」
「暗くしてもらえますか?木暮さん」
ほとんど何も見えない暗闇の中、木暮は夢中で晴子の口唇を求めた。お互い遠慮がちに、次第に貪りあうように。
「んんっ」晴子の身を包んでいたバスタオルがゆっくりと落ちる。木暮は、今まで制服の上から想像することしかできなかった晴子の肢体に触れ、
その柔らかさと熱さを指で感じる。無意識のうちに、静かに主張している乳首に、顔を落としていた。
「あっ、ン。やめてっ。・・・恥ずかしいよ」晴子の火照りが、木暮の冷静さを溶かしていく。
初めはお兄ちゃんと、流川クン、の応援をしていた。
「中だ、中固めろ、桜木!」「ふんぬー!」「今のはファールだ。どあほう」
特に桜木クンが入ってからのバスケ部は傍目から見てもキラキラしていた。今年は何かが違う。もしかしたら・・・って。
でも。全国行きを決めた陵南戦。土壇場の、あの奇跡のようなスリーポイントに、あたしは自分の内側から零れ出る感情をせき止めることができなかった。
毎日一番早く部室に来て、一番最後まで体育館にいた。木暮さんがいなかったら、あたしの大好きな湘北はなかったんだ。
「晴子ちゃん、俺、もう・・・」「いやっ、あん」
言葉や普段の立ち振る舞いとは裏腹に、晴子は木暮の背中に回していた手をほどき、おずおずと股を開いていた。
「アレ・・・つけてね。あと、やさしくして」
木暮は頷きながら、コンドームを取りに一度ベッドから降りた。ぎこちない動作で装着し、ベッドに戻る。その時に足を派手にぶつけた。
「ふふっ。大丈夫ですか?」「いたた・・・メガネ外してたこと、忘れてたよ。」
一瞬だけ、いつもの空気に戻る。そしてもう一度目を閉じて、口唇に、胸に、手に、軽くキスをした。]
キスをするたびに小さく声を漏らす晴子の髪を左手で優しく撫でながら、右手を晴子の一番敏感な場所へと伸ばした。
「あっ、や、そんなところっ」「大丈夫だから。痛くないようにするから。ね?」
木暮の声はこんなときでも優しかった。晴子が肯いたのを見届けてからゆっくりと、はちきれんばかりの自らのモノを晴子の薄い茂みに沈めていった。
「や、おっきぃよ。はぁんっ」「はぁっ、はぁっ、俺も、もう我慢、できないよっ」
紅潮した頬に乱れた髪、濡れた瞳。夢にまで見た自分を求める晴子の嬌声。
きつく締め付けられていた木暮の欲望は、中に入って10秒ほどで、頂点に達した。
「あぁっ・・・!!」ドクッ、ドクッと波打ちながら、木暮は晴子に覆いかぶさるように果てた。
「ごめん、オレ・・・」定まらない視点でうなだれる木暮に、晴子は息を整えながら微笑みを浮かべていた。そしてもう一度タオルを巻きつける。
「うぅん、嬉しかった。ありがとっ。」
もう一度長いキスをし終えた後、木暮は「赤木にどうやって言おうかな・・・」と小さく呟いた。