白や淡紅色の、春の象徴。  
満開に咲いている光景を見ると、その存在感に圧倒される。  
そしてなぜか、期待に胸を膨らませる。なにか、楽しいことが起きるのではないかなって。  
春の訪れを知らせてくれる桜は、私にとってそんなイメージ。  
「あは。またきてる。」  
玄関のドアを開ける前に、ポストを見るのが習慣になったのは、いつからかな。  
見慣れた白い封筒裏の差出人の名前も、私にとってそんなイメージ。  
 
・・・桜木花道。  
 
キャプテンだったお兄ちゃんが引退して、  
入れ替わりに私、赤木晴子が湘北バスケ部のマネージャーになりました。  
リハビリ中の桜木君に、その事を知らせたかったのと、バスケ部の状況を知らせたかったのと、  
あとは・・・。ううん、とりあえずその大きな2つの理由があって、お手紙を出しました。  
 
それから、桜木君からお返事が来るようになって、私も出して。  
桜木君の手紙って、人柄がにじみでてるっていうか、読んでてすごく楽しいの。  
今度の手紙も面白いな。  
 
「また桜木から手紙か。」  
「あっ、おかえりなさいお兄ちゃん。桜木君、リハビリ順調みたいよ。」  
「そうか!」  
一瞬明るくなったお兄ちゃんの顔が、急に険しくなった。  
制服のままダイニングテーブルでくすくす笑ってたからかな・・・?  
「きっ、着替えてくるわねっ。」  
「待て、晴子。」  
「なに?」  
「なんだ、その・・、お前たちは・・・。」  
「なぁに?」  
「ぶっ・・・、文通を、しとるのかっっ?」  
真っ赤な顔して、こぶしを握りながら、お兄ちゃんは言った。  
「あははは。やぁね、お兄ちゃんたら。そうね、してるかな。」  
「晴子、悪いことは言わん。もう止めておけ。」  
「どうして?」  
「無駄な期待を持たせるだけだからだ。」  
「期待って?」  
「・・・。」  
「変なお兄ちゃん。」  
部屋に行く私にお兄ちゃんは何も言わず、ただ、ずーんって感じでたたずんでいた。  
 
制服から部屋着に着替えて、手紙の続きを読んでいたら、こんな文字が飛び込んできました。  
『・・・最後に、ビックニュースがあります!このままいけば、半月後位には戻れそうです!!』  
驚いて、反射的にカレンダーを見た。半月って・・・。  
『天才桜木、帰還予定日!!!!』と書いてある赤い大きな文字の日付と、  
今日の日付を指折り数えて確認したあと、大きな声でお兄ちゃんの名前を呼んだ。  
 
 
 
 
『桜木君、こんにちは。手紙読みました。  
 
嬉しい知らせに、今日届いたお手紙だけど早くお返事を出したくて、もう書いてます。  
明日には、ポストに投函するつもり。  
さっきお兄ちゃんに伝えたらとても喜んで、すぐ三井さんたちに電話してたみたい。  
みんな、楽しみに待っています。  
・・・それで、私からひとつ、提案があるんだけど、いいかな。  
授業も少し遅れちゃっただろうし、戻ってくるまでの間だけでも、  
私とでよかったら、一緒に勉強しませんか?  
 
お返事待ってます。         晴子。』  
 
 
 
その返事を桜木君は電話でくれて、久しぶりの声に話がどんどんはずんでいたら、  
廊下を通りすがったお兄ちゃんの眉間に、深い皺がよってた。・・・うるさかったかな。  
とにかく私は今から、桜木君のいるリハビリセンターの近くの図書館に向かっているところです。  
 
学校近くのバス停から直通が出ていて、約束の時間より早く着いたので  
待ち合わせの図書館に行く前に、初めてのこの町を少し散歩してみようって思いました。  
ふわっと前からくる潮風と磯の香りや、ちらほら増えてくるお土産屋さん。  
海岸に近い町が持つ独特の風景を眺めながら、緊張している自分に気がついていました。  
なじみのない場所だから・・・だけじゃなくて、久しぶりに桜木君に会うから。  
 
 
桜木君、元気だったかな。会ってどんな話しようかな。変わったりしてないかしら。  
変わらず、大好きかな・・・・・・。バスケットのこと。  
 
 
「ハルコさんッッッ!!」  
聞きなれた声に振り向くと、そこには懐かしい赤い髪の、見慣れた笑顔がありました。  
「お久しぶりっす!!ハルコさん!いやァ〜、道端で再会を果たすとはまさに運命!!」  
「桜木君、久しぶりね。あは。元気そう。」  
「あったりまえです!不死身の男、桜木花道!!元気いっぱいです!」  
「うふふ。良かった。ほんとに良かったわ。」  
桜木君はニコニコの笑顔で、両手を大きく回しながら私の隣に並んだ。  
髪が、少し伸びていてなんだか以前より引き締まった感じがする。ちょっと痩せたのかしら。  
気づかれないように小さく深呼吸をしてドキドキとうるさい胸に手を当てた。  
「・・・好きっすか?ハルコさん。」  
「とっととととつぜんなぁにっっ?!桜木君たら!!」  
「ぬ?嫌いでしたか?クレープ・・・。」  
「・・・えっ??」  
桜木君の指差す方向を見ると、縞模様の屋根の小さなクレープ屋さんがあった。  
「よくこの前通るんすけど買ったことなくて。ハルコさんはクレープ好きっすか?」  
「えっ、ええ。すすす好きよう、チョコバナナとかっ・・・。」  
「おっ!チョコバナナっすね!買ってきます!!」  
小走りでクレープ屋さんに向かう桜木君の背中を見ながら、大きなため息がでた。  
だって私ったら、すっごい恥ずかしい勘違いしちゃったみたい。  
でもそれは、ほんとはずっと気になっていること・・・あの日から。  
 
「お待たせしました!」  
ふと振り向くと、目の前がクレープで埋まりました。ほんとに買ってきてくれたんだわ。  
「わぁ、ありがとう。いくらだったの?」  
「いーんすよ、俺の分も買ってますし。」  
「じゃあ・・・、ごちそうになるわねっ。」  
「うっす!」  
なんだか楽しいな。桜木君も元気そうだし、きてよかった。  
あら・・・?違うわ、私ったら。勉強しにきたんだわ。  
「そうよ!桜木君、勉強をしなくっちゃ!!」  
「あ、はい。図書館なら、そこですが?」  
またもや、桜木君の指差す方向を見ると、レンガ造りの四角い建物があった。  
うう〜・・・なんだかおかしいわ・・・。  
「い、いきましょ、桜木君っ。」  
「あっ、ハイ。でも、食べてからの方が・・・。」  
「そっ、そうねっ、そうだわっ。ちょっと座ろっか・・・。」  
うう〜〜・・・ほんとになんだかおかしなかんじ・・・。  
 
 
 
図書館の脇にある花壇のふちに2人で座って話をしていたら、ちょっと落ち着いたみたい。  
それからずっと図書館で今までのノートや参考書を開きながら、私達は閉館までずっと勉強をしました。  
頭を掻いたり大きな声を出したりして、桜木君、やっぱり勉強に困ってたみたい。  
ちょっと図々しいかなって思ったけど、役に立てたのかな。  
「それじゃあ、また・・・明日、でいい?」  
バス停まで送ってくれた桜木君に、次の約束の確認をいれた。  
「あ、ハイ。・・・でもよく考えるとハルコさん、部活はいーんですか?」  
「うん、あのね、安西先生とバスケ部のみんなには、実はもう了承済みなの。」  
いつもなら部活のある時間。桜木君が気にならないはずないのに、私ったら言い忘れちゃってた。  
「な〜んだ!そうっすか!!ハッハッハ〜!あいつらめ!」  
「うん!頭も身体も完璧になって帰って来い!なんて言ってたわよ。・・・でも、連日続いたら桜木君が迷惑かな?」  
「いいえ是非とも!!よろしくお願いします!!」  
「あは、良かった。また明日ね。」  
 
 
それから毎日、私達は図書館で勉強をしました。  
私のつたない説明でも、真剣な顔して一生懸命聞いてくれてたみたい。  
そんな桜木君の表情がなんだか印象的で、ううん、ほんとは表情だけじゃなくって、  
桜木君の首筋とか、広い背中とか、してくれた事や、話した会話。  
桜木君のことばかり、家でも学校でも思い出しちゃって・・・。  
これって変だわ・・・。変よ、わたし・・・・・・。  
 
「ぜったい変よ・・・。」  
「ぬおッ?!答え、変でしたかっ??」  
いけない。声に出しちゃった。桜木君が私の顔を覗き込む。  
その近さにびっくりして、ここが図書館だというのも忘れて大きな声が出る。  
「ちちちちちがうのっ!あっ、答えはあってるの!でも違うの!」  
「???ハルコさん?」  
「・・・・・・ごめんなさい。」  
「????」  
私ったら、自分から勉強しようって言ったくせに、上の空になってる・・・。  
いけないわ、晴子。このままじゃ、桜木君にも迷惑だわ・・・。  
不思議そうにしながらも参考書に目を戻してくれた桜木君の顔を盗み見て、私はある決心をしていた。  
 
 
「・・・あの、ハルコさん。お疲れなのでわ?」  
いつものようにバス停まで送ってくれている途中で、桜木君はそう私に訪ねてきた。  
「連日、こうして付き合ってもらっていますし、いや、俺は嬉しいんですが・・・。」  
やっぱり、さっきの事気にしてるみたい。そうじゃないの。勉強のことじゃなくて・・・。  
「ねぇ、桜木君・・・・・・。」  
いつも帰り道は、夕暮れの差し掛かった時間。薄暗いこの時なら、きっと私の顔をじっくり見られることはない。  
言わなくちゃ・・・、ずっと、聞きたかったこと。ほんとはずっと、気になっていたこと。  
私は、2、3歩と離れて前に進み、言葉を出した。  
 
 
 
「あの日、山王戦のあの日言った言葉は・・・、バスケットのことだけですか?」  
 
 
山王戦のあの日、倒れた桜木君は起き上がって、私にこう言った。  
 
 
『大好きです。今度は嘘じゃないっす。』  
 
 
がっしりつかまれた肩の感触を、まだ覚えている。  
あの言葉は・・・、バスケット、のこと・・・・・・?  
 
 
 
「・・・あのコトバ・・・・・・。」  
街路灯の影で、桜木君の表情を覗くことができない。ただ、大きな身体は立ち止まり、まっすぐ私を向いていた。  
視線の強さを感じて逃げたくなるような感覚に襲われる。・・・けど、その口が開き出すのをを願ってもいた。  
 
「ハルコさん・・・。オレは、バスケットが大好きです!」  
 
聞きたかった答えはいつもよりも低い声で、そのせいかとても重い衝撃を、私の胸に与えた。  
それは、凄く嬉しい答えのはずだった。なのに、このショックはなんだろう・・・。  
動かしている意識はないのに、足はゆっくりとあとずさり、この場から遠ざかりたがっている。  
でも、私の動きとはうらはらに、桜木君はゆっくりと近づいて来ていた。  
街路灯の光の下に、赤い髪が揺れる。同時に、大きな手が私の手を包み、一段と距離を縮めた。  
「きっかけは、ハルコさんです・・・!バスケットより先に、ハルコさんを好きになりました!!」  
ひゅうっと、心に風が吹いたような気がした。あとずさっていた足の動きが止まる。  
桜木君は耳まで真っ赤にしながら、怒ったような顔をして、私からじっと目をそらさなかった。  
掴れた手からその熱がどんどん流れ込んでくるように、私の顔も熱くなっていくのがわかる。  
「・・・・・・桜木君。」  
「・・・・・・ハイ。」  
「・・・・・・バス、着ちゃう。」  
「・・・・・・ハイ。・・・・・・え゛???」  
緩んだ指の隙間から手を逃し、私はとっさにバス停に向かって駆け出した。  
「はっ、ハルコさんっっっっ!!」  
「ごめんなさいっ!桜木君っっ!!」  
駆け込み乗車したバスの窓から、桜木君を見る勇気はなかった。  
逃げ出してごめんなさい、本当にごめんなさい。  
胸に手を当てる。ドキドキして、張り裂けそう。顔が熱くって、焼けちゃいそう。  
 
・・・だけど、  
 
ほんとはずっとその事が聞きたくて、手紙を書き始めた。  
でも、便箋を開くたび、どうしてもその言葉だけ、書くことができなかった。  
理由は・・・、理由は、とても、ずるい理由。  
考えないように、そのずるさから目をそらすように、桜木君の明るい手紙を待っていた。  
「はっきりしなくちゃ・・・。」  
見慣れた帰り道の町並みのはずなのに、その日は色濃く鮮やかな風景に感じていました。  
 
 
 
「あんれ〜〜〜?晴子ちゃん?!今日は花道んとこ行かねーの??」  
そぉーっとバスケ部の練習を覗いていたはずなのに、宮城先輩に気づかれました。ぎくっとして、大きく肩が揺れちゃった。  
「あっ、あははははっ。ちょっと、部の方も気になっちゃいましたっ!」  
「おー、えらいねー。マネージャーの鏡だねぇ。」  
「あは・・・ちょっと、ここから見ててもいいですか?皆には内緒で・・・。」  
「いーけどさ。・・・あー、花道元気かい?」  
ぎくっとして、また肩が揺れる。あれ・・・?なんか、顔も熱くなってきちゃった。  
そんな私の様子を見たからか、宮城さんの口角がにぃぃ〜っと上がりました。  
「まー、あいつは晴子ちゃんの顔みたら百人力だろうな。」  
「そんなっ!そんなこと・・・。」  
「あるよ。俺もアヤちゃんの顔みたら百人力だもん。」  
「み、宮城先輩・・・。先輩が、バスケットを始めたきっかけはなんですか?」  
「ん?ガキの頃から得意でさ、でも、高校までやるとは思ってなかったよ。」  
「え?意外です・・・。」  
「うん、ちょっと迷っててさ。でも、アヤちゃんがマネージャーだったから。」  
「彩子さん?誘われたんですか?」  
「いや、一目惚れしてさ。どっかで聞いた話でしょ?」  
私が、返答に困ってもじもじしていると、宮城先輩は笑って、  
「まー、運命ってやつよ。じゃあね。」  
・・・と、言って、練習に戻って行きました。  
 
運命ってやつか・・・・・・。  
 
そうか、そうよね。なんだか背中を押されたような気がして、気合を入れて足を向けた。  
体育館脇にある水道場に。そこにいる、ずっと見続けていた背中に。  
 
「るっ・・・、流川君!!ちょっと・・・、いいですか・・・?」  
 
背中は一瞬動きを止めて、腕で顔をぬぐい、振り向いた。  
「マネージャー。何?」  
その顔は浴びていた水しぶきのせいか、汗のせいか、それとも私の錯覚のせいか、  
光を反射してキラキラ輝いて、とてもきれいでした。はぅぅ・・・。  
「あ、あのねっ。手短に・・・、聞いてほしいことがあるのっ!」  
「・・・どーぞ。」  
ううう〜・・・、よく考えたら、ちゃんと会話するの初めてかも。落ち着くのよ、晴子!  
「わっ、わたしねっ、ずっと流川君に憧れてて・・・  
ちゅ、中学生のとき初めて流川君のプレイを見て、ほんとに凄くて、  
それから、バスケットが大好きになりましたっ!ありがとう・・・。」  
「・・・。」  
「そ、それだけです・・・。ほんとにどうもありがとう。それじゃ・・・。」  
「赤木晴子サン。」  
「はッ・・・ハイ?!」  
「・・・マネージャー、これからもヨロシク。」  
それだけ言うと彼はまた、水道の蛇口をひねって、何事もなかったように水を飲み始めていました。  
「・・・はいっ!」  
ああ、知っていてくれたんだ・・・。私の名前・・・。  
振り向いてほしかったんじゃなくて、私は、私のことを知ってほしかったのかもしれない。  
だって、それだけでこんなに嬉しい。ありがとう、流川君。ずっと、見ていました。遠くから。  
 
さようなら、流川君・・・。  
 
 
そのまま、私は校門前のバス停へと走りました。あの、海沿いの町へ続くバス停まで。  
 
 
バスの中で、私は重大なことに気がつきました。今日は約束してなかった・・・。  
だけど、見つけました。バスの窓から、赤い髪を。いつものバス停で待つ、大きな背中を。  
「桜木君っ!」  
降りた瞬間声を掛けると、桜木君の身体は大きく揺れて私に向きました。  
「ハ、ハルコさんっ、今日は・・・、来ないものかと・・・。」  
「ごめんなさい、遅くなっちゃって。・・・ずっとここで、待っててくれたの?」  
「いやァ〜・・・。あの、ハルコさん、昨日はすみませんでした。」  
桜木君は今にも泣きそうな表情で、言葉を続けました。  
「本当に、すみませんでしたっ!本当の本当に、すみませんでしたッッ!!」  
「どうして、あやまるの?」  
「ですから一方的に・・・、その、ご迷惑をお掛けして・・・。」  
「迷惑なんかじゃないわっ。」  
「し、しかし・・・。」  
「一方的でもないわっ。嬉しかったもん、桜木君の気持ち・・・。」  
「・・・ぬ???」  
「あのね・・・赤木晴子は、桜木君が・・・、好きです。」  
厚い胸板にぽすん、と、頭を預けた。桜木君の胸の鼓動を近くに感じる。  
「はぬッ?!しっしかしハルコさん、昨日はゴメンナサイと・・・???」  
桜木君が何か言ってる。私、昨日、断ってなんかないわよう。  
 
「は・・・、ハルコさん・・・、そんなに、くっつかれては・・・。」  
「桜木君、いや?」  
「とんでもない!けっしてそうゆうわけではなくっ・・・。」  
「なんかほっとしちゃって。落ち着くなぁ、桜木君って。」  
「そ、そーすか?ハハハハ・・・。」  
「うふふ。・・・あら?これなんだろう?」  
お腹の辺りに感じた異物感を、反射的に手探りで触りました。・・・なんか、固い?  
「どあっっっっっ!!!!!」  
大きく屈んだらしく、私の脳天に桜木君の顎が直撃しました。  
「いったーい!」  
「はうッ!!!!すみませんっ!」  
「いっいいのよっ・・・あれ?でも、いま、わたし・・・。」  
握った手元に目線を落とすと、そこには桜木君の・・・。  
「やだ・・・、桜木君たら・・・!」  
「はァッ・・・!はうううう・・・!!」  
桜木君は、真っ赤になってその場にしゃがみこんでしまいました。  
ちょっとびっくりしたけど、顔を隠して小さくなっている桜木君は、いつもの自信満々な様子とは違って、なんかかわいらしいかんじ。  
その姿と、手の感触を探り見ていたら、私の中にむくむくとあふれてくる感情がありました。  
「桜木君、行こう!」  
「へっ?イズコへ?」  
「ほっ、ホテルよっ!うん、ホテルに行きましょう!ねっ?」  
「は・・・はひ???」  
うん、決めた!このまま、帰るなんてできないもん!照れ隠しの勢いのまま、私は、桜木君の手を強く引いた。  
この決心がにぶらないうちに・・・。  
 
お財布の中身を確認して、呼吸を整える。  
初めて入るラブホテルの部屋は、イメージよりもスタイリッシュで綺麗でした。  
部屋も興味あるけど、それよりもいまは桜木君だわっ。  
「さあっ!桜木君っ、脱いでっ!」  
「ちょっと、ちょっと待ってください、ハルコサン・・・。」  
「だ、大丈夫よっ!ねっ、ほらっ・・・。」  
「晴子さんッ!!」  
大きな声にびくっと身体が硬直する。怒った、のかな・・・。  
ちらりと、上目遣いで見上げると、真剣な顔をして桜木君は言った。  
「待ってください、ここここーゆーのは大切な事です!気を使ってくれてるならいーんです!!」  
「や、やっぱり、嫌だった・・・?」  
「そうではなく!ただ、らしくねー感じがして・・・。」  
「桜木君・・・。」  
ズキンと、胸に痛みが走る。勢いで誤魔化してしまおうとした私のずるさが、桜木君には見えちゃうのかな。  
 
「・・・あのね、聞いてくれる?私、ずっと流川君の事が好き、だったの。」  
 
あれ?桜木君てば、変な格好で変なポーズをしている。どうしたのかな。続けていいかな。  
「ううん、ずっと憧れていたの。とても、遠い存在で・・・それでも、楽しかったのよ。  
・・・でもね、桜木君に対する想いは、なんか違うの。いつも会いたくなって側にいたくて、さっ触りたくて・・・。」  
「・・・ハルコさん。」  
「さわって、ほしくて。えっちなことも、してみたいの・・・。」  
桜木君の顔が茹でダコの様に赤く変わり、心臓の鼓動で押しつぶされそうになりました。  
「だめ、かなぁ。・・・らしくないのかな?」  
流川君への思いと桜木君への想いは全然違うものって、実感したくて。  
 
桜木君の両手が、ゆっくりとした動作で、私を包んだ。  
その優しい抱擁にゆだねられながら、目を閉じました。  
 
ちゅっ、と、音がして、触れるか触れないかの、優しいキスが落ちてきました。  
 
こうしていると、桜木君の大きな手に私の顔が埋まってしまいそう。  
しばらく目を閉じて、その感触に浸っていると、また、近づいてくる気配がしました。  
2回目はとても強いキス。圧迫を感じるくらいの力で唇は吸われ、鼻腔に桜木君の頬の匂いを感じる。  
唇が離れてしまうのが寂しくて背中に手を回すと、そのまま私の身体は桜木くんに抱っこされて、  
綺麗にベッドメイクをされたシーツの上に下ろされました。  
 
「なんかもー、夢みてーです・・・。」  
「うん、なんか、不思議なかんじがする。」  
 
3回目のキス。そのキスは首筋を伝い、胸元へ落ちた。服の上からでも分かる位、桜木君のおでこが熱い。  
「・・・服、脱ぐよ?」  
「いえ!オレやります!!」  
裸になった私を、桜木くんが見下ろす。すっごく恥ずかしいのだけど、  
不器用な手つきで女の子の服を脱がす桜木君がなんかかわいくて、抱きしめたくてたまらなかった。  
 
「ウ、ウツクシイ・・・!!サイコーです!!」  
「あ、ありがとう。ね、桜木君も脱いで。」  
「ふぬッ!自分はあとでも・・・。」  
「だめよう。いまにしよ?」  
 
お兄ちゃんもいるし、上半身裸なんてみなれてるもん。そう思ったのに、目の前で桜木君がTシャツを脱ぎ捨てた時、  
もう直視できない位意識してしまって、裸になった桜木君を抱きしめたりできませんでした・・・。  
 
「ハルコさん?」  
「いっ、いーのっ!気にしないで!」  
「ぬ?」  
「それより・・・、さ、触って・・・?」  
「アッ!!しっしつれいします・・・!」  
 
背中に伸ばすつもりの腕は緊張のせいで、シーツを固く握っていました。  
 
私のおっぱい、桜木君の手には小さすぎたみたい。くすん。  
 
バスケットボールを片手で持つほど強い、桜木君の握力。だけど、桜木君はやわらかくまわりを包んで優しく触ってくれる。  
仕草ひとつひとつがじんわりと染み込むように、私の身体は敏感になりました。  
「あっっっ!」  
キスが胸におりて、桜木君の口に私のおっぱいが含まれたとき、つい声がでちゃった。  
舌で先端を転がすように舐められると、腰に力が入ってしまう。  
不意に持ち上げた腰が裸の桜木君にぶつかり、硬く暖かいものが脚の間をこすれる。  
「いやんっ。」  
腰を引こうとしたのに、桜木君の腕がすべりこみ、私の身体は抱えられる。  
知らなかった。おっぱいの先を軽く噛まれると、あそこもじゅんってするんだ・・・。  
さっきの感触も重なり、その熱っぽさがなんだかはがゆくて、脚をこすってもじもじする。  
 
「もしかして、ジャマですか?この腕。」  
「ううん、なんか・・・おまたが、変で・・・。」  
「変、とわ?」  
「なんか、むずむずするの・・・。」  
 
何か思いついた様な顔をした後、桜木君は躊躇ぎみに4度目のキスをしてくれました。  
その唇は私の身体を離れることなくつたい、首筋、おっぱい、おへそ、そして・・・、あそこへと移動していきました。  
 
「もう、はずかしいっ・・・!」  
「だ、だいじょぶっす!オレもです!」  
 
そっか。桜木君も恥ずかしいんだ。顔を隠した両手の力が抜けて、指の隙間から桜木君が見えた。  
でもその光景は、私をもっと恥ずかしくさせました。私の脚の間に桜木君の、顔がある・・・。  
やだ!!もしかして見えちゃってる!??そんなところ・・・!  
きゅうっとおまたに力がはいり、おしりのほうに何か水っぽいものがつたっていくのを感じました。  
あれ?もしかして・・・お漏らし・・・?!!  
 
「だっだめっ!!だめよう、そこはっ!きっ汚いよっ!!」  
「ぬ?むしろスバラシク美しいかと・・・。」  
「な、だって!いま、おしっこ・・・。」  
 
はううううう。どうしよう、高1にもなって私ったら!もう生きていけない・・・!  
 
「・・・してませんが?」  
あれ?と、思った瞬間、さっきの水が流れた追跡を、なまあたたかいものがなぞった。  
それが桜木君の舌だというのに気がついたのは、その道筋を何度かなぞられたあと、  
形を変えて、私の中に侵入してきたときでした。  
「ひゃぁうっ!」  
「おしっこ違いますコレ。濡れているというやつかと・・。」  
「なに・・・それ・・・?」  
「む・・・、あのですね、ここから・・・。」  
舌でほぐされていたからか、するっと桜木君の指が、私のなかにはいった。なにこれ!  
「出てくるのかと。で、多分・・・。」  
なかに入ったゆびが出入りして、おまたからくちゅ、くちゅって音が出始める。  
「こうするといっぱい出てくる。」  
変な声がすごいでる。おまたのあなって、こんなにびちょびちょになるんだ・・。  
やっぱりつながってるって感じるほど、おっぱいの先はじんじんして、ゆびの動きが早くなってきて・・・。  
「ん・・・ねっさくらぎ、くんっ、やっぱり・・おしっこ、でちゃいそぅだよぅ?」  
なんか、おしっこするところがむずむずして、身体がびくびく震えてきちゃってる。  
「ぬ、ハルコさん。それは多分・・・。」  
いちばんむずむずするところを、ぴんってはじかれる。  
「いやああああっっっいやぁんっっっ!!」  
「イきそうなのではないかと・・・って、あ゛あ゛ッ!!」  
 
・・・なにこれ・・。からだにすっごい力がはいった瞬間、あたまの中がまっしろになって、  
急にどこにもちからがはいんない・・・。足も、がくがくする・・・。  
 
「ハッハルコさんッッッ!!!!」  
「こ・・・れ、イったの、かな?」  
「・・・た、たぶん。」  
 
 
なんだろー、これ。えっちって・・・スゴイ・・・・・・。  
 
 
「だだだだいじょーぶですかッ?!ハルコさんッッ?」  
 
桜木君たら、わたわたしてる。はぁ、ぼんやりするなぁ・・・これが気持ちいいって事なのかな?  
ハッ!ちがうわ、私ったら!!これで終わりじゃなくて・・・。  
 
「だっだいじょーぶよう。ね、桜木君も・・・。」  
 
 
困った顔のまま、まっかになって、桜木君は、私の髪をなでた。うふふ。やさしいな。  
その手に顔をすりすりさせると、5回目のキスをくれて、桜木君は上になる。  
 
「ちょっと待って下さい・・・・・・いきます!」  
「う、うん!きてっ!!」  
 
いよいよだ。すぅーっと息を吸って呼吸を止める。目をつぶって、私は身体全体で桜木君を待つ。  
あそこに、ぴとっと貼りつくかんしょく。そして、体重がぐっとかかった。  
 
「・・・・・・ぃったぁいっ!」  
 
「す、すみません、すみませんハルコさん・・・。」  
「へーき・・・ッ!」  
 
へーきなのかな・・・?こんな、こんなの入るのかな?痛いよう。  
でもこれきっとまだ、先のほうだ。だって、でたりはいったりしてるもん。  
指だとくちゅくちゅって音だったのに、なんか、ちゅぷ、ぐちゅって、音までやらしくなって・・。  
すべったような勢いで、お腹のなかにぐっと強い圧迫感がかかる。入り口が引き攣れて、固くて、痛い。  
 
「ぜんぶ、はいった・・・。」  
「え、ほ、んと?桜木君・・・。」  
「・・・ハイ。」  
「まっ、まって。最初は・・・ゆっくりにして?」  
「ハッ、ハイッ!!」  
 
 
すごい、はいっちゃった。痛いしくるしい。でも・・・なんか、嬉しい。  
 
 
知らなかった。ひとの身体ってこんなに熱いんだ。  
つながってる部分をそっと指でなぞってたしかめてみる。桜木君のが、ほんとうにはいってる。  
 
「ハルコさん?」  
「ん、ごめんなさい・・・見えないから。」  
「へ、そうなんすか?オレからはばっちし。スバラシイ眺めで・・・。」  
「やぁっ、はっ、へっへんなこと・・言わ、ないでっ・・。」  
 
動きが、だんだん激しくなってくる。音も、じゅぽっじゅぽって、凄い。  
行為を証明するようなその音が大きくなるにつれて、恥ずかしくなる。  
なのに、おしっこの穴はまたじんじんして、そこが桜木君のお腹とこすれて堪らない。  
「さっさくらぎくっ・・・、イっイゃぁっ!」  
「気持ちイイですか?」  
へ?嫌って言ったんだけど、あれ・・・?これって、きもちいいって事なのかな?  
膝の裏をもちあげられて、脚が大きく開かれた。繋がってる部分が私にもみえる。  
あそこはぱっくり広がって、いやらしく濡れながら桜木君のをのみこんでいる。  
 
・・・はずかしい・・・・・・でも、きもちいい・・・?  
 
「きもち、いいっ!気持ちいいよぅ・・・あんっいいよぉ・・・。」  
「オレもっす!やばいっす!!こんな・・・ッ。」  
 
目が合う。6度目のキスは、吐息にまじって舌が絡んだ、やらしいキス。  
 
「大好きです!オレ、ハルコさんが大好きだ!!」  
「さ、くらぎっくんッッ、わぁッあッアッ!きゃぁうんっっ!!」  
 
奥にふかく突かれて、助けを求めるように、桜木君の背中にしがみつく。  
 
わたしも・・・って、言えなくて、また訳も分からず意識はとんで、何も考えられなくなりました。  
同時に桜木君の動きも止まり、すうっと力が抜けていく感じがしました。  
 
 
 
桜木君の頭がもたげて、私の顔の横にうずまる。見るとその頬は蒸気していて、  
まるで、めいっぱい遊び疲れてお昼寝をしている子供のようでした。  
 
「背中、大丈夫だった?」  
「お。そういえば・・・。問題ないっす!」  
「よかった・・・。桜木君、イった?」  
「う・・・うっス。」  
「きもち、よかった?」  
「う・・・ハイ、極上でした・・・。」  
「私も。ね、桜木君、えっちしてよかった?」  
「・・・正直、ホント夢みてーっつーか、ヤバイっす。」  
「ヤバイ?」  
「すっげーーーー!もっとッ!!だいっっ好きになりましたッ!!!」  
 
 
ガバっと起き上がりしっかり私を捕らえて、桜木君はそういってくれました。  
 
胸の奥から染み出てくるように、じわじわと愛しいキモチが沸いてきて、私は涙ぐみそうになりました。  
おおきくて、がっしりしている桜木君。でも今は、私の両腕にすっぽりと納まっている。  
抱き締めたのは涙を見られないようにというのもあったけど、可愛くて、愛しくて、そうせずにはいらなかった。  
首にぎゅうっと絡みついた私を、桜木君は包むように抱きしめてくれて、こうしているとやっぱり凄く安心する。  
 
 
 
私、きっとずっと、こうしたかったんだ。  
 
 
 
「手紙ね、ほんとに楽しみだったの。わくわくして待ってた。  
ううん、手紙は気が付くきっかけで、私、桜木君を見るといつもわくわくしてたよ。  
どんどん凄くなる桜木君に、いつもドキドキして・・・。」  
「ハァァァァァァ〜・・・。し、幸せすぎる・・・!!」  
「桜木君?」  
「オレは、初めて見たときからハルコさんに惹かれてましたッ!こんな幸せな日がくるとは・・・!」  
「そ、そうなの?全然知らなかった・・・。」  
やだ。みんな知ってたのかしら。そういえばお兄ちゃんの態度とか、なんかいっぱい思い当たる・・・!  
 
まー、運命ってやつよ。  
ふと、宮城先輩の言葉をおもいだす。・・・うんめいって、やつなのかな。  
 
 
「世界一大切にします!バスケットも世界一になります!!愛するハルコさんの為に!!!」  
 
 
うん、桜木君。これからも、いっしょにがんばろう。  
 
 
大きな声でポーズをとる桜木君の頬は薄紅色に染まり、私の心をときめかせた。  
満開の桜のような笑顔をすぐ側で眺めながら、私は期待に胸が膨らむ。  
きっと、これから楽しいことが起きるわ。そうよ、絶対。  
 
 
 
 

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