初めて抱き締められた日から。  
初めてキスしたあの日から。  
どれだけの時間が過ぎただろう。  
胸が破裂しそうな位、どきどきした頃から季節が変わり、今は傍にいると温かな心地よさに包まれている。  
家族が居ない夕方に三井が晴子の家に来るのも、もう数え切れない位になっていた。  
ベッドの上で、壁にもたれて座って眠る三井の顔をそっと覗きこんで、微かに触れる程のキスをした。  
「ん…」  
小さく瞼を震わせるも、夢から覚める気配は無い。  
もう少し、このままで。  
ゆっくり ゆっくり 2人の時間を育んでいこう。  
起こさないように、三井の肩にふわりと頭を乗せ、静かに目を閉じた。  
 
 
ふと目を覚ますと、時計の針は数十分しか進んでいなかった。  
変わったのは、横にあったはずの温もりが、後ろに感じていること。  
「三井…さん」  
振り向くと、照れくさそうにはにかんだ三井が自分を抱き締めていた。  
「お前さぁ」  
苦笑まじりに口を開く。  
「寝言で『桜木くん、だめよぅ、ちゃんとストレッチしなくっちゃ』って言ってたぞ?」  
「ぇっ…」  
夢の内容なんて、全く覚えていなかった。  
(他の男の子の名前呼ぶなんて…最低…)  
そんな晴子とは正反対で、三井は悪戯っ子のように嬉しそうに顔を覗き込む。  
「俺の腕の中で寝るとき位、色っぽい夢見ろよな」  
そう言って笑うと、啄むようなキスをした。  
 
白くて細い腕を三井の背中に伸ばす。  
初めて会った時は、棘だらけで怖かった筈なのに。  
今はこんなにも柔らかく、自分を優しく包んでくれる。  
この人を好きになって、良かった。  
こんなにも満たされた気持ちは、今まで知らなかった。  
「三井さん」  
まっすぐな瞳で見上げる。  
「ん?」  
小さく首を傾げて、見つめ返す三井。  
その仕草が、堪らなく愛おしい。  
「すき」  
珍しく、晴子のほうから唇を重ねる。  
三井の背中に回された手と、繋がった指先に、微かに力が入る。  
「なんだよ、寝ぼけてんのか?」少し驚いて すぐ、表情が一変した。  
「それとも、誘ってる?」  
 
「や、そういう訳じゃ…」  
一気に染まってゆく頬。  
耳も、首筋ももう真っ赤だ。  
(そういうとこが、男をそそるっていうの、わかってやってんのかな。)  
そんな計算高い女ではないのは、解りきっているけれど。  
何か別のことを考えていないと、理性が吹っ飛んでしまいそうだった。  
「タコになっちまうぞ、そんなに赤くなったら」  
そう言って、服のボタンを外してゆく。  
白い下着に覆われた、小さな膨らみまで赤みを帯びている。  
透き通った肌を、三井の大きな手がさらさらと撫でる。  
「…そんなに…見ないで…」  
恥ずかしさで困ったような顔をもっと見たいと思った。  
「無理」  
おでこに落とされた唇は、鼻、頬、唇へと移り、耳を甘噛みする。  
その度に、八の字になった眉毛が、ぴくぴくと動く。  
耳をなぞる唇に、晴子はもうどうにかなってしまいそうだった。  
 
「三井さん…恥ずかしすぎて…もう…」  
乱れた息と潤んだ瞳で見つめる晴子は、少女と大人の女性のあいだにしかない、危うい色香を放っている。  
三井には、その魅力を時間をかけて堪能する程の余裕は無かった。  
晴子には大人に見えても、彼もまだ青年と呼ぶには若かった。  
「駄目。やめない」  
聞き慣れた筈の声が、どうしてこんなに胸を熱くさせるんだろう。  
耳元で囁く三井の声が、いつもより低く妙に冷静で。  
そんなことを考えている間に、2人は一糸纏わぬ姿になっていた。  
 
恥ずかしさと不安で固く閉じられた脚を、なだめるように優しく撫でる。  
三井のことが怖い訳じゃないけれど、初めてのことに対する戸惑いがどうしてもあった。  
内腿の奥に手を進めると、指先に瑞々しい感触が伝わる。  
泉の在処を探し求めると、ゆっくりゆっくり指を沈めてゆく。  
溢れる程に潤っているのに、そこは痛い位指を締め付ける。  
晴子はその何倍も痛いだろうし、何より不安でいっぱいだろう。  
「大丈夫」  
そう言って左手で晴子の頭を撫でると、どちらともなく深いキスをした。  
心が解れるにつれ、右手の指先も次第に動かせるようになり。  
そこに三井は、熱くなったものを添えた。  
 
「…っ」  
先端が入るだけで、熱くて焼けるような痛みが広がる。  
それでも、三井とひとつになりたかった。  
「やっぱり痛い?」  
心配そうに髪を梳く三井は、ただただ優しくて。  
「痛いけど…平気です。大丈夫。。」  
弱々しく微笑む晴子は、月の光に照らされて、一層白く美しく映った。  
更に奥へと押し進めると、晴子の中で小さな稲妻が走る。  
「ぁ…っ!」  
三井の背中を強く掴み、しがみつく。  
ゆっくりと三井が動き出すと、衝撃の度に小さく声が洩れる。  
この痛みも、体温も、全て記憶していたい。  
さらさらと動く髪も、流れる汗も、眉間の皺も、三井の全てが愛おしい。  
ひとつになれた喜びで、晴子の目尻に涙が浮かぶ。  
三井の動きが次第に速くなり、閉じた瞼の奥が真っ白になってゆくと、いつしか2人は重なって夢の世界に旅立った。  
 
 
「ん…」  
三井の寝言で、晴子がはっと目を覚ます。  
三井の重みが、なんだか心地良い。  
自分の中は、まだじんわりとした痛みがあって、夢じゃなかったんだ、と微笑んだ。  
「大好き」  
小さく呟いて、三井の鼻先にキスをすると、むにゃむにゃと何か言いながら晴子を抱きしめる。  
あと、もう少しだけ。  
家族が帰ってくる前に、もうちょっとだけ…  
三井の肩ごしに見える星空を眺めながら、幸せな時間をかみしめた。  
 
 

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