スレイヤーズ

「……ふっ。評議長の話からすると、そろそろ出てくる頃ね」  
ナーガはそう呟くと、森の中の街道で歩みを止めた。  

今回ナーガは、近くの町の魔道士協会からの依頼で、この辺りに出没する盗賊団を退治しに来ていた。  
旅行者や隊商を襲い、金品と共に十代半ばから二十代の──美女・美少女のみをさらってゆく。  
これだけなら自警団や騎士団の領分だが、更にこの盗賊団は、ほぼ全員が魔法の使い手だったのである。  
──その為、討伐に向かった騎士団は全滅。  
激昂した領主は「魔道士には魔道士を」とばかりに、その処理を魔道士協会に押し付けた。  
しかし普通の協会に、そうそう荒事に慣れた魔道士がいるはずもない。  
そんな所にナーガとリナが通りすがり、評議長は協会の仕事としては破格の金額で、二人に依頼をしたのだった。  

「おーっほっほっほ! リナが依頼を蹴った以上、報酬は全て私のモノっ!  
 これでもう、リナのおこぼれのレタスやパセリだけの生活もお終いよっ!」  
ナーガは大きく胸を張りながら、情けないセリフを堂々と叫んだ。  
性格や格好に問題はあるが、グラマーな美女であるナーガを見つければ、盗賊団は必ず襲ってくるだろう。  
ナーガ自身を囮にして、盗賊団を誘い出すというのが、協会の立てた計画だった。  
ちなみにリナは、「あなたはコレを」と言って差し出された胸パッドにブチ切れ、依頼をキャンセル。  
評議長をボム・スプリットでふっ飛ばし、宿屋に戻ってしまっていた。  

一方、リナの分も強引に成功報酬にプラスさせたナーガは、すでにハイテンションだった。  
「さあ、さっさと出ていらっしゃい! それとも、私の美貌と威厳に、身体が動かないのかしら?」  
その声を合図にしたかのように、少し先の茂みから、ガサガサと音を立てて十数人の男が飛び出した。  
見るからに悪党面の男達は、その姿に似合わぬ立派な魔法剣を腰に挿している。  
こいつらが件の盗賊団であることは、まず間違いなかった。  
「おーほっほっ、良く出てきたわね! これで今夜は肉よっ、酒よっ、宴会よっ!」  
「ア、アニキ……。さすがにこれは、売り物にならねえんじゃ……」  
ナーガの奇天烈な衣装と高笑いにたじろぎ、下っ端らしい男が背後の髭面を振り返る。  
しかし髭面は、下っ端の頭を勢い良く叩き、だみ声を張り上げた。  
「馬鹿野郎っ、だから手前は三下だってんだよ! いくら頭がおかしかろうと、調教しちまえば一緒だろうが!  
 良く見ろ、あの顔と身体つき……、滅多にお目にかかれねえ上玉だ。こいつを逃がす手があるかよ!」  
下っ端を怒鳴りつけながらも、この場のリーダーらしい髭面の視線は、舐めるようにナーガの全身を這っている。  
ニヤニヤとやに下がりながら、髭面はからかうような口調でナーガに声を掛けた。  
「よぉ姉ちゃん、俺は優しい男で通ってるんだ。大人しくついて来るってんなら、何も痛い目を……」  
「……デモナ・クリスタル!」  
その言葉を遮るように、ナーガは素早く小声で唱えた呪文を髭面達──ではなく、横の茂みに叩き込む。  
一気に噴出した霧が瞬時に凍りつき、その中にいた伏兵ごと、茂みは氷の中に封じられた。  
「なっ……! て、てめぇ、魔道士かっ!?」  
「ほーっほっほっほ! 前方に注意を引きつけて、スリーピングでも掛けるつもりだったんでしょうけど。  
 この白蛇のナーガ様に、そんな陳腐な手が通用すると思って!?」  

「くっ……」  
あっさりと伏兵を蹴散らされ、髭面は悔しそうなうめきを洩らした。  
実際のところ、彼らは呪文が使えるとは言っても、フレア・アロー程度の初級の魔法しか唱えられない。  
スリーピングも、ボスである魔道士から教わった呪文を、ただ丸暗記しているだけなのだ。  
本物の魔道士──それも実戦慣れしたナーガにかかっては、そこらのごろつきと大して変わらない。  
圧倒的な実力差を見せ付けられた髭面は、額から冷たい汗を流した。  
「くそっ、こうなりゃ白兵戦だ! おいお前ら、さっさとかかれ!」  
「むっ、無理だよアニキっ! 下手すりゃこいつ、ボスより強いんだぜっ!?」  
言い争う盗賊どもを眺めながら、ナーガは余裕たっぷりに次の呪文を唱え始めた。  
「いいから、まずは手前から行きやがれっ!」  
「ぐあっ!?」  
髭面は、反論した下っ端の顔を殴りつけ、ナーガの方へと吹き飛ばす。  
ナーガの足元に倒れ込んだ下っ端は、慌てて飛び起きると、ずりずりと尻餅をついたまま後ずさった。  
「まっ、待て、いや、待って下さい。まずはお互い話し合って……うっ?」  
なだめるような懇願の途中。うめきと共に下っ端の鼻から、つうっと流れ落ちる、赤い液体。  
どうやら、さっきのパンチで鼻血が出たらしい。  
「えっ?」  
それを見た途端、ナーガの顔がヒキッと凍りつき、  
「……はぅっ」  
──妙に儚げな吐息を漏らしつつ、その場で棒のように卒倒したのだった。  

「……ふっ!」  
しゃきいぃん!  
しばらくして、ナーガは気合と共に、バネ仕掛けの人形のように跳ね起きた。  
「おーっほっほっほっ! この白蛇のナーガを舐めないで欲しいわねっ!」  
そして、周囲の状況も確認しないまま、根拠の無い自信に満ちた高笑いを上げる。  
いきなりのリアクションに、周りにいた男達は思わず引きまくった。  
「こっ、これはまた、ずいぶんと個性的なお嬢さんですね……」  
「……んっ? ふっ、どうやらあなたが、この盗賊団の首領みたいね」  
やけに紳士的な物言いに、ナーガは正面に立っている初老の男に向き直った。  
温厚そうな顔立ち。スーツのようにきっちりとした衣装に、全身を彩るジュエルズ・アミュレット。  
ナーガやリナほどでは無いにしろ、その雰囲気からかなりの使い手と分かる。  
一瞬で相手の実力を読み取ったナーガがそう鼻で笑うと、ボスらしき男はわざとらしく一礼した。  
「おお、自己紹介がまだでしたな。わたくしはサート・ブレイザーと申します。  
 現在は、この者達と共に、ささやかな人材派遣業を営んでおります。短い間でしょうが、以後お見知りおきを」  
「サート・ブレイザー……ね、聞いた事があるわ。  
 ディルス公国の次席宮廷魔道士でありながら、裏で女性を誘拐、性奴隷に調教しては好事家に高額で売却。  
 騎士団の追及を逃れて身を隠したと聞いていたけれど、まさかこんな処にいたなんてね」  
「おや、ご存知でしたか。これはまた、お恥ずかしい限りです。  
 腕利きの魔道士が雇われたと聞いて、そろそろ他の土地に移ろうかと思っていた所なのですがね。  
 その魔道士がこれほどお美しいお嬢さんだとは、嬉しい誤算でした」  

柔らかく微笑みながらも、しかしブレイザーの瞳は少しも笑っていない。  
凍りついたような冷たい目からは、歪んだ欲望と支配欲とが漏れ出していた。  
「ともあれ、そこまで分かっているなら話は早い。これから貴方には、部下達の調教を受けて頂きます。  
 丁度、最高の肉奴隷が欲しいという依頼が入っていましてね、貴方なら申し分ない。  
 ──お前達、まずはいつものように『堕として』差し上げなさい」  
「へいっ!」  
ブレイザーが手で差し招くと同時に、周りを囲んでいた男達は、一斉にズボンを引き下ろした。  
アジトの洞窟の中、様々な形・色・大きさをした男根が、煌々と光る魔法の明かりに照らされる。  
男達の目は獣欲にぎらつき、早くも怒張の先端から、むっとするような性臭が漂い始めた。  
「この者達は、わたくしが昔から使っていた部下がほとんどでしてね。  
 その辺にいる男娼よりも、女性の身体については知り尽くしています。  
 ──そうそう。貴方の魔法は、そのサークレットで封じてありますから、抵抗は無駄ですよ」  
「なっ!?」  
小声で呪文を唱えていたナーガは、ブレイザーの言葉と同時に、魔力の高まりを感じないことに気付いた。  
額に冷たい金属の感触を覚え、余裕を見せていたナーガの瞳が驚愕に見開かれる。  
今のナーガは、たかが数十人の野盗にすら抗う術のない、無力な獲物だった。  
「では、わたくしは部屋に戻りますので、堕ちるか気絶したら呼んでください」  
「分かりました、ボス!」  
くるりと振り向き、部下に言いつけてその場を後にするブレイザー。  
後に残されたのは、ナーガと、肉欲の権化となった男達だけだった。  

「あなた達、そんな事をしたら、ただでは済まないわよ……」  
「へっへっへっ。そんな口がきけるのも今のうちだぜ。その内、自分から腰を振って欲しがるようになるぜ」  
冷たい声で警告するナーガに、男の一人が舌なめずりと共に言った。  
他の男達も、厭らしい笑みを浮かべながら、ゆっくりと円状に包囲していく。  
「とっとと受け入れちまった方が、苦しまずに済むぜっ……!」  
──追い詰められたナーガに、まずは三人の男が飛び掛った。  

「んっ! んんっ──ぷっ!」  
「へっ、高慢そうなツラぁしてるな。俺はな、そういうプライド高そうな女が一番好きなんだよ」  
彼女の両腕を押さえつけて強引に唇を奪った男は、顔を背けて逃げたナーガを嬉しそうに眺めやった。  
「おおっ、すげぇ弾力だ! こんなにデカいのに、ちっとも垂れてこねぇ!」  
「あっ、ばっ、つうっ!」  
ナーガのたわわに実った乳房に取り付いた男は、胸を覆う布地を強引に引き下げ、その全てを露わにした。  
両手でも余るほどの柔肉は、その振動に激しく震えるが、殆ど型崩れしないほどの張りも備えている。  
片方の乳房をぎゅっと握られ、ナーガは走る激痛に身体をよじらせた。  
「ああ、足の肌触りも最高だ……。こいつは今までで最高の肉奴隷になるぜ……」  
「んっ! くうっ、くっ……」  
両足の間に膝をついた男は、ナーガのすべらかな太腿を撫でながら、感心したようにそう呟いた。  
蜘蛛のように閃く十本の指が、彼女の足の性感帯を的確に攻め立てる。  
意思に反して沸き上がる官能に、ナーガは苦しげな顔をして抵抗した。  

「くっ……、この程度で、この白蛇のナーガを屈服させられるとは、思わないことね……」  
「おっ? この状況で、まだそんな口がきけんのか?」  
「嬉しいねぇ。それでこそ、こっちもやり甲斐があるってもんだ」  
「前の女は、最初の三人で堕ちたからな。こいつは、久しぶりに全員まで回るかもな」  
気丈な声を発するナーガに、周囲の男達から好き勝手な感想が投げ掛けられた。  
数十対の欲望にまみれた目が、ナーガの白い肢体を射抜くように視姦する。  
その間も、彼女を攻める三人の手は、一向に止まらない。  
上の男は、ナーガの顎を力ずくで振り向かせると、再びその唇を奪った。  
「ふむーっ! むっ、ふむっ、んっ!」  
「っぷっ! 抵抗するなとは言わねぇさ。それが喘ぎに変わっていくのが、楽しいんだからな……むっ!」  
「ふぐうっ、ふっ!?」  
男は舌を噛まれないように、ナーガの両頬を片手で押さえると、長い舌を伸ばして彼女の口腔を犯した。  
軟体動物のような男の舌が、彼女の歯の裏を、天井を、粘膜を嘗め回す。  
強引に舌を絡め取られて、ナーガの喉の奥からくぐもった叫びが漏れた。  
「へへへっ。乳首のほうも、おっ立ってきやがったぜ。色もいいし、乳輪も小さめだ。  
 おまけに肌全体がうっすらと色付いてきて、喰いつきてぇぐらいだ……はむっ」  
「んんんっ!」  
乳房の先端を咥えられ、ナーガは口を塞がれたまま、ビクンと身体を震わせた。  
男はねっとりと口の中でほぐすようにしながら、もう一方の乳首を指でこねるように刺激する。  
とろとろと垂らした唾液で膨らみの麓までを濡らしてから、男は逆の乳房に吸い付いた。  

「よし、こっちもそろそろ……。んっ、これは……」  
服の上からナーガの股間を撫でていた男は、僅かな部分を覆う布地を横にずらした途端、驚きの声を発した。  
「どうした、まさかオカマだってんじゃねぇだろうな?」  
らしくない動揺に、周りで見ている男達の間から、からかいの野次が掛かる。  
男は、軽くかぶりを振りながら、その問いに答えた。  
「いや、そうじゃない……。まあ、お前らも見れば分かるだろう。こっちに来てみろ……」  
「ふむっ、んーっ!?」  
男はそう言いながら、抗議するようなナーガのうめきには構わず、腰から小さな布地を引き抜く。  
暴れる足を押さえ込み、正面に回った男達に良く見えるように、股を大きく開かせた。  
「ひゅー、こいつぁ……」  
「ごくっ……。た、確かにすげえや……」  
女の陰部など飽きるほど見てきたはずの男達は、ナーガの花弁を見て一斉に溜息をついた。  
申し訳程度に残された柔毛は、大きく花開いた肉襞を全く隠していない。  
だが問題はそんな事ではなく、その扇情的な色艶と、外側からも分かるほどの微細な襞の重なりだった。  
「数万人に一人いるかどうかの名器だ……。相当使い込んではいるが、それがまたいい色合いだ。  
 こんな上等なモノは、ボスでも拝んだ事はないだろう……」  
「んんっ、んっ!」  
男は股を開かせたまま、ねちねちといやらしい音を立ててそこを弄り回す。  
すでにナーガのそこは透明な雫に濡れ光り、外側の襞が男の指に吸い付くように絡んだ。  
「しかも、相当な淫乱らしい。男三人になぶられて、もうぐちゃぐちゃになっている。  
 まあ、この性格だけは矯正してやらなくてはいけないから、長く楽しめそうではあるな……」  

ずちゅうっ!  
「んんんんんっ!」  
男が一気に中指を根元まで突き入れると、ナーガは弓なりに背中を反らした。  
そのまま細かく指を左右に動かすと、淫裂から耐えかねたように、コポッと新たな雫がこぼれ落ちる。  
──水音に混じって、周りの男達が大きく唾を飲む音が、洞窟の中に響いた。  

三人の男達は、その持てる性技の全てを、ナーガの白い肢体に叩き付けた。  
舐め、啜り、噛み、くすぐり、捏ね上げ、撫で回す。  
「んっ、くっ、んっ、ふっ、くうっ!」  
数十分も執拗になぶられていたナーガは、次第に甘い吐息を漏らし始めていた。  
口・胸・股間は言うまでもなく、耳たぶから足の指先まで、男達の指と唾液に汚されていない場所はない。  
しかし、そこまでされてもなお、ナーガの口から男を求める声は、一言たりとも出ていなかった。  
「ちっ、どうなってんだ? こんだけされりゃ、生娘だって欲しがるぜ!?」  
「まさか、不感症なんじゃねぇだろうな!?」  
「いや、こっちは充分すぎるほど濡れている……。感じていない訳では無いみたいだが……」  
腕前に自信のある男達だけに、ナーガの強情さは理解し難いものだった。  
「ふっ、くっ……。口ほどにも、ない、男達ね……っ。この程度で、私を、狂わせると、言うのっ……」  
身体は確かに反応させながらも、ナーガの精神は少しも揺るがない。  
息を切らした三人の顔に、焦りの色が見え始める。  

そこに、しびれを切らした副リーダーの髭面から怒号が掛けられた。  
「手前らっ! もういいから、さっさとぶち込んで、次に替われ!  
 いくら強がっても、この人数で精液まみれにしてやりゃあ、そのうち折れるに決まってる!」  
「へっ、へぇ……」  
調教士としてのプライドを傷つけられた三人は、しぶしぶとその言葉に従った。  
──上の男は、ナーガの顔を跨いで、その口の前に。  
──真ん中の男は、胴体に馬乗りになり、豊満な双丘の間に。  
──下の男は、両足を抱え上げ、濡れそぼった淫裂の入り口に。  
凶悪に反り返った男根をおのおの配置につけると、一斉にナーガの身体を刺し貫く。  
「ふぐううぅっ!!」  
強烈な刺激に、ナーガの口からくぐもった絶叫が飛び出した。  
「おらっ! ちゃんと、舌を、使わ、ねえかっ!」  
「むぶっ!? ぐっ、ぐぷっ、ぶふっ!」  
口に入れた男は、時折り固い歯が当たるのも構わず、怒張をナーガの口内で暴れさせた。  
すえた味のする肉棒を喉の奥まで突き入れられ、ナーガは苦しさに涙を滲ませ、激しくむせる。  
「へへっ、あんたの胸、サイコーだぜ……。吸い付くみてーで、今にもイッちまいそうだ……」  
一方、胸を犯す男は腰を動かさずに、乳房を掴んだ両手を激しく前後に揺さぶり、挟んだ己のモノをしごいた。  
自分の唾液とナーガの汗と、先走りの汁が潤滑油となり、滑らかな肌の感触が男の茎の全体を包む。  
そうしながらも、親指と人差し指で大きく勃起した乳首をつまみ、ナーガの官能を引き出そうとした。  
「くっ、何という締め付けだ……! まっ、負けるか……っ!」  

最後に、ナーガの陰裂に挿入した男は、予想以上の名器の感触に、射精の衝動を必死で押さえ込んでいた。  
細かい肉襞の連なりが、絶妙な力加減で男の強張りを締め付け、くすぐる。  
猫の舌のようにざらついた天井に亀頭が擦れるたび、えも言われぬ快感が男の背筋を這い上がる。  
並みの女が相手なら一時間は持つはずの男のモノは、初めての少年のようにひくついていた。  
「くっ、くおっ、もうだめだっ──ううっ!」  
「んっ……むううぅんっ!」  
ナーガの秘洞を突いていた男は、いくらも経たないうちに限界の叫びを上げた。  
子宮に熱い迸りを注ぎ込まれ、ナーガの腰が震える。  
「おおっ、おれも、もうでるっ、でるっ、でっ!」  
「ふぅ──んっ!?」  
続けて胸を使っていた男が、身体をわななかせて、ナーガの身体の上に精液をぶち撒いた。  
少し黄色味がかった粘液が、ナーガの白い乳房をまんべんなく汚していく。  
「ちっ、お前ら、だらしねぇな……と言いたい処だが、俺もそろそろ限界だ。  
 おら、くれてやるから、一滴残らず飲み干しなっ!」  
「んぶっ! んっ、ぶっ、ふむっ!」  
更に動きを激しくした男のモノから喉の奥を守ろうと、ナーガの舌が懸命に脇へと逸らす動きをする。  
しかしその動きは、男の絶頂を早める役にしか立たなかった。  
「くうっ、おらっ、飲めっ……!」  
「ぶうっ!? ぐっ、げほっ、けっ!」  
鼻にまで逆流するほどの大量の精を口中に吐き出され、ナーガはすぐに顔を背けて咳き込んだ。  

ナーガの口から、糸を引いて青臭い白濁の液が零れ落ちる。  
副リーダーの髭面が歩み寄り、咳き込むナーガの長い髪を鷲掴みにして、その顔を自分に向けさせた。  
「どうだ? そろそろ、自分の立場ってもんが分かってきたか?」  
「けふっ……。ふっ、一体、何を、分かれと、言うのかしら……?」  
荒い息をつきながらも、ナーガの瞳からは意思の輝きが少しも失われていない。  
挑戦的に睨むナーガに、髭面はニヤリと笑い返した。  
「そうでなくっちゃ面白くねぇ。……けどよ、身体がブッ壊れる前に、降参しちまった方が身の為だぜ?」  
ずぬっ、ずぷずぷっ……。  
髭面はそう忠告しながら、一際巨大な陽根を、ナーガの陰裂に突き立てていった。  

「……んっ? もうこんな時間ですか。どうやら、久しぶりの上玉で、報告も忘れているようですね」  
魔道書を読んでいたブレイザーは、ふと時間の経過に気付くと、本を閉じて立ち上がった。  
「まったく、いつまでも野盗気分が抜けませんね。次の場所では、頭の切れる人を仲間にしたいものです」  
腕の立つ魔道士が派遣されるようでは、ここでの活動も止め時であろう。  
調教部屋の扉に手を掛けながら、ブレイザーの頭は、すでに次の活動拠点の候補地に移っていた。  
「貴方達っ、いつまで楽しんでいるつもりですかっ! 堕ちたら呼びなさいとあれほど……」  
「おーっ、ほっほっ、ほっ……!」  
──勢い込んだ文句は、途切れ途切れの高笑いに遮られた。  
「てめぇっ! そのっ、高笑いをっ、やめろっつーんだ!」  
「ちくしょう、なんでっ、コイツ、少しも堕ちねえんだ!?」  

「ふっ! このっ、白蛇の、ナーガを、くっ、舐めないで、欲しいわねっ、あっ!」  
洞窟の中央で、むきになった二人の男が、抱え込んだナーガの前後の穴を激しく貫いている。  
むせ返るような精液の臭いが充満する中、しかしナーガの顔からは、正気の色が消えていなかった。  
──もっとも、普段のナーガが正気であるかどうかは、大いに疑問であるが。  
「……気が触れた、という訳でもなさそうですね。一体何をやっていたのです?」  
「どうもこうも、かれこれ四周目に入ってるってのに、このアマちっとも堕ちねえんですよ」  
「四周目、ですと!?」  
ブレイザーは、部下の返答に思わず目を見張った。  
部下達の性技のほどは、首領であるブレイザーも充分に分かっている。  
その辺の村娘ならば、簡単によがり狂わせられるほどの腕と持久力の持ち主ばかりなのだ。  
そんな男達に、のべ百回以上も犯されて正気でいられるなど、もはや人間の女とは思えない。  
得体の知れない悪寒に、ブレイザーの背筋が小さく震えた。  
「──感じていない、という訳ではないのでしょう?」  
「へぇ。身体の方は素直に反応しちゃあいるんですが、一度もイクどころか、泣き言すら言わねぇんですわ。  
 お陰で若い奴の中にゃ、自信喪失して落ち込む奴まで出てくる始末で……」  
その言葉通り、洞窟の隅では、膝を抱えた下半身裸の男を、同じく裸の尻を剥き出した男が慰めている。  
──ほほ笑ましいと言うか、見苦しいと言うか、非常にコメントに困る光景である。  
「身体の方は、味といい持久力といい、調教の必要もねぇぐらいなんですが……。  
 いっそ先方には、『肉女王様』って事で納得してもらえませんかね?」  
「おかしな造語を作るんじゃありません!」  

怒鳴ったブレイザーは、額を押さえてかぶりを振ると、仕方なくといった様子で呟いた。  
「やれやれ……。これはもう、あのモノを呼ぶしかありませんね」  
「あっ、アレを使うんですか!? この前、不感症の女に使った時は、使い物にならなくしちまったじゃ……」  
「仕方ないでしょう? このままでは埒があきません」  
動揺する部下に冷たい視線を投げ捨て、ブレイザーは絡み合う三人の傍に歩み寄った。  
「貴方達、もういいですよ。後は私がやります」  
「へっ、へぇ……」「面目ねぇです、ボス」  
ブレイザーの言葉に、二人の部下はナーガの中から剛直を引き抜き、彼女の身体を床に下ろす。  
さすがに力の入らない身体で、それでもナーガは顔を上げ、不敵な笑みを浮かべた。  
「……ふっ。いよいよ、ボスの、お出まし? ちょうど、刺激が単調で、居眠りする、ところだったわ……」  
「確かに、多少貴方を見くびっていたようですね。ではそんな貴方に、ぴったりのお相手をご紹介しましょう」  
強がりを言うナーガに邪悪な笑みを浮かべると、ブレイザーは人差し指の大きな指輪を掲げ、強く念じる。  
「契約の指輪にかけて、闇の淵より来たれ。我が盟友、セグラディド!」  
『承知……シた……』  
異様な発音の声と共に、水面から姿を現すようにして、床から異形の影が立ち上がった。  
緑の鱗のような肌と、頭の左側で縦に四つ並んだ瞳を除けば、そのシルエットは人間の男に似てはいる。  
──ただ、その股間からは、男根を模したような長い触手が、十本近く揺らめいていた。  
「純……魔族……?」  
『ホう。一目デ分かリ、シかも脅エもしないトは、たダものではナいな』  
唯一つ残った装身具であるドクロのネックレスを揺らしながら、ナーガは呟く。  

その魔族──セグラディドは、四つの目を笑みの形に歪め、横に立つブレイザーに顔を向けた。  
『久しイな、ブレいザーよ。今回ハ、こノ娘を堕とセばいいのカ……?』  
「ええ、少々強い精神力を持っているらしいのでね。但し、くれぐれも壊さないようにして下さいよ」  
『分かッてイる。生命を生み出すはズノ性の営みヲ、たダの快楽にオとシめることコそ、我が望ミ……』  
その言葉と同時に、股間から生えた触手が、獲物を前にしたイソギンチャクのように、ざわざわと蠢く。  
触手の所々に突き出た鞭毛のような器官が、風に揺れる葦のようになびいた。  
「ナーガ殿、でしたね。人外の快楽にかかっては、貴方の意地もここまでですよ」  
「あなたっ! やっ……、やめ、止めなさいっ……!」  
それを使われた時の快楽を想像したのか、ナーガは引きつった声を上げる。  
『……堕チろ』  
「ひうぅぅっ!!」  
一斉に襲い掛かった触手の落雷にも似た衝撃に、ナーガは引き裂かれるような絶叫を上げた。  

ずちゅっ! びちゅっ、ぬぷっ、ずちゅ!  
「ひうっ、ひっ、ふんっ、んんっ!」  
ナーガの陰裂と菊座に、それぞれ一本ずつ触手が入り込み、残りの触手は白い肌を余す所なく這い回った。  
鱗に見える表皮は、適度な柔らかさと弾力を兼ね備え、分泌される粘液と共に、異様な官能を与える。  
個別の意思を持つかのように性感帯を探る触手達は、ナーガの意識を人の手では生み出せない高みに押し上げる。  
前後の穴を触手が出入りするたびに、ナーガは言葉にならない喘ぎを漏らした。  
『ほホう、これデも達しナいとハな……。デは、コれはドうだ……?』  

「──────っ!!」  
セグラディドは、深く挿入した触手を子宮の奥でとぐろを巻くように丸め、激しく回転を加えた。  
内臓を掻き回されるような強烈な刺激に、ナーガの背中が限界まで反り返る。  
それと同時に、ナーガの胸に掛かったドクロのペンダントが、淡い燐光を放った。  
「だっ、だめっ、こんなっ、わたしっ、たえられな……っ!」  
ナーガは激しくかぶりを振りながら、何かをこらえるようにペンダントを握り締めた。  
そこから漏れる燐光は、ナーガの官能に呼応するかのように、次第に光を強めていく。  
『こレ以上我慢ヲすれバ、気が狂ウぞ。諦メて、快楽ニ身を任せるガいい……ッ!』  
「んっ、あ、あっ、あーーーっ!!」  
セグラディドの最後の動きによって、とうとうナーガは絶頂の叫びを上げた。  
それと共に、ナーガのペンダントからピィィィ……ン、と微かな音が鳴る。  
しかし、セグラディドにも、そして少し離れて見守っていたブレイザーにも、その音は聞き取れなかった。  
「ご苦労様でした、セグラディド。一度堕ちてしまえば、後はどうにでもなります」  
『アあ。しかしコの娘、人間ニしてハ何かおかシ……ナ、ナんだ、こレは!?』  
「ひっ……!?」  
突如噴き出した異様な気配に、ブレイザーと周りの男達、そして魔族のセグラディドまでが身を強張らせた。  
──魔族の放つ瘴気とも違う、『妖気』とでも呼ぶべき存在感。  
それは、セグラディドの身体の下に組み伏せられている、ナーガの肢体から湧き出していた。  
「ふふっ……。ねえあなた、確かセグラディドとか言ったわね……?」  
『おオ、お、おマえは……』  

官能的な女の声に、滅びをもたらすはずの魔族が脅えた呟きを洩らす。  
「さっきの言葉を返してあげるわ。諦めて、快楽に身を任せなさいな……」  
『おッ、おオ、おおオヲおぉぉォぉッ!!』  
ビュクッ! ビュビュビュビュビュッ!!  
穏やかな声が終わると同時に、セグラディドの口から狂おしい絶叫が飛び出した。  
触手が生きたまま焼かれる蛇のようにうねくり、先端から大量の白濁液が止め処なく吐き出される。  
それと共に、セグラディドの身体がみるみるうちに干からび、ひび割れていく。  
『VOVAAAaaaaa!』  
そして断末魔の叫びと共に、魔族の身体が砂のように崩れ、──その粉末すらも煙のように消え去った。  
「死んだ、いや、ほ、滅んだ……? い、いったい、何が……」  
ブレイザーは、目の前で起こった光景が理解できなかった。  
下級とはいえ純魔族であるセグラディドには、通常の武器はもちろん、生半可な魔法すら通用しない。  
それをこれほど呆気なく滅ぼす存在など、あるはずがない──それが、ブレイザーの持つ常識だった。  
しかし、全身に白濁を浴びたナーガがゆっくりと起き上がり、ブレイザーは悟った。  
──これは、自分の想像など及びもつかないモノだと。  
「……ふっ。魔族の精は、量は多いのだけど、味が今一つね……」  
そう呟いた女は、先程までのナーガとは、まるで別の存在だった。  
妖しく瞳を細めながら、身体に掛かった白濁を細い指で掬い取り、淫靡に舌を伸ばして舐め取る。  
異常なまでに白さを増した肌の奥底から、凄絶な色香を周囲に振り撒く。  
性に関する魔道技術を売り物にしているブレイザーでさえ、どうしてもその身体から目を離せない。  

今のナーガは、その二つ名の通り、全ての男を破滅に導く、妖艶な白蛇の化身そのものだった。  
「あっ……、あなたは、いったい何者です?」  
周りの部下達が声も出せない中、ブレイザーはようやくそれだけを口に出した。  
その問いに、ナーガは小さく、艶を含んだ笑みを浮かべる。  
「そうね……。『吸精姫アレイシア』の娘だと言えば、お分かり?」  
「なっ……! ま、まさかあの……!?」  
ナーガの言葉に、ブレイザーは絶句した。  
吸精姫アレイシア。  
それは二十年ほど前まで、裏の世界で囁かれた、伝説の女魔道士の名前だった。  
元から絶世の美女と言われていた彼女は、究極の美を求め、様々な魔法実験を自分の身に施した。  
更にある時、高位魔族と契約を結び、『全ての男を虜にする力』をも手に入れたという。  
噂では、普段はその『力』を封じるため、奇妙な衣装とネックレスを身に付けていたらしい。  
強大な魔力と美貌を誇る彼女は、しかしある時、どこかの国の王族に成敗され、その後を知るものはいない。  
──いや、いない筈だったのだ。  
「お母様は、お父様に『説得』されて心を入れ替え、悪の魔道士を引退して、妻に迎えられた。  
 けれど、お母様の『力』は、最初の子供である私に受け継がれていたのよ。  
 お母様の死後、その『力』に目覚めた私は、お母様の形見を身に付けて、これを封じていたの。  
 ──どう? 自分達が何を目覚めさせてしまったか、納得できたかしら?」  
「あっ……あ、ああぁっ……!」  
しかし、すでにブレイザーの頭は、ナーガの言葉の半分も理解出来ていなかった。  

目の前のモノに対する畏怖と、それを遥かに上回る情欲が、彼の頭脳を浸食していく。  
他の男達の目はすでに自我を失い、暴発させそうなほど股間を腫れ上がらせ、棒立ちになっている。  
その様子をぐるりと見回し、ナーガは淫猥な笑みをこぼした。  
「どうやら、もう堪らなくなってきたみたいね……。私も、再封印をするには、大量の精気が必要なの。  
 貴方達なら、死ぬ前に私を満足させられるでしょう? さあ、いらしゃいな、坊やたち……」  
「──おおおぉぉっ!」  
ナーガの誘いに、ブレイザーを含めた全員が、亡者のような雄叫びを上げて襲い掛かる。  
──白蛇の饗宴の始まりだった。  

「おおっ、おっ、くっ!」  
「んんっ、んくっ、ん……。ふふっ、あれだけ出したのに、まだこんなに濃いのね……」  
ナーガは、正面に立つ男が吐き出した白濁を残らず飲み干すと、満足げに唇を舐めた。  
その肉付きの良い腰は、あお向けに寝た男の怒張を咥え込み、ゆらゆらと動き続けている。  
左右の手は、両脇に立った男達の肉棒と袋を、愛しげに撫でていた。  
背後から両の乳房を揉みしだいている男は、ナーガの背中に強張りを擦りつけ、その肌の感触に溺れている。  
5人の男を同時に相手取りながらも、ナーガは完全に主導権を握っていた。  
「ああっ、頼む……。今度は、俺のモノを咥えてくれ……」  
「んっ、そうね……。あなたはずっと、手でしかイッてなかったかしら。  
 ごめんなさいね、ふむっ、んっ、ちゅ……」  
「うわっ、あああっ!」  

ナーガの細い指先でさんざんに焦らされていた右の男は、軽くしゃぶられた途端に絶頂を迎えた。  
迸る熱い液体を美味しそうに飲み下すと、ナーガは幹に残った分を吸い出すように、鈴口を強く吸う。  
たったそれだけの動きで、男は彼女の口中に二度目の精を放った。  
「ず、ずるい、お、俺も、俺もっ……!」  
「んんっ……ぷぅっ。あなたはさっき、いっぱいしてあげたでしょう? しばらく我慢なさい」  
「そっ、そんなっ……!」  
ナーガにお預けをくらった左の男は、おやつを取り上げられた子供のように顔を歪めた。  
彼女の指は、蕩けるような快感を与えつつも、決して射精を許そうとはしない。  
男は、少しでも多くの快楽を貪ろうと、激しく腰を前後に振った。  
「ほらっ、手がお留守になってるわ。ちゃんと感じさせてくれないと、他の人と交代してもらうわよ……」  
ナーガは、背後の男を横目で見ると、いたぶるような口調で続きを要求した。  
「やっ、やりますっ、やりますから、見捨てないで下さいっ……」  
胸を揉んでいた男は、今の快楽を失うまいと、持てる技巧の全てをかけて愛撫を再開する。  
「んんっ、ふっ、そうよ……、その調子……っ」  
手の平に吸い付くような柔肉の感触に、男はもう何度目か分からない絶頂の証を、ナーガの背中に発射した。  
──ナーガの覚醒から数時間が経ち、すでに男達の半数以上が力尽きていた。  
普通の女性なら、すでに愛液も枯れ果て、快楽など感じないほどの回数をこなしている。  
しかしナーガの身体は、男達の精を浴びるたびに、ますます人間離れした色香を放っていた。  
その色香に誘われ、少しでも回復した男は、ふらふらと立ち上がり、またナーガの元に引き寄せられていく。  
肌の色艶を増していくナーガとは対照的に、男達の頬はげっそりとやつれ、まるでミイラのような有様だった。  

「うぅ……。も、もう、ゆるして、ください……」  
その時、ナーガの身体の下から、蚊の鳴くようなか細い懇願が囁かれた。  
ナーガの蜜壺に男根を咥え込まれているのは、ブレイザー──この集団の頭領だった男だ。  
その姿に、精力増強・陰茎肥大・耐久力強化などの秘術を心得た、冷酷な魔道士の面影はすでにない。  
多少の肉体強化など、快楽のみで純魔族を滅ぼしたナーガに比べれば、三流魔法剣と伝説の剣ほども違うのだ。  
いいように精気を吸い取られ、今のブレイザーは唯の初老の男に成り下がっていた。  
「情けない声を出さないでくれないかしら? それでもあなた、『性の探求者』とまで言われた魔道士なの?」  
身体の下で弱々しげにうめくブレイザーに、ナーガは眉をひそめて言った。  
そして、ブレイザーを解放するどころか、更に腰の動きを早める。  
本来なら、もうとっくに硬度を失っているはずの彼のモノは、数十回の絶頂を迎えても尚、萎える気配がない。  
──いや、ナーガの送り込む人知を超えた快楽が、萎える事を許さないのだ。  
「もっ、もう、一滴だって出ません……。このままじゃ、し、死んで……ううっ!」  
言葉の途中で、ナーガの膣内がぞわりと蠢き、ブレイザーの肉茎を絞り上げた。  
出すものがない状態での絶頂は、通常ならば下腹部を引きちぎられるような激痛を男に与える所である。  
しかし、ナーガの『力』にかかっては、それすらも魂を蕩けさせるほどの快感に変えられてしまう。  
精の代わりに、生命力そのものを絞り取られるような魔性の悦びに、ブレイザーは低くうめいた。  
「ふっ、しょうがないわね。じゃあ、他の男を相手にしている間だけ、休憩をあげるわ。  
 但し、残りの男達が力尽きたら、またあなたの番だから、しっかり回復させておくのよ……っ!」  
「ぐおおおぉぉっ!!」  
そう告げると、ナーガは少し本気を出して、膣の中の強張りに超絶的な快楽を注ぎ込む。  

それに耐え切れなかったブレイザーは、男根だけを硬く屹立させたまま、白目を剥いて気絶した。  

「まぁったく、変な作戦なんて考えずに、最初っからこーすれば良かったのよ!」  
ナーガの消息が途絶えてから三日後。リナはぶちぶち文句を言いながら、街道を歩いていた。  
受けた依頼の内容は、ナーガの安否の確認と、盗賊団の壊滅。  
食堂の全メニュー制覇を成し遂げて機嫌を直したリナに、再び協会から依頼が下されたのだ。  
「まぁ、ナーガの事だから、また金貨10枚ぐらいで寝返ったとか、そんなオチだろーけど。  
 どうせなら、盗賊団と共倒れしててくれると、そいつらのお宝も独り占めして、ボロもーけなんだけどな……」  
「──あら、リナじゃないの」  
「ふぇ!?」  
ちょうどその時、大きな荷物(おそらくお宝)を担いだナーガとばったり鉢合わせし、リナは驚いた。  
「なぁんだ。その様子だと、もう盗賊団は始末しちゃったみたいね」  
「何だか、残念そうな口ぶりね、リナ」  
そう言って軽く眉を寄せるナーガからは、同性のリナでもゾクッと来るような色香が漂っていた。  
「……ナーガ、あんたちょっと雰囲気が違ってるわよ。どうしたの?」  
「そう? やっぱりまだ封印しきれてないのかしら……」  
「封印? 何の事?」  
「いいえ、こっちの話」  
訝しげなリナに、ナーガは軽く手を振って誤魔化した。  
「とにかく、盗賊団は私が壊滅させてきたわ。もう二度と、あんな事をする気にはならないはずよ」  

「あっそ。まぁ、楽して報酬貰えるんだから、これで良しとするか……」  
そう言いながらもリナの目は、ナーガの担いだ袋を物欲しげに見詰めている。  
そんなリナに薄く微笑みかけると、ナーガはリナの肩を軽く叩き、町の方に向かって歩き出した。  
「良かったら、この袋の中身、少し分けてあげてもいいわよ。  
 とにかく、まずは町に戻って報酬を受け取りましょう? そうそう、夕飯も私のおごりにしてあげる」  
「ををっ!? いつになく太っ腹! そうと決まれば、ダッシュで戻りましょっ!」  
お宝と食い気に目が眩んで、リナの頭の中からは、ナーガに対する違和感が綺麗に吹っ飛んだ。  
ナーガを追い抜き、弾むような足取りで駆けていく。  
その後を、ナーガはゆっくりとした歩調で追いかけていった。  
「ふふっ。たまには、女同士っていうのも悪くはないわよね……」  
呟くナーガが背負う袋の中身は、実は金目の財宝ばかりではない。  
超強力媚薬や精力剤、魔法で動く張り型など、ブレイザーの研究結果も含まれているのだった。  
ナーガの目は妖しい光に濡れ、先を急ぐリナの小さなヒップを見詰めている。  
「今夜も、楽しい夜になりそうね……」  
ナーガは軽く唇を舐めると、少し足を速めてリナの後を追った。  

その夜、二人の泊まった宿屋からは、悩ましげな少女の喘ぎが響き渡ったとも言うが──  
真実は闇の中である。  

〜白蛇の饗宴 終わったり続かなかったり。〜 

 
「続・白蛇の饗宴」に続く  

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