スレイヤーズ

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ぎぎっ…。  
粗末な椅子が音を立てる…。  
古くなってどこかが弛んで軋むのだろうか。先程から魔道書を読みふけっている青年が、身体の位置を変えるたびに軋んだ音が鳴り響く。静かすぎる部屋。  
他に聞こえるものと言えばページをめくる音ぐらいだ。  
そんな静かな部屋に喧騒が飛び込んで来た。  
「ぜル〜?入るわよ〜?」  
「――お前なあ、いつも言ってるだろ。人の部屋に入る時はノックしろって!」  
彼――ぜルディガスは、この不作法な少女――リナを睨み付けた。  
「まあまあ、あたしとゼルの仲じゃない」  
「親しき仲にも礼儀あり、だ」  
「ふふん…あたしたちって親しき仲なんだ…」  
ぎぎっ…。  
するっとリナがゼルガディスの膝に横座りした。細い腕を彼の首にまわす。  
「重い、リナ」  
「ねえ、この魔道書って面白いの?」  
全く人の話を聞かず、リナは本を覗き込んだ。  
この少女がこういう人間だった事を思い出して、彼は本を閉じた。  
「読まないの?」  
「この体制で読めるか!…で?なんなんだお前は」  
「退屈なのよ」  

「――お前だって魔道士協会からなんか借りてただろう、あれはどうしたんだ?」  
「もう読んじゃった…って言うか前読んだやつの改丁版だったのよ。ほとんど中身一緒、あ〜損した」  
ゼルガディスは大きくため息をついた。今日はもうこれ以上本を読み進める事は出来ないだろう。  
彼女がここに来たと言う事は、アメリアが寝ていて、ガウリイは酒場ってとこか…。まあなんにせよ、リナの相手をさせられるのは間違いない。  
「ね?」  
ぎぎっ…。  
そう言うなり、リナは器用に足を動かしゼルガディスの膝に跨がった。  
うっとり目を閉じると自分の唇をゼルガディスの唇に押しつける。  
「ぜル、手ーはーこーこ!」  
所在な気なゼルガディスの手を掴み、自分の腰に回させる。  
「ん…」  
自分の舌を強引に、ゼルガディスの唇へ割り込ませ、彼の舌をからめとった。  
答えるようにゼルガディスの舌が動かされ、身体が熱くなって行く―――。  
「ゼル…さわって…」  
「手はここって言わなかったっけ?」  
「たぶん、言わなかったわよ…」  
――勝手なやつだ――そう思いながらも部屋着の裾に手を滑り込ませ、小さな膨らみを揉みしだいた。  

リナの唇から甘い吐息がもれる…。力が抜けていく感覚。リナは自分の頭をゼルガディスの鎖骨へと埋めた。  
「あ…ん…」  
ゼルガディスはそっと舌でリナの耳を輪郭にそって舐めた…。彼女の弱いところは全部知ってる。  
「んん…いい…」  
片手でゼルガディスの二の腕あたりを掴み、もう片方の手は彼の股間へと伸ばした。  
「硬くなってるわよ…」  
ぎぎっ…。  
リナは身体を起こすとゆっくり彼の膝から下りた。  
ゼルガディスの前に膝をつく。  
「お前…」  
「してあげる…」  
「よせって」  
「ダーメ。したいの」  
リナはゼルディガスの膝に自分の肘を置き、慣れた手付きで彼のモノを取り出した。  
「こんなになってるじゃない」  
両手でそっと包み込み、愛おしそうに目を細めて先端に口付ける――ピクッ…と彼が反応した。  
優しくなぞりあげると硬さを増していく――それを見るのが好きだ。  
くわえて、吸い上げて、舌を這わせて…リナは夢中でしゃぶりついた。  

時折「うっ…」と、くぐもった声を上げていたゼルガディスが、彼女の頭を両手で掴んで引き抜いた。  
不満そうにリナが「もうちょっとだったのに…」と、頬を膨らませている。  
「乗れよ、リナ」  
「――同じ事じゃない」  
「イかされんのが嫌なんだよ」  
「変にプライド高いんだから――」  
ぎぎっ…。  
下着と部屋着のズボンを脱ぎ捨てる――ぜルガディスの肩に手を置き、跨がるとゆっくり腰を落とした。  
「あぁっ…」  
「――よく締まるな…」  
「ねぇ…ちょっとだけ…自分で動いていい?」  
「ん…」  
肩に置いていた手を彼の首に回し、すがりつくような姿勢でリナは腰を上下させ始めた。  
自分の一番クル所――。巧に腰を振りながら性感を高めていく。  
「あっ…んんっ…いい…ゼルも…」  
リナの呼び掛けにゼルガディスは腰を突き上げた。激しい突き上げに彼女の小振りな乳房が上下する――そこに手のひらを当て押し付けるように円を描き、さらに性感を高めさせた。  

「んんっ――!!」  
ハッ、ハッと、短い呼吸を漏らしながら、お互いの唇を求め合う。  
「ああっゼル、ゼル!」  
「さっさと…いけっ…」  
「や…一緒に――」  
「中でっ…出ちまう…」  
リナの腰を支えていた腕をそのまま背中に移動させ、指先でうなじを愛撫する。それが引き金になるように、あがらいきれない波が彼女を襲った。きゅううっ――更に締め付ける感覚――。  

「はっ…一緒だった…よね」  
「…」  
ぐったりとした余韻に浸りながらリナが栗色の髪を掻き上げる。  
「よかったよ――残酷なマケンシサン?」  
「――ばかか、お前は」  
花が咲くようにリナの顔がほころび、ああ俺はどうやったってこいつにはかなわないんだ――と、苦笑した。  

 
 

暫くして、魔法談義に白熱する二人――控えめなノックが聞こえ顔を向けると、神妙な面持ちのガウリイが顔を出す。  
「――お前らさぁ…あんなすっごい音出すなよ…いきなりギッシギシ言わせっから、酒場中の人間みんな黙っちまって…もう俺他人のふりしてたけど――顔から火が出そ…」  

宿の酒場――そのすぐ真上にある部屋で起こった夜のお話である。  

■■■FIN■■■  

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