ずれた包帯からこぼれた乳房、当てていた筈のガーゼすら外して剥き出しになった性器。  
朝、ベッドの上で目を覚まして、自分の姿に心底びびった。  
ガウリイに昨夜お風呂で色々悪戯されて、結局イタサズに寝てしまったから、寝ている間に自分でしたとしか考えられない。何より体が、寝る前とうって変わって、満足しているのが解る。  
ガウリイは、怪我をしてからあたしの体を気遣っているのかいないのか、悪戯こそすれそれ以上はしてこない。夜中に寝ている間に、ガウリイがした? いくらなんでもそれは、目が覚めるだろうし、もっと体がだるい筈だ。  
やっぱり寝ている間に自分で、やっちゃったかな〜・・  
無意識だというのにそんなコトをしてしまう自分が恥ずかしかった。  
とにかく、見つかる前に証拠隠滅しないと。  
あたしが起きた気配を察して、じきにやって来る。そんで、薬塗るとかいってまた悪戯されちゃう前に。  
そーっとそーっと、気配を消してベッドから這い出し、病衣を羽織る。貫頭衣なんかも用意されていて本当はそっちを着たいのだが、包帯治さなきゃ後でバレたら思いっきりされてしまう。  
何日ぐらい彼が我慢もしくは自分でしているのか知らないけれど、かなり怖い。全快した日にゃ、全壊するほどサレるだろう。  
 
「起きたかリナ。薬塗るぞ?」  
何故気配を消しているのに解る?驚いて目を点にして彼の顔を見ていると、  
「寝ていた気配が消えれば、起きたと思うだろ?」  
ああ、なるほどね。しかしいくらなんでも寝ている気配なんぞ出せない。したら、この先ずーっとこの調子かぁ?  
などとぼやぼやしている内に、たった今羽織ったばかりの病衣の前が肌蹴られ、肩からずり降ろされてしまう。ホントにこういうコトだけは素早い。  
慌ててずれた包帯から露出した胸を腕で覆うが、そおっとその腕を掴まれ、胸と腕の間に掴んだ手の指が入り込み、あっさりと乳首が捕まる。  
イヤらしいことなんか欠片も考えていない様な顔で、心配そうな瞳で、優しい声で、誘う動作をするのは止めて欲しい。  
このまま腕を緩めなければ、どうせ乳首をいたぶり始めるに違いないのだが、あっさり解けるワケがない。こっちにだって恥じらいってもんがある。心持ち緩めた腕がずらされ、現れた乳房にガウリイの舌が寄せられる。  
いつもはワザとらしくちゅぱちゅぱ音をたてて責めてくるのに、今日に限ってエラくやんわりとしている。  
「この辺はもうすっかり治ってるみたいだな。」  
その安心したような様子に、何故かあたしの頭は『ヤバイ』の文字をはっきりと浮かべる。  
 
「なんか企んでる?」  
このくらげ頭相手に、常識的な思考しかできないあたしが、コイツの企みを看過できる訳がない。とっとと相手の手の内を聞き出して、逃げる手立てを考えるしかないのだ。  
「なんだよ、それは。」  
ああ。聞き方が悪かったか。コイツの場合、頭で考えているんじゃないから、企んでいるのとは少し違うのだ。  
「え〜っとね、何しようとしてるの?」  
「薬塗れるトコロ、探してるだけだよ。ちぇー、殆ど治っちまってるなぁ〜。」  
治って何が悪い。もうじゅううううぶっん楽しんだでしょうが、あんたは!  
するする包帯が解かれ、病衣もどんどんずらされていく。  
やばい。まだアソコの包帯がずれたままなのに。  
あわててソコを病衣の上から押さえてしまうが、その目の前にしゃがみこんだイヤらしい顔は、ニヤニヤしながら、後ろのベッドを指差す。  
「あのガーゼなんだ?リナ。」  
 
げっ!驚いてつられて振り向くと、剥がれ落ちたガーゼが!  
まずい、と思う間もなくガウリイの手は裾をわり、押さえている前ではなく後ろ、お尻の下から回されてきた。あっさりと剥き出しのソコが、捕まる。慣れきった手がソコで水音をわざとらしく立て、勝利者が笑う。  
「あ、あれは朝起きたら、外れてて・・」  
事情を説明しようとしても、体の主導権は既に奪われていて、満足していたはずの体は新しい熱を発生していく。気持ち良かった気だるさも、敵に味方するように気だるさの質を変えていく。  
「昨日、我慢できなかったんだろ?」  
入口のびらびらしたものを、本当に指でびらびらさせられる感触に、押さえていた手を離して思わずガウリイの肩にしがみ付く。  
「自分でやってたんだぞ。薬効いて眠っちまってるのに。」  
寝ぼけて自分で? 見られてた?  
しっかりとした思考力が奪われていくのに、恥ずかしさだけはヤケにはっきり浮かぶ。  
「こうやって指でほじって」  
数本の指で開かれる感触。その中で数本の指で掻く感触。何故これだけの面積のことなのに、こんなに何もかも支配されてしまうんだろう。  
「挙句の果てに、オレの指掴んで自分で広げて、入れちまうんだもん、お前さん。」  
恐らくその時の動きを再現しているらしい、その単調な指の出し入れは、確かに体が覚えている。  
「もう、寝てる間にヤっちまおうかと思ったぞ。」  
 
元々、ガウリイの相手をしていると殆ど毎日2〜3回はしていた。ちなみに、回数はガウリイ基準だ。  
あたしの方はその間何回イかされているかなんて、数えちゃいない。  
その上、只でさえ怪我人だということで、ここんとこ、滋養のつくもの・精のつくものばかり食べさせられている。怪我ももう痛みはないのだ。そこへ昨夜風呂場で散々煽られて、イかせて貰えずに薬で眠らされたのだ。その結果、少々欲求不満ぎみなのは認めるけれど。  
 
「リナが治ってからって、オレ、自分でしないで我慢してたのに。」  
この間体中に擦り付けて、せっかく塗った薬台無しにしたのは何なのだ?  
病衣も包帯も完全に床に落ちていた。僅かに残った腹部の火傷の跡に、薬を塗り終わると、起ったまま後ろを向かされベッドの端に両手を突かされた。もう何時でもOKな体勢だ。  
「ちょ、ちょっと待ってよ。」  
 
「もう一晩待ちました。」  
そう言うとすごくあっさり、挿入された。  
腰を揺らされながら、少し不思議に思った。いつもはもっと、ねちねちと前儀をして何回もイかされて、へろへろになった頃に、入れられる。そして足も腰もガクガクになってやっと終わるのに。  
ああ、でもコレぐらいなら楽でいいかも。  
「そ、そんなに溜まってんの?」  
揺すられているため、絶え絶えの声になってしまうが、ちゃんと喋れる。  
「おう」  
どちらかというとガウリイのほうに余裕がないような気がする。  
 
ゆるやかに煽られる感覚は、息を吐き出す度に頭がぼーっとしていく。  
揺すられる速度がだんだん速くなって、それに合わせて息が上がっていく。ガウリイと同じ速度なのが解る。  
高くなった体温も、早くなった鼓動も。  
キモチイイ、そしてタノシイ。  
嬉しいような感覚の中で、ガウリイと一緒にイク事が出来た。  
 
抜かれる感触も、背後から抱きしめられる感触。うなじにされるキスも、呼ばれる名前も。  
心地よくてぼんやりしてしまう。  
体に負担が掛からないように、気遣われているのだと解った。  
 
「これぐらいなら、大丈夫だろ?」  
低い声の問いにも素直に頷ける。  
ありがとうと言おうと思ったのに、  
「じゃあ、薬塗るのはこれでいけるな。」  
確認を取るその声に、『塗り薬は1日4回』と最初に説明された薬屋のじーちゃんの声が重なって聞こえた。  
 

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