リナは、美少女だ、セクシー美女だと自称するわりに、自分の怪我に無頓着なところがある。  
これだけトラブルに巻き込まれると仕方がないと思っているのか。  
確かにのその時々に応じて、最良な戦い方をしているのだろうけれど、もう少し大事にしてくれてもいいんじゃないのか?  
 
と、常日頃思っていたのに。  
いざ怪我をして看病するとなると、喜んでしまう自分がいて、自己嫌悪に陥る。  
 
怪我をしたリナを抱えて近くの村に転がり込むと、小さな村に医者は居らず、薬を作っているという爺さんがいて、応急処置をしてくれた。  
怪我は命には別状はないようだが、打撲と火傷が酷い。  
火傷と言うのは、バイキンが入っている可能性があるため魔法は止めたほうが良いと その薬師は言う。  
膿が出るので、ガーゼは頻回替えること。痛み止めを飲ませ、塗り薬は1日4回。  
消毒がてらに、薬湯に入れてやればよいと言われ、治るまで空き家になっている民家を使わせて貰う事になった。  
 
年寄りばかりの小さな村のはずれで、久々にゆっくりとした時間をオレ達は過ごすことになった。  
 
リナの火傷は、正面が主で顔や胸・腹部や足にまであり、かなりの広範囲に広がっていた。  
後に残ったりすれば彼女が気にやむかもしれないと思い、手当てに必要なオイシイ作業の時には、つい浮かれてしまうのを隠さずに、堪能させて貰う。  
塗り薬を嫌がれば嘗め回し、飲み薬を嫌がれば口移しと、彼女が気に病む間を与えずに、色々とやってみる。本当に楽しく嬉しい日々である。  
 
火傷は消毒が大事だと、散々念を押された。初めてリナを薬湯に入れたとき、湯の熱さが痛みを引き起こしたため、風呂を改造して寒くならないように蒸気が浴室に起ち込めるようにして、冷たい水に浸かれるようにしたら、リナはすごく喜んでくれた。  
よし、今なら言えそうだ。  
 
「リナ、じゃあ剃るからな。」  
どこを、とはさすがに怖くて言えない。リナも身の危険を察したのか、引きつった笑顔のまま、硬直している。  
そもそも火傷した皮膚が引きつって痛み、余り動かないようにしているからなー。  
今の間に床に敷き詰めたタオルの上に、仰向けにして足をM字に全開にして横たわらせ、その足の間に座り込む。少し正気に返ったリナが暴れだすのを、もっと恥ずかしいカッコさせるぞと、大人しくさせて、いそいそと泡立てた石鹸水を塗りつけていく。  
 
薄い陰毛のざらついた手触りを楽しみながら、彼女の顔を見ると、真っ赤になって力一杯目を閉じて唇を噛んでいる。指先がまだ皮を被ったままの所を見つけ、その上をゆっくり左右になぞる。  
そのままきわどいラインを下に降りて、肝心の所を縁取るように白く飾り立てていく。閉じられていた襞が緩んでいく様を、息を呑んで見ていた。  
「は、早くしてよっ!」  
かなり意味深に聞こえる台詞に、どぎまぎしながら剃刀を握り、作業を開始する。  
「ごめんな。」  
何に対しての謝罪かもはっきりしないまま、軽く皮膚をひっぱり刃をあてる。引っ張られて少し形を変える性器が扇情的で、それに合わせてリナの体温が微かだが、確実に上昇していくのを指で感じ、オレ自身の熱も上がっていった。  
 
「剃毛」  
それをしなければならないと、最初に風呂に入れたときに考えたことだ。リナは濡れ易い体質らしく、分泌量も多い。どうしても恥垢が付いてしまう。  
オレが薬を塗るときや、ガーゼを替えるときに何もしないで、じっと見ているだけでも、彼女は濡れていく。イヤらしい体。  
 
想像していた通りに、クリストスの周りの皮膚を左右上下に引っ張っていくと、内腿がヒクつき始める。まだそこには掠りもせずに、ただ剃りやすいようにしているだけなのに、鮮やかな反応が返ってくる。  
半剥きのまま、刃を下に進め襞には触れずに、足側の皮膚に指を掛ける。恥丘が盛り上がり、誘うように口が開いていく。  
艶かしく閉じようとする足を片方だけ肩に担ぎ、匂いを求めて顔を寄せる。息が当るのか、視線を感じるのか、リナが熱い息を吐いた。  
 
襞だけを摘み、膣口を閉じるように伸ばす。腰全体が反応を示しカクッと突き出される。  
「我慢して。」  
殊更に性的な反応を、明確にし、羞恥を煽る。リナが腰を落としたのを確認して、手早く膣口の脇を剃る。次いで反対側の襞を伸ばすときに、入口に指を掠めさせる。再び腰が動く。  
「リナ」  
咎められたと思ったのだろう。泣きそうな顔で目を強く閉じたまま、何でもナイと言う。  
開き切りはしていないものの、愛液を滴らし始めたソコを、リナも解っているだろうに。  
「どうする?一回イっとく?」  
指を一本だけ入口に当てると、腰は中に飲み込もうとのの字を描く。足の指が丸められ、内股の筋が張り詰める。いつの間にか握られていたタオルから、指を解きながら、大丈夫とか細い声で言う。  
リナが自分の快楽そのものを否定しなくなった台詞は、彼女がもう拒めないところまで追い詰められている事を示す。もうこれでオレのものになったと、確信できる。  
何も言わず刃を進め、リナの体が完全に真っ赤になった時点で、刃を置いた。  
 
剃刀を置いた事で安心したように、大きく息を吐いたところで、タオルで全体を拭う。たまらずに高い声が上がる。  
 
「もうちょっと辛抱してくれよ。」  
もう頭が働かないらしい様子の彼女に、聞こえないかもしれない程度の声で告げ、襞を伸ばしきる。指先で恥垢を掻き集め、濡らしたタオルで拭取る。その作業を2〜3回すると、足が閉じ始めオレの顔を挟み込む。  
残っていた足も肩に担ぎ、今にも舐めそうな程に顔を近付けると、リナの手がオレの頭に当てられ、髪を掴む。  
完全に開ききった膣口を目の前に、リナの切ない喘ぎ声を聞く。頭に置かれた手を取り、手を使えないのを好い事に、舌を突き出す。  
「後ココだけだから」  
そう言ってすっかり剥けているクリトリスを、舌で突付く。顔を近付けすぎたため、見えなくなったソレの、根元を舐めて舐めて、吸い上げた。  
 
「やっ、あっ」  
息とも喘ぎとも取れる声が高い音に代わり、突き出されていた腰ががくりと落ちた。  
 
「はい、終わり。拭くぞ。」  
そう言ってまだ余韻が抜ける前に、汁まみれになった部分を拭いていく。  
再び甘い息が漏れ出す。イった直後のこの行為は、更なる刺激を彼女に与える。その甘い息の中で、『もう・・』と力なく言う。モウムリ、なんだろうけれど。  
本当は挿入れてしまいたかった。だがこの火傷の状態で肌を重ねるのは、文字通りに傷を広げかねない。  
我慢している分、悪戯が執拗になってしまう。  
 
拭いても拭いても溢れるそれを、ある程度拭い、オレは彼女に告げた。  
「次、薬塗るな。」  
そう言ってふやけたあたしを抱え直し、デレデレした顔のクラゲは近くにあったバケツを引き寄せた。  
またロクデモない事を考えているのは丸解りで、かと言って逃げるだけの体力は残っていなかった。  
ちょっと休ませて欲しいのだが、過去そう言ってとりあって貰えたタメシはない。  
 
いつもならベッドに寝かされてから薬を塗るのだが、何故今ココでなのか。違和感はあったものの、推察するほど頭は働いてくれない。  
 
背後に回ったガウリイに上体を支えられながら、腋の下から伸びてきた手に、胸を弄られる。手のひら一杯に掬い取られたどろりとした、緑色の薬が体の正面に広げられていく。  
薄く延ばされたその感触は、言いようのない気持ち悪さなのだが、這う掌の感触が別の意味を持っている以上、その気持ち悪さの中にも、何かを感じてしまう。  
こんなシュミ持ち合わせてはいない筈なのに、薬が滲みて痛いはずなのに。  
 
滑った体を抱き上げられ、ガウリイの太股を跨いで座らされる。その股間の間から出ている逞しい足は膝を立てた格好になり、直接濡れてべとべとになったアソコに擦り合わされる。  
それだけで充分過ぎる刺激なのに、体を這い回る手は止む気配がない。 足は慣れ親しんだリズムで、全身を揺すってきた。  
 
なんでこういうコトだけには、頭回るかな。  
怪我でロクに動けないあたしの看病を、役得をフルに利用して彼の悪戯は、一日中と言っていいほど行われる。  
痛いとか暇とか考える隙もないほどに。  
 
リズムのなかで、乳房が揉みしだかれ突起が摘まれる。だが滑っていつものようには刺激されない。するっとリズムに合わせてずれてしまう。  
首に這い上がっていた手は、喉を撫でるのに、それもリズムで極端(に強い刺激になったり、もどかしいほど柔らかな刺激になったりする。  
いつの間にか背中にまで塗られた薬は、皮膚にじかに感じられていたガウリイの肌を遠くして熱だけが伝える。  
揺すられる上下の動きの摩擦をなくし、より激しく揺すられる。内股にも塗られた。  
それまでガウリイの足を挟むことができ、ある程度一定に快感を得ることが出来たのもが、できなくなってしまう。  
不安定に送り込まれる快感に、すがり付こうにもできない。体中薬塗れで、ガウリイの体も薬塗れで、お互いの体を擦り合わせる。普段の行為より遥かに淫靡に思えた。  
 
足りなくて足りなくて、自分からアソコを足に擦りつける。でもネバネバしているお陰で、望んだほど強い快楽は得られない。乳房を足に押し付けても、ニュルリと乳房が逃げてしまう。  
片方のお尻に当る熱い硬いソレをどうにかして入口に持ってこようと、腰を動かすのも滑って上手くいかない。  
『お願い』をするのは浅ましい気がして、いつも出来ないでいる。それ以上の行動を体がしてしまっているのは、解っている。自分で腰を振って、擦り付けて、大声で喘いで、自分から入れようとすらしているのに。  
 
助けて欲しくて。  
いや、ソレが欲しくて、ガウリイの顔を見る。意地悪そうな瞳がどうした?と訊いてくる。甘い息で名前を呼んでも笑って見ている。あたしの体がいやらしく誘うのを。  
しかたなく腰を必死で動かし足から逃れ、念願のモノへと擦りつけようとした。だのに当るのはざらざらとした彼の濃い下毛で、でも開ききったあたしのアソコはその感覚すらも快感にかえて貪るために腰を上下に擦りつける。  
イヤだ。欲しいのはこんなのじゃない。中に欲しい。ガウリイが欲しいのに。  
諦めてお願いする?いっそ手で掴んで自分で入れる?  
 
そう考えた時、不意にリズムが止んだ。  
「ガウリイ!」  
まだ足りない、イってない、達してない。  
 
余分な薬をふき取りガーゼを当てられ、止まらない愛液のため股間にもガーゼを当てられた。続きを今か今かと待ちわびる体は裏切られ、どうしようもなく高められた熱はまだ体内に燻っている。  
そのままベッドに運ばれて、彼の顔を見たとき、このまま何もしなでいて、あたしがどうするか観察しようとする悪戯なのだと、悟った。  
 
 
リナに痛み止めを飲ませると、彼女はまもなく眠りに落ちた。口移しで飲ませる時も、火照ってどうしようもない体を持て余しているようで、口内での嫌がるような舌の動きも拒否しなかった。  
オレの方もかなりの我慢が必要だったが、彼女が寝ている間にしたいことがあるもんだから、我慢しきった。  
 
ブルーリーの実の入った痛み止めは良く効く。始めの頃痛がって眠れない彼女のために、薬屋のじーさんが作ってくれたものだ。普段鼻のいいリナは、そういうものを尽く避ける。お陰で薬に対する耐久性がない。  
オレの方は、よく彼女に食事に仕込まれたりしているものだから、口移しで飲ませたところで、いくらも効きはしなかった。  
 
寝ているリナに忍び寄る。よく寝入っているだろうと思ったのだが、まだ火照りが抜けきらないようで、体を少しくねらせ甘い息をしていた。  
わざとずれ易く巻いてある胸の包帯は乳首だけを露出し、リナの指先はそこを自分で責めている。下に伸ばされた方の手は、先程当てたガーゼを止めるため、褌のように巻いた包帯の上を掻き毟るように動いていた。  
寝ているのにも係わらず、こんなイヤらしいコトをしているリナに感動すら覚える。出逢ったころの彼女は自慰すら知らなかったのだから、本当に素晴らしい。頑張ってイロイロした甲斐があった。  
手にしていたリナのバンダナと包帯を握り締め、その行為を増長するため下半身の包帯をずらす。  
 
潜り込んだ指先は快感のツボを心得ていて、濡れて張り付いているガーゼの上から、透けて見える突起やワレメを掻くように擦っていく。乱暴なその動きに彼女の欲求が見て取れた。でもそれじゃあ、リナはイけない。  
彼女の指より、オレの指の方が詳しく知っている。オレの舌の方がもっと上手くイかせられる。今度自慰の仕方、手取り足取り教えようか。  
 
ひっきりなしに動く指の隙間から、濡れすぎて重くなったガーゼを抜く。直接触れるコトで快感が変わったのか、指がクリだけに集中する。挟んでそのままのの字を書く。空いた陰口の掠るぐらいの位置に、オレの指を置く。  
何の躊躇もなく押し当てられ、擦り付けられる。よほど気持ちいいのか、クリから指が離れ自分でビラビラを開き、より奥に強く擦りつけてくる。甘い鼻に掛かった息が、喘ぎに換わった。  
 
「ガウリイ・・」  
喘ぎ声に混ざってオレを呼ぶ。マズイ。起きてしまう。  
当初の計画を早くしなければと思うが、この、リナが自分で開いて誘い入れようとしている、素晴らしい光景を、自分で終わらせる気には到底なれない。また次にするか?どうする?  
迷っているとリナがオレの指を片手で掴み、もう片方の手でアソコを大きく広げ、ゆっくりと突き刺し出した。  
挿入する感覚に満足そうな息を漏らし、腰を揺らしながら奥へと招いていく。  
すごいとしか言いようがなかった。  
リナがオレの指で自慰をしているのだ。  
 
最奥まで導き終わったらしく、彼女の顔に恍惚とした笑みが浮かぶ。捕まった指はいいように動かされる。ゆるやかに膣壁をなで、擦り、角度を変えてまた擦りつけられる。  
満足そうな甘い息が妙に新鮮だった。  
いつもは、もっと切羽詰まった声で喘ぐ。イかせるコトを最優先に激しく責め立てるからだろうが・・。  
 
リナはオレ以外を知らない。オレが与えたものしか知らない。だから、普通は行わないような格好でも、オレに操られてしてきた。それに拠っていいように開発されてきた。  
けれど、今浮かべている満足そうな笑みは、自分で行った行為の結果で、ソレは彼女自身の性癖を示しているように見える。  
イクだけではないセックス。快楽だけではないセックス。  
初めて体を繋いだときの感動は、オレも覚えているのに。  
 
その夜、目隠しをしようとか、手を縛ってみようとか思って持ち込んだバンダナも包帯も使わずに、リナの気の済むまで指を貸し与えた。  
次は、甘ったるいだけのモノにしてみようとか考えて、生クリームなんぞ想像してしまう自分の頭に拳骨を入れ、それでも目隠しは別格だしと叫ぶ本音に蹴りを入れながら。  
 
 
村で世話になるようになって、十数日が過ぎた。リナは一日の殆どを寝てすごしている。その間、オレのほうは村の人達の仕事を手伝ったり、山に薬草を取りに行ったりしている。  
近くの山は殆ど採り尽し、少し足を伸ばした山で盗賊団にあった。何人かを伸してから、リナ=インバースがこの付近にいるらしいと言うと、大慌てでアジトの引越しを始めた。  
気の毒に思い手伝っていると、  
「兄ちゃん、お礼に何でも好きなモン持ってってくれ。どうせ持ち切れねぇしよ。」  
と言われるものの、迂闊なモノを持っていけば、リナに盗賊団と出逢った事がバレてしまう。断ろうとした時、ふと小さなリングが目に入る。無難そうなそれを手にすると、  
「なんでぇ、なんでぇ、オンナか〜?だったら、コレも持っていきなよ。おっと、こっちもか。」  
そう言って手渡されたのは、長い羽根とペアの指輪。  
「夫婦円満のお守りみてぇなモンよ。」  
美しいひびきだ『夫婦円満』。  
「まあ、羽根の方はアレだ、兄ちゃんでも嫁さんでも好きな方が持ちゃあいいが、指輪は浮気するときははずすんだぜ。」  
浮気なんかするか、捨てられたらどうすんだ。  
羽根はまあ、ソウイウ利用用途のモノなんだろう。リナが使わせてくれるか、リナに使われるのか、どちらにしても楽しそうなので、ありがたく頂いて帰った。  
 
「引越しの手伝いをしたら、貰った。」  
正直に報告して、その3点をリナの目の前に並べて見る。お腹が空いて目を覚ました彼女は、食事を済ませたあとで複雑な顔で、起き上がったベッドの中で唸り声をあげている。  
「これは、ただの指輪みたいだけど・・・」  
最初にみつけた小さいリングを手にしてそう言った。  
「残りの二つは、何かの魔法が掛かっているみたいなのよね〜。」  
え?羽根もダメ?  
「ちょっとガウリイ嵌めてみてよ。」  
「夫婦円満のお守りだっていってたぞー。」  
結局実験台よろしく、そのペアの指輪の大きい方を、  
リナの目の前で、左手の薬指に嵌めてみる。  
リナからの反応はない。OKってことか?いいんだな、リナ!いいんだな、リナ!  
いや、マテ。リナの地方ではこの風習はないのかもしれないだ。  
じーっとリナからの反応を待つ。  
「どう?」  
どうって何が?  
「だーかーらー、試しに嵌めてみてどうかって訊いてんのよ、ガウリイくーん?」  
おお、そういや実験台になってたんだっけオレ。  
「くらげ!」  
スリッパのスナップが昨日よりキツイぞ。  
 
別になんともない。そう言うとお守りようにしてあるだけかな?と、まだ怪しんでいる。  
「浮気するときは、外せって言ってたけど。」  
思い出したそれを告げると、じゃあ、浮気防止用の仕掛けかしらねと、興味をなくしたように、視線は次の羽根へと向かう。  
 
「飾り、じゃないわよね。」  
力一杯脱力したように大きなため息をつきながら言う。  
「手に持ってきたけど、なんともなかったぞ。第一、くれた人も手に持ってたし。」  
それを聞いてようやくリナは羽根を手にして、オレの目の前でゆらゆらさせる。  
「なんともなさそうね。」  
そう言ってそれで、オレの鼻の頭をくすぐってきた。釣られてくしゃみをすると、面白がって更に顔中をくすぐる。  
じゃあ今夜はコレで、などと一瞬満足しかけるが、その前に指輪の問題を解決せねば!  
 
だがどう考えても、喜んで嵌めてくれる言葉やシュチュエーションなど思いつかない。そもそもこういった習慣に馴染みがないのに、着けること自体が無意味かも知れない。現に目の前で嵌めて見せても、全くの無反応だ。  
もうどうでもいいような気がして、只のお揃いのリングだと自分に言い訳しながら、リナの指に強引に嵌めてみた。リナはきょとんとした顔のまま、ピコピコ羽根を動かしている。変化はオレの方にあった。  
 
声が出そうになった。体がどうしようもなく熱い。羽根が触れているのは顔だというのに、はっきりとした快感がそこから全身に一瞬で広がる。  
 
「何?何? どうしたの?!」  
 
『コレも持っていきなよ。おっと、こっちもか』  
『羽根の方はアレだ、兄ちゃんでも嫁さんでも好きな方が持ちゃあいいが』  
アレだ。あの時『嫁さん』という言葉に気を取られて聞き流してしまったが、コレはセットで使うものなのだと説明していたんだ。  
 
「へー、なるほどねー。」  
気にいったらしく、服の上からオレの体を羽根で撫でる。堪え様もなく声が漏れて、息が上がる。  
 
「ね、ね、腕とか足とか縛りたい。」  
そうとう興味があるのか、そんなことまで言ってくる。解った。お前さんがやりたいと言うなら、いくらでも付き合うぞ、リナ。  
ここ2〜3日で極端に使う量が減って余っていた包帯を彼女に差し出し、服を脱ぎ捨ててパンツ一枚の姿で床に寝転がる。腕は2本纏めて後手にされ、足は足首と膝の2箇所でぐるぐる巻きにされた。  
リナは横に座り込み、嬉しそうにオレの体を羽根で撫でていく。期待した所や期待もしていなかった所まで。オンナの様な喘ぎ声が出てしまう。首から鎖骨、胸から腹へ。  
わき腹を撫でられ身を捩り、閉じた太股の付け根を撫でられた時にはもう完全に勃起していた。自分の目が潤んでいるのが解る。体中が熱い。リナに擦り付けたい。せめてソコをその羽根で、リナの手で撫でて欲しい。出したい。  
「ガウリイ、どうしたい?」  
 
それはいつも、オレがリナに言っている台詞だ。だがオレは彼女のように恥らうことはない。  
「撫でて、リナ。ソコ。」  
出したい。もう少し、もう少し刺激があれば、出る。ヒクついているそれは、他の何も考える事を許さない。  
「頼む、リナ」  
彼女が妖艶に微笑んだ。  
 
「一晩そうしてれば?」  
ポイッと羽根を遠くへ投げ捨て、さっさとベッドに潜り込む。オレは床の上でもんどり打つ。  
「リナっ!」  
 
「放置プレイってゆーんでしょ?こーゆーの。」  
 
 
やはり  
『お願いします。女王様』  
と言うべきだったのかと後悔する事、丸一夜。モンモンとぼやけた頭で迎えた朝は、リナの起抜けの一言で、オニのように健全で爽やかなものになる。  
「火炎球、ブレイク!」  
じゅっという効果音と共に、一瞬で灰になってしまったオレの羽根。  
オレはまだ一度も使ってないのに!  
器用に細かく分かれた火の玉が、羽根だけでなく包帯も焼き、やっと自由を取り戻せたが後の祭り。  
オレはその灰に泣きすがるしかなかった。  
「あー、すっとした!」  
病衣代わりの白い貫頭衣を着て、涼やかに台所に向かう彼女を思いっ切り引きとめったって、オレは悪くないと思う。断じて!  
 
「朝の薬、塗らなきゃなぁ〜、リ〜ナ〜・・」  
自分で塗ると叫んだって、オレの羽根は戻ってこないんだよ、リナ。  
 
リナは一晩自分の好きな形を楽しんだんだから、オレも自分の好きな形を同じだけ楽しんだっていい筈だよな。  
そう宣言して、随分前に薬屋のじーさんに貰ったモノを取り出した。まだ水脹れが酷かった頃、薬を塗ると壊しそうで怖いという話をしたときに貰ったものだ。  
使わずにいたのは、リナが嫌がるだろうと思って遠慮したんだ。我慢したんだ。只の筆で、あの羽根みたいに魔法は掛かっていないのが、酷く残念だが、それは諦めよう。  
 
という訳だ。オレは優しいから床じゃなくてベッドでいいし、縛り方もあーんなのや、こーんなのをしてみたいが、同じでいいぞ。  
「あーんなのや、こーんなのって・・・」  
難しいのは出来ないから、天井から吊るしたり、イスに縛り付けたりとかのつもりだが、そっちがいいか?  
「いいです!遠慮します!」  
そーかそーか、昨日の縛り方はOKなんだ。  
とりあえず逃げられないように、服の裾を捲り上げ捉えた両手ごと高く翳し茶巾寿司状態にした。  
 
下心いっぱいで緩々に巻いてある包帯は、彼女自身が暴れたことにより既に半分以上ずれかけていた。一番短い足首のものをするっと抜き、手で押さえていた裾を両手ごと縛る。  
二日程前から使用再開した下着も、他の包帯も全部外し、その奇妙なカッコのままベッドにほうり込んだ。  
「はーなーせー、ヘンタイ!」  
ゆうべ一晩女王様だったヤツに、言われてもなー。  
ああ、そうそう、先にココ綺麗ににしとかなきゃな。  
まだじたばたしている足を掴み、思いっきり広げ、いきなり吸い付く。かけらも濡れていないソコの、隠れている突起を探る。  
「汚れてないってば!昨日何にもしてないもん!」  
捕まれたままの足をまだ、バタつかせて抗議してくる。毎日なんだから諦めればいいのに。恥垢とり。  
はいはい、そーだよなー、ずーっと寝てたモンな。  
じゃあ、後ろ。  
持っていた足を一旦閉じてから捻ると、面白いようにくるっとリナが裏返る。目の前にきた無傷のお尻を、むにむにしながら、双肉を離して舌を突っ込む。  
閉じた足の間では、あまり自由が利かないが、お尻に思いっきり顔をこすり付ける感触は、嬉しいものがある。オレの体の下でリナの足がまだバタついている。  
掴んだままの足首を少しずつ体の両脇に押しやり、うつ伏せで大股開きの状態にしてから手を離し、指ではみ出ている襞を悪戯する。その指が濡れ出すのを感じると、それを背中に擦り付けてやる。  
やっぱり汚れているじゃないか。  
「ちっがーうっ!」  
おー、悪い悪い。背中まで汚しちまったなぁ〜。  
肉の薄い背についた汚れを舐めとり、綺麗にしてやる。指は溢れ出てくる汚れをせき止めるため、その源に栓代わりに差し込む。  
 
「やっ、やめっ、・・・薬っ!薬っは、どぉし・・た・よ・・」  
途切れ途切れの叫びに、たどたどしい意味のある単語。  
あー、薬塗る方がいいんだー。  
名残り惜しいが、口も手も離す。  
体火照らして、どうしたリナ?  
 
もう一度仰向けにして、両膝を包帯で纏める。仰向けで膝を抱えた今の体勢って、オシメ換えてるみたいで、ちょっと楽しい。  
「おーろーせー!」  
賑やかだよなー、リナは。  
足首もぐるぐる巻きにして、ようやく茶巾寿司を解く。顔が真っ赤だ。欲情してる?  
「怒ってんのよ!」  
そりゃ奇遇。オレもなんだよ。  
 
すっかり大人しくなったリナの両手を後ろで縛り、ようやく筆を手にする。一筆目はどこにしようか。昨日されたように、目の前でピコピコさせると、好きにしろと開き直って啖呵を切られる。  
お言葉に甘えて、王道だと思う乳首にちょこっとだけ薬を載せる。頂点からぶつぶつのある縁取りへ、ゆっくり降ろして行く。  
まだ硬くなってないソレは、筆で簡単に陥没する。筆先でチロチロ刺激していくと、ソコよりも先にリナの体がピクリとなる。ぷっくりと乳首が筆の下で立ち上がっていく感触が伝わってくる。  
胸の微かな山の裾野から腋にかけては、かなりの弱点なので、左右代わる代わるに塗っていく。リナが身を捩ってしまうのを、目を閉じて堪えているのが、良く解る。  
嘗め回したい衝動を、こっちも堪えているんだから、同じか。まだ火傷だと判る臍の周りや、腸骨の辺りはきちんと丁寧に塗らねば。ついでに臍の中も塗ったら、色気の無い叫び声が上がった。  
わき腹を撫上げだすと、それも別の声に換わっていく。  
 
あちこちの小さな傷にも全て塗り込み、下腹から筆を浮かさずに、そのままワレメへと一気に沈めて、その奥にまで薬をなすり付け、すぐに抜く。その全ての動きに、彼女は反応を示す。  
いくら膝を縛ってあるとは言え、その細い足はかなりの隙間を残してしまう。悪戯して下さいと言っているみたいだな。  
その隙間を足元から覗き込みながら、今の強引な筆の動きで開いた入口に、筆の毛が逆立つように、強めに押さえながら這わす。  
「んっ・んっ・・っ」  
押さえきれない声が漏れ出し始める。そうそう、そうでないと醍醐味がない。  
規則正しい動きなど当然せずに、ギザギザに動かしてみたり、一箇所だけでグリグリしてみたり、足が先程までと違う意味のバタつきを見せ始める頃、それまで手付けずの突起を根元から撫上げてみた。腰が筆を追って動く。  
 
キレイに毛を剃られて丸出しの勃起は、痛々しい感じすらするほど、生々しい。少しの刺激であんなにも反応するのがよく理解できる。  
一塗り目で着いた薬に息を吹きかけ乾燥させると、それすらも全身で感じ取っているらしく、太股まで揺すられる。今度は上から撫でてみる。やはり腰は筆を追って動く。右から、左から。  
頂点から各方向に撫で下ろし終わった頃には、リナの声は喘ぎに変わり出していた。  
くるくると頂点以外を撫でまわしながら、顔を覗き込むと、潤んだ瞳で睨み付けている。視線を逸らさずに、筆だけを強く押し付け、グリグリ回す。  
「あぁ――っ!」  
かみ締められていた口が瞬時にして開き、高い声が上がる。細められた目と溢れる泪が、刺激の強さを物語り、反り返った喉と体が、早くも限界が近いことを訴える。  
 
一本に纏められた足を真っ直ぐに上げ、恥部を曝け出す。ぱっくりと開いた入口がオレに向かって誘いを掛けるが、ひたすらに堪えて筆だけで挑む。  
薬を洗い流そうとしているかの様に溢れ出た汁が、そこかしこをテラテラと光らせ、僅かなひくつきも大げさに伝えてくる。筆は入口付近を何回も撫で、リナを更に追い詰める。  
簡単にイかすのは、惜しい気がする。かといってこのままでは、自分の方が持たないかも知れない。  
どうやって、自分のモノを慰めるべきか。今すぐにでも挿入してしまいたい。  
ああ、そうだ。  
 
オレはリナをとりあえず先にイかせるべく、指を入れた。一度イかせて、仕切り直しだ。  
「やぁ――っ!!」  
腰がガクガク震えている。それほど体に負担が掛からないように、指でいきなりスポットを数回突付いたところで、一瞬の硬直と弛緩。彼女がまだ余韻の中にいる間に、準備をせねば。  
 
にじり寄ったリナの口元に、薬を付けたオレ自身の筆をスタンバイさせた。  
 
 
 
 
おはる  
 

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