「いい格好だな………」
くっくっと笑いを押し殺して、心底楽しそうな声が洞窟の中に響いた。
「ちょっと………何時まで見てんのよっ。早く、助けなさいよっ」
ゼルガディスっ!
悲鳴に近いその声に、ゼルガディスは助ける様子もなく、ただ目の前に宙吊りにされている少女………リナを見つめているだけだった。
「本当にこんな作戦でいくのか?」
「そうよ」
何か文句ある?
とでも言いたそうな表情で、リナはゼルガディスを睨み付けた。
ちなみに、今のリナの格好はいつもの魔道士姿ではなく、いかにも町娘といった感じで、短めのスカートにセーター、その上から薄手のコートのような物を羽織っているだけだった。
「いつも通りでもいい気がするが?」
「それじゃぁ、思いっきり警戒されるでしょ。こんなか弱い女の子が迷い込んだら、ひとまず頭を呼んでくるでしょう。そこを一網打尽にドラグスレイブでもお見舞いして………」
結局いつもと同じだろっというゼルガディスの突っ込みは、見事に無視された。
「で、俺はどうすればいいんだ?」
「ん〜、もしあたしが危なくなったら助けてくれればいいわよ」
危なくなる事、が果たして今まで何度あっただろう。
少し頭を抱えながら、それでもリナの盗賊いじめ、に付き合うのは最近のゼルガディスの日課となっていた。
そして今日もいつものように盗賊いじめに付き合う事となったのだが、今日に限ってリナは何故かいつもと違う趣向で行こう、などと言い出し、まるで猿芝居のような道に迷った少女、を演じて盗賊団をおびき寄せる、ということとなった。
その猿芝居に見事に引っかかったのが、この辺りを根城にしていた盗賊だった。
アジトに連れて行かれたリナは、あっと言う間に盗賊団1つを壊滅させた。
「お宝、お宝………」
嬉しそうに物色を始めたリナの悲鳴が聞こえたのは、その次の瞬間だった。
「ぎゃぁぁぁぁぁ」
お世辞にも可愛らしい悲鳴ではなかったが、その声に驚いて振り向いたその先には………
手首をロープで縛られ、宙吊りになったリナの姿があった。
そして冒頭にいたる。
「早くこれ切ってよ」
ばたばたと暴れながら顔を真っ赤にしてリナはゼルガディスを睨んでいた。
「これは、これで………」
心底楽しそうな笑みを浮かべるゼルガディスの腕は、一向にリナを縛り付けているロープに伸びる様子はなかった。
「ゼル?」
「いや………その格好………結構………」
「なに、よ」
「そそる」
言われた瞬間、ぼっとリナの顔が赤くなった。
「ちょっとっ!!」
「暴れると、ロープが食い込むぞ?」
「うっ」
ぴたりっとリナの動きが止まる。
「まぁ、助けてやらないこともないが………。こんな状況だ。それはそれで楽しむべきだろ?」
意地悪そうな微笑に、リナは大きく首を横に振った。
「楽しまなくいいっ」
ゼルガディスが何を考えているのか分かってしまったから。
「そう言うな」
近づいてい来るゼルガディスから逃げようと身体を後ろに動かそうとするが、宙吊りの状態でそれが出来るはずもなく、身体をくねらせる小さな仕草にしかならなかった。
「誘ってるのか?」
「どこをどう見たらそうなのるよっ」
「いや、………その格好を見たら、大抵の男はそう思うと思うがな」
確かに、今のリナの格好は、そそるものがあった。
スカートから見える白い脚。
腕を縛り上げられ、抵抗すら出来ない状態。
さらに怒りのためか潤んだ瞳に高揚した頬。
見事に男の欲情をそそるものだった。
「早く帰らないとガウリィ達が」
目を覚ましちゃう。
そう言い掛けた言葉は、見事にゼルガディスの唇によって遮断された。
「平気だろ。一度寝たら朝まで起きないような連中だ。………お前の盗賊いじめに気が付いた事だってないだろ?」
「そう、だけど………ひゃっ」
頷くリナの首筋を、ゼルガディスが舐める。
「いい声で鳴くな……」
「ばっ」
真っ赤な顔できっと睨み付けると、意地悪そうな光を宿したゼルガディスの瞳と重なった。
「ゼル、変なこと考えてるでしょ?」
「いや、いたって普通のことだ」
「嘘っ!」
「普通のことさ……このまま、お前をいただこう、なんて普通だろ?」
にやりっと笑みを浮かべたゼルガディスの表情は、いつもでは見られない、心底楽しそうな、そんな感じだった
「ちょっと、ゼル………」
服の隙間から滑り込んでくる手。
自分の顔が羞恥で顔が赤くなるのがリナにはわかった。
「やっ………ん、はぁ」
「相変わらず感度いいな」
捲り上げられた服からこぼれる胸を揉みながら、ゼルガディスは自然と笑みを零していた。
リナとの関係は、比較的リナの方が積極的だった。
別にゼルガディスが積極性に欠けていたわけではないが、意固地の塊のリナが素直に抱かれるわけもなく………
「やっ………んん」
抵抗できないリナの乳首を口に含み、ころころと舌で転がすと柔らかかった乳首はだんだん硬くなりだす。
「ひゃっ」
軽く甘噛みすると、リナは身体を仰け反らせて反応を示した。
心底楽しそうにその状況を楽しんでいるゼルガディスに、リナはただ睨み付けるしか抵抗の手段を持っていなかった。
「んっ……あっ……は」
声が漏れるたび、身体が熱くなっていく。
下半身に力が入らなくなり、がくがくと小さく震えている。
「そうやってると……可愛いな」
もれるのは噛み殺した笑い。
「や……だっ……」
そう言ったものの身体は正直に反応を示していた。
しっとりと濡れ始めたソコがむずむずとし始め、刺激を欲しがっていた。
「ここの方が素直らしい」
「やっ……はぁん」
ゼルガディスの冷たい指がソコに触れた。
しっかりと濡れたソコは、滑らかにゼルガディスの動きを助け、リナの身体に刺激を与えた。
「ひゃっ…ん………ゼ、ル……」
ゆっくりとした指の動きは、決して絶頂へ導いてはくれない。
撫でるように、焦らすようにゼルガディスの指は動いていた。
「もう……や、だ……」
自分から動くことも出来ず、リナはただされるがままになっていた。
快楽が思考を絡め取りかけていたが、刺激がゆるい分だけ完全に溺れることは出来ず、それがなお更リナの身体を苦しめていた。
「はぁ……ん」
すでにぐっしょりと濡れたソコからは、ゼルガディスの指の動きに合わせて、くちゅりっと卑猥な音が漏れ出していた。
太ももを滴り落ちる生ぬるい感覚。
「ゼ、ル……」
「ん?」
潤んだ瞳がゼルガディスを捉える。
「お、……ねが…い」
震えるように唇から漏れるのは、懇願の言葉。
けれど……
「断る」
「……っ!」
笑みを浮かべてのその言葉に、リナは唇を強く噛み締めた。
「言ったろ? 楽しむべきだ、って」
突然視界からゼルガディスが消える。
「ゼ……、ひゃっ!」
次に襲われるのは、太ももを這いずるねとっとした感触。
「あぁっ」
吸い付くように内側を這いずるのは、紛れもないゼルガディスの唇と舌。
暖かい、というよりは生暖かい感触が一気にリナの理性を吹き飛ばす。
「あぅっ……、はぁ……ん」
下からゆっくりと付け根へと動く舌への期待。
早くそこへ来て欲しい。もっと快楽を……気持ちよくなりたい。
言葉には出ないリナの本音が、荒い息となっていく。
「ゼル……、あっ…ん。……んんっ」
付け根の側で、ゼルは少し強くそこに吸い付く。
小さく赤い印がそこに宿り、その周りに幾つものその印を増やしていく。
赤く彩られた、自分だけの印。
その側にある、すでにあまり役目を果たしていない薄い布。
ぐっしょりと濡れた患部部分は、透けていてくっきりとその形を現していた。
ゼルガディスは、何のためらいもなくその布を引き裂く。
「あっ」
その音に一瞬我に返りかけたリナの理性は、ソコに宛がわれたゼルガディスの生暖かいモノによって、また闇の中へ沈んだ。
「ひゃっぁぁっ………」
声にならない喘ぎが漏れた。
ぷっくりと膨れ上がったソコが、ゼルガディスの舌でころころと転がされるたびに、身体から滴り落ちる愛液。
「やっ……ひ…ん………ああっ」
突然膣口に当てられた舌先。
そのままぐっと中へ押し入れられる。
「ひゃっ…あぁあん」
喘ぎにもならない言葉がリナから漏れた。
「ゼ………あぁぁぁぁん」
指やアレのように硬くない、妙に柔らかいものがその場所を出たり入ったりするたびに、リナは身体を小さくねじらせた。
「い…や……ぁん」
抗議の声など全く無視して、ゼルガディスの動きは時に激しく、時に滑らかに動いていく。
「…ゼ、ル」
もう、我慢できない……、入れて欲しい。
耳に届くのは、くちゅくちゅという卑猥な音だけ。
「んっ……、ぁっ」
リナの限界を悟ったのか、ゼルガディスは不意にその行為を止め、ようやくリナと視線を交わした。
「も、う……だ………め」
ぽろぽろと瞳から溢れる涙。
少しだけ苦笑して、ゼルガディスはリナの腕を縛り上げていたロープにナイフを入れた。
重心を失ったようにとさっとその場に倒れるリナ。
「ゼル……」
頬を伝っていく涙はまだ止まらない。
けれどリナはその腕を真っ直ぐ前に突き出すようにしてゼルを誘う。
そっと頬を伝う涙を指先で救い、ゼルガディスは本当に優しそうな笑みを浮かべ……
いっきにリナの中へ挿入した。
「ひゃっ……あぁはぁぁ……」
身体に流れる電気のような感触に、ぎゅっと瞳を閉じる。
「キツ、イ」
求めたものを放さないように、ぎゅっと締め付けてくるリナの中に、余裕だったゼルガディスの表情が曇った。
「ゼルっ……もっ、と……、ぁんっ」
いつも以上にあふれ出す蜜の音とリナの甘い声が入り混じる。
「リ、ナっ」
自分のモノをしっかりとくわえ込み、自分の下で快楽に表情を歪ませるリナ。
その姿が異様に妖しくぞくっとする。
その妖しさに惹かれるように、激しく腰を打ち付けるゼルガディス。
「はぁ……あ…ん。……ふぁ……あぁっ」
びくんっと身体を弓反りにし、リナの身体からいっきに力が抜けるのと同時に、どくんっと音を立てるように熱いものがゼルからリナへ流れ込んだ。
「ひっ…ぅく」
脱力した身体を投げ出したゼルガディスの耳に届いたのは、小さな泣き声。
「……」
そっと手を差し出しその頭を優しく撫でた。
「ば…か…ひっく」
いつもの勝気な光を戻した瞳がゼルガディスを捉えた。
「悪かった、な」
まだ泣き止みそうにないリナの髪を撫でながら、ゼルガディスはそう呟いた。
睨み付ける瞳からは、まだ涙がこぼれていた。
泣き止むまではもう少し……一緒にいられる、な。
隣で身体を投げ出している少女の温もりを感じながら、ゼルガディスは気が付かれないようにそっと微笑を浮かべた。
おわり