「あっ…ん。……ふぁっ」  
 ぴちゃりっと音を立てて乳首を舐めあげると、  
今まで押し殺していた声がその唇からこぼれた。  
「ねぇ、リナさん……」  
 乳首を責めながら、上目使いで見上げると、  
頬を高揚させた、まだ少女らしさを残した顔が見えた。  
「なっ……に?」  
 問いかけに答える声も、小さく熱を帯びている。  
「一緒に、滅びませんか?」  
「いや」  
 間髪いれず返ってきた拒絶のその言葉だけが、  
やけにはっきりとボクの耳に届いたような気がした。  
「そう、ですか……」  
 そう答えることなどわかっていたけれど、やはり心の中にチクリと何かが当たった。  
「ゼロ……ス」  
「何ですか?」  
「……もっ、と……」  
 潤んだ瞳がボクを捕えた。  
 そんな瞳で見つめられては、逆らうことなど出来そうもない。  
「本当に、お好きですね。リナさんは」  
 子供をあやす様な口調で告げると、少しだけその表情が歪んだような気がした。  
「違いますか?」  
 笑みを浮かべて問いかえると、『違わないわよ』と小さな返事が返ってきた。  
 こんな時だけは素直なんですね、貴女は。  
 
「んぁっ……」  
 口の中で硬くなった乳首を軽く噛んでみると、ぴくりっと身体が動いた。  
 その動きが面白く、舌で転がした後またそれを噛んでみる。  
「ぁ、ん」  
 普段では決して聞く事のない甘い声。  
 
 ボク以外聞いた事のない声。―――今は。  
 
「他の誰かにも……、そんな声を聞かせるんですか?」  
 耳もとで囁くと、頬が朱色に染まった。  
 肯定とも否定ともとれるその表情に、少なからず嫉妬というものを覚える。  
「あっ、ん」  
 胸への愛撫を止め、その手を脚の付け根へと動かすと、ソコはぐっしょりと濡れていた。  
「あ〜あ、もうこんなになってますよ?」  
 くちゅくちゅと音を立ててそれを聞かせる。  
「んっ、……はぁん。……もっと、ゼ…ロス。……さわっ、て」  
「ここですか?」  
「あぁん……、いいっ」  
 小さく首を振りながら、快楽に溺れていく様が少しだけ心を満たしていく。  
それでも  
 滅びたい―――滅びたい、貴女と。  
「……滅びませんか? 一緒に」  
「だ、……め」  
 どんなに快楽に導いても、欲しい答えがその唇から導かれることがない。  
 
 貴女が欲しいのに。  
 ならば、快楽だけでも貴女と共に味わいたい。  
 
 女の蜜が溢れ出すソコを吸い上げる。  
「やっ……」  
 
 行為から逃れようと微かに腰を動かすが、  
そんな動きでボクが止められるはずもない。  
 ぷっくりと膨れ上がった蕾を舌でちろちろと舐める。  
「ぁっ……、やめっ、んっはぁん」  
 首を左右に振り、喘ぎ声と荒い息使いが聞こえると、  
もっともっとそれを聞きたくなっていった。  
「だっめ、……あんっ!」  
 否定の言葉とは裏腹に、ソコから溢れ出す蜜は男を誘う。  
「ひゃっ…ん」  
 強めに蕾を刺激すると、びくんと腰が浮き上がり、  
ボクの肩を掴んでいたリナさんの指に力が入った。  
「おや? もうイっちゃったんですか?」  
「……ぁ」  
 とろんっとした瞳がボクを見つめ、小さく頷いてくれた。  
 本当に……こんな時だけしか素直にボクを見てくれない。  
 それが、どんなにボクを苦しめているか……  
 心の中で嘆息をついて、ボクはいつもと同じ微笑を向けた。  
「自分だけイっちゃうなんて、……ずるいですよ、リナさん」  
 まだ余韻の中にあるリナさんに、ボクは自分のモノを見せ付ける。  
「んっ……」  
 視点の定まらない瞳を抱えたまま、そっと身体を起こしてリナさんは  
ボクのソレを口に含んだ。  
 ぞくっとした感覚が襲ってくる。  
「いいですよ、リナさん」  
 口いっぱいにボクのモノと頬張り、じゅるじゅると音を立て吸い付いてくる。  
 
「だいぶ上手くなりましたね、リナさん」  
 頭を撫でると、少しだけその身体を動かす。  
 暖かい、ボクにとっては苦痛の原因になりかねないものがリナさんから流れてくる。  
 己の身を滅ぼしかねないそれすら、愛おしく感じる。  
 
 貴女だけしかいらない。  
 貴方だけを……見ていたい。  
 
 そっとリナさんの腰に手を当てて、ぐっとその身体を持ち上げる。  
「なっ!」  
 行き成りの行動に驚いたのか、一瞬我に戻ったリナさんの表情が見えた。  
けれどそれも一瞬のこと。  
 持ち上げた身体をいっきにボクのモノの上へ突き立てると、その表情は豹変した。  
「んっぁ、ん」  
 快楽がリナさんを飲み込むのがわかった。  
「あっん……もっ、と……、ゼロ、ス」  
 腰を動かすたびに、漏れる声。  
 
 ボクだけを、求めてくれる―――今は。  
 
「リナさんっ」  
「んっあ……ひゃ」  
 潤んだ瞳。  
 高揚した頬。  
 小さく開き、甘い声だけを漏らす唇。  
 どれも、全て……欲しい。  
 
「もっと、ボクを、呼んでください」  
「ゼ、ロス……、もっ、と……あぁん、もっと……ゼロ…ス」  
 答えるようにボクを求める。  
 
 貴女は自分だけのもの。  
 誰にも……渡さない。  
 
「あっん……いゃ……ゼっ」  
 心の中の靄をはらうかのように、ボクは激しく腰を打ち付ける。  
そのたび、リナさんの口から喘ぎ声が上がり、  
ボクのモノを飲み込んでいるソコは締め付けを強める。  
「いいですよ、リナさん……。リナさんの、ここ。いやらしく、ボクを飲み込んでいますよ」  
「だっ、……あんっ」  
 卑猥な言葉をかければかけるほど、ソコの締め付けはよくなり、  
快楽と屈辱の波動が流れ込んでくる。  
「イっ、ちゃ、う……、ゼロ、ス」  
 ぎゅっと中がよりいっそう締め付けてくる。  
「ボク、も……」  
「一緒、……に、……イっ、て」  
「……」  
 ボクの望みとは違う。  
 ボクは、貴女と……一緒に滅びたい。  
 けれどそれを望まないから。貴女は。  
「……残酷、ですね、貴女は」  
「えっ? ……いゃぁぁぁぁぁぁっ!」  
 微笑を向けた僕に、一瞬不思議そうな表情をリナさんはした。  
そして―――  
 
 ぐったりと力を抜いて、ボクの腕の中で息を整えている。  
「リナさん……」  
「……ん?」  
 瞳の中に映るのは僕だけ。  
「いえ」  
 それだけで少しは満足したような気がした。  
「へんなゼロス」  
 微笑むその顔は、誰よりも愛おしい。  
 
 貴女と共に……滅びたい。  
 貴女だけに―――滅ぼされたい。  
 
 
 
 
<おわり>  

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